Hothotレビュー

デル「Latitude 12 Rugged Extreme」

〜究極の耐久性を謳う11.6型コンバーチブル

Latitude 12 Rugged Extreme

 デル株式会社は、軍事用途も想定した“究極の耐久性”を謳う14型ノート「Latitude 14 Rugged Extreme」と、11.6型コンバーチブルノートPC「Latitude 12 Rugged Extreme」を発売した。価格は410,106円からと、用途に見合う値付けとなっている。今回Latitude 12 Rugged Extreme(以下Latitude 12 RE)をお借りできたので、試用レポートをお届けしたい。

 Latitude 12 REは、液晶上下中央の両端部分を軸に液晶が回転する方式のコンバーチブルPCだ。同じ構造を採用するコンバーチブルノートとして、同社が2012年に発表した「XPS 12」がある。本製品ではその流れを汲みつつ、筐体の剛性を大幅に向上させ、衝撃吸収材を四隅に配置するなど、高耐久仕様となっている。

PCらしからぬ高耐久仕様

 まずLatitude 12 REで注目したいのは、なんといってもその高耐久性である。本製品はアメリカ軍の調達基準(器材に対する環境耐性を決定するための試験方法)「MIL-STD-810」に準拠し、温度や衝撃に対するさまざまなテストをクリアしている。

 例えば高度15,000フィート(4,572m)での1時間の動作、63℃の環境下における5日間の稼働、-29℃環境下での24時間動作、1時間に147mm降る雨の中での動作、10±7g/立方mの砂塵および風速8.9m/secの環境下での動作、動作時0.91mからの落下などが保証されている。

 この高耐久性は、マグネシウム合金の筐体と、四隅の衝撃吸収ウルトラポリマー素材、圧縮ガスケットによる密閉構造、IP65準拠のデュアルナイフエッジ設計、そして第4世代QuadCool熱管理システムによって実現したものだ。

 これだけ環境耐性に対する保証がされていれば、不意の人的要因による故障はまず考えられないと言っていいだろう。実際に手にしてみても、剛性は一般的なコンシューマ向けPCとは比較にならないぐらい高く、安心感が伝わってくる。

 実は今回、デルがクリアしたテストに関しては、レビュー時も同じテストを行なって良いという、なんとも太っ腹(?)なお許しを頂いたのだが、機材スケジュールとしてはちょうど台風8号が接近したタイミングだったにもかかわらず、筆者が晴れ男の関係で、残念ながら風雨の中でLatitude 12 REの動作テストをするという願いが叶わなかった。

 ただ、Latitude 14 Rugged Extremeの方も別のスケジュールでお借りすることになっているので、耐環境性についてはその時改めてレビューすることにしたい。

後ろから見た場合。いかにも頑丈そうである
ウルトラポリマー素材の四隅。衝撃に強そうである
重量は2.7kg。ここまで頑丈そうで重さがあると、「Let'snote F」みたいなハンドルが欲しくなる

堅牢にふさわしい外観。インターフェイスは全部キャップ付き

 それでは、特徴的なLatitude 12 REの外観について見ていこう。先述の通り、本製品は堅牢性を実現するために、マグネシウム合金筐体やウルトラポリマー素材などを採用するが、そのため外観は特徴的な仕上がりとなっている。

 マグネシウム合金の筐体はガッチリとした四角形で、天板はボンネット加工などはされていない。素材自体の硬さを活かしているのだろう。それを大きなウルトラポリマー素材で四隅を囲み、角からの衝撃を緩衝する仕組みとなっている。

Latitude 12 Rugged Extreme
天板。マグネシウム合金をベースに、ウルトラポリマー素材で四隅を囲った大胆なデザイン
本体前面。天板は近年珍しい爪付きで、ガッチリ閉じる
本体右側面。電源ボタンが見えるが、電源ランプと兼用となっている
本体後部にもインターフェイスを装備する
本体右側面はインターフェイスのほかに排気口を備えている

 各インターフェイスのポート部も、左右と上下に動く2段のラッチによって開閉するドアによって保護され、利用時に必要最小限のポートのみが現れるようになっている。これにより防水と防塵性を確保しているわけだ。

