西川和久の不定期コラム
マウスコンピューター「LM-iH540SL6-WS-ADB-W7-PW」
~Quadro 600を搭載したPhotoshop向けPC Watchコラボモデル
(2013/4/8 15:00)
マウスコンピューターは2013年で20周年ということで、それを記念してPC Watchがスペックを決めたコラボモデルを発売した。コンセプトは「10万円未満でPhotoshopが快適に使えるPC」だ。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けする。
ワークステーション用NVIDIA Quadro 600を搭載
今回コラボモデルのベースになったのは「LM-iH540SL6-WS-ADB-W7」だ。このモデルの主な仕様は、Windows 7 Home Premium、Core i7-3770、Intel H77 Express、Quadro 600、メモリ8GB、HDD 500GB、DVDスーパーマルチドライブで84,840円となっている。
この状態でも結構パワフルなのだが、コラボモデルのコンセプトは「スマホ内蔵含めデジカメの高画素化がめざましい昨今。写真の保存には大容量ストレージが欠かせず、写真をレタッチソフトで開くだけでもメモリを圧迫。PCに対する要求も高まっています。そこで、10万円未満で買えるPhotoshop向きPCをコンセプトに、画像処理におけるボトルネック解消に注力してスペックを強化した構成を作りました」となっており、メモリとストレージを中心に強化されている。主な仕様は以下の通りだ。
マウスコンピューター「LM-iH540SL6-WS-ADB-W7-PW」の仕様 | |
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CPU | Core i5-3470(4コア/4スレッド、クロック3.2GHz/Turbo Boost 3.6GHz、キャッシュ6MB、TDP 77W) |
チップセット | Intel H77 Express |
メモリ | 16GB(8GB×2) |
SSD | 120GB(Intel SSD 520) |
HDD | 2TB(,7200rpm) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 7 Home Premium(64bit) |
グラフィックス | Quadro 600(1GB/DDR3)/Dual Link DVI-D、DisplayPort |
ネットワーク | Gigabit Ethernet |
その他 | PS/2、USB 3.0×4(前面×2/背面×2)、USB 2.0×6(背面)、音声入出力(前面/背面) |
拡張スロット | PCI Express x16×2(空1)、同x1×2(空2) |
ストレージベイ | 3.5インチ×2(空1)、5インチ×4(空3) |
サイズ・重量 | 180×382×373mm(幅×奥行き×高さ)/約9.6kg |
価格 | 99,750円 |
プロセッサはIntel Core i5-3470。Hyper-Threadingには非対応。4コア4スレッドでクロックは3.2GHz。Turbo Boost時3.6GHzまで上昇する。キャッシュは6MB、そしてTDPは77Wとなる。ベースモデルではCore i7-3770(4コア/8スレッド、クロック3.4GHz/TB 3.9GHz、キャッシュ 8MB、TDP 77W)が使われているため、この部分だけグレードダウンとなるものの、経験上、Photoshopや現像ソフトを動かす処理は、プロセッサ性能よりも、メモリが多い方が有効だ。
チップセットはIntel H77 Express。メモリスロットは4つあり、8GB×2の計16GB搭載済み。ベースモデルと比較して+8GBとなる。この差は結構大きく、マルチディスプレイ化し、Photoshop以外のアプリケーションを複数起動したままでも、画像編集には速度低下などの影響が出にくくなる。
ストレージはSSD 128GBとHDD 2TB。ベースモデルのHDD 500GBから大幅に強化されている。言うまでもなく、SSDをシステムドライブにしてOSやアプリケーションの起動を高速化しており、データ用に2TBの容量を確保できれば、プロでもない限り相当な余裕がある。光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブを搭載する。
OSは64bit版のWindows 7 Home Premium。筆者はもうWindows 8に慣れてしまったので、8でもいいと思うのだが、使い勝手や互換性などのメンから7の方が嬉しいユーザーも多いだろう。
グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 2500を使わず、FermiアーキテクチャのQuadro 600(1GB)を搭載している。同社のGeForce系はゲーム用で、Quadro系はワークステーション用だ。CUDAプロセッサコア96基を搭載し、シェーダーモデル5.0、OpenGL 4.3、DirectX 11などに対応している。
Photoshopの最近のバーションは、GPUを使った処理に対応しているので、パワフルなGPUがあると処理はよりスムーズになる。性能の割に消費電力は最大40W程度と控えめで、1スロットしか占有しない。出力はDual Link DVI-DとDisplayPort。最大解像度は2,560×1,600ドットとなる。
