西川和久の不定期コラム

日本ヒューレット・パッカード「HP Pavilion 15」

~Haswell世代になった15.6型2スピンドルスタンダードノートPC

 日本ヒューレット・パッカード株式会社は10月18日、2013年冬モデルを発表し、同日より順次発売を開始した。今回はその中から、15.6型2スピンドルのスタンダードノートPC、「HP Pavilion 15」が編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けする。

HaswellそしてWindows 8.1を搭載したスタンダードノートPC

 今回発表された新型は、基本的な構成は夏モデルと同じで、OSやプロセッサ、オプションの追加などの変更となる。

 17.3型は「HP ENVY 17」。これは直販専用の上位モデルで、24GB/mSATAとIEEE 802.11a/b/g/n/ac(Draft)の選択が可能になった。発売は11月中旬、直販価格は94,710円からとなる。

 量販店専用の15.6型エントリーモデル「HP 2000-2d00 Notebook PC」は、プロセッサがCeleron B850からCeleron 1000Mへ強化されたものの、OSは64bit版Windows 8のままだ。店頭予想価格は6万円前後。

 そして今回ご紹介する「Pavilion 15」は、15.6型の量販店専用のモデルで、プロセッサがHaswell世代、そしてOSが64bit版Windows 8.1になった。発売は11月上旬。主な仕様は以下の通りとなる。

HP「Pavilion 15」の仕様
プロセッサCore i5-4200M(2コア/4スレッド、
2.5GHz/Turbo Boost:3.1GHz、
キャッシュ3MB、TDP 37W)
メモリ8GB
ストレージHDD 750GB
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
OSWindows 8.1(64bit)
ディスプレイ15.6型液晶ディスプレイ(光沢)、
1,366×768ドット、
ミニD-Sub15ピン、HDMI出力
グラフィックスプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600
ネットワークEthernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0
その他USB 3.0×2、USB 2.0×1、Webカメラ、
SDカードスロット、音声入出力
サイズ/重量379×246×27~33.8mm(幅×奥行き×高さ)/約2.4kg
カラーバリエーションシルバー/ブラック、フライヤーレッド、パールホワイト
バッテリ駆動時間最大約6時間45分
店頭予想価格9万円前後

 プロセッサは、Core i5-4200M。2コア4スレッド、クロックは2.5GHz。Turbo Boost時に3.1GHzまで上昇する。キャッシュは3MB、TDPは37Wだ。メモリは8GB。64bit版のWindows 8.1を搭載している。

 ストレージは5,400rpmの750GB HDD、光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブ。最近光学ドライブ内蔵モデルが減って来ているので、必要なユーザーにとってはポイントが高いだろう。

 ディスプレイは、15.6型液晶パネル(光沢)で解像度は、1,366×768ドット。タッチには非対応だ。グラフィックスは、プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600。出力として、HDMIとミニD-Sub15ピンを装備する。

 ネットワークは、有線LANがEthernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0も内蔵している。IEEE 802.11ac(Draft)はリリースされてから間もないため非対応は仕方ないとして、今時のスタンダードノートPCとしてGigabit Ethernetに非対応なのは残念なところか。

 そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×1、Webカメラ、SDカードスロット、音声入出力。USB 3.0にも対応しているので、必要であれば外部に大容量のHDDなどを接続するのも容易だ。

 サイズは379×246×27~33.8mm(幅×奥行き×高さ)。重量約2.4kg。バッテリ駆動時間は最大約6時間45分。夏モデルのCore i5-3230MからHaswellになってもあまり時間が延びていないのは、液晶パネルやHDDなど、他のコンポーネントの消費電力の占める割合が大きいためだと思われる。

 カラーバリエーションは、シルバー/ブラック、フライヤーレッド、パールホワイトの3種類。店頭予想価格は9万円前後となる。

フロント。液晶パネル中央上にWebカメラ。全体的に光沢のある黒で覆われ質感も良い
天板中央にHPのロゴのみとシンプル。シルバーで薄いドットの模様がある
底面。中央に大きいパネルがあるものの、下のネジを外しただけでは開かなかった
左側面にはミニD-Sub15ピン、HDMI出力、USB 3.0×2、音声入出力、SDカードスロットを搭載
キーボードはアイソレーションタイプでテンキー付き。タッチパッドのボタンは物理的に2つ
右側面には、電源コネクタ、Ethernet、USB 2.0×1、ロックポート、DVDスーパーマルチドライブを備える
キーピッチは実測で約19mm
バッテリがあるので、後ろにはポート類などは無い
ACアダプタとバッテリ。ACアダプタは実測で約105×43×30mm(同)/240g。コネクタはミッキータイプ。バッテリは292g

 筐体は同社らしく、他のモデルとも共通点があるデザインで洗練されており、質感も高い。光沢感のあるブラックとシルバーで構成され、なかなかソリッドな感じだ。重量が2.4kgなので、持ち上げるとそれなりの重さだが、15.6型で光学ドライブも内蔵している関係もあり平均的と言ったところだろう。

 液晶パネル中央上にWebカメラ。左側面にミニD-Sub15ピン、HDMI出力、USB 3.0×2、音声入出力、SDカードスロット。右側面に電源コネクタ、Ethernet、USB 2.0×1、ロックポート、DVDスーパーマルチドライブ。ACアダプタのサイズは105×43×30mm(同)、重量は実測で240g。

 15.6型で1,366×768ドットの液晶ディスプレイは、さすがにドットが荒く見える。できればフルHDが欲しかったところだ。とは言え、明るさやコントラスト、発色などはクラス相応で特に問題ない。IPS式ではないので、視野角は若干狭いものの、実用上許容範囲だと思われる。この時期のノートPCとしてタッチ非対応なのは残念な部分だ。

