山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ

Amazon.co.jp「Fire HD 6」

〜実売1万円強で買える、お手頃サイズの6型タブレット

「Fire HD 6」。同社のカラータブレットは2014年秋モデルから「Kindle」という単語が省かれ、Fireシリーズというブランド名で展開される。本体色はブラックのほか、ピンク、ブルー、ホワイト、シトラスの計5色

 「Fire HD 6」は、電子書籍や音楽、動画、ゲームなど、Amazon.co.jpが運営するデジタルストアで購入したコンテンツを楽しむための6型タブレットだ。クアッドコアのCPUを搭載しながら、もっとも安価なモデルで11,800円からという、リーズナブルな価格が売りの製品だ。

 同社のカラータブレット「Kindle Fire」改め「Fire」シリーズは、これまで7型モデルのほか、大画面の8.9型モデルがラインナップされていた。単行本とほぼ同じサイズの7型モデルが主力であったことは、7型モデルのみエントリーモデルとハイエンドモデルの2種類がラインナップされていることからよく分かる。

 この7型/8.9型というラインナップに新たに加わったのが、今回紹介する6型モデル「Fire HD 6」だ。6型という画面サイズはE Inkを用いた電子ペーパー端末では一般的だが、カラーディスプレイのタブレットとしては異色といえるサイズである。かつ、7型のラインナップの一部が6型に切り替わったわけではなく、併売されるというのも興味深い。

 今回は、そのFire HD 7との比較のほか、iPhone 6 PlusやKindleシリーズなど、画面サイズが近い製品との比較を中心に、本製品をチェックしていく。

「Fire HD 7」の小型版。1万円強で買えるコストパフォーマンスが魅力

 まずは同時発売になった7型モデル「Fire HD 7」と仕様を比較してみよう。

Fire HD 6 Fire HD 7
発売年月 2014年10月 2014年10月
サイズ(最厚部) 169×103×10.7mm 191×128×10.6mm
重量 約290g 約337g
OS Fire OS 4 Fire OS 4
CPU クアッドコア
1.5GHz×2、
1.2GHz×2
クアッドコア
1.5GHz×2
1.2GHz×2
画面サイズ/解像度 6型/800×1,280ドット(252ppi) 7型/800×1,280ドット(216ppi)
通信方式 IEEE 802.11b/g/n IEEE 802.11b/g/n
内蔵ストレージ 8GB (ユーザー利用可能領域は約5GB)
16GB (ユーザー利用可能領域は約12.2GB)
8GB(ユーザー利用可能領域は約5GB)
16GB (ユーザー利用可能領域は約12.2GB)
バッテリ持続時間(メーカー公称値) 8時間 8時間
カメラ 前面、背面 前面、背面
価格(発売時) 11,800円(8GB)
13,800円(16GB)
16,280円(8GB)
18,280円(16GB)
カラーバリエーション ピンク、ブラック、ブルー、ホワイト、シトラス ピンク、ブラック、ブルー、ホワイト、シトラス

 解像度が同じまま画面サイズが小さくなっているので、画素密度が216ppiから252ppiにアップしているが、それ以外の仕様はまったくと言っていいほど差がないことが分かる。CPUも同じなら、内蔵ストレージの容量も同じ、さらには5色のカラーバリエーションのラインナップまで同じときている。筐体も、そのまま縮小したかのようなデザインだ。

 これで実売価格が同容量で5,000円も安く、もっとも安価なモデルだと1万円強で買えてしまうのは、かなりのインパクトだ。さらに本稿執筆時点ではすでに終了しているが、8GBモデルは発売記念価格として2,000円引き、さらには30日間全額返金キャンペーンも実施していた。まさに破格と言っていいプッシュぶりである。

 また「Fire HD 7」が7型タブレットとしてはやや重い337gであるのに対して、本製品は約290gと、軽量級の7型タブレットとほぼ同等のレベルに抑えられている。5.5型で約172gの「iPhone 6 Plus」や、5.96型で約184gの「Nexus 6」、さらに6.4型で約212gの「Xperia Z Ultra」などと比べるとさすがに分が悪いが、実売価格が数分の1以下であることは考慮すべきだろう。ファブレットのような通話機能は不要だが、スマートフォンより大きな画面を持つタブレットを安く手に入れたい人にとっては、絶好の製品ということになる。

