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Macのストレージ管理に必須!「ディスクユーティリティ」の正しい使い方を知っておこう!

 Macで内蔵ストレージや外部ストレージを管理するうえで欠かせないのが、Macに標準搭載される「ディスクユーティリティ」です。毎日のように使うソフトではありませんが、Macでストレージを扱う際には欠かせないため、しっかりと使い方をマスターしておきましょう。

ディスクユーティリティはmacOSに標準で付属するユーティリティソフトです。ソフトのアイコンには、ストレージデバイスと聴診器がデザインされています

ディスクユーティリティのインターフェイス

 Macに標準搭載されているディスクユーティリティは、内蔵および外付けストレージのフォーマットやエラー修復、ディスクイメージの作成、ボリュームのコピーと復元、複数のストレージを組み合わせて1つのストレージとして取り扱うRAIDセットの作成などが行なえるユーティリティソフトです。

 ディスクユーティリティを起動すると、サイドバーにはMacの内蔵ボリュームと外付けHDDやUSBメモリなどの外部ストレージが表示されます。そして、そのいずれかを選択すると容量や使用状況、フォーマットの種類、APFSフォーマットされたボリュームの場合は差分バックアップの一種である「APFSスナップショット」の情報などを確認できます。

 また、ウィンドウ上部のツールバーには各種メニューが表示され、ここからボリュームの追加やディスクのエラー検出や修復を行なうための[First Aid]、パーティション分割やストレージの消去、ボリュームのマウントなどを実行できます。

Finderの[移動]メニューから[ユーティリティ]を選択するか、Dockにある「Launchpad」から[その他]フォルダを開くと、ディスクユーティリティを起動できます
ディスクユーティリティの基本画面です。左側のサイドバーには[内蔵]に内蔵ストレージ、接続された外付けストレージが[外部]として表示されます
サイドバーには通常[ボリュームのみ表示]されています。メニューから[すべてのデバイスを表示]を選択すると、ボリュームを内包したAPFSのコンテナや物理的な装置が階層表示されます
上部のツールバーには、通常[ボリューム][First Aid][パーティション作成][消去][復元][マウント解除][情報]が並びます。ツールバーを[control]キー+クリックすると項目の並び替えや追加/削除ができます
サイドバーで選択したディスクやボリュームの使用量などの情報がメインの領域に表示されます。APFSフォーマットの場合は、ボリュームのある瞬間を保存する「APFSスナップショット」の管理ができます
ディスクユーティリティは、「macOS復旧」のメニューからも利用できます。起動ボリュームの修復やストレージの初期化などの操作の際に利用します

ストレージデバイスの診断と修復

 ディスクユーティリティのさまざまな機能の中で、もっとも多くの人が利用するのがFirst Aidでしょう。

 サイドバーからディスクやボリュームを選択して[First Aid]のボタンをクリックすると、そのストレージデバイスのフォーマットとディレクトリ構造に関連するエラーを確認し、修復することができます。

 ファイルが破損したり、複数のアプリが突然終了したり、コンピュータが起動しなかったりなどMacに何らかのトラブルが生じたときは、まずはFirst Aidを試してみましょう。

 ディスクで発生するすべての問題を検出または修復することはできないものの、問題によっては簡単に解決することもあります。

サイドバーで修復したいディスクやボリュームを選択し、ツールバーの[First Aid]をクリック。確認ダイアログで[実行]をクリックすると自動的に修復が試みられます

ストレージデバイスの消去・再フォーマット

 ディスクユーティリティは、ストレージデバイス(USBメモリや外付けHDDなど)を消去・フォーマットする際にもよく利用されます。

 たとえば、市販のUSBメモリはMacでもWindowsでも利用できるように、マスターブートレコード(MBR)のパーティション上に[MS-DOS(FAT16)]か[ExFAT]でフォーマットされている場合がほとんどです。Macでのみ使うなら、ディスクユーティリティでGUIDパーティションマップ上に[APFS]でフォーマットするとデバイスのパフォーマンスを最大限発揮できます。

