西川和久の不定期コラム
日本HP「HP OMEN 15」
~薄型でハイパワーなタッチパネル搭載15.6型ゲーミングノート
(2015/3/27 06:00)
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2014年12月17日、同社のゲーミングノート市場参入第1弾の「HP OMEN 15」を発表した。少し遅れてとなるが、編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。色々なところにLEDが仕込まれ、高性能以外以外にも楽しめそうなノートPCだ。
同社のゲーミングノート市場参入第1弾
今回試用した「HP OMEN 15」は、Hewlett-Packardが2006年に買収したVoodoo PCの流れを汲んだ同社初のゲーミングノートとなる。“ゲーミング”と名の付くPCの筆者個人的なイメージは、高性能はもちろん、こだわりのある筐体、ライトによる演出などが思い浮かぶ。
そしてこの「HP OMEN 15」は正にそのもの。Core i7とGeForce GTX 860Mのパワーを兼ね備えた上で、15.6型ノートPCと言う制約の中で、こだわりの筐体、ライトによる演出など、ゲームに興味が無いユーザーでも「おっ!」と思わせる製品に仕上がっている。主な仕様は以下の通り。
【表】日本HP「HP OMEN 15」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Core i7-4710HQ(4コア/8スレッド、クロック2.5GHz/TurboBoost 3.5GHz、キャッシュ6MB、TDP 47W) |
チップセット | Intel HM87 Express |
メモリ | 8GB/1,600MHz DDR3L SDRAM×2(空き0/最大16GB) |
ストレージ | SSD 256GB(M.2接続) |
OS | Windows 8.1 Update(64bit) |
ディスプレイ | 15.6型IPS式フルHD(光沢)、1,920×1,080ドット、タッチ対応 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600、GeForce GTX 860M(4GB)、HDMI×1、Mini DisplayPort×1 |
ネットワーク | Ethernet(外付けUSBアダプタ)、IEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.0 |
そのほか | USB 3.0×4、SDカードスロット、 約200万画素Webカメラ、BeatsAudioデュアルスピーカー、音声入出力 キーボードバックライト、スピーカーフルカラーLEDあり |
バッテリ駆動時間 | 最大約4.5時間(4セルリチウムポリマー) |
サイズ/重量 | 約383×251×15.5~22.6mm(幅×奥行き×高さ)/約2.15kg |
直販価格 | 199,800円(税別) |
プロセッサはCore i7-4710HQ。4コア8スレッドでクロックは2.5GHzから3.5GHz。キャッシュは6MBでTDPは47Wだ。ノートPC用のとしては強力なSKUとなる。チップセットはIntel HM87 Express。メモリは1,600MHz DDR3L SDRAMの8GB×2で計16GB。2スロットなので最大サイズだ。ストレージはM.2接続のSSD 256GBを搭載している。OSは64bit版のWindows 8.1 Update。
グラフィクスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600と、GeForce GTX 860M(4GB)を搭載し、システムの状態やアプリケーションによってシームレスに切替る。外部出力用としてHDMI×1、Mini DisplayPort×1を装備。
ディスプレイは15.6型IPS式で光沢あり。解像度はフルHD/1,920×1,080ドット。このクラスのノートPCとしては珍しく(?)10点タッチに対応だ。
ネットワークはIEEE 802.11ac/a/b/g/n、そしてBluetooth 4.0。有線LANに関してはUSB→Ethernetアダプタが付属する。IEEE 802.11acはいいとして、このサイズ/価格ならGbEも問題無く入りそうだが、用途的に不要と言う判断だろうか。
そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×4、SDカードスロット、約200万画素Webカメラ、BeatsAudioデュアルスピーカー、音声入出力。加えて発色などをプログラミング可能なキーボードバックライトやスピーカーライトを搭載している。キーボードバックライトは、左/中央/右の3つのゾーンとW/A/S/Dを独立して色をコントロール可能だ。
サイズは約383×251×15.5~22.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.15kg。高さはゴム足含まずで15.5~19.9mm、ゴム足を含んでも22.6mmとゲーミングノートとしては薄型。同社の説明によると、デュアルファンや背面排気、底面のトライアングルメッシュなど独自の冷却設計を取り入れ、薄型軽量と低発熱、高性能を実現しているとのこと。
4セルリチウムポリマーを内蔵し、バッテリ駆動時間は最大約4.5時間。内蔵タイプなので取り外しはできない。直販価格はメモリ8GBモデルで199,800円(税別)、メモリを16GBにすると+22,000(税別)となる。
説明によるとトップカバーは「コンピュータ数値制御加工による高精度なアルミ切削処理を採用」とあり、また細かいドットが散りばめられている。筐体は逆台形と言えばいいだろうか。トップカバーとキーボードやパームレスト部分が一番広く、下に行くほど面積が狭くなっている。ブラックにまとめられた筐体は、全般的に品質と質感が高く、スマートに(嫌みなく)高級感を醸し出している。
そして電源をONすると……キーボードバックライト、スピーカー、背面排気、壁紙やアクセントカラーなど、全てが真っ赤。物凄いインパクトがあると共に(個人差もあるだろうか)美しくカッコいい。
フロントは液晶パネル中央上に約200万画素Webカメラと、その左右に内蔵マイク。正面側面、左側面は鋭角なので何もない。右側面は右SDカードリーダ。ただこれだけ切り込んでいると、実際の抜き差しはかなりしにくい。そして背面に電源コネクタ、USB 3.0×4、HDMI、Mini DisplayPort、音声入出力と、全コネクタが並んでいる。