 インターフェイスは、USB 3.0、USB 2.0、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernetのほかに、タブレット形態でも使える指紋センサーを側面に装備。また、ノートとしては珍しくシリアルポートを備える。さらに、一時期ノートでの装備は多かったものの対応カードが少なく、結局廃れてしまったExpressCard/54スロットも備えている。互換性重視だと言えるだろう。

インターフェイスにはカバーがされている
右にスライドするとロックが解除
さらに下にスライドすると開閉できる
左側面にはHDMIとUSB 3.0、音声出力を装備
背面にはGigabit Ethernet、USB 2.0、シリアルポート、ミニD-Sub15ピンを備える。シリアルポートを装備したノートは近年珍しい
本体左側面には指紋センサー、ExpressCard/54スロットと、SSD用のベイを備える

 本製品は液晶側の左右の中央を軸に、フレームを残して液晶パネルが180度回転するようになっており、これによってタブレットとして使える。この機構自体はコンシューマ向けのXPS 12でも実現されているため、目新しいものではない。しかしLatitude 12 REでは堅牢性への配慮がされており、液晶のフレームに爪でキーボード側とガッチリくっつくようになっている。このためタブレット利用時にうっかりヒンジが開いてしまうことはない。回転自体はスムーズに行なえるし、フレームにガッチリ固定する機構も入っている。

左右フレームの中央にヒンジが入っており、液晶が180度回転する
回転後に液晶を留める機構を装備しており、不意の回転を防ぐ
タブレット形態時
タブレット利用時もペンで軽快に操作可能
タブレット形態時に使いやすいボリューム調節ボタンやインジケータなどを前面に装備

 ユニークなのは、Webカメラに備え付けられた開閉可能なカバー。砂塵や水分などからWebカメラのレンズを保護する目的以外に、Webカメラのハッキングによる事故を物理的に防げるようになっている。また、クラムシェル形態では底面になってしまうため使えないが、タブレット利用時に使える背面カメラを装備する点もユニークだ。

本体上部のWebカメラ
カバーで覆い隠すことができる
本体底面
底面に装備されたカメラ。タブレット形態時に利用可能
ポートリプリケータ用と思われる端子も装備している
底面から見える冷却ファン

感圧式のタッチパネルと約10時間のバッテリ駆動

 Latitude 12 REは雨の中でも使えるようになっているため、タッチパネルの誤作動を防ぐために、近年採用例が多い静電容量式のタッチパネルではなく、感圧式のタッチパネルを搭載している。感圧式と言うとやや時代遅れな感じは否めないが、本製品に搭載されているものは静電容量式に劣らない軽快な操作が可能だった。また、付属のタッチペンによる入力や、手袋をしたままでの操作も可能となっている。

 タッチペンはキーボード手前の左側面に収納されており、紛失しないようケーブルで本体にくくりつけられている。操作感としては「ニンテンドーDS」に近い印象だ。ただし一般的な操作は問題ないが、ストアアプリを終了させるための「上のエッジから下へのスワイプ」や、チャームを出すための「右のエッジから中央へのスワイプ」などの操作はややしにくかった。キャリブレーションが必要だろう。

ペンは本体内に収納できる
2段階の伸縮式で、かなり長くなる

 キーボードはアイソレーション方式で、キーピッチも19.25mm確保されているため、ミスタイプは起きにくい。Enterキーや\、バックスペースなど一部狭くなっているところもあるが、配列はオーソドックスのため問題はないだろう。LEDバックライトも内蔵されており、明るさも調節可能。暗所でも視認性が高い。タッチパッドは90×50mmの大きさで、ボタンは独立式となっている。操作感は上々だ。

 圧縮ガスケット構造を採用しており、本体に厚みがあるが、動作中の熱や騒音はなく快適に利用できる。液晶は明るく、太陽光の下でも視認性は十分。視野角は上下/左右ともに広めで見やすい。

