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今井三太郎が13万円台のノートでMinecraftがどこまで動くのかを徹底検証
2017年9月22日 11:00
著者紹介:今井三太郎
Minecraft歴6年以上のベテラン、多数のMinecraft関連著書に携わる。現実世界に即した再現建築や、奇をてらった作品構成を得意とする。現在はMinecraft内で時代劇を撮影すべく、戦国時代の街並みを鋭意製作中。Twitterアカウントは@imai_san。リリースから随分経ちましたが全世界で未だに根強い人気を誇るMinecraft。これほどまでにさまざまなハードでリリースされたゲームってそうそうないような気がします。
しかしながらコンシューマ版やPE版をプレイしているクラフターさんの中には「やっぱりPC版のMinecraftをプレイしたいぜ」という方も多いことでしょう。
けど重いって話もよく聞くし……いったいどれぐらいのスペックのPCなら快適に遊べるんじゃろ? やっぱりPCって高い買い物だし不安な方も多いでしょう。
そ・こ・で! 今回お手頃価格のノートPCを用意しました(していただきました)!
ユニットコム「LEVEL-15FX088-i7-LXF3XM」の仕様
・CPU:Core i7-7700HQ(4コア/8スレッド/2.8GHz)・メモリ:DDR4 SO-DIMM 8GBシングルチャネル
・チップセット:Intel HM175
・ストレージ:512GB M.2 SSD
・GPU:GeForce GTX 1050 Ti(4GB)
・液晶:1,920×1,080ドット表示対応15.6型
・OS:Windows 10 Home
なお、本機はNVIDIA Optimus対応機であり、このままJava版のMinecraftを実行するとIntel内蔵GPUが使われます。そのため「NVIDIA コントロールパネル」→「3D設定の管理」→「プログラム設定」により、minecraftフォルダの配下にあるjava.exeを追加し、「高パフォーマンスNVIDIAプロセッサ」を選ぶことで、GeForceに描画処理を実施させています。
さて肝心のPCですが、見た感じはオサレなゲーミングPCといった感じです。そこそこ大きいので持ち運びはちょっと大変かもしれません。
早速起動! ほほー、最近のノートPCはここまで画質綺麗なのね。ちょっと侮っていました。
触ってみたところ、キーボードは私が普段使っているゲーミングPCと比べてもかなり静音な印象です。隣で人が寝てたらたぶん起きない程度には静か。
ふむふむ……その割にクリック音はデカイので、外付けで静音マウスを併用するといい感じに仕上がりそうです。
ちなみに外部出力端子があったので自前のディスプレイを使ってデュアルディスプレイでやります。
まずはこのPCにMinecraftをインストールして、バージョンは最新の1.12を使用してみます。
動作を軽くするための設定やMODなんかもあるんですが、まずは完全に何もいじっていない状態でプレイしてみないことには始まらないわけで。
表示される「ワールド生成中」の文字……たのむぞー、動いてくれよー。
おっ、動きましたね。
それなりに木々の生い茂った良立地からスタート。羊がメエメエと歓迎してくれております、とりあえずベッドには困らないです。
動作も通常プレイをするぶんにはそれほど重さを感じるところもなく、するする動いています。
まだこれといって負荷をかけるようなことをしていないので、この時点で動いてくれなきゃそりゃあ困るわけですが。サバイバルモードで普通に遊ぶ分には大きな問題はなさそうです。
バニラのサバイバルで遊ぶぶんには処理落ちもないように見受けられたので少し負荷をかけてやろうと思います。
Minecraftで重いワールド設定といったら、そう。「アンプリファイド」ですな。
知らない方に説明しておくと、こいつは雲を突き抜けるほど高低差のある地形をデフォルトにするというなんとも足腰にくるワールド設定です。Minecraftは高さがあると処理重くなりますからね。
わかりやすくラーメンで例えると、通常のワールドがサービスエリアとかで売っている一杯500円のラーメンだとしたらアンプリファイドはラーメン●郎の大盛ぐらい重いです。
燦然と輝く「注意:このオプションを楽しむためには高性能なコンピューターが必要です」の警告文。そこはかとなく低スペックPCお断りと書いてあるように見えなくもない。
さて実際にワールドを生成してみましょう。たぶん生成は上手くいくかな……? 問題は描画できるかどうか。
おお、読み込めた!
