西川和久の不定期コラム

A3&Ethernet付きで2万円を切る
カラーインクジェット「HP Officejet 7000」



 激安のカラーインクジェットプリンタ第2弾は「HP Officejet 7000」の登場だ。A3対応、Ethernet搭載で19,950円という驚きの価格! 9月11日に発売となった。筆者自体、A3機を使うのは実に5年ぶりなので、その進化なども気になるところ。その使い勝手などご紹介する。

Text by Kazuhisa Nishikawa

●A3対応で19,950円の仕様

 少し前に同社のA4機、「HP Officejet 6000」の記事を掲載したが、今回の「HP Officejet 7000」は、そのA3機に相当するモデルとなる。特徴としては、まず「安い」こと。A4機が9,870円に対して19,950円と約1万円アップしただけ。もちろん冒頭に書いた通りEthernet付きだ。また、ランニングコストもA4 1枚「約7.6円」と低い。そして4色独立インクで「黒インクは顔料」、大容量インクも搭載可能となっている。普通紙でもにじみが少ない顔料インクはビジネス用途では重要なポイントとなる。大容量前面給紙トレイは「150枚収納可能」だ。

 下表が、本機の主な仕様となる。A4機のHP Officejet 6000と比較してサイズが大きい部分での違い以外で異なるのは印刷速度だ。モノクロ:最高32ppm、カラー:最高31ppmに対してモノクロ:最高33ppm、カラー:最高32ppmと、若干であるが速くなっている。いずれにしても1分間に30枚以上印刷可能と高速な印刷が可能だ。

主な仕様
インクシステム 4色独立インク
インク種類・ノズル数 K:顔料系720ノズル、C/M/Y:染料系 各672ノズル
給排紙方式 前面給排紙
プリント解像度 最高4,800×1,200dpi
プリント速度 モノクロ:「最高33ppm」、カラー:「最高32ppm」
自動両面印刷 非対応
種類 普通紙、インクジェット専用紙、フォト用紙、専用OHPフィルム、カード、郵便はがき、インクジェット郵便はがき、封筒、アイロンプリント紙など
サイズ 「A3+」、「A3」、A4、リーガル、レター、エグゼクティブ、A5、A6、「B4」、B5、封筒(長形3号、長形4号、「角型2号」)、はがき、往復はがき、10x15cm、L判、2L判、カスタム用紙設定(76.2×127.0〜「330.2×1117.6」mm)など
給紙容量 普通紙「150枚」、フォト用紙40枚、カード40枚、封筒15枚
排紙容量 最高「100枚」
搭載メモリ 32MB
インターフェイス USB 2.0(High Speed)、100Base-TX/10Base-T LAN
動作音 標準印刷時:「56dB(A)」、最速印刷時:「63dB(A)」
サイズ/重量 574×402×181mm(幅×奥行き×高さ)/質量7kg
※「」内はOfficejet 6000とサイズ重量以外で違う部分

 外観はオールブラック。部分的に「ツヤあり」と「ツヤ無し」でアクセントを付けている。ただ価格のこともあり、特別高級感があるわけでなく、更に各面の面積が広くなるので、少し厚みが薄い感じがする。またツヤあり黒の部分は指紋あとが目立つ。多分デザイン的にはOfficejet 6000と同様に、白と黒の2色にした方がいいのだろうが、白だと膨張色なので大きく見えてしまう。従って全て黒にしたのだろう。

 サイズは574×402×181mm(幅×奥行き×高さ)。さすがに大きい。しかしA3機なので、これは仕方ないところ。対応紙としてA3+、A3、B4、封筒(角型2号)など、扱えるサイズが増えている。本体の重量は7kg。これは数字だけ見ると重そうに思えるが、実際持ち上げてみると、見た目よりはるかに軽く感じる。

 前面給紙トレイは、Officejet 6000の250枚から150枚へ減っている。これは大型になったことによる、構造的な問題だと思われる。ただし、排紙容量は、最高100枚と50枚増えている。つまり連続100枚までの印刷は、そのまま積み上げられるため、運用上は十分だろう。

 リアはフラットになっているものの、実際は電源コネクタやUSBケーブル、ネットワークケーブルがあるので、壁などとは少し離して設置する必要がある。

箱を開けたところ。梱包サイズは677×500×270mm(同)、11.6kg。結構ザックリ入っているのが印象的だ フロントにコネクタ類は無い リアはUSB、Ethernet、電源入力と、右側にコネクタが集中している
普通紙150枚入る前面給紙トレイ。下に出ているトレイは、A3紙の時、給紙トレイからはみ出るので、必要に応じて引っ張り出す 付属品はヘッド、インク、ACアダプタ、各種ケーブル、CD-ROM、簡易マニュアル

●セットアップ/ハードウェア

 ハードウェアのセットアップは、Officejet 6000や多くのインクジェットプリンタと同様、ヘッドを取り付け、インクをセット、ヘッドクリーニング、テストパターン印刷となる。簡易マニュアルには12分と書かれていたが実際は10分足らずだった。また、テストパターン印刷時は、A3用紙を用意する必要は無く、A4紙1枚でよい。

 インクはOfficejet 6000と同じ、「HP920 インクカートリッジ 黒 (CD971AA)」、「HP920XL インクカートリッジ シアン (CD972AA)」、「HP920XL インクカートリッジ マゼンタ (CD973AA)」、「HP920XL インクカートリッジ イエロー (CD974AA)」となる。同梱の黒インクは標準サイズであるが、別売で大容量版「HP920XL インクカートリッジ 黒 増量 (CD975AA)」が用意されている。

