Hothotレビュー
光学ドライブ搭載12.1型で世界最軽量を実現したパナソニック「レッツノートSZ5」
(2015/11/2 12:21)
パナソニックのレッツノートは、「軽い」、「頑丈」、「駆動時間が長い」という三拍子揃ったモバイルノートPCとして定評がある。そのレッツノートの2015年秋冬モデルの中で、最も注目すべき製品が「レッツノートSZ5」である。
レッツノートSZ5は、「レッツノートSX」シリーズの後継となる12.1型液晶搭載モバイルノートPCであり、従来のSXシリーズから約240gも軽量化し、光学ドライブを搭載しながら約929gという驚異的な軽さを実現していることが最大のウリだ。もちろん、約929gという重量は光学ドライブ搭載12.1型液晶モバイルノートPCとして、世界最軽量となる。
今回は、レッツノートSZ5の「CF-SZ5YDLQR」を試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。なお、試用したのは試作機であり、量産品とは細部が異なる可能性がある。店頭予想価格は20万円前後の見込みだ。
部品1つ1つにまでこだわって1gでも軽量化を追求
レッツノートSZ5は、型番がSX4からSZ5に変わったことからも分かるように、筐体が一新され、内部の設計も新しくなった、フルチェンジモデルである。
天板は、シリーズではお馴染みのボンネット構造と呼ばれるデザインを採用しており、軽さと丈夫さを両立させている。天板の材質はマグネシウム合金だが、厚さをレッツノートSXの0.55mmから0.45mmに削減し、なだらかな凹型に整形することで、軽量化を図っている。さらに、液晶パネルのガラスの厚みを0.3mmから0.2mmに削り、SSDをM.2にし、冷却機構を見直すなど、さまざまな努力によって、従来比で約2割という大幅な軽量化を実現したのだ。
重量はモデルによって異なるが、今回試用した「CF-SZ5YDLQR」は約929gの最軽量モデルである。もちろん、重量が軽くなっても、従来と同様に76cm落下試験や100kgf加圧振動試験をクリアしており、堅牢性は損なわれていない。筆者は、これまでにもレッツノートを数台使ってきたが、レッツノートSZ5の軽さには驚かされた。初めて持ち上げたときは、中身の入っていないモックアップかと思ったほどだ。本体サイズは、約283.5×203.8×25.3mm(幅×奥行き×高さ)であり、十分にスリムである。
レッツノートSZ5の店頭モデルは、搭載CPUやLTEモジュール搭載の有無、ストレージ、バッテリ容量の違いなどによって4モデルが用意されている。今回試用したCF-SZ5YDLQRは、CPUとして最新の第6世代Core iファミリーであるCore i5-6200U(2.3GHz)を搭載し、メモリは4GB(増設不可)、ストレージとして128GB SSD、バッテリーパック(S)を搭載している。また、LTEモジュールは非搭載で、Officeは付属していない。
なお、レッツノートSXシリーズではメモリスロットが用意されており、メモリの増設が可能であったが、レッツノートSZ5では、メモリスロットが省略されており、後からメモリを増設することはできないので注意が必要だ。
液晶解像度が向上し、アスペクト比も16:10に
レッツノートSZ5は液晶についても改善されている。旧モデルであるレッツノートSXの液晶は12.1型HD+(1,600×900ドット)であったが、レッツノートSZ5は、サイズは同じ12.1型だが、解像度がWUXGA(1,920×1,200ドット)に向上している。単に解像度が上がっただけでなく、従来はアスペクト比が16:9であったが、レッツノートSZ5では16:10になり、より縦方向の割合が大きくなっている。このクラスのモバイルノートPCでは、フルHD液晶を搭載する製品が増えているが、WUXGAはフルHD(1,920×1,080ドット)に比べて、縦解像度が120ドット分高く、Webサイトなどもより快適に閲覧できる。
レッツノートシリーズは、ビジネスでの利用を意識したモバイルノートPCであり、従来から外光の映り込みが少なく、目への負担が少ないノングレアタイプの液晶を採用しているが、本製品も従来通りノングレアタイプで、長時間使っても目が疲れにくい。レッツノートSXでは、液晶解像度にやや不満があったが、レッツノートSZ5では、液晶解像度がWUXGAに向上したため、そうした不満はなくなったと言える。また、従来に比べて視野角も広くなっており、斜めから見た際の視認性も向上している。
液晶上部には、約200万画素のWebカメラとアレイマイクが搭載されており、ビデオチャットなどに利用できる。
光学ドライブがトレイ式に変更
このクラスのモバイルノートPCでは、軽量化のために光学ドライブが省略されることが多いが、レッツノートSX/SZ5は光学ドライブを搭載していることも特徴である。以前に比べれば、光学ドライブの必要性は減っているが、CDを取り込んだり、DVD-Rにデータを記録して配布するなど、光学ドライブを搭載していれば役に立つことも多い。
これまでのレッツノートSXシリーズでは、光学ドライブがパナソニック独自の上に開くシェルドライブで、筐体の右手前パームレスト部に配置されていたが、レッツノートSZ5では一般的なトレイ式のドライブになり、配置も手前中央に変更されている。ドライブはDVDスーパードライブであり、DVDビデオの再生やDVD-Rへの記録などが可能だ。
キーボードやポインティングデバイスも使いやすい