キーボードとタッチパッド。キーボードは配列のクセが少なく、扱いやすい
キーピッチは約19.25mmであった
液晶は明るく、太陽光下でも見やすい
視野角は上下/左右ともに広めだ

 ただ画面サイズの割には重量は約2.72kgと、軽い17型ノートよりも重いため、電車よりも自動車での移動が前提だ。ACアダプタは65Wタイプのためさほど大きくないが、電源のACケーブルはいわゆるミッキータイプの3ピンタイプで、太くてかさばるため、これもやはりかばんに入れて毎日持ち運ぶものではない。

 しかしバッテリ駆動時間は優秀だった。今回はBBenchを用いて、Wi-FiオンでWeb巡回をオン、キーストロークをオンに設定し、画面輝度約30%で連続動作させたところ、約9.95時間、つまり約10時間も駆動した。これはBay Trailを搭載したタブレットよりも優秀だ。これなら1日外出先で使っても、ACアダプタはほぼ不要だろう。

高性能SSDでトータルシステム性能も良好

 最後に、Latitude 12 REの性能をベンチマークで見てみよう。使用したベンチマークは、「PCMark 7」、「ファイナルファンタジー XIオフィシャルベンチマーク3」、「SiSoftware Sandra」の3種類。

 比較用にIvy Bridge搭載だが同じ機構を採用する「XPS 12」、および筆者愛用のノートPC「NEXTGEAR-NOTE i300」の結果を加えてある。

機種名 Latitude 12 Rugged Extreme XPS 12 NEXTGEAR-NOTE i300
CPU Core i5-4300U Core i5-3317U Core i7-3612QM
メモリ 8GB 4GB 8GB
ストレージ 256GB SSD SSD 128GB 512GB SSD
OS Windows 8.1 Pro Windows 8 Windows 8
PCMark 7
Score 4917 4699 5535
Lightweight 3275 3060 5531
Productivity 2434 2183 4646
Entertainment 3590 9102 4028
Creative 9183 3359 8596
Computation 15759 16097 16059
System storage 5006 5146 5444
RAW system storage score 3833 未計測 5873
ファイナルファンタジーXIオフィシャルベンチマーク3
Low 9392 6162 9032
High 6379 4182 7340
Sisoftware Sandra
Dhrystone 52GIPS 47.67GIPS 85GIPS
Whetstone 36.15GFLOPS 30.33GFLOPS 66.68GFLOPS
Graphics Rendering Float 125.6Mpixel/sec 133.51Mpixel/sec 536.8 Mpixel
Graphics Rendering Double 49.42Mpixel/sec 38.74Mpixel/sec 30.83Mpixel

 結果は、Ivy Bridgeを改良したHaswellらしい結果となっている。特にXPS 12のCore i5-3317Uと比較すると、Core i5-4300UはTDPが17Wから15Wに低下しているが、ベースの駆動周波数は1.7GHzから1.9GHzに向上し、SiSoftware SandraのCPU演算能力が向上。またグラフィックスも強化されているため、ファイナルファンタジーXIではスコア差が顕著となった。

 本製品は、mSATAベースのLITE-ON(Plextor)製SSD「M6M」を採用している。このためストレージ周りのスコアも高く、これがPCMark 7の高スコアに結びついた。

命がけの現場でこそ活きる究極のノート

 重量がある以外は、性能が高く使いやすさにも優れており、一般ユーザーからしても魅力的な製品なのだが、本製品の特徴はやはりMIL-STD-810準拠の耐久性に尽きる。しかし、Latitude 12 REが動作を保証する環境というのは、使う人間にとって優しいものではない。63℃や-29℃の環境、1時間に147mmもの猛烈な雨、10±7g/立方mの砂塵の中で、なんの装備もせずに普通の人間が居られるとは思えない。精神的に大丈夫でも肉体的には不可、あるいはその逆だ。

 それでも動作してしまうところがLatitude 12 REのすごいところであり、人体さえきちんと環境対策をしていれば、本製品をその環境で使えるのがポイントだ。過酷な環境の現場は命がけであろうが、その現場にとって唯一無二の選択肢となるだろう。

(劉 尭)