西川和久の不定期コラム
ASUS「VivoBook K540LA」
~Core i7を搭載で8万円を切る15.6型ノートPC
2016年8月23日 06:00
株式会社テックウインドは7月20日、ASUSのCore i7搭載15.6型2スピンドルスタンダードノートPC「VivoBook K540LA」の販売を開始した。税別8万円を切るハイコストパフォーマンス機だ。実機が編集部から送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
オーソドックスでハイパワーの2スピンドルノートPC
今年(2016年)も、もう折り返し地点を過ぎて後半戦に突入しているが、これまでにご紹介したノートPCを振り返ると、15.6型の割合が意外と多い。個人的には11型前後が好みなので、所有したことのないクラスとなるものの、取引先のデスクの上はほとんどが15.6型だったりする辺り、一定の需要があると思われる。
プロセッサはエントリー向けからワークステーション向けまで幅広く、パネル解像度もさまざま、またフットプリントが広いため、光学ドライブも搭載可能など、用途や予算に応じて選べる幅が広いのも、15.6型ノートPCの魅力の1つとなっている。
そのような中、今回ご紹介するASUS「VivoBook K540LA」は、15.6型HDパネルにCore i7、8GBメモリ、500GB HDD、DVDスーパーマルチドライブを搭載した2スピンドルノートPCだ。主な仕様は以下の通り。
仕様 | ASUS「VivoBook K540LA」 |
---|---|
プロセッサ | Intel Core i7-5500U(2コア/4スレッド、クロック2.4GHz~3GHz、4MBキャッシュ、TDP 15W) |
メモリ | 8GB/DDR3L-1600 |
ストレージ | 500GB HDD |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 10 Home |
ディスプレイ | 15.6型(光沢)、1,366×768ドット、タッチ非対応 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 5500、HDMI×1、ミニD-Sub15ピン×1 |
ネットワーク | Ethernet、IEEE 802.11n対応無線LAN、Bluetooth 4.0 |
インターフェイス | USB 3.1 Type-C×1、USB 3.0×1、USB2.0×1、30万画素Webカメラ、SDカードスロット、音声入出力 |
バッテリ駆動時間 | 約3.5時間(3セルリチウムイオンバッテリ) |
サイズ/重量 | 381.4×251.5×27.2mm(幅×奥行き×高さ)/約1.9kg |
価格 | 税別79,800円 |
プロセッサはIntel Core i7-5500U。2コア4スレッドでクロックは2.4GHzから最大3GHz。キャッシュは4MB、TDPは15W。第5世代のモバイル用Core i7としては、一番下位のSKUとなる。メモリはDDR3L-1600で8GBを搭載。4GBでは結構ストレスがあるので、標準構成で8GBはポイントが高い。OSはWindows 10 Home(TH2)。
ストレージは500GBのHDD。光学ドライブとしてDVDスーパーマルチドライブを内蔵。プロセッサがCore i7なだけに、ストレージがHDDなのは残念な部分だ。コストとの兼ね合いもあるのだろうが、最近はSSDも安価になっていることもあり、100GBクラスで構わないのでSSD搭載モデルも用意して欲しかったところだ。
ディスプレイは15.6型で、光沢ありのHD解像度(1,366×768ドット)パネルを採用。タッチには非対応だ。解像度がフルHD(1,920×1,080ドット)でないのは、価格を考えれば仕方のない部分だろう。後述するが、パネルの発色は良い。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 5500。外部出力インターフェイスとしてHDMI、ミニD-Sub15ピンの2つを備えている。
ネットワークは有線LANがEthernet、無線LANがIEEE 802.11n。先のHDDに続き、Gigabit Ethernet非対応なのはマイナスポイントだ。なお、Bluetooth 4.0にも対応している。
そのほかのインターフェイスは、USB 3.1 Type-C、USB 3.0、USB 2.0、30万画素Webカメラ、SDカードスロット、音声入出力。USB 3.x系の一方がType-Cで、HDDやEthernetの採用とは異なり、最近のトレンドを追っている。
サイズは381.4×251.5×27.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.9kg。3セルリチウムイオンバッテリを内蔵し、バッテリ駆動時間は最大約3.5時間。
価格は税別79,800円で、Core i7を搭載した15.6型2スピンドルスタンダードノートPCとしては、コストパフォーマンスが高いと言えよう。
筐体はトップカバーとキーボード周辺がシルバー、そのほかはブラックと、用途や設置場所を選ばないデザインだ。プラスチックなので高級感は無いものの、チープと言うほどでもない。重量が2kg近くあるので、持ち上げるとズッシリと重いが、これもクラスを考慮すれば標準的だ。
前面は、パネル中央上に30万画素Webカメラ。正面左側にステータスLED、その下にSDカードスロット。左側面に電源入力、USB 3.1 Type-C、Ethernet、ミニD-Sub15ピン、HDMI、USB 3.0、USB 2.0、音声入出力。右側面にロックポート、DVDスーパーマルチドライブを配置。
裏は大きいパネル1枚で覆われ、メモリやストレージにアクセスできるようなパネルは無い。また15.6型としては珍しく、バッテリは内蔵で着脱できない。ディスプレイ系のコネクタが手前気味なので、接続時、ケーブルが煩いこともあるだろう。
付属のACアダプタは、サイズが約63×63×27mm(同)、重量161gと少し大きめ。プラグの部分は折り畳めず、カバンに入れる時などは少しかさばるかも知れない。
