買い物山脈

過去にビデオカードを35枚買った廃人がGeForce GTX 1080を買った話

製品名
Palit GeForce GTX 1080 Founders Edition
購入価格
98,820円
購入時期
2016年6月14日
使用期間
約1週間
「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです
GeForce GTX 1080 Founders Edition

 筆者はPC Watchで働き始めて11年半が経つが、これまで読者に明らかにしていなかった秘密がある。とにかく小さくて軽いレトロPCが好きなモバイラーというのはあくまでも表立った顔の話。本当の顔は「最新ビデオカードを追い続けるビデオカードヲタク」であり、ビデオカードを追い続けるために、この業界に入ってきたのだ。

プロローグ

 今やビデオカードとかGPUとか呼ばれているのだが、その昔はビデオチップとかウィンドウアクセラレータという言葉の方がしっくり来た。何度か過去の記事で紹介しているが、筆者が最初に買ったパソコンはPC-9821/V12だった。それに載っていたビデオチップは、CirrusLogic製の「CL-GD5440」だ。これがお世辞にも良い性能とは言えず、なおかつオンボードのビデオメモリも1MBしかなかったので、1,024×768ドットという“高解像度環境”では256色表示しかできなかった。だからまずパワーアップするとしたら、ビデオカードだと決めたのだ。8MBしかないメインメモリを差し置いて--である。

 当時中学生だった自分が貯金して最初に買ったPCパーツは、S3 ViRGE/DXを搭載したアイ・オー・データ機器の「GA-PGDX4/98PCI」だった。お年玉1万円を握りしめ、秋葉原のソフマップ駅前店に向かい、中古で購入した。確か10,980円だったが、店員さんと交渉し1万円ポッキリに値切ってもらったことは今でも覚えている。それからは、もうちょっと3D性能にパワーアップしたかったので、1年後ぐらいに3DLabsのPERMEDIA 2を載せたバッファローの「WHP-PS4」を9,800円ぐらいで購入した。まあ、本当に欲しかったのはNV1やVoodoo Rushだったが、中学生には厳しい価格である。

 ショップブランドのDOS/V互換機に移行してからも、ビデオカードの“悪夢”は続く。最初に組んだのがRIVA TNTだったが、2年後ぐらいに、3DMark 2000の納得行く結果の見たさにGeForce 2 MXを購入。GeForce 3シリーズはまだ高校生だった筆者にはさすがに高くて手が出なかったが、働き始めた頃にはGeForce 4 4400 TiやRadeon 7500に手を染めた。

背景色が濃いものは、筆者がこれまでに所持したことのあるビデオカード。ちなみに表では32個しか濃くなってないが、Radeon HD 5870は3枚、GeForce GTX 460は2枚買っているので合計35枚である

 上は、筆者がこれまでに買ったビデオカードの一覧表。結果的にGeForceを多く買っている気がするのだが、それはあくまでも限られた予算的の中で最良の投資を選んだ結果である。S3やMatrox、XGI(SiS)のビデオカードは大好きだったし、STMicroのKYROシリーズだって買いたかった。というかIntel 740ですら憧れであった。性能さえよければ、メーカーやブランドなんて気にしていない。それこそIntelがLarrabeeをコンシューマ向けビデオカードとして出していたら、買っていたかも知れない。

ハイエンドビデオカードの沼

 筆者がビデオカード沼にハマった“元凶”を辿ればCL-GD5440のせいだ。ビデオメモリが1MBしかないおかげで、Windowsにおけるユーザーエクスペリエンスが最悪だった。せめて4MBのビデオメモリを搭載したMatroxのMillennium辺りを最初から積んでくれれば、筆者はビデオカードという存在を気にせずに暮らせただろう、と言ったら当時の中学生には贅沢な要望か。まあ、Windowsエクスペリエンスの向上や普通の3Dゲームのプレイ程度なら、2~3万円程度のビデオカードでも十分なので、ハイエンドビデオカードの沼にハマる原因にはならない。

