やじうまミニレビュー

センチュリー「スライディング裸族」

~バルクドライブを組み込んで外付けHDDとして使えるリムーバブルケース

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
製品本体。上部を覆うカバーはなく、ドライブをむき出しのまま使う構造

 バルクのドライブを組み込んで外付けHDDとして使用するためのケースは、PCユーザーにとってはお馴染みのアイテムだ。接続インターフェイスはさまざまだが、売れ筋はなんといってもUSB接続のモデルで、現在はUSB 3.0対応の製品が各社ともにラインナップの中核になりつつある。

 今回紹介する「スライディング裸族」は、そんなUSB 3.0接続のHDDケースの1つだ。ドライブを露出した状態で使うことが特徴のセンチュリー“裸族”シリーズの製品であり、製品名にあるように、ドライブを横からスライドさせて装着することが特徴だ。

 HDDケースのほとんどは、ドライブをネジなどで固定する方式を採用しており、こまめな着脱は想定していないことがほとんどだ。そもそもSATAのコネクタ自体、頻繁な抜き差しは考慮されていないためやむを得ないわけだが、例えばバックアップ用に使う場合、抜き差しが手軽にできれば、複数のドライブを定期的にローテーションさせるという、テープドライブに近い運用が可能になるなどメリットは大きい。

 その点、本製品はレバーを倒すだけでワンタッチでドライブを取り外せる機構を採用しているため、手間を掛けずにドライブの交換が行なえる。ドライブを本体に固定するための機構が皆無なので、本体ごと持ち上げて移動させる場合は細心の注意が必要になるが(SATAコネクタが緩い場合、傾けただけでもすべり落ちかねない)、HDDをカセット化することでリムーバブル化するタイプのキットと比べても手間はかからず、また本体サイズもコンパクトだ。

 また、隠れた利点として、本製品が「横置き」であることが挙げられる。現在市販されているHDDケースのほとんどは縦置きを前提にしており、横置きは想定されていないことが多い。もちろん脚を外して横倒しにすることは可能なのだが、横置きにした場合のエアフローが考慮されておらず熱がこもりやすい上、本体デザインやロゴの向き、LEDの配置など不格好に見えがちだ。

 その点、本製品は横置きが前提のデザインであるため、NASの上に重ねて置くなどの設置方法にも適しており、また複数台の本製品を積み重ねて使うこともできる。あまり多くの台数をスタックしすぎると熱の逃げ場がなくなるのでやりすぎは禁物だが、縦置きの製品がほとんどを占める現在、横向きを前提とした本製品は稀有な存在だ。

 価格も実売2,000円台後半とこなれており、余っているドライブを外付けHDDとして活用したい場合、また大容量ドライブを組み合わせてバックアップドライブとして使いたい場合にぴったりの製品と言える。唯一のネックは、コネクタ類がドライブから見て奥の面ではなく、本体の側面に配置されていること。置き方によっては取り回しに苦労することになるので、購入にあたっては十分注意して欲しい。

パッケージ。同社の裸族シリーズの1つで、SATA 6Gbpsまで対応している
同梱品の一覧。ACアダプタはコンパクトなタイプ
ドライブを挿入する側から見たところ。中央に見えるのは2.5インチのドライブを取り付けるためのガイド
側面から見たところ。電源スイッチ、USBコネクタ、電源コネクタはこちら側に配置されている
電源コネクタとSATAコネクタ。ここにドライブを差し込む。ドライブを固定するための機構はこれ以外に一切ない
レバーを倒すことで……
ドライブが奥から押され、取り外される構造
実際にドライブを取り付けている様子。横からスライドさせて取り付ける
奥まで押し込めば取り付け完了。複数台の本製品を上下にスタッキングすることも可能
一般的な3.5型HDDケース(右)との比較。スイッチやコネクタ類が奥ではなく側面にあるため若干幅があるが、本体を分解せずにHDDを着脱できるケースとしては非常にコンパクトな部類に入る
ケーブル類を取り付けた状態。使用時にはLEDが青色に点灯する。USB 2.0対応の製品と異なり3TBオーバーの容量も認識できる