この時点ですでに私が6年前に買って最近まで愛用していたデスクトップPCよりぬるぬる動いているわけで。時代の流れを感じます。
うーむ、ノートPCなので正直移動できないレベルの処理能力不足ぐらいは覚悟していたわけですが、なかなか優秀なようです。
では、これはどうじゃ。
Minecraftは火に弱い。古事記にもそう書かれている。
破壊、延焼、音、光源処理などが同時に行なわれ、それが周囲のブロックに伝染していくという仕様上、山火事はMinecraftでも1、2を争うレベルで負荷がかかる処理。実際、重い。
かつて古いバージョンでは、燃えるものがある限り火災が無制限に拡がっていく仕様だったので、その頃は森に延焼したらその時点でPC処理的にもジ・エンドだったわけです。今では延焼範囲が制限されたため、さすがにそんなことはないですが。
さらに今回はMinecraft処理重三銃士の一角、溶岩の処理もプラスしてみました。
というか、ぶっちゃけるとなんとかしてクラッシュさせようと躍起になっています。
アンプリファイドに加えて、燃える木、流れる溶岩、音源と光源の処理の同時並行は辛かろう。ほっほっほ。
どんどん燃え拡がっていきます。調子に乗って燃やしすぎた感はある。良い子は真似しないでね。
ぐぎぎ……このノートPC耐えやがった……。完全にクラッシュを再現させる気満々で広範囲に溶岩をバラまいたわけですが、思いのほか持ちこたえました。処理もこれといって重いと感じるような場面はあんまりない感じ。
アンプリファイドならではの、ワールド読み込み時に少し引っかかるような重さを感じる程度で難なく動けております。
あれ? 快適なんじゃね?
ではバニラならどこまでやれるのかしら? ということで検証します。今回我々が新たに開発したのがこちら。
コマンドブロックでさまざまなMOB(モンスターとか動物とか)を同時に30体召喚できるイカした装置。通称「サモンくん30」であります。
ちなみにリピーター回路を用いて2回、3回と連続して起動させると召喚数も60、90と増えていくゴキゲンなシステムを搭載。一度起動するや否や大量に放たれ続けるMOBは処理に多大なる負荷をかけCPUを溶かしつくすという、まさに悪意の結晶。このノートPCが前世でいったいどんな悪いことをしてきたというのか。
しかしこれも性能試験だ。涙を呑んで装置起動!
重いッ!!
ものの数秒で操作に支障をきたすほど重くなってきたぞ……!
しかしそれでもなお容赦なくサモンされ続けるMOBたち。MOBの出現上限いっぱいまで一瞬で到達しファンがもうやめてくれと言わんばかりに悲鳴をあげる。
……そのとき、ふと思いましたね。
これはもうMinecraftの検証じゃない。ノートPCのデバッグだ。
ちなみにこの状態で「MOBが湧き続ける状態」で1時間放置しましたが、そのあと何の問題もなかったかのように動いていました。
結論として、バニラで検証したところ『悪意をもって負荷を上げない限り』さしたる問題もなくプレイできているようでした。
ノートPCということで侮っていましたが、まさかここまでおやりになるとは。だがまだ足りない。バニラでちょろっと遊んだところで、Minecraftを堪能したとは言わない。
というわけで、次はグラフィックの限界に挑戦すべくリソースパックの変更ならびにシェーダーの適用を行ないます。
終わったと思ったかね? もうちょっとだけ続くのぢゃ。
グラフィックスの限界に挑む
今回検証のため特別に超一級品を取りそろえさせていただきました。クリエイターの皆々様のご協力に感謝!!
さて高解像度テクスチャに対応すべくOptifineも入れたところで、まずはリソースパックからあてがっていきましょう。
まずは比較的軽い32xテクスチャの「TEX-D texture pack」から。
新しいワールドを生成してまずは様子見。バニラと比べてマップの読み込みにやや時間はかかるものの、これは予想の範囲内です。軽く操作してみましたが特に処理落ちなどを感じることもなくヌッルヌル動いてます。
アンプリファイドのワールドも試してみましたが、どうやら32xのテクスチャであればほぼバニラと同様に遊べるようです。「TEX-D texture pack」が32xの中でも比較的動作に負荷をかけないリソースパック、というのもあるかもしれません。
ということは「軽いテクスチャ」とはまったく逆の思想で作られた豪奢で華美なリソースパックでは、果たして問題なくプレイできるのか? ということで64xテクスチャ「Tender World」を使って検証してみます。
もうUIからして強キャラ感出てます。これはいけるのか……?
新規ワールド作成……っとおおん? 存外ぬるぬる動いてる!!
