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日本マイクロソフト「Surface Pro 3」

~薄く軽く液晶が大きくなったWindowsタブレット

日本マイクロソフト「Surface Pro 3」

 日本マイクロソフトは、Windowsタブレット「Surface」シリーズ最新モデル「Surface Pro 3」を17日に発売した。従来モデルよりも大きな12型液晶を搭載しつつ、ボディの薄型化や軽量化を実現し、ペンやキックスタンドなどの使い勝手を高めるなど、完成度が大きく高まっている。今回、短時間ながら試用する機会を得たので、仕様面や性能などをチェックしていきたいと思う。直販価格は120,774円から。

薄型・軽量化で携帯性が向上

 日本マイクロソフトが発売するSurface Pro 3は、Windows 8/8.1を搭載するSurface Proシリーズの3代目となる製品だ。6月20日に北米で発売となったが、それから遅れること約1カ月、日本でも販売が開始された。

 Surface Pro 3の本体デザインは、直線的かつ平面の板状で、側面が斜めに切り落とされているというSurfaceシリーズの基本的なデザインコンセプトをほぼそのまま踏襲している。従来よりも大きな12型液晶を搭載することもあって、本体サイズは従来モデルから大きくなっているが、見た目の印象はほとんど変わっていない。ボディ素材は従来同様マグネシウム合金で、細部まで仕上げはしっかりとしており、安っぽい印象は皆無だ。

 Surface Pro 3を手にしてまず初めに感じるのは、従来からかなり軽くなった点だ。重量は公称で800g、実測では公称をやや上回る806.5gだった。Surface Pro 2は重量が約907gだったため、100g以上の軽量化が実現されている。実際に手にすると、フットプリントが大型化していることもあって、数字以上に軽く感じる。

 本体サイズは、292×201.3×9.1mm(幅×奥行き×高さ)となっている。フットプリントは12型液晶の採用によって従来より一回り大きくなっているのに対し、高さは1cmを切る9.1mmと、従来より4.4mmも薄くなった。Surface Pro 3の高さは、初代Surface RTの9mmとほぼ同じ。薄型ノートPCとほぼ同等のシステムを搭載していることを考えると、この薄さは驚異的と言ってもいいだろう。従来まではタブレットと言うには厚すぎるという印象もあったが、Surface Pro 3ではそういった印象も払拭されている。

 先ほど、Surface Pro 3を手にした時に数字以上に軽く感じると書いたが、それは本体の薄さによる感触の違いも大きく影響していると思われる。さすがに片手で持って長時間利用するにはまだ少々つらい重量であるのは事実だが、軽量化と薄型化によって利便性や携帯性は大きく高まっている。

本体正面。12型液晶を採用したため、フットプリントは292×201.3mm(幅×奥行き)と従来より大きくなった
Surface Pro/Pro 2と同等サイズの初代Surface RTとの比較
手前側側面。高さは9.1mmと1cmを切る薄さとなり、従来より大幅な薄型化を実現
高さ9mmの初代Surface RT(左)との比較。ほぼ同じ高さに第4世代Coreプロセッサなど薄型ノートPC同等のシステムを搭載するのは驚異的だ
左側面。側面は裏面側に向かって斜めに切り取られる、従来までのデザインを踏襲している
上部側面
右側面
裏面。裏面もフラットで、従来同様板状のデザインとなる
重量は公称800g、実測では公称をわずかに上回る806.5gだった

背面キックスタンドが無段階角度調節に対応

 Surfaceシリーズの特徴となるのが、本体背面に用意されているキックスタンドだ。キックスタンドの存在によって、タブレットとしてだけでなくクラムシェルスタイルでも快適な使い勝手を実現している。初代Surface Proのキックスタンドは角度調節ができなかったのに対し、2代目のSurface Pro 2では22度と40度の2段階の角度に調節できるようになり、利便性が高められた。そしてSurface Pro 3のキックスタンドは、最大150度まで開けるようになったことに加え、22度から150度の範囲内で無段階に角度を調節できるように進化した。ヒンジ部のテンションは適度な堅さで開閉はスムーズに行なえ、どの角度でも安定して本体を保持できる。深い角度に調節しても自然に角度が開いてしまうことはない。

