Windows 10ユーザーズ・ワークベンチ

Windows 10プリインストール機初期設定の留意点

 この歳末に新しいWindows 10 PCを購入する予定の方も少なくないと思う。今回は、Windows 10プリインストールPCの初期セットアップについて、その注意点等を見ていくことにしよう。

2015秋冬の新機種はTH1プリインストール

 この歳末に出てきたいくつかのメーカー製PCを試してみた。すべて最新のSkylakeプラットフォームだ。機種名を挙げると、

レッツノートSZ5(Core i7)
レッツノートRZ5(Core m5)
VAIO S11(Core i7)
Surface Pro 4(Core i5)

の4機種だ。

 TH2がリリースされたのは11月12日だったが、歳末の新機種搭載には間に合わない。これらの機種に搭載されているのは7月29日にリリースされたTH1で、Buildで言うと10240 だ。

 これらの機種で、最初に電源を入れて初期設定を始めると、Microsoftアカウントの登録が求められる。ここで新しく登録することもできるし、以前から使っているものがあればそれを使ってもかまわない。

 1つ注意点があるとすると、ここで登録するMicrosoftアカウントはメールアドレスの形式をしているが、その@の左側部分、先頭から5文字がユーザー名、個人用フォルダ名として使われることだ。TH1より前は@の左側文字列全てだった。このことはセットアップ後、以前書いたバッチファイルなどをコピーして使おうとしたときにうまくいかなくて気がついた。ぼくはユーザー名として「syohei」を使いたいのだが、Microsoftアカウントは、syohei@xxxx.xxxなのに、ユーザー名がsyoheとなってしまうのだ。これはちょっと気持ちが悪い。個人用フォルダの実名など気にしないというのならともかく、ちょっと覚えておいた方がいい。

 また、スクリプトなどからユーザー名等を参照したい場合は、システム環境変数をうまく使うようにしよう。例えば、

%USERPROFILE% 個人用フォルダ名
%APPDATA% 個人用フォルダ下のアプリデータ格納用隠しフォルダ名
%WINDIR% Windowsフォルダ名
%USERNAME% ユーザー名

といったものがある。

 余談だが、厄介だった長い環境変数、例えばPATHなどの編集作業は飛躍的に容易になっている。セミコロンで区切られた1行の文字列の編集をしなくても、一覧リストで参照し、編集や優先順位の変更がとても簡単にできるようになった。

システム環境変数の一覧画面
環境変数の編集は飛躍的に分かりやすくなった。こうでなくてはGUIと言わない

コンピュータ名を変更しておこう

 自分で任意のユーザー名を使いたい場合は、初期セットアップの際に、ローカルアカウントで登録し、後で、それをMicrosoftアカウントに関連付ければいい。Microsoftアカウントに関連付けないでWindowsを使い続けることもできるが、複数デバイスを使っている場合の同期ができないなど、何かと不便なことも多いので、関連付けは必須だといってもいい。

 ちょっとやっかいなのはPCの名称を自分で決めることができない点だ。どういうロジックで名前がついているのかよく分からないが、そのままだと、

WIN-CDHOXXXXXXX
DESKTOP-TXXXXXX

といった覚えにくい名前になってしまう。ノートPCで初期セットアップをしてもDESKTOP……となるのもいい気分がしない。これについては、システムのプロパティでコンピュータ名を変更することができるので、早い段階で自分がきちんと識別できる名前に変更しておいた方がいいだろう。

コンピュータ名は早い時期に自分で分かりやすいものに変更しておこう

動き出したらすぐに更新してTH2へ

 さて、こうしてWindowsを初めて起動させ、設定から「更新とセキュリティ」でWindows Updateの「更新プログラムのチェック」をすると、最新のTH2 Build 10586が見つかってシステムを更新することができる。システム丸ごと入れ替えに近いので、それなりの時間はかかるが、設定などで失われるものもないし、レジストリに加えた変更や、スタートアップに登録したショートカットなどもそのまま保持される。