 転機が訪れたのは2002年だった。筆者は2002年11月末に登場したファイナルファンタジーXI(FFXI)に没頭し始め、すっかりFFXI“廃人”になってしまったのだ。FFXI廃人になった筆者は、2003年から2008年頃までは、ほぼFFXIのためにビデオカードを買い続けるようになったのだ。FFXIのために購入した最初のビデオカードは、GeForce FX 5900 Ultraである。そう、ビデオカードを買う目的がWindowsエクスペリエンスの向上ではなく、美しいヴァナ・ディールの世界を、より高解像度に美しく、よりスムーズに遊ぶためのものへと変わっていったのだ。

FFXIのヴァナ・ディールの世界はとにかく風景が美しい。このスクリーンショットはザルカバードで「深闇」というかなり珍しい天候の時に観られる珍しいもの
拡張ディスク「ジラートの幻影」のエリアまでは空が普通だったが、「プロマシアの呪縛」以降、空に関してはこれまでと一線を画す画質で感動をもたらしてくれた。写真はビビキー湾の港
マナクリッパー号から移動するヴァナ・ディール界のハワイとも言うべき、プルゴノルゴ島。海が透き通っていて美しい
リヴェーヌ岩塊群サイトA01の空。宇宙に届くような濃いブルーの空が印象的だ。ちなみにゲーム内のスクリーンショット機能ではこの解像度でしか出力されないが、実際のゲームはディスプレイが許す限りの解像度を自由に変更できる。今使っている3008WFPも、2,560×1,600ドットでFFXIを遊びたかったがためだったとも言う。

 ちなみに“廃人”というのはインターネットスラングで、ネットゲームに没頭するあまり日常生活に支障をきたす人のことである(余談だが、廃人を超える“廃神”なんてのもいる)。例えば筆者はFFXIをプレイするようになってから、

1. 毎日夜中2時に寝るようになった。週末は朝5時寝もザラ
2. 1日3食をほぼデリバリーサービスで済ませるようになった
3. リアルな人間関係(会社の飲み会)よりもゲーム内の人間関係(オフ会)を重視するようになった

といった主要症状が現れた。まあ、これは生活に支障が出るというよりも、生活そのものに変化が現れただけなので“病気”とは言いがたいのだが、

4. プレイ日記を電車の中で書くために、モバイルデバイスを買うようになった
5. より快適にプレイするために、PCパーツにお金を注ぎ込むようになった

といった症状が現れる。こうなるとPC関連の物欲にまみれた生活になり、とにかくお金がかかるようになる。GeForce FX 5900 Ultraはまだ序の口で、例えばFFXIプレイ日記を電車の中で執筆するために「InterLink XP」を購入したり、「クリエPEG-UX50」を買ったり、そしてビデオカードのみならず、CPUも新製品が出るたびに買ったり……と言った具合だ。

 さらにFFXI自体を単純にプレイして楽しむだけではなかった。プレイ日記を書いてインターネットで公開するために、自宅でWebサーバーを建てる。外出先からでもFFXIがプレイできるよう、VNCをインストールしてリモートプレイする……。思いつく技術は全部FFXIに投じた。

 プレイ動画のリアルタイム配信もやりたかったので、さらに別のPCにビデオキャプチャを接続し、Windows Media Encoderを起動して、リアルタイムにプレイ画面をキャプチャしながら配信する……と言ったことまでやった。今となっては何も珍しくないのだが、筆者は10年ぐらい前からやっていたのだ。振り返れば、今までFFXIのために200万円ぐらいの機材を投入したのではないかと思う。まあ、のべ15,000時間ぐらいプレイしているので、1時間当たり133円だと思えば、ゲーセンに行って遊ぶよりは安上がりで済んでいるが。