15.6型HD解像度のパネルはppiが低いため、少しジャギー気味なのは仕方ない部分だが、明るく、コントラストも良好。発色も安価なモデルにありがちな原色系が地味にならず派手な感じで好印象だ。ただし、IPSパネルでないため視野角は少し狭い。とは言え、一般的な使用では問題ないレベルに収まっている。
キーボードは10キー付きのアイソレーションタイプ。キーは若干ペコペコしていて軽めだ。キーピッチは多くが約19mm。右側の[.]キー、[]キー、[/]キーなどが狭くなっている。電源ボタンがキーと同じ並びの一番右上にあるため、初めて開けた時、少々探してしまった。タッチパッドは物理的なボタンが無い1枚プレート型。十分な広さが確保され、クリックも軽めだ。
ノイズや振動、発熱は、試用した範囲では気にならないレベルだった。サウンドは、キーボードとパネルの間にあるメッシュ部分にスピーカーが埋め込まれており、音がダイレクトに耳へ届くのでクリア。カマボコレンジだが、低音から高音までそれなりに聴こえ、最大時はかなりの迫力があり、このままで十分音楽や動画を楽しめる。
Core i7なだけにSSDが欲しいところ
OSは64bit版のWindows 10 Home。Anniversary Updateを適応する前のTH2だった。初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は1面。ASUSグループ以降がプリインストールとなる。デスクトップは、壁紙の変更と、左側に多めのショートカットを配置。最近(国産機を除く)は初期ショートカットなどは全体的に少ない傾向なので、ちょっと珍しい感じがする。
Core i7でメモリ8GBなので、本来サクサク動くところだが、ストレージがHDDということもあり、イマイチその速さを体感できないのが残念なところだ。
HDDは容量500GB、キャッシュ16MB、5,400rpmのSeagate製「ST500LT012」。Cドライブ約185GB、Dドライブ約279GBが割り当てられ、Cドライブの空きは157GB。個人的には、500GBであれば1パーティションで良いのではと思う。
光学ドライブは「HL-DT-ST GUE1N」。無線LANとBluetoothはQualcomm製。EthernetはRealtek製だ。
インストール済のソフトウェアは、Windowsストアアプリは「Tripadvisor」と「Music Maker Jam」程度。あまり積極的には入っていない。
対してデスクトップアプリは、ASUSフォルダに「ASUS HiPost」、「ASUS Install」、「ASUS Live Update」、「ASUS オン-Screen Display」、「Splendid Utility」、「USB Charger Plus」、「WebStorage」、「WinFlash」が収納。さらに「ASUS GIFTBOX」、「Avast SecureLine」、「CyberLink PowerDVD 12」、「Evernote」、「ICEPower」、「i-フィルター6.0」、「Kingsoft Office」、「KKBOX」、「マカフィーリブセーフ」など、盛りだくさんだ。
少々気になるのは、何もせずPCを放置していると、次から次へと「設定(もしくは登録)しましょう!」といったダイアログが煩いほど起動する。使用するユーザーのレベルにもよるだろうが、何かのショートカットをクリックしてまとめて行なうだとか、少し工夫が欲しい。
余談になるが、UWPアプリと言われだしてそれなりの時間が経過したものの、いまいちパッとしないのが現状だ。またFacebookやMessengerなど、対応アプリがあっても出来が酷く使用に耐えないものさえある。
Win32アプリからの移行は難しいとは思っていたが、ここまでデベロッパにやる気がないのは、そのまま流用出来るとされているWindows 10 MobileやWindows 10 IoTが盛り上がらず、加えてARMベースのWin32(Windows RT)も事実上無くなったので、「であれば従来のWin32で……」という流れなのだろう(もちろん現時点のWindows 10のシェアもある)。予想以上にUWPアプリ化が進まず、個人的にはガッカリ気味だ。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedを利用。バッテリ駆動時間テストはBBenchを使用し、CrystalMarkの結果も掲載した(2コア4スレッドと条件的に問題無い)。
winsat formalの結果は、総合 5.9。プロセッサ 7.4、メモリ 7.5、グラフィックス 6、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 5.9。メモリのバンド幅は15,433.77335MB/s。
PCMark 8 バージョン2は3058。CrystalMarkは、ALU 47868、FPU 47134、MEM 45447、HDD 9639、GDI 16387、D2D 7221、OGL 13685。ストレージのHDDが足を引っ張っているが、それ以外は高スコアだ。当初から予想できたが、できればSSDに乗せ換えたい。
BBenchは、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、WiFi/オン、Bluetooth/オンの条件で、バッテリの残5%で5.9時間(21,222秒)。仕様上は3.5時間なので、大幅に上回った。パネルを明るくすれば短くなるだろうが、このクラスでこの結果ならば許容範囲だろう。
以上のように、ASUS「VivoBook K540LA」は、プロセッサにCore i7-5500U、8GBメモリを搭載した15.6型2スピンドルスタンダードノートPCだ。
HDD、HDパネル、Gigabit Ethernet非対応など、コスト面から構成を絞っている部分も見られるが、逆にUSB 3.1 Type-C装備など、最新のトレンドに乗っている部分もある。また、最近は光学ドライブ搭載モデルが減り気味なこともあり、必要な人にとってはポイントが高い。
15.6型でCore i7、2スピンドルなノートPCで、安価なものを探しているユーザーにお勧めしたい逸品と言えよう。