一見扱いやすそうだが、USBポートが全て背面だと、例えばUSBメモリなどを挿す時に不便だ。内蔵GbEなしや、先のSDカードも含め、機能性よりデザインを優先した形だが、ここまでカッコいいと許せてしまう(笑)。裏も個性的で、独特のトライアングルメッシュ。これによって実質的な表面積を稼ぎ、放熱効果を上げている。
付属のACアダプタは、サイズ145×73×25mm(幅×奥行き×高さ、突起物含まず)、重量472gと、少々大き目。コネクタはミッキータイプだ。
光沢ありの15.6型IPS式フルHD液晶ディスプレイは、明るさ、コントラスト、視野角、発色、全てにわたってレベルが高く、ハイクオリティなパネルを採用していると思われる。もちろん10点タッチも問題ない。
キーボードはアイソレーションタイプでキーピッチ約19mm、仕様によるとストロークは1.8mm確保され、たわむことなく、非常にしっかりとしたものだ。キーボードバックライトは発色を変更できるものの、多段階ではなく、ONかOFFかの2段階になっている。タッチパッドは、15.6型として広く少し横長の1枚プレートタイプだ。指の滑りはApple TouchPadのそれに近く好印象。
発熱や振動、ノイズに関しては、十分許容範囲に収められ快適だ。発熱に関しては裏にかなり集中している。独特のトライアングルメッシュを採用しているので意図的だろう。
サウンドはBeats Audio採用で音質はなかなか良い。ただ音量はゲーム用を考えると、あと一歩パワー感が欲しいところ。音量に合わせて光るライトと、色を変更できるキーボードバックライトの動画を掲載したので、興味のある人はご覧頂きたい。
以上のように、ゲーミングと言う部分がないとしても、全てにおいて高い品質と質感を持ったノートPCだ。ここまで来ると、ライトによる演出効果を削った、普通仕様の同一モデルが欲しいところだ。
バッテリ駆動時間は短めだが総じて高性能
OSは64bit版のWindows 8.1 Update。初期起動時のスタート画面は1面。HPアプリ以降がプリインストールとなる。アプリ画面は2画面。Core i7とSSDの構成なので、とにかく起動や終了、何をしても速い。また先にも書いたが、キーボードのバックライトも含め、壁紙やアクセントカラーも赤で統一され、ある意味非常によくまとまっている。
SSDはM.2接続256GB(シーケンシャルリード740MB/sec、シーケンシャルライト625MB/sec)の「SanDisk SD6PP4M-256G」を搭載。C:ドライブとD:ドライブの2パーティションだが、D:ドライブはリカバリー用13.95GBなので、実質C:ドライブのみ。223.5GBが割り当てられ、空きは191GBだ。
Wi-FiとBluetoothはIntel製。デバイスマネージャには、Intel HD Graphics 4600、GeForce GTX 860M、TPM 2.0などの項目も見えるが、特別なデバイスは無い。
プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「HP Connected Photo」、「HPに登録」、「The Weather Channel for HP」、「Windows 8入門」、「マカフィーセントラル」。HP製のこれらのアプリは以前から搭載されているものだ。
デスクトップアプリは、Intel系ツール、NVIDIA系ツール、「マカフィーインターリブインターネット」、「Unigine」などと、同社の「HP OMEN Mouse X9000」、「HP OMEN Control」、「HP Performance Advisor」、「HP AC Power Control」、「HP Documentation」、「HP Recovery Manager」、「HP Recovery Media Creation」、「HP Support Assistant」、「Beats Audio」、「HP OMEN Central Operations」といったツール系で構成されている。
本機専用のアプリは、名前から分かるように、HP OMEN Central Operations、HP OMEN Control、OMEN Mouse X9000。ただOMEN Mouse X9000はクリックしたところ、リンク切れで起動できなかった。HP OMEN Control/照明に関しては、前半に動画を掲載しているので参考にしてほしい。HP Performance Advisorは、同社の他機種にも全てではないが、搭載されているシステムアドバイザーだ。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンド、PCMark 8 バージョン2と、GeForce GTX 860M搭載と言うこともあり3DMarkの結果を見たい。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は4コア8スレッドと条件的に問題があるため参考まで)。
winsat formalの結果は、総合 5.8。プロセッサ 8.2、メモリ 8.2、グラフィックス 5.9、ゲーム用グラフィックス 5.8、プライマリハードディスク 8.25。PCMark 8 バージョン2は3154。3DMarkはFire Strike/Cloud Gate/Ice Stormの順に3729/16318/101663。CrystalMarkは、ALU 79652、FPU 71492、MEM 69649、HDD 42148、GDI 20874、D2D n/a、OGL 41646。搭載しているCPU、GPU、SSDから考えると妥当なところ。ハイパフォーマンスなノートPCであることが分かる。
BBenchは、省電力、いろいろなライトを可能な限り最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。ライト系に関しては、液晶パネルとキーボードのバックライトはオフにしたが、スピーカーと背面排気はオンのまま。バッテリの残7%で11,154秒/3.0時間。仕様上最大4.5時間なので、意外と伸びなかったものの、用途的に問題は無いだろう。
以上のように日本HP「HP OMEN 15」は、Core i7、GeForce GTX 860M、タッチ対応15.6型IPS式フルHD液晶パネルを搭載したパワフルなゲーミングノートだ。
ルックスにこだわり過ぎたため、背面しかないUSBポートや扱いにくいSDカードスロットが気になると言えば気になるが、薄型でソリッドな質感の高い筐体、キーボードやサウンドのクオリティも申し分なく、キーボードバックライトも含め、いろいろな部分が光る照明システム……など、ゲームに限らず、個人用途として物欲を刺激する逸品だ。