西川和久の不定期コラム
NECパーソナルコンピュータ「VALUESTAR S」
~新デザインに加えタッチパネルを採用した液晶一体型PCの最上位機
(2014/1/24 06:00)
NECパーソナルコンピュータ株式会社は1月14日、「VALUESTAR N」シリーズの春モデルと、液晶一体型PCの新シリーズ「VALUESTAR S」シリーズを発表した。今回はその中から、新たなデザインを採用した「VALUESTAR S」の最上位モデルが編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けする。
3波チューナーを内蔵しタッチ対応の液晶一体型PC
今回発表された「VALUESTAR S」シリーズは、最薄部の奥行きを従来モデルである「VALUESTAR N VN370」から25%削減、設置面積も20%削減した新デザインとなっている。「S」の意味は、“Slim”、“Stylish”、“double Symmetry”という言葉に由来しているとのこと。
大きく分けて3モデル用意され、Core i5とBDXLドライブを搭載しタッチ対応の最上位モデル「VS570/RSB」、タッチ非対応でプロセッサにCeleron 2955U、DVDスーパーマルチドライブ、Office Personal 2013など構成を変更した「VS370/RS」、さらに「VS370/RS」から3波チューナを省いた「VS350/RSW」となる。店頭予想価格は順に、185,000円前後、145,000円前後、135,000円前後の見込みだ。ここで紹介するのは最上位モデルの「VS570/RSB」。主な仕様は以下の通り。
NEC「VALUESTAR S」(VS570/RSB)の仕様 | |
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プロセッサ | Core i5-4200U(2コア/4スレッド、1.6GHz/TB 2.6GHz、キャッシュ3MB、TDP 15W) |
メモリ | 4GB(DDR3L SDRAM/SO-DIMM 4GB×1、PC3L-12800対応)、デュアルチャネル対応可能、2スロット(空き1)、最大16GB |
ストレージ | 1TB(7,200rpm) |
光学ドライブ | BDXLドライブ |
OS | Windows 8.1(64bit) |
ディスプレイ | 21.5型液晶IPS式ディスプレイ(光沢)、1,920×1,080ドット(フルHD)、10点タッチ対応 |
グラフィックス | Intel HD Graphics 4400 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0 |
そのほかの インターフェイス | USB 3.0×2(内1つPowered)、USB 2.0×4、720p対応Webカメラ、SDカードスロット、3波チューナ(miniB-CASカードスロット×1)、音声入出力、ヤマハ製ステレオスピーカー(2W+2W) |
サイズ/重量 | 約527×190×432mm(幅×奥行き×高さ、ディスプレイ最小傾斜時)/約9.6kg |
そのほか | ワイヤレスキーボード、ワイヤレスマウス、タッチパッドリモコンを付属。Microsoft Office Home and Business 2013プリインストール |
店頭予想価格 | 185,000円前後 |
プロセッサはCore i5-4200U。2コア/4スレッドでクロックは1.6GHz。Turbo Boost時に2.6GHzまで上昇する。型番からも分かるようにHaswellだ。メモリは2スロットあり、DDR3L SDRAM/SO-DIMM 4GB×1の4GB。最大8GB×2の計16GBとなる。
OSは64bit版のWindows 8.1。またMicrosoft Office Home and Business 2013もインストール済みだ。ストレージは7,200rpmの1TB HDD、光学ドライブはBDXLドライブを搭載している。
グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 4400。ディスプレイは、IPS式21.5型液晶パネルを搭載し、10点タッチにも対応。解像度はフルHDの1,920×1,080ドットだ。ただし、外部出力も入力もなく、マルチディスプレイやほかのデバイスを接続できないのは残念なところ。
ネットワークは有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11a/b/g/n。Bluetooth 4.0にも対応している。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×4、720p対応Webカメラ、SDカードスロット、3波チューナ(miniB-CASカードスロット×1)、音声入出力、YAMAHA製ステレオスピーカー(2W+2W)。2つあるUSB 3.0の片方は電源オフ時の給電に対応する。また、ワイヤレスキーボード、ワイヤレスマウス、タッチパッドリモコンも付属する。
サイズは約527×190×432mm(幅×奥行き×高さ、ディスプレイ最小傾斜時)、重量約9.6kg。店頭予想価格は185,000円前後の見込みとなる。
筐体のデザインはPCというより、液晶TV的な感じに仕上がっており、リビングに置いても違和感がないルックスだ。ただ個人的には下の空洞の部分が高く、パネルの位置が上過ぎるような気がしないでもない。
前面下のメッシュの部分にヤマハFR-Port方式のスピーカー、中央上に720p対応Webカメラ、右上にステータスLED(上側面右に電源スイッチ)。左側面にはワイヤレスコネクトボタン、輝度調整スイッチ、SDカードスロット、USB 3.0×2、音声入出力、miniB-CASカードスロット×1。USB 3.0の下側がPoweredとなっている。右側面はBDXLドライブのみ。背面はメモリ用の小さいパネルがあり、ネジ2本外すと簡単にアクセス可能だ。右下にGigabit Ethernet、USB 2.0×4、電源入力。左下にアンテナ入力がある。
