西川和久の不定期コラム
マイクロソフト「Surface Pro 2」
~Haswellになって大幅にバッテリ駆動時間が向上!
(2013/10/28 06:00)
日本マイクロソフト株式会社は10月24日、Surface Pro 2とSurface 2、そしてその周辺機器を一斉に発表した。初代のSurface ProとSurface RTは、他国から随分遅れての国内投入だったが、今回はほぼ同時のタイミングとなる。編集部からSurface Pro 2が送られて来たので試用レポートをお届けする。
Haswellそしてメモリ8GB搭載モデルも用意されより実用的に
初代Surface Proは、Core i5-3317U(2コア/4スレッド、クロック 1.6GHz/Turbo Boost:2.6GHz、キャッシュ 3MB、TDP 17W)と、Ivy Bridgeを搭載していたが、Surface Pro 2のプロセッサはCore i5-4200UとHaswell世代に切り替わった。これによってバッテリ駆動時間の向上が期待できる。数値の上では、2コア/4スレッドでクロックは1.6GHz。Turbo Boost時に2.6GHz、キャッシュは3MB、TDPは15W。TDP以外はCore i5-3317Uと変わらない。
メモリは、下位モデルのSSD 128GBモデルは4GB、SSDが256/512GBの中位/上位モデルは8GB搭載している。タブレットはメモリ4GB固定が多い中、中位/上位の8GBは、よりメモリを必要とするユーザーにとって魅力的だろう。ただし増設は非対応。OSは64bit版のWindows 8.1 Proだ。
グラフィックスは、正式な仕様表には公開されていないが、CPU内蔵のIntel HD Graphics 4400。Mini DisplayPortを搭載し、最大3,840×2,160ドットにまで対応している。
ディスプレイは、10点タッチ対応IPS式の10.6型液晶ディスプレイ(光沢)。解像度は1,920×1,080ドット(フルHD)だ。1,024段階の筆圧対応デジタイザにも対応し、付属のペン(電磁誘導式)で手書き入力も可能だ。
ネットワークは、IEEE 802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0。その他インターフェイスは、USB 3.0×1、microSDカードスロット、マイク、ステレオミニジャック、ステレオスピーカー、前面/背面それぞれに720p HD LifeCam、カバー端子。Webカメラに関しては、Skypeなどでビデオチャットをする時、低照度でも綺麗に映るよう改善されている。センサーは、環境光センサー、加速度センサー、ジャイロ、地磁気センサー。
サイズは275×173×13.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約907g(本体のみ)。Surface Proの高さが14mmだったので若干薄くなったものの、ほぼ同じだ。バッテリ駆動時間は、従来機より最大75%アップとされている。Surface Proは最大約4時間だったので、計算上は7時間へ伸び、大きなウィークポイントが改善されたことになる。この点については、後半のベンチマークテストで検証してみたい。
価格は順に、99,800円(4GB/128GBモデル)、129,800円(8GB/256GBモデル)、179,800円(8GB/512GBモデル)。下位/中位モデルは10月25日発売、上位モデルのみ11月1日発売となる。
「Surface Pro 2」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i5-4200U (2コア/4スレッド、 クロック 1.6GHz/Turbo Boost:2.6GHz、 キャッシュ 3MB、TDP 15W) |
メモリ | 4GB/8GB |
ストレージ | 128GB/256GB/512GB |
OS | Windows 8.1 Pro(64bit) |
グラフィックス | CPU内蔵Intel HD Graphics 4400 |
ディスプレイ | IPS式10.6型液晶ディスプレイ(光沢)、 1,920×1,080ドット(フルHD/206ppi)、10点タッチ対応、 1,024段階の筆圧対応デジタイザ、 Mini DisplayPort |
ネットワーク | IEEE 802.11a/b/g/n無線LAN、 Bluetooth 4.0 |
インターフェイス | USB 3.0×1、microSDカードスロット 、マイク、ステレオミニジャック、 ステレオスピーカー、720p HD LifeCam(前面/背面)、 カバー端子 |
センサー | 環境光センサー、加速度センサー、 ジャイロ、地磁気センサー |
サイズ/重量 | 275×173×13.5mm (幅×奥行き×高さ)/ 約907g(本体のみ) |
バッテリ駆動時間 | 従来機より最大75%アップ |