 ストレージデバイスのフォーマットを行なうには、[表示]メニューから[すべてのデバイスを表示]を選択してサイドバーから対象のディスクを選び、ツールバーの[消去]をクリックします。

 すると「~を消去しますか?」というダイアログが表示されるので[名前]に名称を入れ、[方式]ポップアップメニューをクリックします。この際、[GUIDパーティションマップ][マスターブートレコード][Appleパーティションマップ]の3つが選択できますが、現在のMacでは基本的に[GUIDパーティションマップ]を選択します。

 [マスターブートレコード]はWindowsベースのコンピュータ、[Appleパーティションマップ]はPowerPCプロセッサを搭載した古いMacとの互換性を保ちたいときに利用します。この2つの方式では[APFS]フォーマットの選択肢は表示されません。

 もし[方式]ポップアップメニューを使用できない場合は、ディスクではなくボリュームが選択されている可能性があります。操作をいったんキャンセルし、消去したいストレージデバイス(階層の最上位にあります)を選択していることを確認してください。

 そして次に[フォーマット]ポップアップメニューから目的に応じたフォーマットの形式を選択します。ポップアップメニューにはいくつかの選択肢が表示されますが、[GUIDパーティションマップ]を選んだ場合は、通常は[APFS]を選んでおけば問題ありません。

 [APFS(大文字/小文字を区別)]や[MacOS拡張]などの形式は、特定の用途や過去のファイルフォーマットの互換性確保のために用意されているものです。

 そして[セキュリティオプション]をクリックできる状態の場合は必要に応じてストレージを消去する際の方法を変更し、すべての設定が終わったら[消去]ボタンをクリック。これでストレージ上のデータが消去され、フォーマットされます。

ストレージデバイスをフォーマットする場合は、まずサイドバーに[すべてのデバイスを表示]した状態でストレージデバイスを選択してツールバーの[消去]をクリックします
[名前]で任意の名称を入力します。Windowsや古いMacとの互換性を保つ必要がない場合は、使用する方式として[GUIDパーティションマップ]を選びます
最後に[フォーマット]から目的に応じたフォーマットを選択します。GUIDを選択した場合は選択肢に[APFS]が表示されますので、これを選択してから[消去]をクリックします
[セキュリティオプション]を選択できる場合は、ストレージを消去する際の方法を変更して情報漏洩を防ぐことができます。[最も安全]を選択すると、消去が完了するまでの時間が長くなります
[フォーマット]で[APFS(暗号化)]または[APFS(大文字/小文字を区別、暗号化)]を選択すると、パスワードを設定して保護できます
暗号化されたストレージデバイスをMacに接続すると、設定したパスワードの入力が求められます。[ロックを解除]をクリックするとマウントされて通常のボリュームとして操作できます

パーティションの作成とAPFSボリュームの追加・削除

 ディスクユーティリティでは、HDDやSSDなど1台の物理的なストレージを複数の記憶領域に区切って、それぞれを独立したストレージのように取り扱える「パーティション」管理機能があります。

 大容量のストレージを複数に分割して用途別に使い分けるといった際に利用すると便利な機能です。

 新たにパーティションを作成するには、サイドバーでボリュームを選択してから、ツールバーの[パーティション作成]ボタンをクリックするだけです。

 すると、現在のストレージのボリューム内容が円グラフで表示され、円グラフ下の[追加]ボタンをクリックすることで、新たなパーティションの名前やフォーマット、サイズを指定して作成できます。

 ただし、現行Macの標準的なファイルフォーマットであるAPFSでは、パーティションを作成するのではなく、単一のパーティション内にあるコンテナに複数のAPFSボリュームを追加する方法が推奨されています。

 従来はパーティション内に作成された記憶領域(ファイルシステム領域)がそのままボリュームとして利用されていました。しかし、APFSではサイドバーで既存のAPFSボリュームを選択してから、ツールバーの[ボリュームを追加]ボタンをクリックすることで新たなボリュームを作成できます。