特筆すべきはACアダプタのサイズ。105×43×28mm(同)/228gと、まるで小型ノートPC並みだ。基本的にこの手のパソコンは電源を内蔵している方が好ましいものの、この大きさなら邪魔にならず扱いやすい。
21.5型の液晶パネルは、明るく、高コントラスト/高彩度で映像も写真も見栄えがする。IPS式で視野角も広い。タッチ操作もスムーズに行なえる。
付属のワイヤレスキーボード、ワイヤレスマウスは、付属品としてはかなりクオリティが高い。この辺りは同社のこだわりだろう。さらに面白いのはタッチパッドリモコンだ。写真からも分かるように、表がTVリモコン、裏がタッチパッドと、まったく機能が違うコントローラになっている。TVリモコンは専用機を彷彿させる機能で、これだけを見る限りとてもPC用とは思えない。タッチパッドは、少し離れた位置からTVを観ながらWindowsを操作したい時に役に立つ。
サウンドはヤマハ製ステレオスピーカーを内蔵し出力2W+2W。音質はちょっとしたオーディオ機器並みだ。低域から高域までバランスよく、出力も十分あり、映像も音楽も楽しめる。加えてMAXX AUDIO 4を搭載しているので、好みの音色に設定可能だ。
いろいろな意味でさすが国産と思える仕上がりとなっており、全体的なクオリティは高い。ただ店頭予想価格が185,000円前後と、価格面は今一歩頑張って欲しかったところ。
メモリをデュアルチャネル作動にしてパフォーマンスアップに期待
OSは64bit版のWindows 8.1。グラフィックスがメモリ共有のHD Graphics 4400なので、できればメモリを増設したいが、試した範囲ではメモリ不足によるストレスは感じられなかった。起動もシャットダウンも十分速い。
初期起動時のスタート画面は1画面だ。NECアプリ以降がプリインストールのアプリ群となる。デスクトップは和風な壁紙が使われており、国産機的な感じがする。左側とタスクバーにいくつかアプリのショートカット(もしくはピン止め)があるものの、数が少ないので割とスッキリした印象を受ける。
HDDは1TB/7,200rpm/64MBのSeagate「ST1000DM003」。C:ドライブとD:の2パーティション構成だが、D:ドライブは約65GB。実質C:ドライブのみでの運用となり、約849GBが割り当てられ、空きは820GB。BDXLドライブはパナソニックの「BD-MLT UJ260AF」が使われていた。
Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはBroadcom製、3波チューナには「ViXS PureTV-U ISDB-T Tuner」を搭載している。
プリインストール済みのソフトウェアは、Windowsストアアプリは「music.jp」、「My Time Line」、「NAVTIME」、「NeroKwik」、「Smart Catalog」、「コンテンツナビ」、「シュフーチラシアプリ for NEC」、「セキュリティ脅威マップ」、「動画なび」、「動画ナビOffice編」、「ヤフオク!」、「楽天gateway」。同社製のアプリはMy Time Lineとコンテンツナビ(こちらはLenovo製)の2本のみと、全体のアプリ数の割りに、独自のものは少ない。
デスクトップアプリは、Microsoft Office、「SmartVisionテレビを見る」、「楽しもうフォトウィザード」、「Corel PaintShop Pro X5」、「CyberLink MediaShow」、「CyberLink PowerDVD」、「ECOモード設定ツール」、「G-GUIDE for Windows」、「Play.net」、「Roxio Creator U」、「Smart Update」、「SmartVision」、「彩の設定」、「ウィルスバスタークラウド」、「おすすめ設定」、「おてがるバックアップ」、「オンスクリーン表示の設定」、「再セットアップメディア作成ツール」、「ソフト&サポートナビゲーター」、「パソコンのいろは8」、「ファイルパソコンデータ引越し」、「筆ぐるめ21」、「ホームネットワーク」、「らくらく無線スタートEX」、「ワンタッチスタートボタンの設定」など。
ストアアプリとは逆にデスクトップアプリはテンコ盛り。中でも3波チューナを搭載しているだけに、SmartVisionとホームネットワークサーバー powered by DiXiM、そしてタッチパッドリモコンのコンビネーションは便利だ。ただこうなると、画面をタッチする必要性も薄れるので、その場合は、プロセッサのパワーなどが少し落ちるものの、タッチ非対応の中位モデルを選択する手もある。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、今回からPCMark 8 バージョン2の結果を見たい。このPCMark 8 バージョン2は、旧バージョンのPCMark 8 v1.xとの互換モードもあるが、本連載では前回までPCMark 7を使っていたためv2の値のみを掲載する。CrystalMarkは従来通りだ(2コア4スレッドで条件的には問題ない)。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.5。プロセッサ 7.2、メモリ 5.9、グラフィックス 4.5、ゲーム用グラフィックス 5.0、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 8 バージョン2は2070。CrystalMarkは、ALU 37610、FPU 36628、MEM 25784、HDD 18173、GDI 12145、D2D 5025、OGL 10146。
メモリのスコアがいまひとつ伸びないのは、4GB×1でデュアルチャネル動作になっていないためだと思われる。前半に書いたように増設も容易なので、少なくとも4GB×2の計8GBで使いたいところか。
以上のようにNEC「VALUESTAR S」(VS570/RSB)は、3波チューナを内蔵したフルHD 21.5型タッチ対応の液晶一体型PCだ。発色はもちろん、ヤマハのスピーカーでサウンドも抜群。タッチパッドリモコンでTVのように操作もできる。
映像入力が無い点は残念だが、TVを中心にWindows 8.1を使いたいユーザーにお勧めできる1台と言えよう。