 キックスタンドの無段階角度調節が可能になったことで、特にクラムシェルスタイルでの利便性が大きく向上している。従来モデルでは2段階の角度調節が可能だったとはいえ、好みの角度で利用することはできず、利用場所によっては外光の映り込みなどで利便性が損なわれることがあった。しかし、Surface Pro 3では一般的なノートPC同様に好みの角度に調節して利用できるため、利便性はノートPC同等となった。また、深い角度まで倒せるようになったことで、外出時などテーブルを確保できない場合でも、膝上で快適に利用可能となった。利便性という意味で大きな進化と言っていいだろう。

背面のキックスタンドは22度から150度の範囲で自由に角度を調節可能となった
キックスタンドを開いて最初にテンションがかかる部分で約22度
最大で150度まで開くことが可能
深い角度まで開けるため、膝の上でも使いやすくなった
【動画】キックスタンドを開いている様子

液晶が12型となり高解像度化

 Surface Pro 3の液晶は、冒頭でも紹介したように従来までの10.6型から12型へと大型化している。また、大型化するだけでなく表示解像度も高まっており、従来までのフルHD(1,920×1,080ドット)から2,160×1,440ドット表示に対応。表示できる情報量は従来の約1.5倍となり、利便性が向上した。なお、解像度は高まっているが、液晶サイズが大型化したことで画素密度は約216dpiと、従来の約208dpiと比べて大きな違いはない。アイコンの文字などの表示サイズは従来からほとんど変わっていないため、従来よりも文字などが見にくく感じることもない。

 Surface Pro 3の液晶は、大型化と高解像度化に加え、アスペクト比の変化も大きな特徴だ。従来までは16:9だったのに対し、Surface Pro 3では3:2に変化した。従来よりも正方形に近付いたアスペクト比になったことで、横画面で利用する場合の縦の情報量が増え、Excelなどビジネスアプリ利用時の利便性が大きく向上。また、ペンを利用した手書き入力を行なう場合でも、紙のノートに近い感覚で書くことができ、こちらも利便性が高まっている。

 液晶の表示品質は、従来モデルとほぼ同等と感じる。表面は光沢処理となっているため発色は鮮やかで、輝度も十分に明るい。ただし、外光の映り込みはやや激しいため、文字入力時などには映り込みが気になる場面も多そうだ。

2,160×1,440ドット表示に対応する12型液晶を採用
アスペクト比が3:2となって縦の情報量が増えた。画素密度は従来モデルと大きく変わらず、文字の見え方に差はほとんど感じられない
光沢パネルのため発色は鮮やかだが外光の映り込みは気になる
アスペクト比が3:2のため、デジタル一眼レフカメラなどで撮影した写真をフル画面で表示できる

タイプカバーも角度調節が可能に

 Surfaceシリーズでは、オプションで用意されるキーボード内蔵型カバーも特徴の1つ。従来までは、キーのない「タッチカバー」とキーのある「タイプカバー」の2種類が用意されていたが、Surface Pro 3ではキーのあるタイプカバーのみが用意される。また、日本では日本語配列のタイプカバーのみが販売される。カラーは、シアン、赤(Microsoftストア限定)、パープル、黒、青の5色が用意される。

 Surface Pro 3用のタイプカバーは、Surface Pro 3の本体サイズに合わせて従来よりも大きくなっている。そして、従来にはないギミックとして、キーボード後方が折れ曲がるようになるとともに、折れた部分が磁石で液晶面下部に貼り付くという仕組みを採用。これによってキーボードに角度をつけられるようになった。従来は事実上テーブルの上など水平な状態でしか使えなかったが、なだらかな角度によってキーボードの使い勝手は高まっている。なお、液晶面のWindowsボタンが液晶の長辺側下部から右短辺側へと移動しているが、これはこのタイプカバーの新機構に対応するためだ。また、タイプカバー自体の剛性も高まり、従来よりもしなりが少なくなっている。こちらも、キーボード部分に角度をつけて利用する場合を考慮してのものと考えられる。

 ほかには、キーボード手前のタッチパッドが、一般的なノートPCのタッチパッドに近い、クリックボタン一体型タッチパッドとなった。Surface Pro 2と同時に登場した「タイプカバー2」での、タップのみによるクリック操作に対して操作性が高まり、こちらも操作性が向上している。加えて、サイズの大型化によりタッチパッドの面積も大きくなった。タッチパッドのサイズは、実測で横約88.5mm、縦約43.5mmだった。