レッツノートSZ5は、キーボードもレッツノートSXシリーズから改良されている。キーピッチは横19mm、縦16mmで、キートップが葉っぱ形状のリーフトップキーボードを採用。リーフトップキーボードは、指の引っかかりを減らす効果がある。
レッツノートSXシリーズでは、キーボードが完全に長方形になっていたが、レッツノートSZ5では、右下のカーソルキーが1段下に配置されており、少し手前に出っ張る形となっているため、カーソル操作時のミスタイプを減らせる。右側の「へ」や「\」キーの横幅が多少狭くなっていることと、「半角/全角」キーが最上段に配置されていることがやや気になるが、このサイズのモバイルノートPCとしてはよくできたキーボードである。
ポインティングデバイスは、円形のホイールパッドを採用。ホイールパッドは、レッツノートシリーズではお馴染みだが、周囲をクルクルなぞることで連続的なスクロール操作が可能なことが利点だ。左右のクリックボタンも独立しており、操作性は良好だ。
USB 3.0×3や有線LAN、ミニD-Sub15ピンなど、インターフェイスも充実
レッツノートSZ5は、インターフェイスも充実している。レッツノートSXシリーズでは、USB 3.0×2とUSB 2.0、HDMI出力、Gigabit Ethernet、ミニD-Sub15ピン、SDカードスロットなどが用意されていたが、レッツノートSZ5では、3基のUSBポートが全てUSB 3.0対応に強化されている。
また、いわゆるUltrabookや2-in-1 PCでは、薄型化を重視してコネクタの厚みが大きいGigabit EthernetやミニD-Sub15ピンが省略されていることが多いが、ビジネスモバイルとしての活用を考えると、社内やホテルの有線LANに接続したり、ミニD-Sub15ピン(アナログRGB出力)にしか対応していないプロジェクタに接続するなど、Gigabit EthernetやミニD-Sub15ピンが役立つ場面も多い。
USB 3.0ポートのうちの1基は、電源オフでも給電が可能な仕様になっており、USB経由でスマートフォンやデジタルカメラなどを充電する際に便利だ。また、ワイヤレス機能としては、IEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠の無線LAN機能とBluetooth 4.1をサポートしている。SDカードスロットは、UHS-I/IIの高速転送に対応したものだ。
2種類のバッテリを用意、最大約21時間の長時間駆動を実現
レッツノートシリーズは、バッテリ駆動時間が長いことでも定評がある。レッツノートSZ5では、バッテリーパック(S)とバッテリーパック(L)の2種類のバッテリが用意されており、モデルによって標準で付属するバッテリーパックが異なる。今回試用したモデルでは、4セルのSが付属しており、公称約14.5時間の連続駆動が可能とされている。LはSと外形が同じだが、6セルとなっており、Sの約1.5倍の駆動が可能だ。Lを装着しても出っ張ることはないが、重量が約95g増える。CF-SZ5YDLQRなら、Lを装着しても重量は1kg程度であり、公称駆動時間は22時間近くになる。
実際にバッテリベンチマークソフトの「BBench」(海人氏作)を利用し、1分ごとに無線LAN経由でのWebアクセス、10秒ごとにキー入力を行なう設定でバッテリ駆動時間を計測したところ(電源プランは「バランス」、液晶輝度は「中」)、9時間29分という結果になった。無線LAN常時オンで、これだけ持てば十分合格であろう。前述したように、6セルのバッテリーパック(L)に交換すれば、さらに長時間の駆動が可能である。
ACアダプタは65W仕様で、こちらもコンパクトで軽く、携帯性は良好だ。
モバイルノートPCとしてはパフォーマンスも十分高い
参考のためにベンチマークテストを行なってみた。利用したベンチマークソフトは、「PCMark 7 v1.4.0」、「PCMark 8」、「3DMark」、「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト Ver.1.4K」、「CrystalDiskMark 3.0.3b」である。比較用として、VAIO「VAIO Pro 13 | mk2」、レノボ・ジャパンの「ThinkPad T450s」および「第3世代ThinkPad X1 Carbon」の値も掲載した。
結果は下の表に示した通りで、PCMark 7の総合スコアは、動作クロックの高いCore i7とSSDを搭載したVAIO Pro 13 | mk2や第3世代ThinkPad X1 Carbonには敵わないが、Core i7とHDDを搭載したThinkPad T450sを上回っている。レッツノートSZ5のSSDは、SATA経由で接続されており、PCI Express経由で接続されている第3世代ThinkPad X1 Carbonに比べると、CrystalDiskMarkの結果は劣っているが、VAIO Pro 13 | mk2とはほぼ互角の性能である。モバイルノートPCとして、十分な性能を持っていると言えるだろう。
Let'snote SZ5 | VAIO Pro 13 | mk2 | ThinkPad T450s | 第3世代ThinkPad X1 Carbon | |
---|---|---|---|---|
