西川和久の不定期コラム

2万円で買えるドスパラ製8.9型モバイルディスプレイ

~バッテリ内蔵、解像度1,920×1,200ドット

DG-NP09D

 ドスパラは7月22日、8.9型のモバイルディスプレイを発表した。解像度は高めの1,920×1,200ドット。手軽に持ち運びできるのであれば何かと便利そうだ。実機に触れる機会を得たので試用レポートをお届けしたい。

8.9型ながら1,920×1,200ドットの高解像度

 巷には結構前からモバイルディスプレイがそれなりに流通している。一時期、Surface 2のサブディスプレイ用に欲しいと思い、調べたり店頭で見たりしたこともあったが、画面サイズの割に高価だったり、解像度が低かったり、パネルの品質がイマイチのものばかりで、結局購入には至らなかった。

 その後、Surface 2の出番も少なくなり、すっかり買う気がなくなっていたが、今度はWindows 10 MobileのContinuum用としてあれば面白そうだと考えた。ただ現状、国内ではまだ有線で直接接続可能なWindows 10 Mobileスマートフォンがないという状況だ。

 そんな中、この連載では初のモバイルディスプレイとなるドスパラ「DG-NP09D」が編集部から届き、タイミング的にお盆休み中に試した結果を今回記事にした次第。主な仕様は以下の通り。

【表】ドスパラ「DG-NP09D」の仕様
画面サイズ8.9型
最大解像度1,920×1,200ドット
インターフェイスMini HDMI入力、Micro USB(電源供給用)、ステレオミニジャック、ステレオスピーカー
付属品USB-ACアダプタ(5V/2.5A)、Micro USB-USB変換ケーブル(充電用)、Mini HDMIオス-HDMIメス変換ケーブル、マニュアル
バッテリ駆動時間約4.5時間/リチウムイオンバッテリ(8,000mAh)
外形寸法234×156×9.4mm(幅×奥行き×高さ)
重量490g
価格19,980円

 ディスプレイのサイズは8.9型。タブレットとしては少し大きく、2in1としては少し小さいサイズとなる。解像度は1,920×1,200ドット。一般的にモバイルディスプレイは、HDやフルHD解像度がほとんどで、縦1,200ドットは魅力的だ。

 インターフェイスは、Mini HDMI入力、Micro USB(電源供給用)、ステレオミニジャック、ステレオスピーカー。またメンテナンス用にUSBポートが1つある。

 付属品は、USB-ACアダプタ(5V/2.5A)、Micro USB-USBケーブル(充電用)、Mini HDMIオス-HDMIメス変換ケーブル、マニュアル。

 本体サイズは234×156×9.4mm(幅×奥行き×高さ)、重量490g。8,000mAhのリチウムイオンバッテリを内蔵し、約4.5時間駆動可能だ。価格は19,980円。

前面。左右のメッシュ部分にスピーカー。フチは広過ぎず狭過ぎず
背面。右上にリセットスイッチ。各ポートの名称がプリントされている
左側面。上からPower LED、電源ボタン、音量±ボタン、Micro USB(電源用)、Mini HDMI
右側面。上からMenuボタン、ESCボタン、音声出力、メンテナンス用USBポート
付属品。USB-ACアダプタ、Micro USB/USBケーブル(給電用)、Mini HDMI/HDMI変換ケーブル
重量は実測で500g。仕様より10g重い
OSD。言語設定、画像モード、輝度、コントラスト、アイコンの表示、初期設定にリセット
Surface 2へ接続したところ。マルチディスプレイになった。固定するスタンドが欲しいところか

 筐体色はさまざまなものに合うマットなブラックで、指紋もほとんど目立たない。重量が490gなので、同サイズクラスのタブレットとあまり差がない感じだ。

 前面は左右のスリット部分にスピーカーが埋め込まれている。背面は右上にリセットスイッチ。また各ポートの名称がプリントされている。上側面と下側面には何もなく、左側面は上からPower LED、電源ボタン、音量±ボタン、Micro USB(電源用)、Mini HDMI。右側面は、Menuボタン、ESCボタン、音声出力、メンテナンス用USBポートを配置。付属のUSB-ACアダプタは、サイズが約55×45×30mm(同)、重量76g。

 OSDのオンはMenuボタンを、オフはESCボタンを押して行なう。また一定期間操作しないと自動的にOSDはオフとなる。メニュー各項目の移動はMenuボタン、項目の変更は音量±ボタンだ。分かりやすく簡単な操作なので特に問題ないだろう。

