大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」

ソーテックブランドのPCはこれからも継続的に出荷する
〜オンキヨーブランド展開について、菅正雄常務取締役に聞く



 オンキヨーは、「SOTEC(ソーテック)」ブランドで展開してきたPCに加え、新たに「ONKYO(オンキヨー)」ブランドのPCを投入することを発表した。一部報道では、オンキヨーブランドに統一するとの見方も出ていたが、実際には、ソーテックブランドとオンキヨーブランドの2本立てで事業を推進することになる。

 2007年に8月にソーテックを子会社化し、2008年9月にソーテックを合併。さらに、2008年12月には、オンキヨーの生産拠点である鳥取県倉吉の鳥取オンキヨーにPC生産および修理・サポート機能を移管し、オンキヨーが培ってきた生産/サポートノウハウを活用した体制へと移行したきた。今回のオンキヨーブランドの展開によって、同社のPC事業は、今後どうなっていくのか。オンキヨーの菅正雄常務取締役に話を聞いた。


−−今回の発表は、ソーテックブランドをやめ、オンキヨーブランドへの統一するというものではないのですか。

オンキヨー株式会社 常務取締役 EMS事業本部長兼開発センター長 菅正雄氏

 一部には誤解があり、私のところにもずいぶん問い合わせがありました(笑)。今回の発表は、オンキヨーブランドへの「統一」ではなく、オンキヨーブランドの「展開」というのが正しいコメントです。

 オンキヨーは、2006年5月に、オンキヨーブランドでHDメディアコンピュータ「HDC-7」を発売し、PC事業に参入しましたが、2008年9月にソーテックを合併して以降、オンキヨーブランドのPCは投入していませんでした。オンキヨーのロゴは入っていましたが、それは、[Powered by ONKYO」、「Sound by ONKYO」といったものであり、あくまでもソーテックブランドのPCという位置づけです。

 今回の発表は、これまでのソーテックブランドのPCに加えて、新たにオンキヨーブランドのPCを投入するということになります。

HDCシリーズには、Powered by ONKYOのロゴが入っていた デスクトップPCのE7シリーズには「Sound by ONKYO」のロゴが入る

−−Windows 7を搭載したソーテックブランドのPCも新たに発売されると。

 そういうことになります。そして、オンキヨーブランドのPCも発売されることになります。

−−ソーテックブランドのPCと、オンキヨーブランドのPCとの差はどこにあるのですか。

 実は明確な線引きは考えていないんです(笑)。これまでのソーテックブランドで展開してきたコストパフォーマンスの高さは、引き続きソーテックブランドのPCで維持されるでしょうし、オンキヨーブランドが持つオーディオやビジュアルに強いというイメージを生かした新たなPCは、オンキヨーブランドで展開するということも考えています。

 しかし、その一方で、ソーテックでも付加価値を追求したモデルや、オンキヨーで展開するモデルにもコストパフォーマンスを求める場合が出てくるかもしれません。PC業界は変化が激しいですから、具体的な線引きをせずに、柔軟性を持って展開していくつもりです。

−−例えば、1年後にオンキヨーブランドのPCが出荷台数の9割を占めるといったようなことにはならないのですか。

 それもわかりません。市場が何を要求するか、それに伴い、どんなPCを出すのか、そのときにはどのブランドがいいのかということによって違うのではないでしょうか。

−−2つのブランドを並列する狙いはなんですか。ソーテックブランドにこだわらずに、オンキヨーブランドに一本化することが、マーケティングコストや、付加価値型PCのイメージを定着させるには得策だと思うのですが。

ソーテックブランドのPCは引き続き投入される

 今回のオンキヨーブランドPCの展開は、とにかくPCの出荷台数を増やしたいということがベースにあります。そのためには、PCブランドとして定着しているソーテックによる展開に加えて、オンキヨーブランドのPCを出すことが最適だと判断しました。台湾のAcerのように、Acerブランドのほか、Gateway、eMachines、Packerd-bellという4つのブランドを展開し、世界第3位の規模を誇っている例もある。もちろん、オンキヨーと比べると規模の差は大きいのですが、複数のブランドによって展開することで新たな市場にもアプローチでき、出荷規模を拡大することができると考えています。

 ビジネスの観点から捉えれば、2つの認知されたブランドを持っているのならば、それをうまく活用するというのが得策ではないでしょうか。現在、ソーテックブランドのPCでの出荷実績は十数万台規模ですが、オンキヨーブランドのPCを加えることで、これを早いタイミングで2倍規模にはしていきたいですね。

−−オンキヨーが目指す新たな市場とは。

 1つはオーディオ、ビジョアルの世界です。オンキヨーが全社で取り組んでいるテーマは、「光」と「音」です。光という観点では、単に映像の範囲だけではなく、もっと広い範囲で捉えています。オンキヨーは、AV機器をコントロールするAVセンター(海外ではAVレシーバー)で高い実績をもっています。欧米でそれぞれ年間100万台規模の出荷実績を誇っているほどです。