CPU | Core i5-6200U(2.3GHz) | Core i7-5500U(2.4GHz) | Core i7-5600U(2.6GHz) | Core i7-5600U(2.6GHz) |
GPU | Intel HD Graphics 520 | Intel HD Graphics 5500 | Intel HD Graphics 5500 | Intel HD Graphics 5500 |
PCMark 7 | ||||
PCMark score | 4743 | 5045 | 3363 | 5290 |
Lightweight score | 4752 | 5083 | 1795 | 3903 |
Productivity score | 4081 | 4388 | 1224 | 2898 |
Entertainment score | 3471 | 3874 | 3011 | 3544 |
Creativity score | 8616 | 9105 | 6639 | 10214 |
Computation score | 14315 | 17273 | 14613 | 14466 |
System storage score | 5261 | 5075 | 2093 | 5959 |
Raw system storage score | 5738 | 4896 | 604 | 12188 |
PCMark 8 | ||||
Home conventional | 2360 | 2674 | 2480 | 2446 |
Home accelerated | 2775 | 3217 | 2995 | 2949 |
Creative conventional | 2408 | 2590 | 2447 | 2575 |
Creative accelerated | 3473 | 3852 | 3463 | 3757 |
Work conventional | 2783 | 3076 | 3020 | 2842 |
Work accelerated | 3935 | 4277 | 4084 | 3851 |
3DMark | ||||
Fire Strike Ultra | 計測不可 | 169 | 128 | 164 |
Fire Strike Extreme | 312 | 318 | 295 | 320 |
Fire Strike | 649 | 701 | 637 | 721 |
Sky Diver | 3061 | 2679 | 2628 | 2605 |
Cloud Gate | 4903 | 5117 | 4938 | 5235 |
Ice Storm Extreme | 30085 | 36750 | 32556 | 34609 |
Ice Storm | 40943 | 51511 | 44883 | 48912 |
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト Ver.1.4K | ||||
1,280×720ドット 最高品質 | 4045 | 未計測 | 未計測 | 未計測 |
1,280×720ドット 標準品質 | 4895 | 未計測 | 未計測 | 未計測 |
1,280×720ドット 低品質 | 5514 | 未計測 | 未計測 | 未計測 |
1,920×1,080ドット 最高品質 | 2180 | 未計測 | 未計測 | 未計測 |
1,920×1,080ドット 標準品質 | 2842 | 未計測 | 未計測 | 未計測 |
1,920×1,080ドット 低品質 | 3212 | 未計測 | 未計測 | 未計測 |
CrystalDiskMark 3.0.3b | ||||
シーケンシャルリード | 475.0MB/sec | 522.1MB/sec | 119.1MB/sec | 1,328MB/sec |
シーケンシャルライト | 157.8MB/sec | 122.3MB/sec | 114.6MB/sec | 1,257MB/sec |
512Kランダムリード | 396.2MB/sec | 445.4MB/sec | 33.22MB/sec | 977.1MB/sec |
512Kランダムライト | 157.8MB/sec | 122.1MB/sec | 50.62MB/sec | 1,235MB/sec |
4Kランダムリード | 30.50MB/sec | 34.53MB/sec | 0.412MB/sec | 44.33MB/sec |
4Kランダムライト | 88.76MB/sec | 93.25MB/sec | 0.896MB/sec | 105.6MB/sec |
4K QD32ランダムリード | 389.0MB/sec | 358.9MB/sec | 0.776MB/sec | 347.9MB/sec |
4K QD32ランダムライト | 155.9MB/sec | 122.0MB/sec | 0.892MB/sec | 234.5MB/sec |
モバイルノートPCとしてより高い次元に到達
レッツノートSZ5は、これまでパナソニックが培ってきた技術の集大成であり、従来から重量を約2割も軽減するなど、モバイルノートPCとしてより高い次元に到達した製品である。価格が高めなことだけが弱点だが、携帯性や堅牢性、バッテリ駆動時間の全てを高いレベルでクリアした、完成度の高い製品であり、軽くて丈夫でバッテリが長持ちするモバイルノートPCが欲しいという、忙しいビジネスマンには特にお勧めしたい製品だ。