ほほー、うちのデスクトップPCが「ちょっとしんどいです!」と不平不満を漏らし始める「Tender World」でストレスなく動けるとは予想外でした。
描画距離16チャンク(遠い)ぐらいであれば何の支障も感じないレベルでしたが、さすがに32チャンク(最大)まで上げるとやや引っかかるかなといった印象。しかし上出来過ぎる部類に入る気がします。
ということで、リソースパックについては64xで描画距離16チャンクだろうが余裕で動く。といった結果になりました。
著者が普段使っているテクスチャは32xなのでこいつは僥倖。この軽さなら同時に録画もできそう。もうデスクトップPCいらなくなっちゃいますね。
そうなってくると次に気になってくるのがシェーダー。
シェーダーとはすなわち陰影処理。かつて影MODと称されたマイクラ界のグラフィックにおける最高峰と言えます。このシェーダーのためにPC版のMinecraftが欲しいぜというキッズも多いことでしょう。
そこで今回ご用意させていただいたシェーダーはこの2つ。
「Kuda Shader Medium v5.0.6」と「Sonic Ether's Unbelievable Shaders v11.0」。
この2つのシェーダー、ファイル容量だけで3倍ぐらいの差があります。
特に後者、通称「SEUS」はシェーダーの代名詞だけあって圧巻のグラフィックを誇ります。
筆者はこのSEUSを適用するためにPCを買い替えたという過去があり、個人的にも思い入れのあるシェーダーとなっています。果たしてこのノートPCがこの洗礼に耐えられるのか……?
まずは「Kuda」から。
せっかくなので自前のワールドを引っ張り出してきました。
おお軽い!!! 美麗グラフィックを維持したまま動作も快適とはなんやこの軽さ。
水面処理や陰影処理を最低限にとどめているだけあって快適に操作することができました。
32xテクスチャと併用してもまだいける。少し読み込み時にカクつきはするけど遊んだり作ったりするぶんには恐らく問題ありません。
記念にパシャリ。描画範囲も通常より遠め(Farぐらい)にしていますが、処理に難ありといった印象は受けません。ふむふむ。
こりゃ案外「SEUS」もいけるんじゃ?
きたぁーーーーーーっ!!! 余裕で動けるじゃないですか。
SEUSですよ? マイクラグラフィック界のエンドコンテンツですよ?
ご覧の通り快適に走り回れます。すごい。このPC欲しい、僕これで時代劇撮る。
この調子ならいけるのでは? ということで「Tender World」と「SEUS」の併用を試してみます。
Minecraft界にかねてより君臨する王者と神の夢のタッグを堂々と記事に起こせるとは。
うおお、マップを読み込むなりすさまじい勢いでファンが回ってる。耐えてくれGeForse GTX 1050 Tiッ!!!
あーーっ、さすがにこの組み合わせはちょっと重い!
プレイそのものには支障はなさそうですが、新規マップ読み込み時のカクつきがちょっと気になるかな? といった具合です。視界が開けた場所に出るとやや読み込みに苦戦しているようです。読み込んだ後は特に問題なく動けているので、モノづくりや撮影は充分できる環境といった印象を受けます。
うーむ、しかしここまでやってようやくこのPCの限界がチラ見えレベルとは……。やりおるなあ。
そしてさすがはPC版Minecraft界の最奥に位置する魔物のコンビ……! マイクラの奥深さ、その深淵に触れた気がします。
結果!
「Kuda Shader Medium v5.0.6」ぐらいの軽いシェーダーなら難なく動く! そして「Sonic Ether's Unbelievable Shaders v11.0」のような重いシェーダーと高解像度テクスチャと併用しても多少処理が落ちるぐらいで作るのには問題ないレベルでイケる!
ただアスレチックやアドベンチャーマップなど、細かく素早く正確な操作が求められるマップでの遊びについては「Kuda」+「32xテクスチャ」ぐらいに抑えておいたほうが無難だろうといった結論に至りました。
逆に言えば「Kuda」+「32xテクスチャ」ぐらいであればバニラ同様、何の支障もないレベルで動きます。
ようやくこのPCとMinecraftの付き合わせ方というものが見えてきました。
じゃあもういっちょいってみますか!
検証、ノートPCでもMODはちゃんと動くのか?
正直、負荷という点では大きく上がるようなものはないのでほとんど問題なくクリアできそうな気はしますが、なかにはMOBを大量に引き連れて歩けるようなものもあるので要検証したいところです。
前提MODとなるForgeに加えて今回用意したのは以下4つのMinecraft界を代表するMODたち。
まず最初の刺客はランダムダンジョンを生成しアドベンチャー要素を強化する「Better Dungeons」。通称べただん。
クリエイティブモードにしてみるとこんな感じでアイテムがたくさん追加されているのがわかります。
しかしながら肝心のダンジョンがまったく見当たらない!
