西川和久の不定期コラム

レノボ「ThinkPad X250/20CMA000JP」

~Broadwellを搭載した12.5型IPS式フルHDタッチ対応のモバイルPC

 レノボは2月10日、Broadwellを搭載した「ThinkPad X250」を発表した。編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。昔からThinkPadのX200番系が好みの筆者なだけに興味津々だ。

標準モデルの中では最上位

 ThinkPadの多くは、OS、プロセッサ、メモリ、ストレージ、パネルなどがカスタマイズ可能になっている。

 ThinkPad X250は、OSが64bit版Windows 8.1/8.1 Pro/7 Professional、CPUがCore i3-5010U~Core i7-5600U、メモリは4GBもしくは8GB、ストレージは512GB SSD、1TB HDD、500GB+8GB SSHDのうちいずれか、液晶ディスプレイは12.5型の1,366×768ドットTN、1,366×768ドットIPS、1,920×1,080ドット(フルHD)IPS、タッチ対応……など、予算や用途に応じてカスタマイズができる。

 今回手元に届いたのは、カスタマイズモデルではなく標準モデルの1つで、CPUや液晶ディスプレイ解像度が最上位のモデル「ThinkPad X250/20CMA000JP」だ。主な仕様は以下の通り。

【表】ThinkPad X250/20CMA000JP
プロセッサCore i7-5600U(2コア/4スレッド、動作クロック2.6GHz/3.2GHz、キャッシュ4MB、TDP 15W)
メモリ8GB(8GBx1/PC3-12800 DDR3L SDRAM)/最大8GB
ストレージ500GB(HDD/7,200rpm)
OSWindows 8.1 Pro(64bit)
ディスプレイIPS式12.5型(非光沢)、フルHD/1,920×1,080ドット、10点タッチ対応
グラフィクスIntel HD Graphics 5500、Mini DisplayPort×1、ミニD-Sub15ピン×1
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0
インターフェイスUSB 3.0×2、SDカードリーダ、HD対応Webカメラ、指紋認証、音声入出力
バッテリ駆動時間最大約10.7/7.8時間(JEITA1.0/JEITA2.0)
サイズ/重量305.5×208.8×21.5mm(幅×奥行き×高さ)/約1.49kg
直販価格215,000円(税別)

 CPUはBroadwellこと第5世代CoreプロセッサのCore i7-5600U。2コア4スレッドで、動作クロックは2.6GHzから最大3.2GHz、キャッシュは4MBで、TDPは15Wだ。メモリは8GB。ストレージは7,200rpmのHDD 500GBを搭載している。バランス的にはSSDが欲しいところか。OSは64bit版のWindows 8.1 Pro。

 グラフィクスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 5500。外部出力としてMini DisplayPortと、ミニD-Sub15ピンを装備している。なおMini DisplayPort接続時の最大解像度は3,840×2,160ドットまでとなる。ディスプレイは、10点タッチ対応の12.5型IPS式の非光沢で、解像度は1,920×1,080ドット。

 ネットワークは、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、SDカードリーダ、HD対応Webカメラ、指紋認証、音声入出力。USB 3.0の1つはスリープ時充電対応のPowered USBとなる。

 サイズは305.5×208.8×21.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.49kg。タッチ対応だと若干厚みと重量が増す(約1.2mm/約40g)。

 バッテリ駆動時間は最大約10.7/7.8時間(JEITA1.0/JEITA2.0)。また、内蔵バッテリと交換可能バッテリの2種類があり、ホットスワップが可能だ。交換可能なバッテリは、ThinkPad X/T/Wシリーズで共通化され使い回しができるようになった。

 直販価格は今回の構成で215,000円(税別)。ストレージがHDDにもかかわらず、この価格はやや高いと言えよう。なお、Core i3-5010U/4GB/HDD 500GB/HD解像度(タッチ無し)の「20CMA004JP」で125,000円(税別)だ。

