■西川和久の不定期コラム■
レノボ・ジャパンは9月4日、最薄部9mmの13.3型ノートPCを発表、同月8日に発売を開始した。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けする。
同社のサイトでSシリーズを調べると「持ち運びに便利でコストパフォーマンス抜群!」のキャッチコピーが目に入る。Sはスマート・スタイルを意味するSだそうだ。Web上にはラインナップとして、S205、S206、S100、S110、そして今回ご紹介するS300がある。
2xxは11.6型、1xxは10.1型の液晶パネルを採用。また従来のモデルは、Intel AtomプロセッサやAMD APUを搭載したネットブック系だ。一方のS300はSシリーズ初の13.3型液晶パネルそしてCore i5搭載機となる。従ってパフォーマンスはかなりの違いとなることは容易に想像できる。主な仕様は以下の通り。
CPU | Intel Core i5-3317U(2コア/4スレッド、1.7GHz/Turbo Boost 2.6GHz、キャッシュ3MB、TDP 17W) |
チップセット | Intel HM77 Express |
メモリ | 4GB/PC3-12800 DDR3 SDRAM(1スロット/空き0) |
HDD | 500GB+SSD 24GB Rapid Drive |
OS | Windows 7 Home Premium(64bit SP1) |
ディスプレイ | 13.3型液晶ディスプレイ(光沢)、1,366×768ドット |
グラフィックス | Intel HD Graphics 4000、HDMI出力 |
ネットワーク | Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0 |
その他 | USB 3.0×1、USB 2.0×2、SDカードスロット、音声入出力、HD720p Webカメラ |
サイズ/重量 | 330×230×9~22mm(幅×奥行き×高さ)/約1.8kg |
バッテリ駆動時間 | 最大約5時間(4セル、交換可能) |
価格 | 6万円台 |
プロセッサはCore i5-3317U。2コア/4スレッドでクロックは1.7GHz。Turbo Boost時2.6GHzまで上昇する。キャッシュは3MB、TDPは17Wで、ミドルレンジのノートPCやUltrabookによく使われているSKUだ。チップセットはIntel HM77 Express。メモリスロットは1つで4GB実装済。OSは64bit版のWindows 7 Home Premium SP1を搭載する。
ストレージは24GBのSSDと500GBのHDDのハイブリッド構成で、SSDはキャッシュ用として機能する。最近このパターンが非常に多く、高速性と大容量を低価格で両立できる仕掛けと言えよう。
ディスプレイは、HD解像度の13.3型光沢液晶パネルを搭載。HDMI出力にも対応する。グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 4000。
ネットワークは、有線LANがEthernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。Bluetooth 4.0も搭載している。Gigabit Ethernet非対応なのは残念なところ。
その他のインターフェイスは、USB 3.0×1、USB 2.0×2、SDカードスロット、音声入出力、720p Webカメラ。USBのポート数構成は逆の方が良さそうだが、コストとの兼ね合いだろうか。
サイズは330×230×9~22mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.8kg。高さが最大22mmありUltrabookでは無いものの、先端は9mmと薄く鋭角。ルックスはUltrabookに近い。バッテリは着脱可能の4セルタイプで最大5時間の駆動が可能だ。価格は6万円台と、システム構成を考えると安価な部類に入るのではないだろうか。
トップカバーも含め筐体はプラスティック製。多くのUltrabookほど高級感は無いものの、価格を考えれば十分な質感だ。表側はシルバー、キーボードや液晶パネルのフチはブラックとシャープな印象を受ける。ただ、液晶パネルを支える部分が弱いのか、ちょっとした振動でパネル部分が微妙に揺れるのが気になった。
本体左側面には、「OneKey Recovery」用ボタン、Ethernet、HDMI出力、USB 3.0。右側面には電源入力、USB 2.0×2、ヘッドフォン端子、SDカードスロットを配置。Ethernetコネクタは少し高さが足らなかったのか、小さい支えの様なパネルが下側についている。
裏側はメモリやストレージへアクセスできる小さいパネルは無く、1枚の大きなパネルで覆われている。ネジを外せば開きそうだが、今回は試していない。また、後部には写真のような細長いバッテリを装着できる凹みがある。
