西川和久の不定期コラム
レノボ・ジャパン「Flex 20」
~水平なテープルトップにもなる19.5型液晶一体型
(2013/11/13 06:00)
レノボ・ジャパンは10月30日、液晶パネルが360度回転するYogaシリーズの新モデルに加え、回転する角度を抑えた、14型ノートPC「Flex 14」と、テーブルトップにもなる「Flex 20」を発表した。編集部から後者のFlex 20が送られて来たので、試用レポートをお届けする。
バッテリ駆動にも対応しテーブルトップにもなる液晶一体型
発表されたFlexシーズは、冒頭に書いたように2モデル。14型の液晶パネルを搭載するFlex 14は、Yogaシリーズとは違い回転角度が300度までに抑えられたUltrabookだ。ノートブックモードと、スタンドモードの2スタイルのみの対応となる。
そして今回ご紹介するFlex 20は、机などに対して水平まで傾けることができ、テーブルトップとしても使える液晶一体型だ。少し前に記事を掲載したSONY「VAIO Tap 21」とコンセプトが似ているかもしれない。主な仕様は以下の通り(ただし試作機のため、ワイヤレスマウス・キーボードは付属せず、OSは64bit版のWindows 8)。
レノボ・ジャパン「Flex 20」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i3-4010U(2コア/4スレッド、1.7GHz、キャッシュ4MB、TDP 15W) |
メモリ | 4GB(PC3-12800 DDR3 SDRAM)/最大8GB(スロット空き1) |
チップセット | Intel HM86 Express |
ストレージ | 500GB+8GB SSHD(5,400rpm) |
OS | Windows 8(64bit) |
ディスプレイ | 19.5型ワイドIPS 液晶(光沢)、1,600×900ドット、10点タッチ対応 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4400 |
ネットワーク | IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0 |
その他 | USB 3.0×2、HD(720p)Webカメラ、音声入出力、ステレオスピーカー |
サイズ/重量 | 509.3×20.5×311.7mmmm(幅×奥行き×高さ)/約3.5kg |
バッテリ駆動時間 | 最大約4時間(4セル Li-Ion) |
その他 | ワイヤレスマウス・キーボード、ジョイスティック、スティッカー付属 |
店頭予想価格 | 124,800円前後 |
プロセッサはCore i3-4010U。2コア4スレッド、クロックは1.7GHz。Core i3なので、Turbo Boostには非対応。キャッシュは3MB、TDPは15Wとなる。型番からも分かるようにHaswell世代だ。チップセットは、Intel HM86 Expressを採用し、メモリは標準で4GB×1。最大4GB×2の計8GBに対応する。OSは64bit版のWindows 8.1。
ストレージは5,400rpmの500GBにキャッシュ用のNAND型フラッシュ8GBを加えたハイブリッドタイプ/SSHDだ。この手のストレージは、ベンチマークテストにはその効果が現れにくいものの、体感速度は確実にアップする。
グラフィックスは、プロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 4400。ただし、外部ディスプレイ接続用のポートは無い。ディスプレイは、19.5型10点タッチ対応のIPS式1,600×900ドット液晶パネル(光沢)を搭載する。
ネットワークは、有線LANは無く、無線LANのIEEE 802.11b/g/nのみ。テーブルトップとして考えた場合は、余計なケーブルがあると取り回しが面倒なので不要だろうが、液晶一体型として考えると欲しいところ。Bluetooth 4.0にも対応する。
その他のインターフェイスは、USB 3.0×2、HD(720p)Webカメラ、音声入出力と、必要最小限だ。ワイヤレス式のマウス、キーボードも付属。
SDカードスロットなどは搭載していない。USBポートがあるので、必要であればカードリーダを接続すればいいが、今時SDカードスロットが無いのは、残念な部分と言えよう。
サイズは509.3×20.5×311.7mmmm(幅×奥行き×高さ)、重量約3.5kg。またバッテリを内蔵し、最大4時間駆動可能だ。店頭予想価格は124,800円前後となる。
筐体は前面がブラック、背面がシルバーと、一般的なWindows 8搭載タブレットがそのまま19.5型にスケールアップし、スタンドが付いた感じで質感も良い。重量が約3.5kgあるので、持ち上げるとズッシリ重いものの、室内の移動であれば十分許容範囲だ。逆に軽過ぎると、設置したときに安定感が薄れる可能性もある。
前面は中央上にWebカメラ、中央下にWindowsボタン。左側面にスピーカー(左)、音声入出力、USB 3.0×2、電源入力、右側面にはスピーカー(右)。上部右側面に電源ボタン、音量±ボタン、回転ロックボタンを配置している。
背面にあるスタンドは、写真の位置から、机に水平になる位置までの間、どの角度でも固定でき、高めの位置にある机でも、下めの位置にあるテーブルへも、ちょうど視線の合うポジションに設置可能だ。
ACアダプタは、サイズ約126×50×30mm(同)と少し大きめだが、液晶一体型として使うならさほど邪魔にならない。
19.5型IPS式の液晶ディスプレイは、視野角は広く、十分明るく、コントラスト・発色共に良好。10万円未満の同タイプと比較すると明らかにワンランク上だ。タッチもスムーズでテーブルトップとして使用しても問題ない。
ノイズや振動、発熱に関しては、試用した範囲では気にならなかった。TDP 15Wが効いているのだろう。特に今回写真を撮った時間帯が深夜だったのにも関わらずノイズは全く聞こえていない。
