西川和久の不定期コラム
G-Tune「MASTERPIECE i1440PA1-SP-DOC-CL」
~ボタン一発でオーバークロック可能なモンスターマシン!
(2014/5/8 06:00)
マウスコンピューターは3月13日、ゲーミングブランド「G-Tune」のハイエンドPC「MASTERPIECE」シリーズをリニューアルした。最大の特徴はボタンのオン/オフで再起動せずリアルタイムにオーバークロックが可能になったことだ。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
ボタン一発でCPUとGPUをオバークロック!
今回ご紹介する「MASTERPIECE i1440」シリーズは、構成により「ブロンズモデル」、「ブロンズモデル カスタム」、「シルバーモデル」、「ゴールドモデル」、「プラチナモデル」、「プラチナモデル カスタム」と6種類に分けられている。共通点は、アビーとコラボしたケース、Core i7-4770Kの搭載、そしてオーバークロック可能という点だ。
それ以外のメモリ、ストレージ、GPUなどはモデルによって異なり、下位の「ブロンズモデル」で169,800円(税別)、最上位の「プラチナモデル カスタム」は、499,800円(税別)。なんと30万円以上の差がある。
手元に届いたのは、最上位モデルの「プラチナモデル カスタム」。主な仕様は以下の通りだが、凄い構成だ。
G-Tune「MASTERPIECE i1440PA1-SP-DOC-CL」の仕様 | |
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CPU | Core i7-4770K(4コア/8スレッド、3.5GHz、Turbo Boost時3.9GHz、オーバークロック時4.2GHz、8MB、TDP 84W) |
チップセット | Intel Z87 Express |
メモリ | 32GB(8GB×4)、PC3-19200 DDR3(最大32GB/空き0) |
ストレージ | SSD 2TB(1TB×2、RAID 0)、HDD 2TB(7,200rpm) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 8.1 Pro(64bit) |
グラフィックス | GeForce GTX 780 Ti(3GB)×2(SLI)、DisplayPort、DVI-I、DVI-D、HDMI出力 |
インターフェイス | Gigabit Ethernet、PS/2、USB 2.0(前面×2、背面×2)、USB 3.0(前面×2、背面×4)、マルチカードリーダ、音声入出力、S/PDIF(コアキシャル×1、角型×1) |
拡張スロット | PCI Express x16×3(空き1)、同x1×4(空き1) |
ストレージベイ | 5インチベイ×2(空き1)、3.5インチ×1(空き1)、3.5インチシャドウ×4(空き3)、2.5インチシャドウ×2(空き0) |
電源 | 1,200W(80PLUS GOLD) |
サイズ/重量 | 219×471×499mm(幅×奥行き×高さ)/約17.1kg |
価格 | 499,800円(税別) |
プロセッサは、Core i7-4770K。4コア/8スレッドでクロックは3.5GHz。Turbo Boost時3.9GHzまで上昇する。キャッシュは8MB、TDPは84W。末尾がKのSKUなので、倍率ロックフリー版となる。また水冷CPUクーラー(Cooler Master Seidon 120XL)を装備している。
チップセットは、Intel Z87 Express。構成的にはH87チップセットと同じだが、倍率ロックフリー版のプロセッサをオーバークロック可能だ。メモリは8GB×4で最大の32GB搭載済み。ストレージは、プライマリにSSD 1TBを2基使いRAID 0とし計2TB、セカンダリに7,200rpmの2TB HDDも内蔵している。OSは64bit版のWindows 8.1 Proを採用。Windows 7 Professionalも選択できる。