その他 | Office Home and Business 2013標準搭載、 ペン(電磁誘導式)付属 |
価格 | 99,800円(4GB/128GBモデル) ※129,800円(8GB/256GBモデル)、179,800円(8GB/512GBモデル) |
10月24日、周辺機器も一斉に発表された。まずキーボードバックライトを搭載した、「Touch Cover 2」(11,980円)と「Type Cover 2」(12,800円)。近づくと自動的にバックライトが光る仕掛けになっている。Touch Cover 2に関しては、前モデルが80個のセンサーだったのに対して、1,092個と大幅に増え、感知ミスがないように改善された。
また前モデルではTouch Coverのみカラーバリエーションを用意したが、今回は逆となり、Touch Cover 2はブラックのみ、Type Cover 2はピンク/ブラック/パープル/シアンと4種類用意している。発表会での発言によると、Type Coverのカラーバリエーションが欲しいと言うユーザーの声に答えた結果だそうだ。
そのほかには、USB 2.0×3、USB 3.0×1、Mini Display Port、Ethernet、オーディオ入出力、充電端子を備える「ドッキングステーション」(19,980円)、「カーチャージャー」(5,480円)、「Arc Touch Mouse Surface edition」(6,980円)、両Coverをワイヤレス対応(Bluetooth)にする「ワイヤレスアダプター」(4,980円)、そしてキーボード側にバッテリを搭載し最大50%アップする「パワーカバー」(価格未定)……と、Surfaceの用途が広がるアクセサリ群が追加された。初代モデルに関してもコネクタ部分は、新モデルと相互に互換性があり使用可能だ。
ただし、ドッキングステーションはSurface Pro/Pro 2用。またUSB 3.0なら転送速度的にGigabit Ethernetも対応可能だが、有線LANが100BASE-TX止まりなのは残念なところ。
なお、初代の「Surface RT」は「Surface」に名前が変更になった上で34,800円から。同じく初代の「Surface Pro」は12月末までの期間限定で79,800円からと併売される。
筐体は初代Surface Pro同様、「VaporMg」が使われ、非常にソリッドで質感も良い。ただ重量約907gは、所有しているSurface(旧Surface RT)の680gと比較すると、ズッシリ重く感じる。
各ポートの並びもSurface Proと全く同じで、右側面にmicroSDカードスロット、電源コネクタ、Mini DisplayPort。左側面にヘッドフォン出力、音量±ボタン、USB 3.0。本体下部中央にはカバー端子、本体上部右側に電源ボタンがある。
変更があったのはキックスタンドだ。従来はチルト24度だけだったが、膝上などで見やすいようチルト40度も追加され2段階となった。ノートPCのように、液晶パネル部分とキーボード部分がヒンジでガッチリ固定されているわけではないので、薄いTouch CoverやType Coverと共に膝の上に乗せると、イマイチ安定感はないものの、それでもチルト40度が加わったのはポイントが高い。
細かい点としては、Surface ProとSurfaceは、キックスタンドの部分に、Windowsロゴが描かれていたが、Surface Pro 2とSurface 2は、Surfaceロゴに変更されている。
IPS式の10.6型液晶パネルのクオリティは非常に高く、明るさ、発色、コントラスト、全てにおいて良好だ。10点タッチの反応も良い。ただ個人差もあるだろうが、このサイズでフルHDとなると、Windowsストアアプリはいいのだが、デスクトップアプリは、若干細か過ぎる気がしないでもない(「画面の解像度/テキストやその他項目の大きさの変更」で調整可能。デフォルトは大)。付属のペン(電磁誘導式)はズレもなく快適だ。
サウンドは、筐体のサイズを考えるとクオリティも高く、最大出力もそれなりにある。外付けのスピーカーなどがなくても音楽や動画を楽しむことが可能だろう。側面のスリット部分にスピーカーが仕込まれているので、音が前方に周り込み難い。オプションのドッキングステーションの左右が囲まれているのもこれが理由だと思われる。
発熱は、ベンチマークテストなどCPUに負荷をかけると背面の右側が少し暖かくなるものの、ノイズは、振動も含め、さすがにHaswellそしてTDP 15Wだけあって、十分抑えられ、試用した範囲では全く気にならなかった。
BBenchでバッテリ駆動時間9時間越え
OSは64bit版Windows 8.1 Pro。メモリは4GBだが、ストレージにSK Hynix製のSSD、「HFS128G3AMNB-2200A」(128GB)が使われていることもあり、体感的には結構高速に動作する。
C:ドライブのみの1パーティションで約113GBが割り当てられ、空きは約96GB。あまり余裕がないものの、microSDカードやクラウドへデータを逃がすなど、運用面である程度はカバーできるだろう。