本体外観。タブレットとしては至ってベーシックなデザイン。歴代のモデルと同様、充電ステータスを表すLEDがないのが、よくも悪くも特徴の1つだ
正面上部中央に前面カメラを搭載
背面右上に背面カメラを搭載
電源ボタンとMicro USBコネクタ、イヤフォンジャックは本体の上面、音量大小キーは本体の左側面という配置
スピーカーはモノラルで、縦向きに持った際に下に来る位置にレイアウトされている。サイズや重量を除き、ステレオスピーカーを搭載したFire HD 7と異なるほぼ唯一の仕様ということになる
背面の「Amazon」ロゴは縦画面を基準にした向きにレイアウトされている
「Fire HD 7」(左)との比較。そのまま縮小したかのようなデザインだ
同じく背面の比較。カメラやロゴのレイアウトについても変わらない
左右のベゼルは本製品の方がややスリム。上下のベゼルはほぼ同じ幅

パッケージの内容およびセットアップ手順はFire HD 7と同様

 ではざっと使えるようになるまでを見ていこう。パッケージの仕様は、7型モデル「Fire HD 7」とまったく同じ。USBケーブルのほか、Kindleシリーズでは別売のAC変換アダプタも同梱されている。

製品パッケージ。各国語共通のフラストレーションフリーパッケージを日本語スリーブで巻いた共通仕様
Fire HD 7(左)とのパッケージ比較。サイズ以外はそっくりだ
シールを切り取って開封。本体は透明な袋に封入されており、同梱品はその下に収められている
同梱品一覧。Fire HD 7と同じで、白と黒の小冊子に加え、Kindleでは別売のAC変換アダプタも同梱される

 セットアップの手順は、「言語選択」から「Wi-Fi設定」、「Amazonアカウントの登録」、「SNSアカウントの登録」などを経てホーム画面が表示されるという流れで、こちらも「Fire HD 7」と同様。本稿執筆時点では、最新OSであるFire OS 4へのアップデートのために再起動のプロセスが余分にかかるが、それでもAmazonのアカウントさえを保有していれば5分で完了する。端末の登録を後回しにし、先に設定を完了させることも可能だ。

 以下のスクリーンショットでは、左側に本製品、右側にFire HD 7を結合しているが、違いはほとんどないことがお分かりいただけるだろう。画面サイズが違うためレイアウトが違っていそうなものだが、解像度が同じ(800×1,280ドット)ということもあり、純粋に縮小しただけだ。画面を設計する時点で、6型モデルと7型モデル、どちらでも問題なく表示できるよう調整されていたと推測される。

 なお、以下のスクリーンショットでは本製品の方が一部の日本語フォントが太く見えるが、これはFire OS 4の最新版にアップデートすると用いられる日本語フォントが変更になるためで、アップデート後は比較対象のFire HD 7で用いられているのと同じフォントになる。つまり見え方に差異はまったくないことになる。

左が本製品、右がFire HD 7(以下同じ)。起動してロゴが表示されたのち、まずは言語選択を行なう。本製品の方がフォントが太いのは上で述べたアップデートのタイミングによるもので、実際には違いはない。レイアウトも同じだ
Wi-Fiが検出されるので任意のSSIDを選んでパスワードを入力する。11aに対応しないのはFire HD 7と同じ
アカウントの登録画面。スキップすることも可能だ
アカウントの登録が終わるとタイムゾーンが自動選択される。左右のデザインが違うのは、冒頭に述べたフォントの種類が違うのと同じアップデートのタイミングによるもので、アップデート後は右の見え方に統一される
Fire OS 4の新機能であるバックアップを有効にするかどうか尋ねられる。再セットアップの際はこの画面の手前に、バックアップから復元するかどうか尋ねる画面が追加される
SNSアカウントの登録画面。設定をパスしてそのまま進んでも問題ない
以上でセットアップ完了。画面各部の簡単な説明をはさみ、ホーム画面が表示される。ちなみにスクリーンショットはAndroidと同様、電源ボタンと音量小キーの同時押しに割り当てられている

画面構成、電子書籍周りの表示も6型と7型とで相違なし

 画面の構成も、Fire HD 7と特に変わらない。ざっと説明しておくと、ホーム画面上段に「アプリ」、「ゲーム」、「本」といったコンテンツライブラリが並び、その下には最近使ったコンテンツが並ぶスライダーがあるという構成だ。いずれも横方向にスワイプすることで、隠れたコンテンツが表示される。Androidとはまったく異なるデザインだが、慣れの問題だけで、特に使いにくくはない。スライダーに表示させたくないコンテンツは、長押しして非表示にすることもできる。

