西川和久の不定期コラム

レノボ・ジャパン「IdeaPad S205」
〜AMD E-350を搭載した実売5万円前後のモバイルノート



 4月26日、レノボ・ジャパンからIdeaPad Sシリーズの新モデル「IdeaPad S205」が発表された。プロセッサとしてAMD E-350を搭載したモバイルノートPCだ。また3セルバッテリを採用し、重量を1.3kgに抑えるなど、少し変わったアプローチも面白い。量産試作機が送れらて来たので、試用レポートをお届けする。


●オーソドックスなAMD E-350搭載ノートPC

 同社のIdeaPad Sシリーズは、Atomプロセッサを搭載し10.1型液晶パネルの「IdeaPad S10-3」、「IdeaPad S10-3s」、「IdeaPad S10-3t」、12.1型液晶パネルの「IdeaPad S12」などが、ラインナップとして存在する。ただ現在、レノボショップで購入可能なのは「IdeaPad S10-3」のみだ。

 その後継機となるべく登場したのが、今回ご紹介するAMD E-350搭載「IdeaPad S205」となる。去年(2010年)までネットブックを支えていたAtomプロセッサの代わりとして、2011年はAMD E-350搭載ノートPCが増え出したわけだ。主な仕様は以下の通り。

【表】レノボ IdeaPad S205の仕様
CPU AMD E-350
(2コア/2スレッド、1.6GHz、キャッシュ512KB×2、TDP 18W)
チップセット AMD A50M FCH
メモリ 2GB(PC3-10600 DDR3-SDRAM 1066MHz)/2スロット空き1/最大8GB
HDD 320GB(5,400rpm)
OS Windows 7 Home Premium(64bit)
ディスプレイ 11.6型液晶ディスプレイ(光沢)、1,366×768ドット、
グラフィックス Radeon HD 6310(チップセット内蔵)、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン
ネットワーク Ethernet、IEEE 802.11b/g/n
その他 USB 2.0×3、6in1メディアスロット、
マイク入力/ヘッドフォン出力、Webカメラ
サイズ/重量 290×193×26.3〜30.6mm(幅×奥行き×高さ)/約1.3kg
バッテリ駆動時間 約3.1時間(3セル)
価格 5万円前後

 プロセッサはグラフィックス統合型のAMD E-350。2コア、1.6GHz、キャッシュ512KB×2、そしてTDPは18W。AMD64はもちろんのこと、仮想化技術のAMD-Vにも対応しているので、必要であればXP Modeを動かすことも可能だ。

 チップセットはAMD A50M FCH。このチップセットはUSB 3.0には対応していないが、SATA 6ポート全てが6Gbpsに対応している。メモリは2GB(2GB×1)を搭載。メモリスロットは2つあり1つ空き。最大8GBまでとなる。OSは64bit版Windows 7 Home Premium。

 グラフィックスはCPU内蔵のRadeon HD 6310。CPU内蔵タイプとしては強力なもので、DirectX 11にも対応。アプリケーション側の対応も必要だが、GPGPUのAMD APP(ATI Stream)も使え、動画のエンコードなどの高速化が望める。出力はミニD-Sub15ピンとHDMI出力を備える。液晶パネルは11.6型の1,366×768ドットで光沢タイプだ。

 ネットワークは有線LANが100BASE-TX、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。Gigabit EthernetやBluetoothは対応していない。

 その他のインターフェイスは、USB 2.0×3、6in1メディアスロット、マイク入力/ヘッドフォン出力、Webカメラなど。USB 3.0やBluetooth 3.0など新しいデバイスには非対応で、全体的にはオーソドックスな仕様と言えよう。

 サイズは290×193×26.3〜30.6mm(幅×奥行き×高さ)。重量約1.3kg。バッテリは3セルで最大約3.1時間。近年、一般的なバッテリは6セルが多いので、本機は半分の容量にして、重量を少し軽くしたことになる。あまり見かけないアプローチなので、これはこれで面白く、逆に考えると、それでもFusion APUだとそれなりに使えるということだろう。

