西川和久の不定期コラム
Lenovo「Miix 2 11」
~キーボードドック付の11.6型フルHDタブレット
(2014/4/28 14:05)
レノボ・ジャパンは4月22日、キーボードドックをセットにした11.6型フルHD液晶搭載の2-in-1タブレット「Miix 2 11」を発表し、5月下旬から発売を開始する。2013年末に品薄になるほどの人気となった「Miix 2 8」の大型版とも言える位置付けだけに、その仕上がり具合が気になるところ。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けする。
キーボードドックを標準搭載した11.6型タブレット
冒頭で触れたMiix 2 8は、8型IPS式1,280×800ドットの液晶、Bay Trail-TのAtom Z3740(1.33GHz)を搭載し、本体サイズ215.6×131.6×8.35mm(幅×奥行き×高さ)、重量350gで、価格は4.5万円前後(ストレージ容量とOfficeの種類による)の小型タブレットだ。価格や軽さが魅力で人気機種となった。
今回ご紹介するのはMiix 2 11。型番からも分かるように、Miix 2 8とはパネルサイズ違いだが、キーボードドックも付属し、2-in-1的に扱えるタブレットとなる。主な仕様は以下の通り。
Lenovo「Miix 2 11」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i3-4012Y(2コア4スレッド、1.5GHz、キャッシュ3MB、TDP 11.5W/SDP 4.5W) |
メモリ | 4GB |
ストレージ | SSD 128GB |
OS | Windows 8.1(64bit) |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4200、Micro HDMI出力 |
ディスプレイ | 光沢タイプIPS式11.6型フルHD(1,980×1,080ドット)、10点タッチ対応 |
ネットワーク | IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0 |
インターフェイス | USB 3.0×1、microSDカードスロット、音声入出力、前面200万画素/背面500万画素カメラ、キーボードドック側にUSB 2.0×2 |
センサー | 光センサー、加速度センサー |
サイズ/重量(本体) | 約302×190×11mm(同)/約800g |
サイズ/重量(ドッキング時) | 約302×204×18.6mm(同)/約1.35kg |
その他 | Office Home and Business 2013搭載 |
店頭予想価格 | 114,000円(税別) |
プロセッサはCore i3-4012Y。2コア4スレッドでクロックは1.5GHz。Core i3なのでTurbo Boostは機能しない。キャッシュは3MB、TDPは11.5W。SDP(シナリオ・デザインパワー)は4.5Wと、Bay Trail-Tの2Wとまでいかないものの省エネタイプだ。メモリは4GB、ストレージはSSDで128GBを搭載している。OSは64bit版のWindows 8.1。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4200。外部出力用として、Micro HDMIを装備。ディスプレイは、光沢タイプでIPS式11.6型のフルHD(1,980×1,080ドット)の液晶パネルを採用し、10点タッチ対応だ。
ネットワークは、有線LANは無く、無線LANとしてIEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0も搭載。その他のインターフェイスは、USB 3.0×1、microSDカードスロット、音声入出力、前面200万画素/背面500万画素カメラ。また、付属するキーボードドック側にUSB 2.0×2がある。センサーは光センサーと加速度センサーを搭載する。
本機独特の仕様としては、本体側のUSBを使った充電機能があげられる。付属のACアダプタは一見USBタイプにみえるが、本体に接続した場合に限り20V/2Aに、その他のデバイスへ接続した場合は5.2V/2Aに、と出力が切り替わる仕掛けが入っている。この関係でケーブルはUSB A-Aタイプの専用だ。なお、キーボードドック側の2つあるUSB 2.0ポートからは他の機器を充電できない。
本体のサイズは、約302×190×11mm(同)、重量約800g。キーボードドックとドッキング時は約302×204×18.6mm(同)で約1.35kgとなる。Office Home and Business 2013を搭載して、店頭予想価格は114,000円(税別)だ。できれば10万円を切って欲しかったところか。
これからも分かるように、型番こそ8か11の違いであるが、実体は性格の異なるタブレットで、Miix 2 11は、付属のキーボードドックと併用することで2-in-1として運用できる。
本体はタブレットそのもの。周囲のフレームに金属が使われ全体の質感も良い。厚さは11mmと薄めだが、重量が実測で約806gあるため、ズッシリ重い。キーボードドックの重量は584gで、合計1.39kgとなり、合わせるとノートPCと然程変わらない重さになってしまう。この点はバッテリ容量や強度などとのトレードオフになるため、バランスの取り方が難しい部分だ。
本体側、前面の中央上に200万画素カメラ、中央下にWindowsボタン。背面向って右上に500万画素カメラ、左側面に電源ボタン、microSDカードスロット、Micro HDMI、音声入出力、USB 3.0、右側面に音量±ボタン。両側面中央辺りの凹みにJBLのスピーカーがある。USB 3.0のコネクタは先に書いた通り、充電用も兼ねており、専用のACアダプタとケーブルを接続すると、20V/2Aの電力が供給される。