ホーム画面。左が本製品、右がFire HD 7(以下同じ)。中央の巨大な球体はブラウザ「Silk」のアイコン
画面を下から上にスワイプするとお気に入りが表示され、さまざまなコンテンツやアプリ、機能にすばやくアクセスできる
「お買い物」。KindleストアをはじめとするAmazon運営のデジタルストアへのショートカットのほか、Amazon.co.jpで買い物をするためのリンクがまとめられている
「ゲーム」ライブラリ。クラウドおよび端末上のゲームアプリを切り替えて表示できるほか、ストアに移動することも可能
「アプリ」ライブラリ。こちらもクラウド/端末を切り替えて表示できるほか、アプリストアにも移動可能
「本」ライブラリ。こちらもクラウド/端末の切り替えができ、Kindleストアへも移動可能
「ミュージック」ライブラリ。こちらもクラウド/端末の切り替えができ、Amazon MP3ストアへも移動可能
「ビデオ」ライブラリ。Amazonインスタント・ビデオストアとライブラリを切り替えて表示できる
「ウェブ」ライブラリ。独自ブラウザ「Amazon Silk」が使用できる
「写真」ライブラリ。ローカルにある写真やスクリーンショットを表示できるほか、ストレージサービス「Cloud Drive」にアップロードした写真も表示できる
「ドキュメント」ライブラリ。パーソナルドキュメントにアップロード済みのコンテンツを表示できる。タップするとダウンロードされ、閲覧や編集、印刷が可能になる
「キャンペーン」ライブラリ。現在行なわれているさまざまなキャンペーンが表示される。同じ内容はスクリーンセーバーにも全画面表示されるが、こちらについては画面の左上から表示をオフにすることも可能
設定画面。6型と7型とで機能に違いはないため、表示される項目に相違はない
画面上部を下にスワイプすると基本機能にアクセスするためのクイック設定メニューが表示される
セットアップ時にバックアップが見つかると表示される画面。試した限りではFire HD 7のバックアップデータを本製品に復元することも可能だったので、機種間の乗り替えの際にも重宝しそうだ

 電子書籍周りも、特に違いは見られない。本製品の方が画面サイズが一回り小さいことから、フォントサイズの初期設定値が変えられているのではと予想したが、Fire HD 7と同じ(12段階の下から4番目)だった。それゆえ、見え方にはまったく違いはない。メニュー類のサイズも同じだ。

うめ著「大東京トイボックス 1巻」の比較。左が本製品、右がFire HD 7(以下同じ)。特に違いは見られない
画面中央をタップすると上下にメニューが表示される
左側のメニューを展開した状態。こちらも特に違いはない
太宰治著「グッド・バイ」の比較。6型と7型とで画面サイズは異なるが、解像度は同じ800×1,280ドットということで、1行あたりの文字数も含めて違いはない
オプションを表示したところ。フォントサイズなどの初期設定値は同じ
フォントはゴシック、明朝のほか、筑紫明朝を搭載
左端のメニューを展開した状態
単語を範囲選択するとマーカーなどのメニューが表示されるほか、下段にWikipediaによる意味が表示される
横方向にスワイプすると翻訳メニューが表示される
さらに横方向にスワイプすると内蔵辞書による説明が表示される

 ベンチマークソフト「Quadrant Professional Ver.2.1.1」による比較は以下の通り。何度か試した限りでは、Fire HD 7よりはわずかに高い値が出るようだが、それほど極端に違いがあるわけではなく、特定の項目が突出して高かったり低かったりということもない。位置付け的にはFire HD 7と同様、エントリーモデルに属する製品ということになるだろう。

製品名 Total CPU Mem I/O 2D 3D
Fire HD 6 6,407 17,231 7,612 4,358 333 2,502
Fire HD 7 5,954 17,235 6,724 3,242 360 2,210

同じ“6型”でもKindleに比べてコミックの表示サイズは小さい

 以上見てきたように、こと“中身”については、6型と7型とでほぼ違いはないといってよい。例外と言えるのはスピーカーがステレオでなく、モノラルである点くらいだ(後述)。それゆえ本製品の差別化ポイントはサイズや重量などの違いが主ということになる。もう少し突っ込んで見ていくことにしよう。

