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気分はトニー・スターク? アイアンマン3公式ゲーミングマウスを試す
(2013/10/22 06:00)
MSIが主催するオーバークロック大会「MOA」期間中に、台湾の電気街「光華商場」を訪れる機会があった。光華商場はPCから周辺機器、各種計器を取り扱っている、日本で言えば秋葉原のような場所なのだが、今回はその中でもひときわ目立ったE-BLUE製のゲーミングマウス「Auroza iron man 3 gaming mouse」を購入したので、簡単な使用レポートをお届けする。
Marvel Comics公式ライセンス製品
Auroza iron man 3 gaming mouseは、米国のMarvel Comicsから公式ライセンスを受け、香港のE-BLUEが製造したゲーミングマウス。日本人的には“中国製で有名キャラクターのグッズといえばパチモノ”というイメージがあるかもしれないが、本製品はれっきとした公式ライセンス品である。パッケージにはMarvelの偽造防止ホログラムシールなどもキチンと貼られており、ファン涎垂のコレクターグッズとなっている。
最大の特徴は、アイアンマンのアーマーをモチーフとした金色と赤色のカラーリングと、PCに接続すると光る白色のライティング、そしてアーマーのデザインをモチーフとしたフォルムだ。金色のパーツはつや消し、赤色のパーツはつやがある。手のひらが当たる部分には、「STARK INDUSTRIES」のロゴも印字されている。金色と赤色のパーツの間から白い光が漏れ出すその様は、アイアンマンそのものではないが、アイアンマンを知る人なら間違いなく誰もが「アイアンマン?」と言うだろう。
最もカッコイイ部分はホイールで、赤と白が交互に縞模様なっていて、それでバックライトが光るため、回転させるとまるで何かのギミックが動作しているようである。ゲーミングマウスの多くはホイールに何らかのライティングを仕組んでいることが多いと思うが、ここまで単純なギミックで“魅せられる”仕様になっているのは珍しい。
さて、本製品が店頭で数多くあるマウスの中で目に留まった最大の理由は、パッケージに収められている状態で、本体が光っていたからである。パッケージを手にとってみたところそのギミックが分かった。パッケージ背面にハッチが開いており、ここにMicro USBメスのコネクタを用意。そこにコネクタを接続することで光らせていたのだ。
つまり、マウスとして使うのではなく、コレクターグッズとして飾る時ことも考えられているわけである。パッケージには「カナダでデザインされた」ことを示す一文が入っているが、おそらくMarvel本社と協業してデザイン案を練ったのだろう。マウスとしての実用性もさることながら、公式グッズとしての収蔵価値も高い。
ゲーミングマウスとしてはエントリーレベルの性能、ユーティリティなし
さて、見た目はなかなかインパクトのあるマウスだが、基本性能もゲーミンググレードに準じている。
センサーはAvago(現Pixart)製とされている。型番は公開されておらず、今回分解も行なわなかったが、ホイールの隙間から覗く限り8ピンのセンサーチップを使用している。また、解像度が500/1,000/2,000/3,000/4,000の5段階から選択でき、最大速度が20Gなどとされていることを踏まえると、センサーは「ADNS-3050」というエントリー向けのゲーミング光学式センサーが使用されている可能性が高い。
Pixartが公開しているスペックシートによれば、最大速度は60ipsと上位のADNS-3090に劣らないが、最大解像度が3,200dpiから2,000dpiになっている。よってAuroza iron man 3 gaming mouseの4,000dpiはソフトウェア補間によって実現していると思われる。余談だが、ADNS-3050にはADNS-3090にはない無線マウス向けの省電力機能なども備わっている。解像度の切り替えはホイール下のボタンで行なう。押すごとに1段階上がり、4,000dpiの段階でもう1回押すと500dpiに戻るという単純な機構だ。
ポーリングレートも125Hz/250Hz/500Hz/1,000Hzの4段階に調節可能で、これは本体底面のスライド式スイッチで実現している。
実際の操作感は上々で、ほぼ思った通りの反応をしてくれる。試した限り直線補正はわずかながら「ある」ようである。一方リフトオフディスタンスは光学式としては長めであり、5mm近く浮かした状態でも反応する。低解像度でゲームをプレイし、頻繁に持ち上げるゲーマーにとってやや厳しいかもしれない。
ボタンのスイッチはオムロン製とされている。実際のクリックも軽快だが、マイクロスイッチの割りにはストロークが比較的深いのが気になった。とは言えこれもすぐに慣れるだろう。進む/戻るともに軽快で、ゲーミングマウスらしい作りだ。
ボタンは左右クリック、ホイールクリック、進む/戻るのサイドボタン、そして先述したDPI切り替えボタンの6つのみ。ユーティリティなどは付属しておらず、カスタマイズは一切できないというかなり割り切った仕様だ。ハードウェアで解像度の切り替え、ポーリングレートの切り替えをすべて実現しているため不要だ、ということだろう。
注目されること間違いなしだが、カジュアルゲーマー向け
アイアンマンの世界では、そもそもマンマシンインターフェイスはジェスチャやタッチ、音声認識が当たり前であり、まさかマウスを使おうとは、天才発明家のトニー・スタークもびっくりするだろうが、そこはジョークとして流していただきたい。
エントリー向けセンサーを採用し、付属ソフトウェアが一切ないことなどから、プロゲーマー向けというよりも、カジュアルゲーマー向けという印象は拭えない。ゲーミングマウスとして、約7,000円の価値があるのかと言われれば微妙だ。上位のADNS-3090を採用していれば評価が変わっていただろうからやや残念である。
しかし本製品の価値は性能面や機能面ではなく、アイアンマン公式グッズとしての収蔵価値だろう。パッケージに収納したまま発光できるギミックは、まさにコレクター向けだろう。どうやら2013年夏頃に出回り始めたばかりの新製品のため、中国や台湾でしか販売されていないようだが、アイアンマンのファンは日本にも多くいるだろうから、日本国内での正規代理店販売に期待したいところである。