西川和久の不定期コラム
NEC「VersaPro J UltraLite タイプVC」
~13.3型でHaswellを搭載した法人向け軽量ノートPC
(2013/11/9 06:00)
NECは10月23日、法人向けPCの「VersaPro」と「Mate」シリーズを一新。ほとんどの機種でHaswellになり、Windows 8.1へも対応した。今回はその中から「VersaPro J UltraLite タイプVC」が編集部から送られて来たので試用レポートをお届けする。
13.3型1,600×900ドットの液晶パネルを搭載して1.24kg
同社の法人向けノートPC「VersaPro J」シリーズは、15.6型のタイプVF/タイプVL/タイプVA/タイプVX/タイプVD、13.3型のUltraLite タイプVC、12.1型のUltraLite タイプVB、そして13.3型でUltrabookのUltraLite タイプVGと、用途や予算に応じてさまざまなモデルが用意されている。
今回はこの中から、Ultrabookではないものの、13.3型としては軽量級の「VersaPro J UltraLite タイプVC」をご紹介したい。主な仕様は以下の通り。
NEC「VersaPro J UltraLite タイプVC」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i5-4300M(2コア/4スレッド、2.6GHz/Turbo Boost:3.3GHz、キャッシュ3MB、TDP 37W) |
チップセット | Intel HM86 Express |
メモリ | 4GB(最大16GB) (※) |
ストレージ | SSD 128GB(※) |
OS | Windows 8.1 Pro(64bit) |
ディスプレイ | 13.3型液晶ディスプレイ(非光沢)、1,600×900ドット、ミニD-Sub15ピン、HDMI出力 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac(Draft) (※)、Bluetooth 4.0(※)、ドコモXiにも対応可能(※) |
その他 | USB 3.0×1、USB 2.0×2、Webカメラ(※)、SDカードスロット、Type2 PCカードスロット×1、FAXモデム(※)、音声入出力 |
サイズ/重量 | 316×229×29.8mm(幅×奥行き×高さ)/約1.24kg |
価格 | 今回の構成で191,600円(※印は「セレクションメニュー」で選択) |
プロセッサは、Core i5-4300M。2コア/4スレッドでクロック2.6GHz。Turbo Boost時3.3GHzまで上昇する。キャッシュは3MB、TDPは37W。チップセットはIntel HM86 Expressで、メモリは最大16GBまで対応している。ストレージは128GBのSSD。OSは64bit版のWindows 8.1 Proを搭載。またダウングレードによるWindows 7 Professionalも選択可能だ。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600。ディスプレイは13.3型の非光沢。解像度は1,600×900ドットでタッチには非対応。外部出力としてミニD-Sub15ピン、HDMI出力を備える。
ネットワークは、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac(Draft)、Bluetooth 4.0。ドコモXiも対応可能だ。スマートフォンなどからテザリングする必要もなく、本体だけでLTEが使えるのはポイントが高い。
そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×1、USB 2.0×2、Webカメラ、SDカードスロット、Type2 PCカードスロット×1、FAXモデム、音声入出力。USB 3.0は電源オフ時にもパワーを供給できるタイプだ。またType2 PCカードスロットやFAXモデムがあるのも法人向けらしい特徴と言えよう。
サイズは316×229×29.8mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.24kg。13.3型にも関わらず、少し前に掲載した10.6型のSurface Pro 2+Type Cover 2の1.162kgとさほど変わらない。価格は今回の構成で191,600円となる。
なお、上記スペック表で※印のある部分については「セレクションメニュー」での選択項目だ。ストレージのタイプや容量、802.11ac(Draft)やBluetooth、Webカメラ、内蔵指紋センサーの有無などのカスタマイズ可能になっている。DVDスーパーマルチドライブも内蔵可能だ(この場合約1.36kg)。
筐体は非光沢ブラックとシルバーが用いられ、見た目より持った感じが非常に軽い。バッテリの重量が約187gなので、本体だけで1kgちょっと。13.3型のパネルを搭載している割には軽量級と言えよう。もちろんその分ひ弱だと困るが、“耐150kgクラス”の頑強設計や76cm落下テストを実施など、十分対策がなされている。実際、トップカバー、周囲、裏、パームレスト、裏の小さいパネルなど、全てカッチリとした素材が使われていた。
正面側面には音声入出力、右側にSDカードスロットと各種ステータスLED。左側面にはロックポート、電源入力、HDMI、ミニD-Sub15ピン、USB 3.0、無線オン/オフスイッチ。なおこのUSB 3.0は電源オフ時でも電源供給可能になっている。右側面にはFAXモデム、Gigabit Ethernet、USB 2.0×2、手前にType2 PCカードスロット。今回は非搭載だが、手前の空きエリアにDVDスーパーマルチドライブも内蔵できる。バッテリに関しては、付属していたのはMタイプで、大容量のLタイプも用意され、バッテリ駆動時間を延ばすことが可能だ。