 ちなみに、キーボードのキーの配列やピッチなどは従来とほぼ同じ。打鍵感も従来とほぼ同じと感じた。また、キーボードバックライトの搭載も従来同様だ。ただ、個人的には、キーとキーの間隔が非常に狭い独特な形状をそのまま引き続いて採用している点に扱いにくさを感じる。キーとキーの間に適度な間隔が開いている一般的なキーボードでは、キーの隅を押すような操作でもタイプミスは少ない。しかし、タイプカバーの間隔がほとんどないキーでは、隣のキーが押されるなどしてタイプミスが頻発してしまう。この点は今後の改善を期待したい。

 なお、Surface Pro 3に従来までのタッチカバーやタイプカバーを取り付けて利用することも可能。バッテリを内蔵するパワーカバーも問題なく利用できる。ただし、サイズは合わないことからカバーとしての役目を果たせないので、利用はあまりおすすめできない。

Surface Pro 3用のタイプカバー。本体サイズに合わせて従来よりも大きくなった
キー配列は従来と同じで、日本では日本語配列のみを発売。バックライトも引き続き内蔵している
キーピッチは約18.5mm。キーとの間隔が狭く、入力ミスが頻発する点は従来と変わらない
タイプカバーはキーボード後部が折れて固定できるようになり、キーボード面に角度をつけて利用可能となった
従来同様水平での利用ももちろん可能
タッチパッドは初代タイプカバーに近いクリックボタン一体型に変更。面積が大きくなり扱いやすさが向上した
タイプカバーの重量は実測で293.8gだった
従来のタイプカバーやタッチカバー、パワーカバーも利用できる
従来のカバーはサイズが合わないため、カバーとしての役目は果たせない

スタイラスペンの利便性も向上

 Surface Pro 3には従来同様スタイラスペン「Surfaceペン」が付属し、タッチ操作だけでなくペン入力も可能。ただし、付属のペンは従来までのワコム製デジタイザからN-Trig製のデジタイザへと変更された。仕様が変わったため、従来との互換性はなくなっている。ペンのサイズは、長さが135mm、直径9.5mmと従来よりやや太くなっている。重量は18gと従来より約8.2g重くなった。実測では17.7gであった。ペンは本体部分にアルミニウム素材を採用しており、手触りがよく高級感も感じられる。

 従来のペンは1,024段階の筆圧検知に対応していたのに対し、Surface Pro 3のペンは256段階に減っている。これによって、従来よりも細かな階調を表現するのが難しくなり、プロのグラフィックス用途への対応度はやや低下したと考えられる。しかし、OneNoteなどを利用してメモを取るといった用途であれば、筆圧検知の階調低下が気になることはないだろう。また、液晶表示面とペン先との視差が少ない点はN-Trig製デジタイザペンの魅力で、実際にペンを使った手書き入力時でも紙に近い感覚で書ける点は大きな魅力と感じた。

 なお、ペンは本体に収納できず、別途持ち歩く必要がある。タイプカバーにはペンホルダーが用意され、ペンを固定し持ち歩けるが、本体のみを持ち出す場合には収納場所に困る場面がある。本体サイズを考えると難しいかもしれないが、本体に収納できればなお良かったと思う。

 ところで、Surface Pro 3のペンには、新たにペン尻側にもスイッチが配置されている。このスイッチをクリックすると、Surface Pro 3がスリープ状態であってもOneNoteが起動し、すぐに手書き入力が行なえる。また、スイッチをダブルクリックした場合には、表示中の画面がキャプチャされ、そのキャプチャ画像を取り込んだ状態でOneNoteが起動する。スイッチをクリックしたときに起動するアプリをOneNote以外のアプリに変更できない点は残念だが、ペンを便利に活用できる機能として大きな特徴と言える。

付属のデジタイザペン「Surfaceペン」。筆圧検知256段階のN-Trig製のペンへと変更になった
ペンのサイズは長さ135mm、直径9.5mm。内部には単6形乾電池とペン尻側にボタン電池を内蔵する
ペンの重量は実測で17.7gだった
ペンは本体に収納できないが、タイプカバー付属のペンホルダを利用して収納や持ち運びが可能
タイプカバーのペンホルダーは強力な両面テープで貼り付けるタイプ。一度貼り付けると位置の変更など不可能となるので注意
ペン尻にスイッチが用意され、クリックするとOne Noteが起動する
【動画】ペンのボタンをクリックしてNoe Noteが起動する様子
【動画】ボタンをダブルクリックした場合の様子