 まず本体のサイズについてだが、6型と7型でわずかしか違わないように思えるが、実際に手に持ってみるとかなりの差がある。7型のFire HD 7は、そこそこ手が大きくても片手でつかむのは困難だが、本製品であれば問題なくつかむことができる。実際に操作する際はいずれにせよ両手を使うことになるが、取り出しやすさ、持ちやすさという点では大きな差がある。手が小さいユーザーでも扱いやすいはずだ。

 また可搬性についても、7型のFire HD 7のサイズだとポケットに収めるのはまず無理だが、本製品はスーツの内ポケットにもすっぽりと収まる。ファブレットなどと比べると重量や厚みはさすがに不利だが、これから冬にかけてコートなどを着用した状態であれば、ポケットに入れて持ち歩くにしても、存在感はそう感じずに済むだろう。

6型というコンパクトサイズゆえ、手でがっしりと握ることも可能
スーツの内ポケットにもじゅうぶんに収まるサイズ

 続いて画面サイズについて。6型という画面サイズは、E Inkを採用した電子ペーパー端末では標準的な大きさだが、本製品は同じ6型といってもワイド比率(9:16)なため、スクエア比率(3:4)で6型の端末とは、実際の表示サイズが大きく異なる。ここでは同じ「6型」の電子ペーパー端末のほか、画面サイズが近いiPhone 6 Plusなど、他端末と比べた場合の表示領域の違いについて見ていきたい。

 まずは6型の電子ペーパー端末の例として、同じAmazonが販売する電子書籍端末「Kindle」と比較してみよう。以下の写真を見れば分かるように、同じ6型でもタテヨコ比が異なるため、表示サイズは大きく異なる。特にコミックでは、横幅に合わせて縮小表示されるため、本製品の方がページの面積は小さくなり、また上下に大きな余白ができてしまう。

 解像度は本製品の方が高いので、細かいディティールの再現性は本製品の方が上だが、視力が弱く、小さな文字が読みにくいという人にとっては、スクエア比率のKindleの方が、目にやさしいと言えるだろう。

 一方、テキストコンテンツを表示する場合は、ワイド比率の本製品も画面をいっぱいに使った表示が可能なので、快適な読書が楽しめる。スクエア比率の端末に比べて横幅が狭いぶん、手に持ちやすいのも利点だ。ただし、1ページあたりの表示行数は少なくなる。

Kindle(右)と、コミックの表示領域を比較したところ。同じ6型だが、タテヨコ比が異なるため表示サイズは本製品の方が一回り小さくなる
こちらはテキストの表示領域を比較したところ。可変レイアウトで画面いっぱいに表示できるので、コミックのようにページの上下に無駄な余白が生じることもない
1行の文字数が多すぎると感じるようなら、上下の余白を広くするという方法もある。画像の左は余白をもっとも狭く、右はもっとも広く取った状態

 続いて、5.5型のiPhone 6 Plusと比較してみよう。どちらもワイド比率なので、こちらは純粋に6型と5.5型という画面サイズの違いのみとなる。

iPhone 6 Plus(右)と、コミックの表示領域を比較したところ。上下に余白ができるのは両者ともに同じだが、一方は黒、もう一方は白と、背景色が異なるのが面白い
同じく、テキストの表示領域を比較したところ。コミックと異なり、画面いっぱいを使った表示が行なえるのは、両者ともに同じだ

 以上のように、ほかの製品と画面サイズを比較する際は、ワイド比率なのかスクエア比率なのかを念頭に置かないと、思ったより画面が狭く感じられて購入後に後悔する原因になりうる。特にコミックを中心に読書を楽しむユーザーは、注意した方がよいだろう。このほか、代表的な端末と並べた写真を以下に掲載しておくので、表示サイズの違いを確認する際の参考材料にしてほしい。