 話が逸れてしまったが、つまりビデオカードもFFXIへの投資の一環だったのだ。もっとも、FFXIのためにビデオカードを買ったと言えるのも、GeForce 8800 GTXで最後になった(性能が頭打ちになった)。しかしハイエンドビデオカードを買う癖が1度でも付いてしまうと辞められないもの。システムを買い換える際に、前より性能が下がってしまったら買い替えの意味がない、という考えが生まれるからだ。だからメインPCに関しては、FFXIをやめた後も(今はやってないがたまに復活したりする)、ハイエンドを貫いてきたのである。

ハイエンドビデオカードを維持するチックタック術

 ただ、ハイエンドパーツでシステム一式を組むと一気に出費が嵩むことになるので、精神衛生上あまりよろしくない。資金に余裕があっても貯金はしたいものだ。そこで筆者はパーツ更新にも「チックタック」モデルを導入した。

 チックタックはIntelお馴染みの戦略で、アーキテクチャ刷新とプロセス刷新を交互に行なうロードマップを指す。しかし実はこれはビデオカードにもある程度同じことが言える。ビデオカードの場合は、プロセスルールの刷新が入らない時があるので、新アーキテクチャ(チック)と、その成熟版(タック)の関係だと、筆者は個人的に位置付けている。NVIDIAで言えば、RIVA TNTとTNT 2、GeForce 256とGeForce2、GeForce3と4、GeForce FX 5800と5900、GeForce 6800と7800、8800と9800……と言った具合だ。筆者は概ねタック--つまり成熟版を選ぶ派である(コードネームが「NV」だった時代は、末尾0がチック、5がタックだったので分かりやすかったが、今は通用しない)。従来の2倍の性能という大幅なジャンプを実現したGeForce 8800 GTXが出た日には、出社前にツクモまで出かけて衝動買いしたこともあったのだが、筆者は概ねタックを選んでいる。そしてNVIDIAが“チック”のタイミングで、CPUやマザーボードを一新することで、資金の分散化を図ろうというわけだ。

 つまり、筆者のPCにとってもGPUとCPUがチックタックによって次々更新されていく。これならば、例えば本来1年に1回の買い替えで20万円の出費となるところ、10万円×2回の分割払いになる。また、半年に1回パーツの更新ができるので、自作としての楽しみも増えることになる。なかなかいいアイデアだと思うのだが、どうだろうか。タイミングはともかく、「チックだけを買うか、タックだけを買うか」に絞ることで、だいぶ資金に余裕が生まれたのではないかと思う。

GeForce GTX 1080? 新コードネームだけど“タック”じゃん……

 とは言え、近年筆者はRadeonも買っているので、もはやGPUとCPUのチックもタックもなくなってきているし、新製品リリースのスパンも半年から1年ぐらいになったので、少し余裕が生まれてきている。GeForce GTX 680を買ったのはGTX 700シリーズが出る直前で大幅に安くなったからで、実質2013年の“タック”タイミングでの購入だったりもする。

 2014年はMaxwellの第1世代で、2015年はMaxwellの第2世代だったので、本来GPUを新調するなら2015年というタイミングだったが、そもそも2014年にはMaxwellのハイエンドがなかったので、GeForce GTX 980や980 Ti、TITAN Xなどがチックかタックか分からなかった。しかし2016年に登場したGeForce GTX 1080で、これらがチックであることが決定付けられたと言ってもいい。なぜならばGeForce GTX 1080はPascalという新しいコードネームが付いているものの、アーキテクチャ的にMaxwellを踏襲していることが明らかとなったからだ。

GeForce GTX 980

 ご存知の通り、NVIDIAはKeplerと同じ28nmプロセスルールでMaxwellを作り上げた。プロセスルールが微細化されていないのにもかかわらず、MaxwellはKeplerより高い電力効率を実現した。つまりNVIDIAはMaxwellアーキテクチャで、電力効率の面でライバルに一歩リードすることができた。GeForce GTX 1080が出るまでの間、プロセスの成熟による値下げで、ライバルに対して十分な性能/電力効率のマージンを得ることができた。GeForce GTX 1080はPascalと名乗っているものの、Maxwellの特徴を16nm FinFETプロセスでさらに推し進めた“タック”だと捉えた方が良いと言える。

