西川和久の不定期コラム

エプソン「Endeavor NY2000」
~14型液晶パネルを搭載した少し小ぶりのノート



 エプソンは11月に15.6型液晶パネルを搭載した「Endeavor NY3000」をリリースしたが、一回り小さい14型液晶パネルを搭載した「Endeavor NY2000」が本日発表された。この1.6型の差がどれだけ違うのか興味のあるところだ。さっそく試用レポートをお届けする。


●意外と差が出る14型

 冒頭に書いたように、従来モデルであるNY3000は、15.6型の液晶パネルを搭載し、サイズ378×253×37.5mm(幅×奥行き×高さ)で重量約2.6kgだった。1,366×768ドットの場合、15.6型の大きさが標準的なので、特に他社と比較してフットプリント的にはあまり変わらないものの、持ち歩くには若干大きく重い。

 そこで液晶パネルのサイズを14型とし、コンパクト化を計ったのが、このNY2000となる。結果、NY3000と比較してフットプリントが約15%、重量500gの軽量化となった。今回使用した上位モデルの主な仕様は以下の通り。

【表】Endeavor NY2000仕様
CPUCore i5-460Mプロセッサ(2コア/4スレッド、
2.53GHz/Turbo Boost 2.8GHz、キャッシュ3MB)
チップセットIntel HM55 Express
メモリ4GB(PC3-8500 DDR3)/2スロット空き0
HDD250GB(5,400rpm)
光学ドライブDVDスーパースリムマルチドライブ
OSWindows 7 Professional(32bit)
ディスプレイ14型あざやか液晶ディスプレイ(光沢)、1,366×768ドット
GPU内蔵Intel HD Graphics、ミニD-Sub15ピン/HDMI
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n対応無線LAN
その他USB 2.0×3(内1つはeSATAと併用)、カードリーダ、音声入出力
サイズ/重量340×240×22.8~33.6mm(幅×奥行き×高さ)/約2.1kg
バッテリ駆動時間
約4.3時間
価格75,180円(2011年1月11日17時までのWebクーポン適用で
7,350円引きの67,830円)

 CPUはCore i5-460Mプロセッサ。2コア/4スレッド、クロックは2.53GHzでTurbo Boost時は2.8GHzまで上昇する。キャッシュは3MB。チップセットはエントリークラスのノートPCで一般的なIntel HM55 Expressを使用している。メモリは2スロットあり、2GB×2の計4GBが搭載済みだ。HDDは5,400rpmの250GBが使われている。光学ドライブはDVDスーパースリムマルチドライブを搭載。

 OSは32bit版のWindows 7 Professionalが使われている。主にビジネス用途で互換性の問題を考慮し、32bit版になっていると思われるが、4GBのメモリをフルに使えないため、64bit版のオプションも欲しいところ。

 GPUはCPU内蔵のIntel HD Graphics。1,366×768ドットの14型あざやか液晶ディスプレイ(光沢)に加え、外部出力にミニD-Sub15ピンとHDMIも搭載している。前者はビジネス用途でプロジェクター用、後者は液晶TV用で良く使われるため、2つ共搭載しているのはポイントが高い。

 ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANはIEEE 802.11b/g/n。安価なモデルでは有線LANが100BASE-TXまでになっているケースが多く、GbE対応は評価できる。

 その他のインターフェイスは、USB 2.0+eSATAコンボ×1、USB 2.0×2、カードリーダー、音声入出力となっている。

 またNY2000は、CPU/メモリ/OSの違いで2つのパッケージが用意されている。1つは今回ご紹介している、「Core i5-46M/32bit版Windows 7 Professional/2GB×2」、もう1つは、「Celeron P4600(2コア/2スレッド、2GHz、キャッシュ2MB)/32bit版Windows 7 Home Premium/2GB×1」(55,230円/Webクーポン使用で7,350円引きの47,880円)となる。液晶パネル、250GBのHDD、スーパースリムマルチドライブ、IEEE 802.11b/g/nの無線LANなどは共通仕様だ。

天板。ヘアライン仕上げのブラックで指紋跡が目立たない正面。左側にカードリーダがある底面。ネジを外してパネルをあければ、簡単にHDDやメモリへアクセスできる
左側面。電源コネクタ、Gigabit Ethernet、ロックポート、ミニD-Sub15ピン、HDMI、USB 2.0+eSATAコンボキーボード。右上[電源]ボタンの横にあるのが、[電源プラン切替]ボタン。押すと、超省電力モード/省電力モード/バランスモード/高性能がトグルする右側面。音声入出力、USB 2.0×2、DVDスーパーマルチドライブを備える
キーピッチは実測で約19mmACアダプタ、バッテリ。ACアダプタのコネクタはメガネタイプ。比較的小型だ
NY3000との比較幅が約3.8cm、奥行きが1.3cm違うため、NY2000が意外と小さく見える。また持った感じはNY3000は大きくそしてズッシリ重い

 天板はヘアライン仕上げの黒、ボディツヤ無しブラック、そしてフチはシルバーと、いたってシンプル。業務用途はもちろん、ホビーで使ってもどこにでも馴染む。サイズ340×240×22.8~33.6mm(同)、重量約2.1kgは、15.6型のNY3000と比較して、写真からもわかるように数値の違い以上に小さく感じ、持った時に受ける印象も随分異なる。個人的には1,366×768ドットの液晶ディスプレイの場合、14型の方が間延びせず、文字サイズなどもすっきりして好みだ。