どうやら結構レアらしいですな。そりゃそうだ、モンスターを満載したダンジョンが雨後のタケノコみたいにあちこちからニョキニョキ生えてたら困る。
必死の探索でようやくダンジョンを発見。どうやら通常の建築物とは生成の仕組みが違うようらしく。一度生成されたマップを上書きするような形で作られるようです。問題なく動いてます。
バニラでの検証でMOB 200匹ぐらいなら余裕で動くことは証明済みなので特に重さを感じることもありません。
攻略しました(正攻法とは言ってない)。500個ぐらいの同時発破も余裕でした。
次に登場するのは工業要素を追加し世界に産業革命を巻き起こす「BuildCraft」。
これも一部マップにオブジェクトを追加したりするMODですが、どうやら問題なく生成はされている様子。
問題は工業要素の方。こいつは全自動で掘削したりなんやかんやできるので、言うなればマップの書き換えを頻繁に行なうMODです。Minecraftは一人で積んで崩してを繰り返すのが基本なのですが、果たして高速同時処理に耐えられるのか……!?
こんな感じで自動で穴を掘ってくれたりするやつをあちこちに設置します。
せっかくなので処理スピードを上げるためにも出力もフルスロットルにしておきましょうねえ。
30分後……。
おお随分掘れた。このノートPCは掘削同時並行による処理にも問題なく耐えたようです。
マルチのことを考えれば作業の同時進行に耐えられるのも当然っちゃあ当然ですね。
続いての刺客は汽車や飛行船とそれに伴う複雑なレシピを追加する「TrainCraft」。
個人的にすごく気になっていたので今回ついでに試してみようってことでラインナップに加えてみました。
乗り物を多数追加するMODというわけで高速での移動によるマップ読み込みが肝になってきます
試しに汽車を作って走らせてみましょう。
どうやらいろいろ試してみたところ、汽車に関しては事前にレールを引いておく必要があるぶん、いくら速く動こうが新規ワールドの読み込みをするわけではないので処理的にそこまで負荷はかからないらしい。よくできてるなあホント。
ならば空はどうだ!!
このMODには飛行船もあるのだ!!
空を高速移動すればその負荷は既存チャンク読み込みの比ではない!!!
結果、飛行船、めっちゃ移動速度遅かったです。
わかってた。わかってたさ。検証は楽しい遊覧飛行で終わりましたとさ。
さあ最後、MOBの追加ならこのMODは外せないMinecraft界のピク●ン「LittleMaidMob」。
こいつは今までのMODの比じゃないほどの負荷を期待できます。というのもこのMODで追加されるメイドさんは所持アイテムなど個別の情報を持ったMOBなんです。それを大量に引き連れるという仕様上、負荷がかかるに決まっています。
手はじめに40体ほど引き連れて歩き回ってみました。
何人か途中で崖から滑落するなどして脱落したものの、問題なく動いているもよう。ならば処理的に何人まで引き連れて歩けるかを検証するしかあるまい。
いくぞメイドさん――ケーキの貯蔵は充分か。
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!
個人の年間ケーキ消費量に換算すると5世代分ぐらい振舞ったのではなかろうか。おかげさまで大量のメイドさんがついてくるようになりました。
200人ぐらいなら何の問題もないレベルでサックサク動いている……。200人あたりで画面に全員を収めていると少し動きにカクつきが出てきた気がします。ただその後はいくら増やしてもとくに挙動に変化なし……。
結論から言うと、メイドさんは簡素なルーチンで動いていることもあって他のMOBよりむしろ軽い!!! メイドさんの人海戦術でこのノートPCを停止させるのはちょっと難しいようです。
今回はノートPCの限界を試すべく処理が重そうな設定、リソースパック、シェーダー、MODを用意して検証に臨みましたが、結果、このPCに目に見えるほどのダメージを与えられたのは以下の3つだけでした。
・超大量(だいたい300以上)のMOBの投下
・高解像度リソースパック+高品質シェーダー
いずれも常用外レベルの処理が絡むものばかり。それも多少のカクつきを覚えるレベルで、プレイングに支障を感じるほどのものではないという結果に至りました。個人的にはここまで負荷をかけて動作停止しなかったのに驚きです。
またMODのようにイレギュラーな処理を絡ませてくるものについても、見事捌き切ったという点は筆者の予想を超えたものでした。
かつて筆者自身MinecraftのためにデスクトップPCを買い替えた経験から、たかがノートPCでそもそもまともに動くのかと侮っていましたが……やっぱり技術ってのは日々進歩しているんだなあ。
ブラウン管の箱型PCディスプレイが液晶の薄型ディスプレイに変遷していったように、ハード面におけるある種の転換期を感じさせる結果になりました。なによりノートってやっぱりスマートでおしゃれだし!!
ノートがデスクトップに取って代わる日は、実はかなり近いのかもしれません。