液晶パネル中央上にHD対応Webカメラ。正面側面には何もない
カラーはマットブラックでいかにもThinkPad。iの点の部分は赤く点灯する
昔のThinkPad X200系にあったメモリアクセスできる小さいパネルは無い。バッテリのみ交換可能
電源入力、ミニD-Sub15ピン、USB 3.0、Mini DisplayPort
89キーのアイソレーションタイプ。トラックポイントのクリックボタンが元の位置に戻っている。キーボード右上にパワーボタン、右下に指紋認証
ロックポート、Gigabit Ethernet、SDカードリーダ、USB 3.0(Powered USB)、音声入出力
実測で約19mm
実測で1,512g
ACアダプタはサイズ約92×40×30mm(同、突起物含まず)、重量175g。コネクタはメガネタイプ。バッテリは重量149g

 筐体色は天板も含めThinkPad固有のマットブラック。昔のタイプと材質や質感は異なるものの、それでもやはりThinkPadだ。ThinkPadロゴのiの点も赤く光る。重量は実測で1,512gあるが、持った感じではそれほど重くはない。

 前面は液晶パネル中央上にHD対応Webカメラ。正面と側面には何もない。左側面に電源入力、ミニD-Sub15ピン、USB 3.0、Mini DisplayPort。右側面にロックポート、Gigabit Ethernet、SDカードリーダ、USB 3.0(Powered USB)、音声入出力を配置。手前に外部ディスプレイ用のコネクタがあり、ケーブル接続時に邪魔になる配置はこれも古くから同じだ。

 付属のACアダプタは、サイズ約92×40×30mm(同、突起物含まず)、重量175gとそれなりに小型。外部バッテリの重量は149gなので、予備を1本持ってもあまり苦にならない。

 12.5型のフルHD液晶パネルはIPSなので視野角は広く、明るさ・コントラストも良好。発色は色温度が低目で少し黄色っぽいものの、許容範囲だろう。むしろ写真を鑑賞する時は好都合だ。非光沢なので映り込みが少なく、眼が疲れにくい。10点タッチもスムーズだ。

 キーボードは89キーのアイソレーションタイプ。もちろんクオリティは申し分ない。またトラックポイントのクリックボタンが元の位置に戻ったのは嬉しい変更点だ(前世代はクリックボタンがタッチパッドと一体化していた)。タッチパッド自体は、1枚プレートタイプとなる。往年のユーザーからすると、ThinkLightがないのは少し寂しく、キーボードバックライトもないので、暗い場所では使いにくい。

 振動やノイズ、発熱に関しては、試用した範囲では十分許容範囲に収まっていた。サウンドは基本、ビジネス用モデルなので、大迫力とはいかないが、それなりに鳴る。筐体全体を共振させ、少しボリューム感を増している印象だ。

Core i7のパワーを持ちながらHDDなのは惜しい

 OSは64bit版のWindows 8.1 Pro。初回起動時、デスクトップだけでなく、スタート画面の壁紙まで変わっているのは珍しい。スタート画面はほぼ1画面。Lenovoアプリ以降がプリインストールで、右端で見切れているのはSHAREit。アプリ画面は3画面で構成されている。

 デスクトップは左側にショートカットもなくシンプルだ。ストレージがHDDなので、SSD搭載機ほどサクサク動かないものの、そこはCPUのパワーでカバーしている感じだ。

Lenovoアプリ以降がプリインストール。右端見切れているのはSHAREit
壁紙のみの変更で、左側のショートカットは無く、非常にスッキリしている
Cドライブのみの1パーティションで約452.29GBが割当てられている
EthernetとWi-Fi(Intel Dual Band Wireless-N 7265)、BluetoothモジュールはIntel製

 HDDは、500GB/7,200rpm/キャッシュ32MB/6Gbpsの「Seagate ST500LM021」。実質Cドライブのみの1パーティションで約452.29GBが割当てられている。空きは427GB。回復パーティションは12.12GB。