サウンドは、抜けが良くクオリティは高い。最大音量は煩いほどで、DOLBY HOME THEATER v4で好みにコントロールでき、音楽でも動画でも楽しめる。
独自ユーザーインターフェイスの「Aura」採用
出荷版は64bit版Windows 8.1だが、試作機のためWindows 8がインストールされていた。後述するプリインストールソフトウェアやストレージのパーティションなども、変わる可能性があることを予めご了承いただきたい。
初期起動時のスタート画面は1画面に収まっている。レノボ製アプリ以降が追加されたソフトウェアで最後の4つがデスクトップアプリとなる。デスクトップは壁紙を変更、左側のショートカットは、同社のツール系とOffice系を主に配置。解像度は1,600×900ドットと、HDとフルHDの間であるが、指でタップして使うことを考えるとバランスは悪くない。IMEは「Baidu IME」が標準だ。
ストレージはSSHDと呼ばれるNAND型フラッシュ(8GB)と500GB HDDのハイブリッドドライブ、「ST500LM000」が使われ、普通のHDDより高いパフォーマンスが期待できる。C:ドライブとD:ドライブの2パーティション構成だ。それぞれ約97.6GBと341.85GBが割り当てられ、初期起動時のC:ドライブの空きは約64GBとなる。
Wi-FiモジュールはBroadcom製。デバイスマネージャーを見ると簡易デバイス方向センサーも入っている。
プリインストール済のソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「AccuWeather for Windows 8」、「Kindle」、「Lenovo Cloud Storage by SugarSync」、「Lenovo Companion」、「Lenovo Dress-up」、「Lenovo Forest Adventure」、「McAfee Security Advisor」、「rara.com」、「Lenovo Support」、「ヤフオク」、「YouCam for Lenovo Idea」など。
お馴染み同社のアプリと、テーブルトップを意識してか、他では見たことのないゲームが2本入っている。
デスクトップアプリは、「Lenovo Cloud Storage by SugarSync」、「Baidu IME」、「Dolby」、Intelのツール系、「Kingsoft Office」、「Aura」、「Bugs」、「Card Collect」、「Comparing」、「EducationPoral」、「Find the Differences」、「Fruits」、「GamePortal」、「Lenovo Assistant」、「Lenovo Eye Distance System」、「LVT」、「Mammals」、「Matching Roles」、「Piano」、「Puzzle」、「sudoku」、「timer」、「Where are the letters」、「Wong」、「YouCam」、「Lenovo App Shop」、「Lenovo Rescue System」など。
こちらもWindowsストアアプリ同様、同社ツール系と、テーブルトップを意識したゲームなどが数多く入っている。ただWindows 8.x系のOSを採用しているにも関わらず、全画面表示のアプリのほとんどがデスクトップアプリばかりと言うのもチグハグな感じがする。
中でもAuraは、テーブルトップで複数人が同時に使える独自のインターフェイスだ。何処からでも操作しやすいように、パネルはダイヤル式に回転する。またテーブル上のアイテムは自由なサイズ、角度、大きさで配置可能だ。動画を掲載したので、その雰囲気をご覧いただきたい。
余談になるが、少し前にご紹介した、SONY「VAIO Tap 21」にも「VAIO Tabletop」というアプリが入っており、Auraはデスクトップアプリ、VAIO TabletopはWindowsストアアプリと、アプローチは違うものの、目指しているものは良く似たものだと思われる。今後、この手の環境がいろいろなメーカーから、それぞれ出てくるのだろう。
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、PCMark 7とBBenchの結果を見たい。CrystalMarkの結果も掲載した(2コア4スレッドで条件的には問題ない)。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.6。プロセッサ 6.3、メモリ 5.9、グラフィックス 4.6、ゲーム用グラフィックス 6.4、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 7は3359 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 28325、FPU 26114、MEM 25073、HDD 14694、GDI 10515、D2D 5608、OGL 7592。グラフィックスが若干遅いものの、全体的にはバランスが取れ、特に不満もなくスムーズに作動する。
BBenchは省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で18,754秒/5.2時間。仕様上の最大4時間を大きく越えた。ただし、輝度最小だと暗いので実際はもう少し短くなると思われる。
以上のようにレノボ・ジャパン「Flex 20」は、19.5型10点タッチ対応のIPS式1,600×900ドット液晶パネルを搭載した液晶一体型だ。テーブルトップ用のインターフェイス「Aura」もなかなか楽しめる。Core i3なのでパワーはそこそこだがバッテリ駆動も可能だ。
リビングなどへ置き、気軽に皆で楽しむPCを探しているユーザーにお勧めできる1台と言えよう。