 キーボードはアイソレーションタイプでテンキー付き。ただし同社のENVYシリーズとは違い、キートップやキー入力したときのフィーリングなどは普通だ。また少したわみもある。ファンクションキーはそのまま押すと機能キー、[Fn]キーとのコンビネーションで従来のファンクションキーとなる。

 タッチパッドは筐体に余裕があるため12×8cmとかなり広い。パームレストからそのまま凹んでいるタイプだ。ボタンは物理的に左右2つある。

 サウンドはアプリ画面からも分かるようにDTSオーディオを搭載。最大出力も十分でカマボコレンジではあるが高域も低域も適度に聞こえる。

 ノイズや振動は試用した範囲では特に気にならず、発熱に関してはHP CoolSenceが効いていることもあり、常用だとほとんど熱を持たない。

プロセッサのパワーは十分だがHDDの速度が気になるところ

 OSは64bit版のWindows 8.1。内蔵グラフィックスとは言え、メモリを8GB搭載していることもあり、比較的スムーズに操作できる。

 初期起動時のスタート画面は1画面+2アプリ。HPアプリ以降がプリインストールとなる。デスクトップは壁紙が変更され、左端にショートカットが1つ。またタスクバー上にいくつかピン止めされた状態になっている。

 HDDは東芝の750GB/5,400rpm/キャッシュ8MBの「MQ01ABD075」が使われていた。C:ドライブとD:ドライブの2パーティションだが、D:ドライブはリカバリ用で、実質C:ドライブのみ。約684GBが割り当てられ、空き657GBとなる。DVDスーパーマルチドライブは「Hp CDDVDW SU-208CB 」。Wi-FiとBluetoothはRalink製、EthernetはRealtek製だ。

スタート画面1。HPアプリ以降がプリインストール
スタート画面2。HP Support Assistantはデスクトップアプリ
起動時のデスクトップ。壁紙が同社オリジナルとなり、左側にショートカットが1つ。またタスクバーにいくつかのピン止めがある
デバイスマネージャ/主要なデバイス。HDDは東芝の750GB/5,400rpm/キャッシュ8MBの「MQ01ABD075」。DVDスーパーマルチドライブは「Hp CDDVDW SU-208CB 」。Wi-FiとBluetoothはRalink製、EthernetはRealtek製
HDDのパーティション。D:ドライブはリカバリー用なので実質C:ドライブのみの1パーティション。約684GBが割り当てられている

 プリインストール済のWindowsストアアプリは、「HP Connected Photo」、「HPに登録」、「Windows 8入門」、「YouCam」、「マカフィーセントラル」など、主に同社製で構成されている。これらはWindows 8の頃から搭載していたアプリだ。

アプリ画面1
アプリ画面2
Windows 8入門
HPに登録
HP Connected Photo
マカフィーセントラル

 デスクトップアプリは」、「HP SimplePass」、「HP AC Power Control」、「HP Documentation」、「HP Support Assistant」、「HP UtilityCenter」、「HP Recovery Manager/Media Creation」、「CyberLink Media Suite」、「CyberLink Photo Director」、「CyberLink PowerDirector」、「CyberLink Power2Goなど」、同社製のツールとCyberLink製のアプリが大半を占める。

HP Support Assistant
HP Power Control
HP SimplePass

 ベンチマークテストはWindows 8.1からWindows エクスペリエンス インデックスが無くなったため同等の結果が得られる、「winsat formal」コマンドを実行後、C:\Windows\Performance\WinSAT\DataStoreの下に収納されているxxxx-xx-xx xx.xx.xx.xxx Formal.Assessment (Recent).WinSATの情報を掲載する。

 PCMark 7は既にWindows 8.1にも対応したPCMark 8があるものの、スコアの互換性が無いため、当面は7のまま様子をみたい。バッテリ駆動時間テストは従来通りとBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は2コア4スレッドと条件的には問題ない)。

 winsat formalの結果は、総合 4.8。プロセッサ 7.4、メモリ 7.4、グラフィックス 4.8、ゲーム用グラフィックス 5.2、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 7は2088 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 47672、FPU 46031、MEM 29438、HDD 11022、GDI 16471、D2D 7021、OGL 14130。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600なので、パフォーマンスはそれなりだ。使用感としては、全体的にHDDの速度が支配的で少しもたつく部分もあるが、これは仕方ないところだろう。

 BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残9%で22,221秒/6.2時間。スペック上の最大よりは若干短いものの6時間を超えた。また、バックライト最小でも暗めの室内であれば十分見える範囲で、ネットと文字入力中心の作業であれば同程度に作動すると思われる。

「winsat formal」コマンド結果。総合 4.8。プロセッサ 7.4、メモリ 7.4、グラフィックス 4.8、ゲーム用グラフィックス 5.2、プライマリハードディスク 5.9
PCMark 7。2088 PCMarks
BBench。省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetoothオンでの結果だ。バッテリの残9%で22,221秒/6.2時間
CrystalMarkの結果。ALU 47672、FPU 46031、MEM 29438、HDD 11022、GDI 16471、D2D 7021、OGL 14130

 以上のようにHP「Pavilion 15」は、プロセッサがHaswell世代へ、OSはWindnows 8.1へと、最新の環境にリフレッシュし、15.6型液晶パネル、8GBメモリ、750GBのHDDを搭載した2スピンドルのスタンダードノートPCだ。

 タッチ非対応、そして有線LANがEthernetなのは残念な点であるが、全体的な構成はルックスも含めバランスが取れている。オーソドックスなノートPCを探しているユーザーの候補になりえる1台と言えよう。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/