スタート画面は2画面。「Fresh Paint」以降が、プリインストールアプリとなる。初期起動時のデスクトップは、素のWindows 8.1そのもの。
Wi-FiとBluetoothモジュールは、どちらもMarvell「Avastar」が使われていた。またWindows UpdateではLANドライバとして、ASIX「AX88772 USB 2.0 to Fast Ethernet Adapater」が含まれていた。おそらくオプションの「イーサネット アダプター」や「ドッキングステーション」に使用していると思われる。
残念な点としては、スリープ時にメールやWindows Updateの受信をしたり、時刻になったらアラームを鳴らすことができる「InstantGo」に非対応なことだ。ドライバなどかなり細かい部分をチューニングしないとできないこの機能、Surface/Surface 2は対応しているだけに、後からでもいいので実現して欲しいと思う。
プリインストール済のソフトウェアは、Windowsストアアプリは「Fresh Paint」、「OneNote」(Windowsストアアプリ版)、「Skype WiFi」。
Surface 2及びPro 2は、SkyDrive 200GBを2年間無料に加え、Skypeの世界61カ国固定電話かけ放題とSkype WiFiが1年間使い放題になっている。その関係もあり、WindowsストアアプリのSkype WiFiがプリインストールされている。
デスクトップアプリは、「Office Home and Business 2013」。ただし、Surfaceと違い、未セットアップ状態で、パッケージに同梱されているキーを使ってユーザーがインストールする必要がある。いずれにしても素のWindows 8.1にかなり近い構成だ。余計なもののは一切入っておらず、リソースをセーブできる。
ベンチマークテストはWindows 8.1からWindows エクスペリエンス インデックスがなくなったため同等の結果が得られる、「winsat formal」コマンドを実行後、C:\Windows\Performance\WinSAT\DataStoreの下に収納されているxxxx-xx-xx xx.xx.xx.xxx Formal.Assessment (Recent).WinSATの情報掲載する。
PCMark 7は既にWindows 8.1にも対応したPCMark 8があるものの、スコアの互換性がないため、当面は7のまま様子をみたい。バッテリ駆動時間テストは従来通りとBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は2コア/4スレッドと条件的には問題ない)。
winsat formalの結果は、総合 5.3。プロセッサ 7.3、メモリ 5.9、グラフィックス 5.9、ゲーム用グラフィックス 5.3、プライマリハードディスク 8.15。PCMark 7は5041 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 37568、FPU 36385、MEM 41894、HDD 39513、GDI 15074、D2D 7373、OGL 11138。
若干メモリのスコアが低いのは気になるものの、プロセッサとストレージが速く全体を引っ張っている。PCMark 7のスコアが高いのもストレージ性能からだ。
BBenchはTouch Cover 2接続、省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残0%で36,361秒/10.1時間。
バッテリの残10%でも35,608秒/9.9時間。何と9時間超えと予想時間の7時間を大きく上回った。キーボードにバッテリを内蔵したパワーカバーを使えば、さらにバッテリ駆動時間を延ばせる。ARMを搭載したタブレット並みだ。これなら1日持ち歩いても十分使うことが出来るだろう。
以上のようにMicrosoft Surface Pro 2は、一見、初代のSurface Proと変わらないものの、CPUがHaswellになり、大幅にバッテリ駆動時間が向上した。InstantGoに非対応なのは残念だが、角度が2段階になったキックスタンドはより便利に、バックライトを搭載したTouch Cover 2/Type Cover 2、そしてドッキングステーションなど周辺機も出揃い、欠点らしい欠点もなくなりこれからが本領発揮と言ったところか。
さらにストレージが256GBと512GBモデルに関してはメモリ8GB搭載と、4GB固定のタブレットが多い中、よりメモリを必要とするアプリケーションを動かしたいユーザーにとっては魅力的な存在となる。
発表会場で、タブレットを買うか、ノートPCを買うか「どちらか迷ったらSurfaceを」と、同社樋口社長の言葉通り、次のWindowsマシンをどうするか考え中の人にお勧めの1台と言えよう。