キーボードドックとのドッキングは、本体下側面にドッキングコネクタ、キーボードドックの凹みの中にあるコネクタで電気的に接続され、フレームの凹凸と磁石によって固定される。そのため液晶の角度は、掲載した写真以外の角度には調整できない。少し角度が足りない気もするが、この点は設置場所にもよるだろう。ドック側固定部分の両側面にUSB 2.0が1つずつ配置。
また液晶パネルを後ろ側にしてスタンドモードにすることも可能だ。この時、キーボードドック、下側にあるメッシュの部分にもJBLのスピーカーがあり、映像を観るときなど、非常に聴き易い状態でサウンドが手前に飛んでくる。
IPS式の11.6型液晶ディスプレイは、光沢タイプなので映り込みはあるものの、視野角も広く発色も良好。最高輝度は若干低目な感じがする。
キーボードは、たわみもなくしっかりとした作りで快適に入力可能だ。実測で主要キーのキーピッチは約19mm。ただし、一番上の段、[1]~[4]と[5]~[9]までのキーピッチが異なり、個人的には非常に違和感があった。11.6型のフットプリントがあるので、もう少し普通のレイアウトにして欲しかった。
タッチパッドは物理的なボタンが無い1枚プレートタイプで、パームレストも広く扱い易い。
発熱や振動、ノイズに関しては、試用した範囲では全く気にならなかった。筐体の面積が広いので十分対策が取れているのだろう。サウンドは単独時は物足らないものの、キーボードドック接続時にはレンジもボリューム感もグンと増す。動画や音楽を落ち着いて観たり聴いたりする時には、スタンドモードを使いたいところだ。
Bay Trail-Tとは一味違うパフォーマンス
OSは64bit版Windows 8.1。InstantGoには非対応だ。初期起動時のスタート画面は3画面(タイルを縮小して表示オンで2画面)、Lenovoアプリ以降がプリインストールとなる。デスクトップは壁紙の変更程度とオリジナルに近い状態。IMEは標準でBaidu IMEが入っている。
ストレージは128GBのSSD「SAMSUNG MZMTD128HAFV」が使われ、実質C:ドライブのみの1パーティション。約107GBが割り当てられ、空きは85.3GBある。Wi-FiおよびBluetoothモジュールはAtheros製だ。USB 3.0は「Intel USB 3.0 eXtensible Host Controller」ドライバが使われていた。
インストール済みのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「Camera Man」、「Evernote Touch」、「Lenovo Companion」、「Live TV」、「NeroKwik」、「Photo Touch」、「Support」、「Yoga Phone Companion」、「Zinio Reader」など。
一般的にありがちな(使いそうもない)アプリではなく、カメラ系とサポート系といった実際に必要なアプリを搭載しているのが印象的だ。
Camera Manは標準カメラアプリの機能拡張版的な位置づけで、フレームを追加したり、エフェクトをかけたりすることができる。シャッター音は「ガシャン」といった感じの機械的な音になっているので、音量が大きめに設定されていると驚く。
前半で触れなかったが、500万画素の背面カメラはAF搭載でスマートフォンの画面が大きく撮れるなどマクロにも強そうだが、ISO感度も低く、画質的には今一歩。作例は見送った。
デスクトップアプリは、「Microsoft Office」、「Kingsoft Office」、「Lenovo Energy Manager」、「Lenovo Motion Control」、「Lenovo Transition」、「Lenovo VeriFace Pro」、「マカフィーセントラル」など。Office系と同社のツール系で主に構成されている。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2、BBenchの結果を見たい。CrystalMarkのスコアも掲載した(2コア4スレッドで条件的には問題ない)。
winsat formalの結果は、総合 4.4。プロセッサ 6.2、メモリ 5.9、グラフィックス 4.6、ゲーム用グラフィックス 4.4、プライマリハードディスク 8。PCMark 8 バージョン2は1417。CrystalMarkは、ALU 22007、FPU 17581、MEM 15776、HDD 34145、GDI 6862、D2D n/a、OGL 2551。
Core i3だけあってBay Trail-Tより高性能。またSSDのアクセスも速く、全体的な動きも結構いい。メモリが4GBなので、タブレットで処理する範囲のアプリならストレス無く扱うことが可能だろう。
BBenchはキーボードドックに付けた状態で、省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、W-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で28,134秒/7.8時間。ただバックライト最少だとかなり暗いので、実際はもう少し短くなる可能性がある。
以上のようにMiix 2 11は、キーボードドック付きの11.6型フルHDタブレットだ。プロセッサがCore i3なので、Bay Trail-T搭載タブレットと比較すると性能は高い。またスタンドモードとJBLの前面スピーカーのコンビネーションでより迫力のある映像を楽しめる。
キーボードドックのキーピッチが一部変則的に狭く、この点は気になるものの、11.6型のタブレットとして考えるとうまくまとめられている。11型前後でエンタメ志向の2-in-1を探しているユーザーの候補になりえる1台と言えよう。