13.3型で非光沢の液晶ディスプレイは眼に優しく非常に見やすい。明るさコントラストも十分、視野角も広く発色も良好だ。サイズに対して1,600×900ドットの解像度は、大き過ぎず小さ過ぎずバランスが取れている。ただ、Windows 8.xを見ると、ついついパネルにタッチしてしまう癖が付いてしまい、非対応なのは残念な部分でもある。
キーボードはアイソレーションタイプ。ストロークは深めだが、しっかりクリック感もあり、また[SHIFT]、[BS]キー、[ENTER]キーが大きく使いやすい。防滴構造になっており、コーヒーなどを溢した時も安心だ。[ESC]キーの上にある四角い部分は、オプションの内蔵指紋センサー用のスペースとなる。
このキーボード、同社の説明によるとかなりこだわった部分らしく、軽量化と打鍵感と言う相反する問題を構成するパーツを吟味し実現している。設計段階では何度も試作を繰り返したそうだ。またゴムラバーに関しては、1つ1つ特性データだけでなく、最終的には人によって検証しているとのこと。ノートPCのキーボードは後から交換できないこともあり、フィーリングが合うか合わないかで、全体の評価に大きく影響する部分だけに、同社の姿勢には好感が持てる。
タッチパッド(NXパッド)は、物理的なボタンはなく、パネル1枚のタイプだ。面積も十分あり、滑りもよく、操作性は高い。
ノイズや振動、発熱に関しては、試用した範囲では全く問題なかった。ただサウンドはお世辞にも良いとは言えず、しかも最大出力でも音が小さい。法人向けと言ってしまえばそれまでだが、それにしても不足ではないだろうか。
高速なSSDで快適な作動だがメモリは4GB×2の8GBは欲しい
OSは64bit版のWindows 8.1 Pro。メモリは4GBしかないが、ストレージがSSDなので、起動/終了、アプリの起動など、動きはなかなか良い。初期起動時のスタート画面は、何とWindows 8.1標準のまま。1本もプリインストールアプリがない。デスクトップは、画面拡大設定のショートカットのみ左端に置かれ、後は電源系などが常駐するのみとなっている。
ストレージは2.5インチ/128GB/SATA 6.0Gbpsの「SAMSUNG MZ7TD128HAFV」。C:ドライブのみの1パーティションで、約118.5GBが割り当てられている。初期起動時の空きは102GB。
無線LANモジュールはIntel製、EthernetはRealtek製だ。またデバイスマネージャにPCMCIAアダプタやHDA CX11270 Soft Modemの文字も見える。
プリインストール済のソフトウェアは、Windowsストアアプリは、先に書いた通りWindows 8.1標準以外、1本もない。さすがに法人向けと言ったところ。個人向けのPCも特にハイエンドクラスだと、比較的プリインストールでよく見かけるWindowsストアアプリを使うケースは少ないと思われ、このような割り切りもあっていいのではないだろうか。
デスクトップアプリは、「ECOモード設定ツール」、「オンスクリーン表示の設定」、「バッテリ・リフレッシュ&判断ツール」、「ピークシフト設定ツール」、「メンテナンスツール(型番・製造番号表示ユーティリティ)」、「ワイヤレスLANの設定」と、同社の設定系ツールとなる。電源関連が多いのも特徴的だ。
ベンチマークテストはWindows 8.1からWindows エクスペリエンス インデックスがなくなったため同等の結果が得られる、「winsat formal」コマンドを実行後、C:\Windows\Performance\WinSAT\DataStoreの下に収納されている「xxxx-xx-xx xx.xx.xx.xxx Formal.Assessment (Recent).WinSAT」の情報を掲載する。
PCMark 7は既にWindows 8.1にも対応したPCMark 8があるものの、スコアの互換性がないため、当面は7のまま様子をみたい。バッテリ駆動時間テストは従来通りとBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は2コア/4スレッドと条件的には問題ない)。
winsat formalの結果は、総合 4.8。プロセッサ 7.5、メモリ 5.9、グラフィックス 4.8、ゲーム用グラフィックス 5.1、プライマリハードディスク 8.05。PCMark 7は5011 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 51575、FPU 49304、MEM 30982、HDD 33644、GDI 16949、D2D 7495、OGL 13868。
Haswell世代のCore i5性能そのものだが、メモリ性能がイマイチなのは4GB×1なのでシングルチャンネル動作になっている関係からか。出来れば4GB×2の計8GBにしたいところ。逆にSSDが高速でレスポンスの良さに貢献している。
BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オフでの結果だ。バッテリの残5%で18,932秒/5.3時間。右の予測時間とほぼ一致した。ただしバックライト最小だと結構暗く、実際はもう少し短くなると思われる。
以上のようにNEC「VersaPro J UltraLite タイプVC」は、13.3型1,600×900ドットの非光沢液晶パネルを搭載し、セレクションメニューでメモリ容量やストレージのタイプや容量はもちろん、ドコモXiやFAXモデムなども内蔵可能な法人向けノートPCだ。サイズの割りに1.24kgと軽いのもポイントが高く、DVDスーパーマルチドライブを搭載しても1.36kg。十分持ち歩ける範囲に収まってしまう。
プロセッサがHaswellになり、重量187gのMバッテリでも5時間程度は駆動可能。予備を1本用意すれば1日使うこともできる。キーボードへのこだわりもなかなかのもの。
スペックの割りに少し割高になってしまうが、一般向けのモバイルノートPCでは物足らないユーザーにお勧めできる1台と言えよう。