オンキヨーのAVセンターには、すでに「Compatible with Windows 7」の認定ロゴが貼付されている

 すでにAVセンターでは、DLNA接続が可能なWindows 7対応機器として、「Compatible with Windows 7」の認定ロゴを取得していますから、別の部屋にあるWindows 7搭載PCの収納している音楽コンテンツや映像コンテンツをDLNAで接続して、AVセンターを通じて、高解像度の大画面TVや、高音質のスピーカーから出力することができる。こうしたAVセンターと接続した環境での使用に最適化したPCは、オンキヨープランドで展開するのが合っているでしょう。オンキヨーには、家庭内のシアタールームなどを受注するチームもいますから、そうした販路を活用して販売することもできる。これが新たな分野の1つです。

 また、最近ではデジタルサイネージが注目を集めており、これをコントロールする機器としてPCが活用されている。オンキヨーでは、デジタルサイネージ製品を法人向けに提供していますから、これと組み合わせて展開するといったこともできる。ソーテックとしては、法人向けPC事業から一時的に撤退しましたが、SOHOや中小企業といった今後の成長が見込める分野に対しては、積極的に展開していこうと考えています。さらに、教育分野向けにもビジネスチャンスがあると考えている。こうした領域にもオンキヨーブランドが生かせるはずです。幅広いニーズに対応するというのではなく、成長が見込める分野に対して、PCを投入していくということを、当社PC事業の基本姿勢に考えています。

−−AVセンターの実績を考えれば、海外向けにもPC事業を展開することが想定されますが。

 現時点で具体的な計画はありませんが、欧米ではオンキヨーブランドは高い認知度がありますから、海外にPC事業を展開するとすれば、オンキヨーブランドということになる可能性が高いですね。

−−AVセンターとデザインをあわせたPCも投入されることになると。

 なかなかデザインまで踏み込むと大変なのですが、そうしたことも視野に入れていく必要はあると思います。もう1つ、今後取り組みたいのが周辺機器の分野だといえます。

−−具体的にはどんな製品ですか。

 例えば、スピーカーに関しては、事業開発本部が開発を進めているのですが、私が指揮している開発センターでは、次の世代のスピーカーの開発をはじめています。薄型化、小型化したスピーカーであったり、ワイヤレス対応を図ったスピーカー、エコを実現したスピーカーなどです。薄型・小型のスピーカーは、主に自動車やTVなどへのOEMが中心となりますが、PCにも応用することができる。また、ワイヤレス化も家庭内への無線LANの普及などを考えれば、ワイヤレススピーカー単体としてのビジネス機会も考えられる。PC用あるいはゲーム用の周辺機器という点でも、オンキヨーブランドは活用できます。ちなみに、WAVIOのブランドも継続的に展開していく考えです。

−−一方でダイレクト販売の「SOTEC DIRECT」はどうなりますか。

 オンキヨーブランドのPCを展開するのを機に、「SOTEC DIRECT」は、オンキヨーブランドの各種製品の販売サイトである「e-onkyo direct」と10月に統合し、「ONKYO DIRECT」へと名称を変更します。これにより、オーディオ製品、ビジュアル製品からPCまでを取り扱うオンキヨーブランド製品の総合公式ショッピングサイトとなります。これまでも両サイトの運営部門は、オンキヨーの子会社であるオンキヨーエンターテイメントテクノロジーに一本化されていましたから、内部的には大きな変更はありません。ただ、見せ方を変えなくてはなりませんね。これが10月のいつ頃になるかはまだ明確ではありません。

−−直営店である、東京・八重洲のオンキヨー八重洲ビル1階のソーテックダイレクトショップも、リニューアルすることになりますか?

東京・八重洲の直営店「ソーテックダイレクトショップ」も今後名称を変更する可能性がある

 まだそこまでは具体的には決めていませんが、オンキヨーの名前に変更することも検討していくことになると思います。

−−今後、オンキヨーのPCはどんな方向性を目指すのですか。

 繰り返しになりますが、まずは出荷台数を増やしていきたい。そのためのオンキヨーブランドの展開ということになります。オーディオ・ビジュアルといった分野では、オンキヨーの名前が定着していますが、PCのブランドとしては、オンキヨーのブランド認知度をこれから高めていく必要がある。その際には、オーディオ・ビジョアルに強いPCといったときに、まずオンキヨーのブランド名が挙がるようにはしたい。そして、ブランド名を隠していても、映像や音を聞いたら、これはオンキヨーのPCだとわかるような差異化を図りたいと考えています。また、品質、サポートという観点でも、オンキヨーブランドのPCのイメージというものを作り上げたいですね。

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