 この状態でTH2に更新した後、最新機能などを試したいならInsider Previewに登録するかどうかを決めればいい。ちなみに、今後、Insider Previewの更新頻度はますます加速することが表明されている。TH1からTH2までは、Fast Ringで1カ月にほぼ2回のペースだったが、それ以上の回数になることが予想される。Insider Previewの更新では、レジストリに加えた変更やスタートアップに登録したショートカットが初期化されるといったことも多いので、場合によってはSlow Ringに設定しておいてもよさそうだ。

工場出荷状態へのリカバリ用イメージは自分で確保

 TH2についてはおおむね良好に稼働しているように見える。手元では上記の4台のほか、既存の8台にインストールしたが問題は出ていない。ただ、いつまで経っても降りてくる気配のない常用デスクトップについては、Insider Previewを受け取るように設定して適用した。

 また、TH2のリリース後、既に、ビルド11082がリリースされている。これで、TH2でいったんは消えたデスクトップ右下の「評価コピー」表示が復活した。

 ただ、手元の1台だけにはFast Ringに設定しているのにその最新ビルドが降りてこない。とりあえず、他の環境ではこのビルドで特に問題は起きていないのだが、インターネットを検索すると、いろいろと問題が出ていて以前のビルドにロールバックしている方も見かける。

 なお、新しいビルドに更新するたびに、Windowsの回復イメージは最新のものに書き換わる。従って、メーカー製PCの場合は、添付のユーティリティなどを使ってリカバリ用イメージを作成しておかないと工場出荷時の状態に戻せなくなってしまう点は注意が必要だ。

 逆に言うと、本体をリカバリした時に、気が遠くなるほどたくさんの更新を適用しなくても、リカバリ直後に最新の状態でWindowsの運用を始められるということでもある。常用プログラムのインストールなど、ちょっとした手間は必要だが、システムの調子がおかしくなってリカバリしたいという場合、これまでよりも圧倒的に短時間でフレッシュなWindowsを使い始めることができる。

 さらに、メーカー製PCにおいて、工場出荷時にインストールされているデバイスドライバ等は、全てWindows Updateを経由しての更新、配布するようになるという方向性もある。これは、Microsoftの強い要望でもあると複数のベンダーから聞いた。そのため、ドライバやユーティリティ類について、自動的にアップデートを見つけてダウンロードしてインストールするようなユーティリティの提供は、今後、なくなってしまうかもしれない。各社ともに、それぞれの方法で、この方式に準拠すべく準備を進めているようだ。ノートPCで広く使われているタッチパッドのSynapticsドライバなどは、既にWindows Update経由の配布となっているが、その他のドライバ類がそのようになるのも時間の問題だと言えそうだ。

Bluetoothマウスなどのインストールでも、Windows Update経由で専用のドライバが導入されるようになっている
工場出荷に戻すためのユーティリティを使ってリカバリディスクやUSBメモリを作っておこう。また、コントロールパネルの「回復」を使って、現システムの回復用ドライブを作成しておくのも安心だ

SkylakeとWindows 10の相性

 SkylakeプラットフォームとWindows 10の組み合わせは想像以上にうまくいっているようだ。IntelとMicrosoftは、そのために密に連携をとったとしている。

 前回、少し触れた、Skylakeの目玉機能であるSpeed Shift Technologyについては、パナソニックに問い合わせたところ、TH2以降が稼働していれば自動的に有効になるようにBIOS側で設定済みということだった。ただし、少なくともパナソニックでは、エンドユーザーがBIOSで無効にするような設定は用意していないし、Windowsそのものでも有効/無効を知る方法はないという。

 それでも、SkylakeとBroadwellの両プラットフォームを似たような使い方で比較しても、バッテリの減り方のイメージが随分違うことが分かる。特に、間欠的な使い方ではものすごくバッテリ駆動時間が延びたように感じられる。これについては、もう少し検証して詳細をお伝えするようにしたい。

(山田 祥平)