スペックも正統進化

 Surface Pro 3では、CPUとして第4世代CoreプロセッサシリーズのCore i3/i5/i7が採用される。Core i3搭載モデルは8月に発売予定となっており、7月17日より発売となったのはCore i5搭載モデルとCore i7搭載モデルとなる。

 今回試用したのは、Core i5-4300Uを搭載するモデルだ。Core i7搭載モデルではCore i7-4650Uを採用。メモリとSSDの容量はモデルによって異なっており、メモリは4GBまたは8GB、SSDは128/256/512GBのいずれかとなる。なお、今回試用したものは、メモリ8GB、SSDは256GBだった。

 無線機能は、IEEE 802.11ac/a/b/g/n準拠の無線LANとBluetooth 4.0を標準搭載。センサー類としては、照度センサー、加速度センサー、ジャイロスコープ、電子コンパスを搭載する。

 側面のポート類は、左側面にヘッドフォンジャック、右側面にUSB 3.0ポート×1とMini DisplayPortをそれぞれ配置している。また、キックスタンド下部にmicroSDカードスロットを用意する。ポートは従来同様で、タブレットとして必要最低限といった程度しか用意されない。特にUSBポートが1つのみという点と、デジカメなどで多用されているSDカードが利用できない点はかなり不便を感じる。

 ACアダプタは従来モデルとほぼ同じ仕様で、5V/1A出力対応の充電用USBポートを備える点も同じ。ただし、本体側の接続端子は形状が変わっている。上下の向きに関係なく取り付けて利用できる点は同じだが、従来までとの互換性はなくなっている。

左側面にはヘッドフォンジャックとボリュームボタンを配置
右側面にUSB 3.0×1とMini DisplayPortを用意。拡張性は低い。左側にはACアダプタ接続コネクタがある
上部には電源コネクタを配置
キックスタンドを開くとmicroSDカードスロットにアクセスできる
裏面に500万画素のカメラを搭載
液晶面にも500万画素のカメラを搭載する
液晶面のWindowsボタンは、タイプカバーの仕様変更に伴い右側面に移動している
液晶面上部左右にステレオスピーカーを搭載
付属のACアダプタは従来モデルとほぼ同じサイズ
ACアダプタの重量は、付属の電源ケーブル込みで実測205.5gだった
ACアダプタには5V/1A出力対応のUSB充電ポートも備える
本体側のコネクタは形状が変更された
電源コネクタは磁石で固定。向きは上下関係なく取り付けて利用できる

発熱が大きく高負荷時にはサーマルスロットリングが頻発

 では、ベンチマークテストの結果を紹介していこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 8 v2.0.228」、「PCMark 7 v1.4.0」、「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark Professional Edition v1.2.250」、「3DMark06 Build 1.1.0 1901」、カプコンの「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」の6種類。比較用として、パナソニックのCore i5-4310U搭載「Let'snote MX3 CF-MX3JEKJR」と、Core i7-4500U搭載「Let'snote MX3 CF-MX3TEABR」の結果も加えてある。なお、一部テストはバージョンが異なっているものもあるため、比較機のスコアは参考値として見てもらいたい。

【表】ベンチマーク結果
Surface Pro 3Let'snote MX3 CF-MX3JEKJRLet'snote MX3 CF-MX3TEABR
CPUCore i5-4300U(1.90/2.90GHz)Core i5-4310U(2.00/3.00GHz)Core i7-4500U(1.80/3.00GHz)
ビデオチップInte HD Graphics 4400Inte HD Graphics 4400Inte HD Graphics 4400
メモリPC3L-12800 DDR3L SDRAM 8GBPC3L-12800 DDR3L SDRAM 4GBPC3L-12800 DDR3L SDRAM 8GB
ストレージ256GB SSD128GB SSD256GB SSD
OSWindows 8.1 Pro UpdateWindows 8.1 UpdateWindows 8.1 Pro
PCMark 8 v2.0.228(比較対象2機種はv2.0.204を使用)
Home Accelarated 3.0219025512547
Creative accelarated 3.0254028252750
Work 2.0328236413226
Storage488249064936
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score481649065114
Lightweight score320932763478
Productivity score242825652650
Entertainment score310736773726
Creativity score869189559456
Computation score142891664216406
System storage score513551335323
Raw system storage score401551775699
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark ScoreN/AN/AN/A
CPU Score908193709429
Memory Score844683258315
Graphics ScoreN/A32953509
HDD Score388474113638139
3DMark Professional Edition v1.2.250(比較対象2機種はv1.2.250を使用)
Ice Storm294794254844198
Graphics Score324134761349434
Physics Score223873100632245
Cloud Gate279143994590
Graphics Score325454545684
Physics Score186426242744
Fire Strike1679557606
Graphics Score1589580654
Physics Score267235843931
Combined score1478
3DMark06 Build 1.2.0 1901
3DMark Score428853035472
SM2.0 Score188118721893
HDR/SM3.0 Score137620812221
CPU Score245936273436
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット131625192813