 ともすれば、筆者の行動は簡単だ。タックを買い続けると決めているのだから、GeForce GTX 1080を買うしかない。ただそれだけだ。

あ、不満とかなかったわけじゃないです

 “ただそれだけだ”だなんて、タックのビデオカードを買う理由なんてなく単なる義務です! みたく言ってみたが、元々使っていたRadeon R9 290Xに不満がなかったわけじゃない。GeForce GTX 680からR9 290Xに載せ替えた時は、「やっぱりバトルフィールド4+Mantleは最高!」とも思ったのだが、それ以上に痛手だったのが、結構好きな「アサシンクリード」シリーズの動作が目に見えて遅くなっている点だった。

 このゲームは元々GeForce向けに最適化されているゲームなので致し方ないのだが、Radeon R9 290Xはスペック以上にカクカクして遅く感じるのである。しかもアサシンクリード3と言った新しいエンジンのものだけならともかく、「アサシンクリード ブラザーフッド」といった旧エンジンを使った旧ゲームでも、垂直同期をオフにしても、60fpsを超えることがなかったのだ。おそらくドライバのバグだと思うのだが、強制的にオフにしても、オンにした時のような遅延を感じるのである。

最近プレイし始めたWitcher 3:Wild Hunt。静止画だと凄さが伝わらないのだが、木々や草などが常に風に揺れるのは圧巻だ

 それから最近筆者は「The Witcher 3: Wild Hunt」をプレイし始めたのだが、これもNVIDIA向けの最適化が入ったタイトルで、Radeon R9 290Xで画質を最高設定などにすると荷が重い。筆者がメインで使っているディスプレイが比較的高解像度な2,560×1,600ドット表示対応の「3008WFP」である点も影響しているのだが、NVIDIA HairworksといったNVIDIA向け機能をオフにしても、40fps出るか出ないかぐらい。特にモンスターがウジャウジャ現れる戦闘シーンになると重くなり、敵の攻撃のタイミングが読めずかわしきれなかったりする。

 ちなみに、アサシンクリードやThe Witcher(の最新版)は、いずれもPlayStation 4やXbox Oneでも出ているタイトルだ。そのため筆者は、PC版に移植する際もPlayStation 4やXbox OneのGPUと同じGCNアーキテクチャのRadeonに最適化してくれると期待をしていたのだが、片っ端からGeForce向け最適化されていたので、GeForceへ乗り換えようと決断した。少なくとも筆者がプレイするタイトルは、Radeon向け最適化よりもGeForce向け最適化の方が多いのである。

 また、例えRadeon向けに最適化がされていても、GeForce GTX 1080ならば余裕でプレイできる性能だから問題ないだろう、そう思ったわけだ。例えば最新のゲームで、次買いたいと思ったのはDOOMなのだが、これはRadeon向けの最適化がされているらしい。が、GeForce GTX 1080でも全く問題なくプレイできる性能を見せているし、NVIDIAもそれを使ってこれまで多くのデモをして来ているので、それならばなんら問題はない、というわけだ。

 それから、ゲーム内でスクリーンショットを撮って保存するのが結構好きなので、Anselを使ってみたくて買ったとも言えるが、今のところ筆者のプレイするゲームには実装されていないので、まだまだこれからと言ったところ。一方、VRについてはまったく導入の予定がないので、残念ながらその分の機能実装は筆者にとって無駄な実装である……。

ここで速さを語るのはやめにしよう

 非常に長い前置きとなってしまったが、そろそろGeForce GTX 1080について語っていこう。

 と言ってももう既にGeForce GTX 1080のレビューは出尽くしているので、筆者が再度性能について語るまでもないのだが、まとめるなら「速い」である。いや、当たり前と言えば当たり前なのだが、以前使っていたRadeon R9 290Xの2倍以上速くて消費電力が約6~7割とか数字を見せられると、もはや乾いた笑いしか出てこない。特に不満に思っていたWitcher 3だってほぼ60fpsに張り付いた状態だ。ビデオカードの世代交代なんてそんなもんだが、筆者にとってGeForce 8800 GTXやRadeon HD 5870以来のジャンプである(さすがに3度目なのでそんなに感動はしていないが)。