 その14型液晶パネルは「14型あざやか液晶ディスプレイ」(光沢)が使われている。文字通りハイコントラストで彩度も高く、見栄えする映り。色温度もちょうど良く、写真を見ても動画を見ても青過ぎず、ナチュラルなバランスで表示する。やや上下の視野角が狭いが、なかなか優秀なディスプレイと言えよう。

 キーボードは一般的なセパレートタイプだ。NY3000にあったテンキーは無い。キーストロークは若干深めだが、軽い感じなので指に負担はかからない。また同社固有の[Fn]キーと[Ctrl]キーを入れ替えできる仕掛けも健在。好みに応じてどちらをどちらにするか設定可能となっている。キーピッチは実測で約19mm確保され、癖のある配置や妙に狭いキートップなども無く、快適に入力可能だ。

 タッチパッドとパームレストは、ボディサイズがそれなりにあるため十分スペースが確保され通常使用では問題無く、更に表面がマット塗装で指紋跡などが目立たなくなっている。ボタンは1本バー式のタイプだ。クリック感がしっかりあり、と言って重過ぎず、バランスが取れている。

 ノイズや振動、熱などは、特に感じず良好だ。ただスピーカーの最大音量が小さめで、そして低域がほとんど出ていないのが気になった。液晶パネルの映りがいいだけに、動画などを観る場合、迫力不足になりそうだ。

●Core i5搭載機としては標準的な性能

 デスクトップには同社でお馴染みの初期設定ツール、お役立ちナビなどのショートカットが左側に並んでいる。ただ32bit版のWindows 7 Professionalなので、4GBフルにメモリが使えないのは残念なことろ。

 HDDは250GB/5,400rpm/キャッシュ8MBの「ST9250315AS」が、光学ドライブはDS8A5SHが使われている。パーティションはC:ドライブ約230GBの1つが割当てられている。デバイスマネージャを見ても特殊なものは無く、Intel HM55 Expressを使ったオーソドックスな構成となっているのがわかる。

起動時のデスクトップ。OSは32bit版Windows 7 Professional。左側には同社固有の初期設定ツール、お役立ちナビなどのショートカットが並ぶデバイスドライバ/主要なデバイス。HDDはST9250315AS(5,400rpm/キャッシュ8MB)、光学ドライブはDS8A5SHが使われているHDDのパーテーション。C:ドライブとしてがワンパーティション。約230GB割当てられている

 プリインストールされているアプリケーションは、「PCお役立ちナビ」、「リカバリーツール」、「初期設定ツール」、「マカフィー・PCセキュリティセンター 90日期間限定版」、「i-フィルター 5.0 1カ月試用版」、「Nero StartSmart Essential」、「InterVideo WinDVD for エプソン」など。

 加えて「仮想デスクトップ」、「XP Mode」(ただしモジュールが入っているだけでセットアップは必要)もインストール済みだ。前者は用途に応じて複数のデスクトップを切り替えて使え便利、後者はお馴染みの仮想マシン上で動くまるまるWindows XP。アプリケーションの互換性などの問題でWindows 7では動かなかった場合に切り札となる環境だ。

PCお役立ちナビXP Mode仮想デスクトップ

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.7。プロセッサ 6.6、メモリ 7.2、グラフィックス 4.7、ゲーム用グラフィックス 5.2、プライマリハードディスク 5.8。メモリが少し高いスコアだが、全体的には、Intel HM55 Express、そして5,400rpmのHDDを搭載しているノートPCとしては平均的。とは言え、このスコアであれば3Dの重たいゲームでもしない限り、実際操作しても特に何かが遅いと感じることは無い。

 CrystalMarkは、ALU 34654、FPU 33579、MEM 25019、GDI 8567、D2D 1990、OGL 2282。バランス的にグラフィックス系が弱いものの、内蔵Intel HD Graphicsなので妥当な線だろう。

 BBenchは、超省電力モード、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ONでの結果だ。バッテリの残5%で12,564秒(3.5時間)。省電力モードでもテストしたが、この範囲の使い方では差があまり出なかった。

 超省電力モードは、右上[電源]ボタンの横に[電源プラン切替]ボタンがあり、これを押すことによってワンタッチで超省電力モード/省電力モード/バランスモード/高性能の4つのモードを切り替えることができる便利なボタンとなっている。

Windows エクスペリエンス インデックスは総合 4.7。プロセッサ 6.6、メモリ 7.2、グラフィックス 4.7、ゲーム用グラフィックス 5.2、プライマリハードディスク 5.8CrystalMark。ALU 34654、FPU 33579、MEM 25019、GDI 8567、D2D 1990、OGL 2282BBench。超省電力モード、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ONでのBBenchの結果。バッテリの残5%で12,564秒(3.5時間)

 以上のようにNY2000は、NY3000と比較してフットプリントが15%省スペース、重量も500gほど軽くなっている。またWebクーポンを使えばCore i5モデルでも6万円代とコストパフォーマンスは高い。派手さは無いものの、手堅く作られたノートPCと言えよう。