 価格は5万円前後。去年までネットブックが陣取っていた価格帯をAMD E-350搭載ノートPCが占領するようになってきた。ハードウェアスペックの違いももちろんだが、Windows 7がStarterかHome Premiumかの差も大きく、使い勝手が随分違う。

トップカバーのデザインは「ダークパープル」。ブラックに近い雰囲気だ 正面は左側にHDDアクセスLEDなど、インジケータ系が並ぶ 底面。HDDやメモリへ簡単にアクセスできる小さいパネルは無く、一面がパネルに覆われている。手前左右2つのメッシュにスピーカーがある
左側面に電源コネクタ、ミニD-Sub15ピン、USB 2.0×1、6in1メディアスロットを備える アイソレーションタイプのキーボード。[Enter]キーが小さいのが気になる 右側面。Ethernet、ロックポート、USB 2.0×2、HDMI出力、無線ON/OFF、マイク入力、ヘッドフォン出力
キーピッチは実測で約19mm 重量は実測で1,350g ACアダプタのコネクタはミッキータイプ、バッテリは3セルと小型だ

 トップカバーのデザインは「ダークパープル」。空から見た都市の地図をモチーフとしたデザインとなっている。ただあまり模様は目立たず、パッと見た感じは光沢ブラックのようにも見える。他の部分は、液晶パネルのフチ以外は割りとザラザラした感触で、指紋などが目立たない。

 光沢タイプの11.6型液晶ディスプレイは、明るく派手目な発色で写真や動画などが映える。視野角は上下が左右より狭い。価格帯を考えると割りとしっかりした映りだ。最近、このクラスのノートPCに搭載している液晶パネルのクオリティは上がる一方で、ユーザーにとっては嬉しい限りだ。

 パームレストやタッチパッドの面積は、ボディサイズ上少し狭いものの、使い辛いサイズではない。タッチパッドは段差があり、表面には細かいドットでザラザラしている。ボタンは2ボタンタイプだ。

 キーボードはアイソレーションタイプでキーピッチは約19mmを確保しているため、特に問題無く入力できる。ただ[Enter]キーが小さく、この点だけが気になった。たわみに関しては若干あるものの筆者的には許容範囲内だ。

 発熱やノイズはこのクラスとしては一般的だが、HDDの振動がパームレスト全体に感じられた。

 本体下側の左右に配置されたスピーカーは、その位置から机などへ音を反射させるタイプ。サイズ的に低音は望めないが、中域を中心に割りとヌケの良い音だ。最大出力は十分とは言えないまでも、近距離で聴くなら特に問題にならないだろう。

●コストパフォーマンスの高いグラフィックス

 OSは64bit版Windows 7 Home Premium。メモリが2GBでRadeon HD 6310とメモリを共有するため実質1.6GBと、Windows 7を動かすには少々不足気味だ。できれば4GBとしたいところだが、裏パネル全体を外す必要があるので、増設は少し難易度が高い。

 HDDは、320GB/5,400rpm/キャッシュ8MBの「WD32 00BPVT」を搭載。C:ドライブ約254GB、D:ドライブ29GBの2パーテーションで、初期起動時C:ドライブの空き領域は約237GB。また、D:ドライブには、ドライバやアプリケーションなどのセットアップ・プログラムが入っている。

OSは64bit版Windows 7 Home Premium。Radeon HD 6310と共有なので実質1.6GBのメモリとなる デバイスドライバ/主要なデバイス。HDDはWD32 00BPVT。320GB/5,400rpm/キャッシュ8MB。Fusion APUを使用したノートPCとしては標準的な構成だ HDDのパーテーションはC:ドライブ約254GB、D:ドライブ29GBの2パーテーション

 プリインストールアプリケーションは、「Adobe Reader 9.0」、「Microsoft Windows Live Toolbar & Search」、「YouCam3.0」、「McAfee VirusScan Plus (60日間)」、「i-フィルター 5.0」、「ReadyComm 5.1」、「Lenovo VeriFace 認識 4.0」、「OneKey Rescue System 7.0」、「Lenovo Energy Management Software 6.0」など、最近同社のノートPCとしてはよくある構成だ。