あらためて、7型のFire HD 7(右)とコミックの表示を比較したところ。同じワイド比率なので、サイズは一回り小さく表示される
こちらはテキストコンテンツの比較。単行本サイズを求めるならFire HD 7、文庫本サイズを求めるのであれば本製品といったところだろうか
7型のNexus 7(2013)(右)とコミックの表示を比較したところ。さきほどのFire HD 7と同じ画面サイズなので、見え方は基本的に同一。ただし解像度はNexus 7(2013)の方が高いので、ズームすると細部の表現はいくらか差があることが分かる
こちらはテキストコンテンツの比較。Fire HD 7に比べると上下の余白が広く、本製品との違いがほとんどない。7型タブレットでも余白設定によっては6型と見え方が変わらない場合があるという好例
iPad mini 2(右)との比較。7.9型、かつスクエア比率のiPad mini 2と並べると、さすがにサイズの差は歴然
テキストコンテンツでの比較。こちらはむしろiPad mini 2が大きすぎて違和感がある
iPad mini 2(右)を横向き、かつ見開きにした状態で再度比較。コミックの場合、これで1ページのサイズはこれでほぼ等しくなる
テキストコンテンツも、iPad mini 2を見開きにすると、本製品の2ページ分の面積とほぼ等しくなる
4型のiPhone 5s(右)との比較。さすがにスマートフォンで読むのと比べるとサイズの差は明らか
iPhone 5sに比べると、テキストコンテンツも余裕を持って読める
今度は逆に、本製品を見開き表示にしてiPhone 5sと並べてみた。1ページあたりのサイズを比べると、見開きにした本製品の1ページのサイズの方がiPhone 5sよりも大きいことが分かる
テキストコンテンツだと、iPhone 5sが天地サイズに合わせてリフローするため、1行あたりの文字数は本製品よりもiPhone 5sの方が多くなる

高負荷コンテンツ表示時の発熱、およびスピーカーの配置に注意

 このほか、電子書籍以外の用途で、使ってみて気になった点をいくつかまとめておこう。

 1つは本体裏面の発熱だ。ゲームや動画では、プレイまたは再生を始めてすぐに本体の上部に発熱を感じ始め、30分ほどすると手に持つのがつらくなってくる。3Dのグラフィックスがぐりぐり動くゲームならまだしも、画面の描き替えがあまり発生しないパズル系ゲームでも同様の症状なので、若干気になるところだ。

 この裏面の発熱は7型のFire HD 7にもみられる問題だが、同じ動画を再生して比較する限りでは、本製品の方が体感的な発熱量は多く感じられる。回路の密度が高いぶん、本製品の方が熱を帯びやすいようだ。

 なお、インスタントビデオストアで購入した約2時間の映画を視聴した際はそれほどの発熱はなかったので、コンテンツがFireシリーズに最適化されているかどうかで差がある(らしい)ということは補足しておく。もし熱が気になって仕方がないというのであれば、背面カバーなどを装着して対応するのがベターだろう。

 動画についてもう1つ、ネックとなるのがモノラルスピーカーだ。ステレオでないことに加え、音が背面に抜けやすいこと、さらにスピーカーの位置が、本体を横向きにした際に手でふさがれやすい場所にあるのもネックだ。動画および音楽再生に利用する場合は、イヤフォンおよびヘッドフォンは必須と考えた方がよいだろう。Bluetoothのスピーカーやヘッドフォンを使うという選択肢もある。

低価格ゆえのハンデを理解した上で購入を検討したい製品

Fire HD 7のレビュー時に非対応コンテンツとして紹介したHuluも無事に対応を果たし、Fire OS 4を搭載した本製品でもインストールが可能になった

 以上ざっと見てきたが、使ってみて気になるのはやはり厚みと重量、そして前述のスピーカーの問題で、ここをもう少し頑張ってくれていればさらに満足度は上がっただろうが、そこは価格ゆえの妥協点ということになるだろう。一方で7型に比べてスリムで持ちやすいといった利点もあり、価格差を含めて総合的に考えると、同時発売になったFire HD 7よりもむしろこちらの方が本命ではないかと感じられるほどだ。

 Google Playに非対応という、Fireシリーズ共通のハンデは隠しようがないが、アプリやゲーム、電子書籍など、コンテンツが自分のニーズに合致するのであれば、1万円強という投資に見合った、よい買い物になることだろう。これまで家族でタブレットを共有してきたユーザーが初めて手にする自分専用のタブレットという位置付けに留まらず、すでにタブレットを所有しているユーザーがサブマシンとして遊び倒すことを目的に導入するなど、いわゆるエントリーモデルというポジションに留まらない、幅広い楽しみ方ができる製品と言えるだろう。

(山口 真弘)