 結果を見ると、PCMark 7とPCMark05は比較機より搭載CPUの動作クロックが低いことなどを考えるとまずまず順当なものと言えそうだ。ただ、PCMark 8では比較機に比べてスコアの落ち込みがやや大きくなっている。PCMark 7や05よりも落ち込みが大きい点はやや気になる。また、3D描画のテストでは、スコアの落ち込みがより大きくなっている。3DMark Professionalやモンスターハンターフロンティアベンチマークでは3割以上の大幅な落ち込みとなっている。どうやらこの原因は、CPUの発熱を効率良く放出できていないことにありそうだ。

 従来モデルでも、高負荷時には背面がやや高温となっていたが、Surface Pro 3では温度上昇がより大きくなっているように感じる。実際にベンチマークテスト実行中に背面の温度を計測してみたところ、最も高温となる部分では45℃付近にまで高まった。高負荷時には、本体を手に持って利用するのをためらってしまうほど熱く感じる。

 また、ベンチマークテスト実行中のCPUコアの温度変化をチェックしてみたところ、テスト開始後、比較的短時間で80℃付近にまで上昇し、その後サーマルスロットリングによりCPUコアの動作クロックが低下し推移するという挙動を確認した。3Dベンチマークテストのスコア低下や、先ほどのPCMark 8のスコアの落ち込みは、CPUのサーマルスロットリングによる影響があったものと考えてよさそうだ。

 Surface Pro 3では、CPUの熱を空冷ファンで外部に放出するのに加え、本体ボディにも伝えて放熱するようになっていると思われるが、高負荷時にここまで高温となりサーマルスロットリングが頻発するとなると、CPUの発熱に対してやや放熱能力が不足していると考えられる。今回はCore i5搭載モデルを試用したが、より高性能で発熱も高まるCore i7搭載モデルでは、この点がかなり心配だ。特にこれから暑くなる夏は、本体の発熱に気を遣いながら利用する必要があるだろう。

ベンチマークテストなど高負荷な作業を行なうと、CPUコアの温度が80℃を超える場面がある
そのままテストを続けるとサーマルスロットリングが働きコアクロックが低下。高負荷が続く作業では影響が出そうだ
高負荷時には背面の温度が45℃を超える場合もあり、かなり熱くなる

 次にバッテリ駆動時間だ。Surface Pro 3の公称のバッテリ駆動時間は最大約9時間。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」に設定し、バックライト輝度を40%、無線機能は無線LANのみを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約7時間59分の駆動時間を計測した。公称の駆動時間よりやや短かったものの、それでも実測でほぼ8時間の駆動時間なら、外出時の利用も安心だ。本体の軽量化と合わせて、携帯性は十分満足できるはずだ。

Windowsタブレットとしては現役最強

 Surface Pro 3は、液晶を大型・高解像度化しつつ、本体の薄型・軽量化を実現し、性能も正統進化した。また、専用のデジタイザペンやキーボード一体型タイプカバーも進化しており、製品としての魅力は大きく向上した。

 ただし、クラムシェルノート相当として利用するには物足りない部分がまだまだ多いと感じるのも事実。確かに背面キックスタンドやタイプカバーの進化によって、従来よりクラムシェルノート的な利便性は向上してはいる。しかし、拡張ポートの少なさやキーボードの使い勝手の悪さなど、妥協しなければならない部分が存在している以上、クラムシェルノート的な使い方をメインとして考えているなら、通常の軽量ノートPCを購入した方が幸せなはずだ。また、高負荷時に高温となりサーマルスロットリングが頻発する点も、ノートPCに対して劣る部分だ。

 とは言え、ペンやタッチを活用したWindowsタブレットとしての利用を中心とするなら、他を圧倒する魅力があり、現役最強のWindowsタブレットといっても過言ではない。価格もスペックや仕様を考えると高価なわけではなく、コストパフォーマンスにも優れる。2-in-1モバイルとして非常に魅力的な製品に進化したと言っていいだろう。

(平澤 寿康)