 このようにコンテナ内に複数のボリュームを追加すると、パーティションによる分割とは異なり、複数のボリュームの空き領域が共有されるので、ボリュームが複数あってもストレージ容量の消費が抑えられるのがメリットです。

 なお、物理的な装置→パーティション領域→コンテナ→ボリュームという入れ子構造は複雑に見えてしまうため、現在のディスクユーティリティでは[表示]メニューからユーザーが利用するボリュームのみを表示する設定が標準となっています。

新規パーティションを作成するには、サイドバーでディスクやボリュームを選択し、ツールバーから[パーティション作成]をクリックします
円グラフで[+]をクリックし、ダイアログで[パーティションを追加]をクリックします
ディスク内に「名称未設定」のパーティションが追加されました
円グラフの分割部分の丸印をドラッグすることでパーティションサイズを変更できます。[名前]や[フォーマット]などを指定したら[適用]をクリックして実行します
APFSボリュームを追加するには、サイドバーでAPFSボリュームを副ボタンクリックし、メニューから[APFSボリュームを追加]を選択。ボリュームの[名前]と[フォーマット]を指定したら[追加]をクリックします
ボリューム作成時に[容量のオプション]をクリックすると、常に確保されるボリュームの予約容量を決定できます
追加されたAPFSボリュームはサイドバーに追加され、同一コンテナ(パーティション)内のボリューム同士は空き容量が共有されます

ディスクイメージの作成

 最後に、ディスクユーティリティのもう1つ重要な機能として忘れてはならないのが、ディスクイメージの作成です。

 ディスクイメージとは、物理的なディスクやボリュームのようにマウントできるファイルのことで、Macでは「.dmg」形式のファイルとして取り扱われます。

 以前はCDやDVDなどの物理ディスクをイメージ化してファイルとして保存する際によく利用され、ソフトウェアなどを配布するパッケージとしても用いられていました。

 ディスクイメージは、空のディスクイメージを新規作成して、その中にファイルやフォルダを保存するといった使い方のほか、すでに存在するファイルやフォルダをディスクイメージとしてまとめることができます。

 ディスクイメージのサイズは事前に数値を指定するほか、ディスクイメージ内に保存したデータの容量に合わせて変化する「スパースディスクイメージ」として作成することもできます。

ディスクユーティリティの[ファイル]メニューから[新規イメージ]→[空のイメージを作成]を選択します
ディスクイメージの名前や保存場所、サイズやフォーマットなどを指定して[保存]をクリックします。暗号化の有無やパーティション、ディスクイメージのフォーマットなど高度なオプションも指定可能です
ディスクイメージが作成され、マウントされたボリュームとともに表示されます。ボリュームのマウントを解除するとディスクイメージのみを管理できます

ディスクユーティリティのそのほかの機能

 ディスクユーティリティでは今回紹介した機能以外にも、実にたくさんの機能が搭載されています。

 たとえば、APFSにフォーマットを変換する[APFSに変換]機能や、接続した別のボリュームから丸ごと複製する[復元]機能、複数のストレージを束ねてデータの保護性能を高める「RAIDアシスタント」などがあります。

 基本的な使い方をマスターしたら、ぜひいろいろとソフトを触って試してみてください。

APFS以前のファイルフォーマットのディスクをAPFSに変換するには、[MacOS拡張]などのディスクを副ボタンクリックしてメニューから[マウント解除]を選択します
マウントを解除した状態でディスクを選択し、再度副ボタンクリックしてメニューを表示すると[APFSに変換]が選択できます。確認ダイアログで[変換]をクリックするとAPFSに変換されます
ディスクユーティリティの[ファイル]メニューから[RAIDアシスタント]を選択すると、複数のストレージから[ストライピング(RAID 0)][ミラーリング(RAID 1)][連結(JBOD)]の操作ができます