 OSDの言語設定は日本語/English、画像モードはスタンダード/ダイナミック/ユーザープリセット/マイルド。またユーザープリセット時のみ輝度とコントラストが調整可能になる。

 アイコンの表示は右上にあるバッテリ状態だ(ステレオミニジャック使用時にはヘッドフォンのアイコンも表示される)。オンで表示、オフで非表示。数日使ったが、場所的にあまり邪魔にもならないのでオンにしていた。

 8.9型のパネルは、IPS式と明記されていないものの、扉の写真から分かるように、結構視野角は広く、輝度、コントラストともに良好。色温度は少し高め(青っぽい)が、写真や映像などを観ても許容範囲。ただ赤など原色系が少し地味な感じがする。とは言え全体的には品質は高めで特に不満はなかった。

 この解像度で1,920×1,200ドットは、タッチ前提だと少し扱い難い部分もあるだろうが、マウスなど一般的なポインティングデバイスを使う限り(ある程度)普通に操作できる。Windowsの標準設定のままではやや文字は小さいものの、十分許容範囲内だ。

 サウンドはHDMI経由となり、別途接続する必要はなく、ケーブル1本で映像と音声が得られるためスッキリまとめることが可能だ。音量の調整は0から最大20。ただしスピーカー出力は、パワーも音質も辛うじて鳴る程度で余り期待しない方が良い。

 逆に3.5mmの音声出力はパワーもありレンジも広く十分楽しめるレベルだ。厳密に図ったわけではないが、聴き比べしたところSurface 2の3.5mmの音声出力に対して出力は80%程度、レンジは少し広めだろうか。

 バッテリ駆動時間は画像モード:スタンダードで約4時間半と仕様通り。少し物足らない感じもしないでもないが、そこは用途によるだろう。

用途はいろいろ

 バッテリを内蔵しているので、屋外でも使えるのが最大の強みというのはもちろんだが、屋内でもちょっとしたテストや小型PCなどへの接続も大げさなセッティングにならず気楽にできる。

 ノートPCや2in1のサブディスプレイ、スティックPCや超小型PCのメインディスプレイ、Windows 10 MobileのContinuum用、少し前にご紹介したRaspberry Pi3の一時的なディスプレイ……など用途は広く、1台あれば重宝するし邪魔にもならない。

 もちろんHDMI接続なのでポータブルDVD/BDプレーヤーに接続し、プレーヤー内蔵ディスプレイより少し大きく映す、デジカメ用の外部ディスプレイなど、とにかくHDMIがあれば何でも接続でき、ポータブルなので利便性も高い。

Windows 10 MobileのContinuum用として。縦が1,080ドットなので若干上下にブランクができるが、全てバッテリ駆動なので屋外でも利用可能だ
Raspberry Pi3のテンポラリーディスプレイ。Raspberry Pi3に乗ってるドーターボードはApple Pi。基本的にsshで接続するので不要であるが、初期設定などに役に立つ

 余談になるが、Wi-Fi接続のContinuum用として接続したScreen Beam 2の電源は、写真からも分かるように、本機のメンテナンス用として装備しているUSBポートから供給することができた。バッテリの減りが速くなるだろうが、電源を用意する必要がなく便利だ。Chromecastなども含め、この手のアダプタを接続するのにUSBポートの有無はちょっとしたキーポイントとなるだろう。

 さらに付属のUSB-ACアダプタの出力は5V/2.5A。Raspberry Pi3用の電源としてちょうど良く、電源供給用のMicro USB-USB変換ケーブルもそのまま使えたりする。従ってディスプレイがバッテリ駆動中はこれらは不要でそのまま流用可能だ。ある意味、Raspberry Pi3とベストマッチかも知れない。


 以上のように、ドスパラ「DG-NP09D」は、8.9型で1,920×1,200ドットの解像度に対応したモバイルディスプレイだ。バッテリ内蔵で実測4時間半前後駆動可能。スピーカーも内蔵し、これ1台で出力側は完結する。明るさコントラスト、視野角は十分確保され、メインのディスプレイと比較しても見劣りしないレベルにある。ただ色温度が若干高めなので、どちらかと言えばPC用となるだろうか。

 値段も手頃でコンパクトなモバイルディスプレイを検討しているユーザーにお勧めの逸品と言えよう。