ヘッド取り付け前。A3機なのでボディは大きいものの、ヘッドはA4機と同じだ ヘッド取り付け後。使用インクはOfficejet 6000と同じ。黒インクだけ大容量化できる
インクカートリッジ装着中。黒インクの周囲だけ余裕があるのが分かる。大容量版は「HP920XL インクカートリッジ 黒 増量 (CD975AA)」となる テストプリント終了。簡易マニュアルに書かれている数字は12分だが、実際は10分で終了した

●セットアップ/ソフトウェア

 ソフトウェアのセットアップは付属のCD-ROMから行なう。対応しているOSは、Windows 2000/XP/Vista、Mac OS X 10.4.11以降。Mac OSに関してはIntel CPUだけでなく、PowerPCも対応だ。間違いなく動くとは思うものの、この時期の発表/出荷であれば、Windows 7対応も明記して欲しかった。

 今回もUSB接続で試したが、Officejet 6000の時必要だったOSの再起動は今回は発生せず、セットアップ直後にHPソリューションセンターが起動した。何か部分的に違うのだろうか。いずれにしても非常に簡単なので、特に間違うような部分は無い。主にビジネス用途のモデルと言うこともあり、オマケ的なアプリケーションは一切インストールされない。

 なお、キヤノンMP990発表の時にあった「Webページを見たままに印刷出来る機能」は、同社の場合以前から「HP Smart Web Printing」として用意されている。必要に応じてダウンロードすればよい。

付属のCD-ROMからセットアップ。今回、推奨インストールでのセットアップを行なった ここで接続方法を選択する。USB接続を選択
ドライバなどをインストールして終了。USBで使うドライバなどを含め、必要なソフトウェアがインストールされる ひと通りインストールが終わると「HPソリューションセンター」が起動。HPユーザーにとってはお馴染みの画面だ

●使用感

 使用した環境及びデータは違いが分かるよう、Officejet 6000と全く同じものとした。OSはWindows XP、CPUはAtom 230プロセッサ/2GB、テキストはPDF、写真はNikon D2Xで撮ったものだ。結論から書くとA3に対応している以外、速度や印刷クオリティなどに違いは無かった。

 ただ以前から指摘している、ノイズや横揺れに関しては、ボディが大きい分、共振しやすくなるのか、さらに大きくなった感じがする。実際スペックにはOfficejet 6000の「標準印刷時:51dB(A)、最速印刷時:55dB(A)」に対して「標準印刷時:56dB(A)、最速印刷時:63dB(A)」と書かれている。深夜の自宅で印刷するのはちょっと躊躇しそうなレベルだ。去年のインクジェット複合機から筆者は書いているが、同社のインクジェットプリンタは、この点さえ国産機並みになれば格段に良くなると思えるだけに残念な部分だ。

 普通紙への通常印刷はなかなか良好だ。特にカラー部分は染料系のインクにも関わらず、乾きが早くにじみも思ったほど出ない。更に色乗りは良くコントラストも高い。顔料インクである黒と比較しても遜色無い雰囲気だ。エコノミー印刷は、ご覧のようにかなり色は薄く、文字が擦れ気味であるものの、その速度やインクの消費量を考えた場合、用途に応じて使い分けたいモードだ。そして印刷終了時に用紙が飛び出すところまでOfficejet 6000と同じだった。

カラー印刷(通常印刷)Officejet 6000と同じ素材でテスト。仕上がりもかかる時間もほぼ同じだ
カラー印刷(エコノミー印刷)。色が薄くなり、文字が擦れ気味であるが、十分許容範囲。印刷終了時に用紙が飛び出すところも同じだ

 黒インクのみのモノクロ印刷は非常に優秀だ。顔料インクの良さが出ている。全カラーを使ったモノクロ印刷は、無駄に各色を消費するため、黒のみでこれだけ表現できるのであれば積極的に使いたい。

 純正の光沢L判紙を使った写真の印刷も良好だ。パーソナルでも業務でも一般的な用途であれば十分なクオリティを得られる。

モノクロ印刷(黒インクのみ)。カラーインクを使わず、黒インクのみでのモノクロ印刷でも十分グレーが出ている
写真の印刷。純正のL判用紙を使った。十分写真クオリティーが得られる

 さて、久々のA3紙への印刷は主に普通紙を対象に行なった。素材はPDF、PowerPointなど、ビジネス用途系のものだ。動画を撮影したのでその速度をご覧頂きたいが、エコノミー印刷とは言え「A3でこの速度か!」と、驚くほど速い。が、反面「とてもうるさい」。速度に関しては筆者の所有していた5年前の機種だと写真クオリティの場合、1枚分単位だったことを考えると爆速だ。これが2万円を下回る価格のプリンタで実現できるのだからコストパフォーマンスは抜群だろう。

【動画】カラー印刷(エコノミー印刷)の様子。ノイズと左右の揺れは相変わらずだ。机ごと横揺れしているのが分かる

 基本的にはA4機のOfficejet 6000がほぼそのままA3対応になったHP Officejet 7000。印刷速度も速く、黒インクは顔料インク&大容量と、ビジネスに十分耐えれるスペックに仕上がっている。しかも価格は19,950円。ノイズと揺れは気になるものの、検討に値する1台と言えよう。

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