 性能について語らずして何を語るか? まずは外観から語ってみよう。今回購入したのはPalitのGeForce GTX 1080 Founders Editionである。他社製品は結構数が少ないようだが、Palitに関してはドスパラが独自輸入しているので、6月の上旬時点では、在庫はそれなりに確保していたようである。

 Founders Editionは、リファレンスそのものだからと言えばそれまでだが、付属品はドライバCD-ROMの説明書1枚、PCI Express 6ピン×2→8ピン×1に変換するアダプタしかなかった。リファレンス準拠と言えども、昔はこのクラスのビデオカードを購入すると漏れなくゲーム1本や2本ぐらい付属してきたものだが、10万円近くする製品としては“オマケ”がほぼないのは寂しい限りである。

 では10万円近くするビデオカードにふさわしい外観か? と聞かれると、それなりの風貌は備えている。新たにトライアングルを多数取り入れたデザインのファンカバーは高級感があり、かつ力強さを感じられる。背面のブラケットの排気口部もトライアングルというこだわりようだ。あ、そこ、「6万円のGeForce GTX 1070も同じデザインだから」と突っ込まないで頂きたい。ほら、エンボス加工の刻印が1つ違うでしょ、7と8。

ケース内でもっとも目立つ存在

 ディスプレイインターフェイスはDisplayPort×3、HDMI 2.0b、Dual Link DVI-Dの5つで、同時出力は4基までとなっている。ぱっと見た感じ従来から変わっていないが、1世代前ハイエンドのGTX 980 TiやTITAN Xのリファレンスでは「Dual Link DVI-I」を装備していたので、DVI-I→ミニD-Sub15ピン変換アダプタを介してのアナログRGB出力が可能だったのに対し、GTX 1080ではリファレンスでついにアナログRGBビデオ信号を完全に排除したことになる。

PCI Express補助用電源コネクタは8ピン1個のみ

 もう1つ外観で大きな特徴となるのが、8ピン1基だけになったPCI Express補助電源コネクタである。元々PCI Expressの規定では、225Wの電源供給を受ける場合、PCI Express x16スロットから供給される75Wに加えて、6ピンの75Wを2基組み合わせることで実現させることとし、150Wを供給できる8ピン1本だけの構成はなかった。そのためGTX 680などのリファレンスもそれに準じていたのだが、この規定がどうやらいつの間にか(おそらく2013年6月のPCI Express Card Electromechanical Specification Revision 3.0)改訂され、GTX 1080では8ピン1本だけの構成となった。これまでもメーカー独自設計のカードでは実現しているものもあったが、配線を減らせるだけに、素直に歓迎したい点である。

GEFORCE GTXのLEDロゴは光らせ方をカスタマイズできる。芸が細かい……

 そして個人的に一番評価したいのは、本体側面の「GEFORCE GTX」のロゴに埋め込まれたLED。このLEDはGeForce Experience上からカスタマイズでき、明るさやさまざまなエフェクトを掛けられる。残念ながら今トレンドのRGB LEDではなく、緑にしか光らないのだが、とにかく「PCを自作するなら側面がアクリルで中が見えた方がいい」、「パーツはバリバリ光って欲しい」と思っている筆者にピッタリ。光らないPCがいいのなら、そこら辺のメーカー製PCを買えばいいと思うんです、はい。

まだまだベータが続く

 GTX 1080は発売されてからまだ1カ月足らずなので、ソフトウェア部分が未熟だ。特にドライバは完成の域に達したとは言えず、例えば筆者の環境ではスリープから復帰後に3Dゲームをしばらくプレイするとフリーズする症状が見られる(既に4回経験した)。一般的にビデオカードの発熱などが原因でフリーズする場合、ディスプレイドライバの応答が停止するのだが、筆者の環境ではピタリと止まる(ゲーム中の音が短くループする)ので、熱の問題ではなさそうだ。