その他のインターフェイスは、Gigabit Ethernet、PS/2、USB 3.0×4(前面×2/背面×2)、USB 2.0×6(背面)、音声入出力(前面/背面)。eSATAが無いものの、USB 3.0が4つあれば問題にならないだろう。
拡張スロットはPCI Express x16×2(空1)、同x1×2(空2)。ストレージベイは3.5インチ×2(空1)、5インチ×4(空3)。標準で結構なスペックと言うこともあり、何か増設するにしてもこの範囲内で十分収まると思われる。
本体サイズは180×382×373mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約9.6kg。価格は99,750円。ベースユニットをアップグレードした場合、SSD 128GB搭載(13,650円)、HDDを2TBへ(5,250円)、メモリを16GBへ(10,500円)で計114,240円となるところをプロセッサをCore i5-3470へ下げ、10万円を切る価格となっている。コンセプトにある「Photoshopを快適に」と考えると、なかなか手堅い構成と言えるだろう。
筐体は光沢ありのブラック。非常にシンプルでどこに置いてもマッチする。サイズが180×382×373mmなので机の上でも下でも置くことができる。
前面は光学ドライブと一番下のパネルの裏にUSB 3.0×2、音声入出力。背面は、PS/2、Gigabit Ethernet、USB 2.0×6、USB 3.0×2、音声入出力、そしてQuadro 600のDVI-DとDisplayPortがある。オーソドックスな構成なので扱いやすそうだ。キーボードはPS/2インターフェイス、マウスはUSBインターフェイスのものが付属する。
内部は350Wの電源ユニット、ストレージベイは3.5インチ×2(空1)、5インチ×4(空3)。5.25型の一番上に光学ドライブ、3.5型の一番下にHDD、そしてその下にSSDがある。
また、Quadro 600は小型なのでマザーボード上でほかの部分を覆うことなく、すっきり収まっている。メモリスロットはプロセッサの右側に4スロットあり、空きは2つ。全体的にシンプルで何かを増設するのも容易だろう。
発熱や振動、そしてノイズに関しては、試用した範囲では十分許容範囲内だった。自宅で深夜の作業も大丈夫なレベルだ。
全体的にバランスが取れ快適な環境
OSは64bit版のWindows 7 Home Premium。メモリを16GB搭載していることもあり、作動にはかなり余裕がある。初期起動時のデスクトップは左側に若干のショートカットとシンプル。特に本機用にカスタマイズされた部分は無い。
SSDはIntel SSD 520 Seriesの120GB「SSDSC2CW120A3」、HDDは2TB/7,200rpm/キャッシュ64MBの「ST2000DM001」。それぞれC:ドライブとD:ドライブに割当てられ、111.69GBと1,863.01GGBとなる。C:ドライブの空きは63.5GB。システムドライブがSSDと言うこともあり、レスポンスが非常良いシステムに仕上がっている。
光学ドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GH24NS95」、Gigabit EthernetはRealtek製。Intel H77 Expressを使ったPCとして、GPU以外はオーソドックスな内容だ。
プリンストールされているソフトウェアは、「CyberLink Media Suite」、「マカフィー インターネットセキュリティ」、「Windows Live Essentials 2011」。余計なアプリケーションがないいので、玄人受けしそうだ。
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、PCMark 7の結果を見たい。参考までにCrystalMarkの結果も掲載した(今回の条件的には特に問題は無い)。
標準作動時、Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 6.6。プロセッサ 7.5、メモリ 7.8、グラフィックス 6.6、ゲーム用グラフィックス 6.6、プライマリハードディスク 7.9。Windows 7なので最大7.9となり、全体的にバランス良いのが分かる。またシステムドライブがSSDで高速なため操作も快適だ。
PCMark 7は4408 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 77701、FPU 63530、MEM 60140、HDD 44924、GDI 19840、D2D 11952、OGL 65601。ここでもGPUとSSDが影響するHDD/OGLの値が目を引く。動画編集であればプロセッサをCore i7にすればさらにエンコード時間の短縮となるものの、Photoshop系が主であれば十分な性能と言えるだろう。
以上のようにマウスコンピューターLM-iH540SL6-WS-ADB-W7-PWは、GPUにQuadro 600を搭載。メモリ16GB、120GBのSSDと2TBのHDD、そしてプロセッサはCore i5プロセッサと、うまくまとめられた1台だ。ベンチマークの結果からも分かるように性能バランスも良い。
GPUを活用するPhotoshopや、肥大化の一途を辿る写真の保存用途に限らず10万円未満でワークステーション的なPCを求めているユーザーにお勧めできる1台と言える。先日紹介した、高解像度/大画面のiiyama「ProLite XB2776QS」と組み合わせるのも良いだろう。