グラフィックスは、GeForce GTX 780 Ti(3GB)を2基搭載しSLI接続している。Keplerアーキテクチャの上位SKUだけに、SLI接続で使った場合の性能は期待できそうだ。この点については後半のベンチマークテストで検証してみたい。出力は、DisplayPort、HDMI、DVI-I、DVI-D。ミニD-Sub15ピンのアナログ出力が必要な場合は、DVI-Iから変換アダプタを使用する。
インターフェイスはGigabit Ethernet、PS/2、USB 2.0(前面×2、背面×2)、USB 3.0(前面×2、背面×4)、マルチカードリーダ、音声入出力、S/PDIF(コアキシャル×1、角型×1)。
拡張スロットは、PCI Express x16×3(空き1)、同x1×4(空き1)。ドライブベイは、5インチベイ×2(空き1)、3.5インチ×1(空き1)、3.5インチシャドウ×4(空き3)、2.5インチシャドウ×2(空き0)。電源は80PLUS GOLDの1,200Wを搭載する。
標準構成でかなりのスペックなので、これ以上の拡張は考えにくいものの、まだ拡張できるだけの余裕はある。
本シリーズ最大の特徴として、冒頭で書いた通り、前面パネルにあるオーバークロックボタンを押すだけで簡単にオーバークロックを出来ることが挙げられる。標準のTurbo Boostでは最大2コアが3.9GHzになるのに対して、本製品のオーバークロック機能は4コア全てが4.2GHzで動作するのだ。加えてGPUもパワーターゲットとクロックオフセットを変更することにより動作クロックが上昇、CPUとGPUトータルで性能をアップすることが可能だ。
通常これらの調整はそれなりに知識が必要だが、ボタン1つでオン/オフできるのは、オーバークロックのハードルが低くなりうれしい。
サイズは219×471×499mm(幅×奥行き×高さ)、重量約17.1kg。価格は499,800円(税別)。今どきのPCとしてはかなり高価と言えよう。ただ、ここまでくると完全に趣味の世界なので、気に入れば何でもありとなる。
アビーとコラボしたケースは高級感たっぷりで非常に美しい仕上げだ。これだけクオリティは高いケースは久々にお目にかかる。メタリックな赤いフチも雰囲気を盛り上げている。またゲーミングPCにありがちなライトアップ相当はないものの、内蔵している“GEFORCE GTX”のロゴがグリーン色で浮き上がって見えるのもワザとらしくなく好印象。
前面は上部に、マルチカードリーダ、USB 3.0×2、USB 2.0×2、マイク、ヘッドフォン、DVDスーパーマルチドライブ、HDDアクセスLED、電源LED、電源ボタン、オーバークロックボタンなど各ポートが集中。下側には512個の通気孔を設けることで、通気性を高めている。
背面は、上から順にUSB 2.0×2、PS/2、S/PDIF(コアキシャル×1、角型×1)、USB 3.0×2、Gigabit Ethernet、USB 3.0×2、音声入出力。拡張スロット部分にGeForce GTX 780 Tiが2基。
内部は中央にGeForce GTX 780 Ti 2基が陣取り、それだけでもかなりの迫力。上のドライブベイにSSDを2つ、下のドライブベイにHDDが取り付けられている。またCPUは水冷式なので、プロセッサ部分に大きなファンもなくコンパクトにまとまっている。
発熱や振動は試した範囲では気にならないレベルに抑えられている。ノイズに関しては、主にファンの音になるが、ノーマル時で少し気になり、オーバークロック時で負荷がかかると、それなりの音量となる。前面、背面、(写真からは分からないが)上面、電源、そしてGeForce GTX 780 Ti×2と、計6個のファンがあるので仕方ないだろう。
ノーマルでも爆速だが、オーバークロックでさらに加速!