ACアダプタは、約85×34×27mmで158gと小型だ。バッテリは長辺約27cmの円錐形で重量は190g。
13.3型の液晶パネルは十分明るくコントラストも高い。発色も自然な感じだ。視野角はあまり広くないが、本体価格を考えると許容範囲。また最小輝度でもある程度見え、バッテリ駆動時に有効だろう。
キーボードはアイソレーションタイプ。若干たわむものの、あまり気にならないレベルだ。パームレストも十分広く扱い易い。タッチパッドは1枚タイプでボタンが割りに先端の左右が傾く。既に十分こなれており、操作性に問題は無い。
試した範囲では、振動やノイズ、発熱に関しては一般的なレベルで気にならなかった。サウンドは、中域中心で軽めの音だが、最大出力は十分。音楽にしても動画にしても楽しめ、DOLBY ADVANCED AUDIO V2にも対応している。
全体的に薄型ノートPCとしては、価格の範囲内でうまくまとめられており、万人受けする構成やデザインに仕上がってると言えるだろう。
●Intel Core i5-3317U搭載機としては標準的なパフォーマンスOSは64bit版Windows 7 Home Premium SP1。内蔵グラフィックスとメモリ共有なので、できれば8GB欲しいところだが、重い処理をしない限り大丈夫だと思われる。
キャッシュ用のSSDは「SanDisk SSD U100 24GB」、HDDは500GB/5,400rpm/16MBの「ST500LT012」を搭載。ユーザーが使えるのはC:ドライブのみで約420GBが割当てられている。初期起動時の空きは398GB。キャッシュの機構はIntel SRTでは無く、独自のロジックとなっている。
Wi-FiとBluetoothはAtheros製。Intel HM77 Expressを搭載したCore i5マシンとしては標準的な構成だ。
プリインストールされているソフトウェアは、Google Chrome、Baidu IME、CyberLink YouCam、KingSoft Office(30日無料体験版)、マカフィーインターネットセキュリティ、Windows Live Essentials 2011、i-フィルター、VeriFace 4.0、レノボ OneKey Recovery、レノボ Energy Management、レノボ Smart Update、DOLBY ADVANCED AUDIO V2、Absolute Data Protect、そして各デバイスのサポートユーティリティなど。
6月にご紹介した、IdeaPad U310とは若干構成が変わっているもののおおむね同じ。同社お馴染みのツールが多数インストールされている。
DOLBY ADVANCED AUDIO V2 | Baidu IME | レノボ Energy Management |
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとPCMark 7、BBenchの結果を見たい。参考までにCrystalMarkの結果も掲載した(今回の条件的には特に問題は無い)。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.0。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 5.0、ゲーム用グラフィックス 6.0、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 7は2838 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 33018、FPU 37014、MEM 27120、HDD 11308、GDI 13053、D2D 2044、OGL 6250。
全体的にCore i5-3317U搭載機としては標準的なパフォーマンスで特筆すべき点は無い。ただスコアには現れないものの、起動や終了、アプリケーションの起動などは、キャッシュが効いている感じだ。
BBenchは、省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/OFFでの結果だ。バッテリの残4%で10,077秒/2.8時間。スペック上の約半分になってしまった。屋外用としては少し短い駆動時間となるものの、オプションで予備バッテリを購入できるので、必要であれば入手すれば良い。
以上のようにレノボ「IdeaPad S300」は、Ultrabookとまでは言わないものの、最薄部約9mmでシャープなデザインで、Core i5やキャッシュ用のSSD、USB 3.0やBluetooth 4.0を搭載、バッテリが着脱式などの特徴を持ち価格は6万円台と、魅力的なノートPCとして仕上がっている。
Gigabit Ethernet非対応は残念な部分であるが、ファーストマシンとしてもセカンドマシンとしても幅広く使えるオーソドックスなノートPCを探しているユーザーの候補になりえる1台だ。