 当初、CPUやメモリのオーバークロックを疑ったが、CMOSクリアをしても治らなかったし、そもそもR9 290Xでは起きなかったので、GTX 1080の問題(もしくはマザーボードなどとの相性)と見た。なお、フリーズの後に再起動して数時間プレイしても発生しないので、ハードウェアに起因する初期不良はなさそうである。というわけで、ドライバ周りを疑わざる得ない。

 それから、昨年(2015年)8月のGeForce GTX 950とともに発表された、GeForce ExperienceにおけるShadowPlay機能の大幅な強化だが、これもまだベータ状態にあるようだ。もう10カ月も経っているわけだし、そろそろ正式版になっているのだろうと思ったが、気持ちが早まっていたようだ。

 新しいGeForce Experienceは、ゲーム画面にオーバーレイできるダッシュボードが付け加えられた。Alt+Zキーで呼び出せ、そこからさまざまな機能にアクセスする。目玉はやはりYouTubeなどへの直接アップロードと、簡易カット編集、協力プレイ辺りなのだが、まだ使用期間が短いため試せていない。

 とは言え、これらの機能はWindows 10に搭載された「Game DVR」でほぼカバーできるので、GeForceの専売機能というわけではなくなった。大きな違いと言えば、Game DVRは画質の詳細設定ができず、ゲームを終了しないとSNSへの共有やカット編集が行なえないことだが、ゲーム中に悠長に動画編集したいとも思わないので、別にGame DVRでもさほど困らないとも言える。

 GeForce Experienceは登場当初、多くの画期的な機能を搭載していたが、今やSteamにホームストリーミング機能が搭載されたことや、Windows 10にゲーム録画機能が搭載されたことにより、珍しい機能でもなくなった。今後も、Anselと言った現在GeForce独自の機能も汎用化していくと思うが、こうした機能を先取りしてベータで取り組んでいくNVIDIAの姿勢は評価したい。

GeForce Experience Shareのベータ版
Alt+Zキーでダッシュボードを呼び出す
アップロードするビデオの一部だけを選択してアップロードできる
Windows 10に搭載されたGame DVR。Xboxアプリからビデオにアクセスできる

残ったRadeon R9 290Xのゆくえ

 さて、GeForce GTX 1080への置き換えで余ったRadeon R9 290X(MSIのR9 290X Lightning)だが、まだ手放すには惜しい性能である。そこで、ちょうどビデオカードが何も挿さっていない、A10-7870KのセカンドPCに挿そうと思った。

 しかしこのマシン、もともとビデオカードを搭載しない前提で組んだため、430Wの電源(Corsair CX430M)を付けてしまったのである。CX430MはPCI Express補助電源が8ピン1本しかなく、一方R9 290X Lightningは最低8ピン×2なので、そもそもコネクタが足りず付けられないのだが、幸いにもペリフェラル用4ピン×2をPCI Express用6ピンに変換するケーブルと、PCI Express用6ピンを8ピンに変換するケーブルがあるので、変換で付けられる。

セカンドマシンにR9 290X Lightningを挿した。電源は430Wだが、なんとか動く

 まったくおすすめしないのだが、430W電源で、A10-7870K(TDP 95W)とR9 290X(TDP 290W)の組み合わせは一応動く。サンワサプライのワットチェッカーで計測してみたところ、3DMark Fire Strike実行中は概ね400W、最大で450Wだった。本当にスペックギリギリといったところである。