OSは64bit版のWindows 8.1 Pro。メモリは32GBを搭載するうえ、ストレージはSSDのRAID 0構成なので、何をしてもストレスを全く感じない環境だ。なお今回はマシンの特性上、スタート画面やアプリ画面などは恐らく読者諸兄の興味の対象から外れていると思われるので、構成が分かる画面キャプチャとベンチマークテストを中心に掲載した。
インテル ラピッド・ストレージ・テクノロジーを使ったRAID 0の実態は「Samsung SSD 840 EVO 1TB」が2基使われている。C:ドライブのみの1パーティションで約1.85TBが割り当てられ、空きは1.75TB。D:ドライブは2TB/7,200rpm/キャッシュ64MBの「Seagate ST2000DM001」を搭載している。
DVDスーパーマルチドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GH24NSB0」、LANはゲーミング向けコントローラの「Killer E2200 Gigabit Ethernet Controller」。マルチカードリーダはUSB接続だ。
インストール済みのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「Fresh Paint」、「Hulu」、「NAVTIME、R25 for Windows8」、「じゃらん」、「ホットペッパーグルメ」、「ムビチケ」、「楽天gateway」など。
デスクトップアプリは、「CyberLink Media Suite」、「CyberLink PhotoDirector 4」、「インテル ラピッド・ストレージ・テクノロジー」、「G-Tune OC Boost」、「Killer Network Manager」、「ファイナルパソコンデータ引越し9 plus」、「マカフィーインターネットセキュリティ」。
Windowsストアアプリは同社ではお馴染みの構成。デスクトップアプリは、サイバーリンクやシステムツール系の構成となっている。「G-Tune OC Boost」は画面キャプチャからも分かるように、オーバークロックの状態を表示するツールだ。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2、3DMark、CrystalMark(4コア/8スレッドなので条件的に問題があり参考まで)の結果を見たい。全てSLIはオンにしている。カッコ内はオーバークロック時のスコアだ。またRAID 0構成のストレージ性能を見るためCrystalDiskMarkの結果も掲載した。
winsat formalの結果は、総合 8.5(8.5)。プロセッサ 8.5(8.5)、メモリ 8.5(8.5)、グラフィックス 8.6(8.6)、ゲーム用グラフィックス 8.6(8.6)、プライマリハードディスク 8.5(8.5)。PCMark 8 バージョン2は4648(5160)。3DMarkはIce Storm 157467(177903)、Cloud Gate 28184(31691)、Fire Strike 15108(16167)。
CrystalMarkは、ALU 89178(100720)、FPU 80060(89875)、MEM 98774(103003)、HDD 53926(56344)、GDI 24614(27446)、D2D 21601(23105)、OGL 47510(51764)。
winsat formalはオーバークロックの有無で値は変わらなかったものの、ほぼ8.5と高いポジションで平均している。対してPCMark 8 バージョン2、3DMark、CrystalMarkは全て速くなっているのが分かる。ALUは滅多に出ない10万オーバー。PCMark 8 バージョン2は、おそらくこの連載では初の5万オーバー。3DMarkは、多くのPCでは重くてコマ送りのような表示になるFire Strikeも楽々こなしていた。
オーバークロックオフで計測したSSD RAID 0のストレージ性能は、CrystalDiskMark Seq Read 1029:Write 924.0MB/sec、512K Read 756.1:Write 832.0MB/sec、4K Read 37.12:Write 97.99MB/sec、4K QD32 Read 617.8:Write 645.2MB/sec。こちらもかなり高いスコアだ。
いずれにしてもこれだけ高性能なPCなので何をしても快適に使うことができる。この速度をそのまま維持してコストを抑えたいなら、SSDとメモリの容量を調整するといいだろう。
以上のようにG-Tune「MASTERPIECE i1440PA1-SP-DOC-CL」は、Core i7-4770Kを搭載し、ボタン一発でオーバークロックが可能。そして、メモリ32GB、1TBのSSD×2台をRAID 0で搭載。さらに、GeForce GTX 780 Ti×2基をSLI接続したモンスターマシンだ。各ベンチマークテストも普通のPCではお目にかかることが出来ない爆速度。ゲームはもちろん、プロユースでのコンテンツ制作用途にもそのパワーは期待できる。
価格は499,800円(税別)と、今どきのPCとしては高額であるものの、そこは趣味の世界。この記事を見て「おっ!」と思った人にお勧めしたい1台と言えよう。