 EthernetとWi-Fi(Intel Dual Band Wireless-N 7265)、BluetoothモジュールはIntel製だ。デバイスマネージャーには、セキュリティデバイスとしてTPM1.2や、生体認証デバイスとしてSynaptics FP Sensor(WBF)の項目も見える。

 Windowsストアアプリでインストール済みのソフトウェアは、「Companion」、「Evernote Touch」、「Settings」、「My Time Line」、「Norton Studio」、「Skype」、「The Weather Channel for Lenovo」。

 Companion、Settings、My Time Line(NEC製)は同社製だが、セッティング関係までストアアプリなのは少ない。

アプリ画面1
アプリ画面2
アプリ画面3
Companion
Settings
My Time Line

 デスクトップアプリは、「Amazon」、「Mouse Properties」、「Dolby Digital Plus」、「Kingsoft Office」、「Maxthon Cloud Browser」、「Norton Internet Security」とIntelのツール系。

 同社製ソフトは、グループに「QuickControl」、「SHAREit」、「System Update」。 ThinkVantage Toolsグループに「Active Protection System」、「Fingerprint Manager Pro」、「PC Experience」、「Solution Center」、「User Guide」、「Warranty Information」など、定番も含め盛りだくさんだ。Fingerprint Manager Proはパスワードなどの替わりに指紋認証を用いる際に使うソフト。

 しばらくThinkPadの試用をする機会がなかったので、アプリの構成が変わっているかと思ったが、相変わらずである意味一安心。同社ならではのアプリ群なので、特に説明は不要だろう。

 ただ、かなり前に指摘したSolution Centerのフォントが今でも汚いままには驚いた。何とかならないのだろうか。

オンスクリーン・ディスプレイ
System Update
QuickControl
Active Protection System
PC Experience
Solution Center

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2の結果を見ていく。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した。BBenchに関しては、標準の状態と内蔵バッテリのみでの計測も行なったので参考にしてほしい。

 winsat formalの結果は、総合 4.9。プロセッサ 7.5、メモリ 7.5、グラフィックス 4.9、ゲーム用グラフィックス 5.4、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 8 バージョン2は2376。CrystalMarkは、ALU 51081、FPU 49999、MEM 32864、HDD 14660、GDI 17135、D2D n/a、OGL 11452。プロセッサが速い割にHDDのスコアに全体が引っ張られている感じだ。SSDとは言わないまでも、オプションでSSHD(500GB+8GB)にはしたいところ。

 BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンの結果は、標準の場合、バッテリの残5%で22,383秒/6.22時間。内蔵バッテリのみで16,512秒/4.9時間だった。

 標準状態での6.22時間は流石Broadwellだが、省電力の設定次第では内蔵バッテリだけでも5時間近く動くのには驚いた。ホットスワップ用の予備電源ではなく、メインとして常用でも行けそうだ。

winsat formalコマンド結果 総合 4.9。プロセッサ 7.5、メモリ 7.5、グラフィックス 4.9、ゲーム用グラフィックス 5.4、プライマリハードディスク 5.9
PCMark 8 バージョン2 2376
BBenchの結果(標準の状態)。Lenovo Power Optimized、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で22,383秒/6.22時間
BBenchの結果(内蔵バッテリのみ)省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で16,512秒/4.9時間
CrystalMark ALU 51081、FPU 49999、MEM 32864、HDD 14660、GDI 17135、D2D n/a、OGL 11452

 ThinkPad X250/20CMA000JPは、BroadwellのCore i7、メモリ8GB、12.5型IPS式非光沢フルHDでタッチ対応のパネルを搭載したモバイルPCだ。ストレージがHDDなのは惜しいところだが、カスタマイズすればSSDやSSHDの指定も可能。旧ThinkPadユーザーとしては、トラックポイントのクリックボタンが元の位置に戻ったのも嬉しいポイントとなる。

 それなりの価格になってしまうのは昔からなので(笑)、ThinkPad、特にX200型番好きな人には気になる1台となりそうだ。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/