 ここでいつもなら一覧からあえて外しているAdobe Reader 9.0を今回入れたのには理由がある。初期状態のままデスクトップ上にある「ユーザーガイド」をクリックしても、「Adobe Readerをインストールするように」との警告が出るだけで、何も表示しなかったからだ。

 ユーザーガイド自体はPDFで書かれており、このこと自体は問題無いものの、Adobe Readerはセットアップ・プログラムがD:ドライブに入っているだけで、インストールはされていない。ショートカットも何も無いため、D:ドライブ/Application/Adobe_Reader下のセットアッププログラムを起動する必要があり、初心者にはハードルが高い。「ユーザーガイド」を初めて起動した時、Adobe Readerが無かった場合は、「Adobe Readerをインストールしますか」とインストールプログラムを起動する方がより親切だろう。

 Lenovo EE Boot Optimizerは、起動時間を短縮するためのプログラムだ。実際に試してみたところチューニング前が53秒、チューニング後が48秒なので、5秒起動が早くなったことになる。5秒も違えば体感的にもわかるため、効果は認められると言えよう。

Lenovo EE Boot Optimizer(チューニング前は53秒) ユーザーガイド ハードディスク・アクティブプロテクション・システム

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 3.8。プロセッサ 3.8、メモリ 5.5、グラフィックス 4.2、ゲーム用グラフィックス 5.7、プライマリハードディスク 5.9。プロセッサはクラス並みだが、グラフィックスの性能はCPU内蔵型として特筆に価する。逆にプロセッサはバランスを考えると、せめてスコア4が欲しいところか。この辺りのバランスの悪さは、プロセッサ性能に対してグラフィックス性能が高過ぎるAMD E-350固有のものだ。

 CrystalMarkは、ALU 10599、FPU 9590、MEM 7622、HDD 10124、GDI 4134、D2D 2172、OGL 9170。以前ご紹介した「HP Pavilion dm1-3000 Notebook PC」と、HDD以外はほぼ同じ値だ。特にOGLの高いパフォーマンスが特徴的と言えよう。

 BBenchは、「Energy Management」の「スーパー省エネルギー」モード、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ONでのBBenchの結果。バッテリの残2%で10,443秒(2.9時間)。仕様上は最大3.1時間なので、ほぼスペック通りとなった。バッテリが3セルなので仕方ない部分だ。仮に倍の6セルなら6時間近く動くことになる。

 YouTubeに関しては、最新版のFlash Player 10.2+IEと、Google Chrome(Flash Player内蔵)で試したところ、どちらも1080pまでコマ落ち無く30fps再生可能だった。Fusion APUが出た直後は、ドライバとFlash Playerのバージョンの組合せによっては、コマ落ちが発生していたものの、現在では落ち着いたようだ。これなら安心して使用できる。このクラスのノートPCで1080pがスムーズに再生できるとは、良い時代になったものだ。

Windows エクスペリエンス インデックスは総合 3.8。プロセッサ 3.8、メモリ 5.5、グラフィックス 4.2、ゲーム用グラフィックス 5.7、プライマリハードディスク 5.9 CrystalMarkは、ALU 10599、FPU 9590、MEM 7622、HDD 10124、GDI 4134、D2D 2172、OGL 9170 BBench。「Energy Management」の「スーパー省エネルギー」モード、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ONでのBBenchの結果。バッテリの残2%で10,443秒(2.9時間)

 以上のように「Lenovo IdeaPad S205」は、AMD E-350を搭載しグラフィックスが強力、そして実売5万円前後と非常にコストパフォーマンスに優れた11.6型ノートPCだ。

 ただ有線LANが100BASE-TX、3セルバッテリ、そしてメモリ2GBと、それなりに割り切った仕様になっている。限られた予算で、ネットが中心で、なおかつHD動画もバリバリ再生したいユーザーにお勧めの1台と言えよう。