 動くには動くのだが、やはり小さい430Wの電源とmicroATXケースには荷が重く、ゲーム中は電源もビデオカードもファン全開になり、かなりうるさい。そこで、GPUクロックを900MHz、電圧オフセットを-35mVに落とし、Power Targetを-50%に振ってみた。さらに、GPUとヒートシンクの間のグリスを液体金属のLiquid Proに置き換え、ファンの回転速度も70℃台は40%になるよう、落としてみる。すると、消費電力が290W前後まで減り、システム全体としてもかなり静音化した。性能も1割弱低下するが、それでもRadeon R9 290と同程度だし、150W減のメリットは大きい。そもそも、A10-7870KではR9 290Xの性能をフルに引き出せないので良しとする。静かな余生を過ごしてもらうとしよう。

R9 290X Lightningの標準状態のスコア。Graphics scoreに注目したいが、12917だが、消費電力は410W台、ピークは450Wに達する
これを900MHz/Power Target -50%にし、メモリクロックを1,300MHzにオーバークロックした場合、Graphics scoreは11245にダウンした。性能は約12%減だが、消費電力は450W台から290W台へ、約30%減る
EVGAのオーバークロックツール「PrecisionXOC」。電圧とクロックの“オフセット値”を設定する。オフセット値と言われても、元が何なのか分からないのだが……

 と、話がRadeonにそれてしまったが、そう言えば今回のGTX 1080ではオーバークロックをしていなかった。EVGAが開発した「Precision XOC」という新しいソフトを試して分かったのだが、このソフトは電圧が固定されており、その固定された電圧ポイントにおいてクロックのオフセット値を設定できるだけのものである。つまり、電圧をそれ以上上げられず、クロックの上限にアタックするのは無理ということだ。COMPUTEXの時点で既に聞いた話なのだが、自分の目で実物を確かめて初めて“ああなるほどそういうことね”だと理解した。

 まあ、性能に不満があるわけではないし、このクロックのオフセットもあくまでも目安値で、実際はPower Targetや温度に基づきそれらを超えないよう制限をかけたり、逆に設定値以上のクロックを出したりするので、不安定要素が増す原因となる。さらに言えば、冷却性能がさほど高くないリファレンスクーラーでの長時間ゲームプレイにおいては、あまり意味を成さないので、オーバークロックはしないことにした。

気になるRadeon RX 480の存在

Radeon RX 480

 GeForce GTX 1080が5月に発表されて以来、「しばらくNVIDIAの優勢は続くだろうなあ」と思っていたが、まさかCOMPUTEXでAMDが突如Radeon RX 480を発表するとは思わなかった。ちょっと不意打ち過ぎる。まあ、後になってGeForce GTX 970とほぼ同等かちょっと届かない性能と分かったので、一安心した。TDP 150Wなら、先述の通りR9 290Xをダウンクロックしてもほぼ同等だし、性能もほぼ同等だと見ていい。多分、年末にはR9 290Xから乗り換えるだろうけど。GLOBALFOUNDRIES初の単体GPUだし、初の14nm FinFETによるGPUだからだ。

 とりあえずしばらくは、Radeon NanoやRadeon Fury系が市場から捌けない限り、RX 490登場の見込みは薄い。登場したところで、GCNアーキテクチャではものすごく大規模なGPUにならない限り、GeForce GTX 1080を超える性能を実現するのは難しそうだ。AMDが得意とするDirectX 12やVulkanなどのAPIや、ゲーム機からの移植という意味ではGeForceを一歩リードする可能性もあるのだが、GeForce GTX 1080ユーザーはしばらく安泰だと思って良い。

 さて、GeForce GTX 1080を買った満足度だが、今のところ80%ぐらい。確かに性能が高く消費電力が少ないのだが、FX 5900 Ultraや8800 GTXを買った時ほどの感動はない。まあ、ビデオカードを35枚も買っているのだから、もはや感覚が麻痺しているというのもあるのだが、GTX 1080のコアの規模的にミドルレンジ(4系)なので、0系を買い続けてきた人間からしてみれば、おおっぴらに威張れるスペックではないのだ。やはり、NVIDIAには、リーズナブルに0系GPUを買い続けさせてくれる“夢”を与えて欲しい。そう思うのであった。