山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ

GoogleのAndroid 5.0タブレット「Nexus 9」で電子書籍を試す

~4:3比率で電子書籍の見開き表示に最適なiPad対抗タブレット

「Nexus 9」。製造はHTC。ルナーホワイトのほか、インディゴブラック、サンドの3色がラインナップされる

 「Nexus 9」は、HTCが製造しGoogleが販売する、8.9型のAndroidタブレットだ。最新のAndroid 5.0「Lollipop」を搭載するほか、64bit CPUやIEEE 802.11acなど、さまざまな新しい技術が盛り込まれていることが特徴だ。

 8.9型ということで、iPadと並べると「iPad mini」と「iPad Air」のほぼ中間のサイズとなる本製品だが、電子書籍用途で使用する場合、注目となるのは4:3という画面比率だ。Androidタブレットは一般的にワイド比率であるため、電子書籍を表示した場合は、大きな余白ができてしまう。

 その点、Androidタブレットながら、iPadと同じ4:3の画面比率を持つ本製品であれば、単ページ表示でも見開き表示でも、余白が少なく、違和感のない電子書籍の閲覧ができる。本稿ではこの製品を、iPadシリーズのほか、AmazonのFire HDX 8.9などとも比較しつつ、電子書籍用途を中心にレビューしてみたい。

iPad Airシリーズのライバルとなるモデル。4:3の画面比率が特徴

 まずはざっと基本的なスペックをチェックしておこう。

製品名Nexus 9Fire HDX 8.9iPad Air 2iPad Air
発売日2014年11月2014年11月2014年11月2013年11月
メーカーGoogle/HTCAmazonAppleApple
サイズ(幅×奥行き×高さ、最厚部)228.25×153.68×7.95mm231×158×7.8mm240×169.5×6.1mm240×169.5×7.5mm
重量約425g約375g約437g約469g
OSAndroid 5.0Fire OS 4iOS 8iOS 7→8
画面サイズ/解像度8.9型/2,048×1,536ドット(288ppi)8.9型/2,560×1,600ドット(339ppi)9.7型/2,048×1,536ドット(264ppi)9.7型/2,048×1,536ドット(264ppi)
通信方式802.11a/b/g/n/ac802.11a/b/g/n/ac802.11a/b/g/n/ac802.11a/b/g/n
内蔵ストレージ16/32GB16/32/64GB16/64/128GB16/32/64/128GB
バッテリ持続時間(メーカー公称値)9.5 時間12時間(書籍のみの場合18時間)10時間10時間
カメラ前面+背面前面+背面前面+背面前面+背面
価格(発売時)43,090円(16GB)
49,570円(32GB)
40,980円(16GB)
47,180円(32GB)
53,280円(64GB)
53,800円(16GB)
64,800円(64GB)
75,800円(128GB)
51,800円(16GB)
61,800円(32GB)
71,800円(64GB)
81,800円(128GB)
備考LTEモデルも存在-LTEモデルも存在LTEモデルも存在

 Android 5.0の搭載により64bitをサポートするようになったことは本製品の1つの目玉だが、Retinaクラスの画面解像度や、前面背面のカメラ、さらに802.11ac対応、MIMO対応などの仕様は、ライバル製品ともほぼ共通であり、突出した特徴というわけではない。従来のNexus 7やNexus 10と同じくメモリカードスロットがないのも、ここで比較対象となっている製品と同様だ。

 その点、見た目に分かりやすい特徴として挙げられるのは、やはり4:3という画面比率だろう。この画面比率に絞って同クラスのタブレットを探すと、ライバルと呼べるのはiPadシリーズのみといっていい。本体の重量、および厚みを見ても、iPadにぶつけるために設計された製品と言っても過言ではないだろう。

 そのライバルであるiPad Airは新製品のiPad Air 2で大幅な薄型化を果たしたため、厚みは結果的に大きく差を付けられてしまったわけだが、逆に重量は本製品の方が下回っており、解像度は同じQXGAながら画面サイズが小さいため画素密度も本製品の方が上だ。価格も16GBで比べると本製品が1万円安価なので、なかなか甲乙つけがたい。ただ、32GBが上限というのはいかにも心もとない。64GB以上の容量で製品を選ぶ場合、必然的に選択肢から外れてしまうのはマイナス要因だろう。

本体外観。ボディを構成するラインは、Xperiaシリーズのように直線主体でなく、Nexus 10のように曲線主体というわけでもなく、iPadと瓜二つといっていいほどよく似ている
パッケージ。角が丸い、弁当箱のようなデザイン
iPadシリーズとよく似た位置に前面カメラを備える。隣の細長いくぼみはスピーカ
スピーカーは反対側にも備わっており、画面を横向きにした際にステレオで音声を聴くことができる。音が正面に向けて出るので、動画視聴などに適した設計といえる
右側面に電源ボタン、音量大小ボタンを備える。触れるとやや痛く感じるほど角張ったデザインは、あえてiPadとの違いを出そうとする意図の表れだろうか
背面にはnexusロゴがある。iPadのような高級感こそないが、背面がラバーコーティングされており、手の脂が付きにくいのも利点だ
背面カメラはデザイン上やや出っ張ったように見えるが、これは本体端がカーブしているためで、背面とはまったくのフラット
サイズは8.9型ということで、iPad miniとiPad Airのほぼ中間に当たる。画面の縦横比率が等しいので、本体サイズもほぼ中間といったところ
Fire HDX 8.9(下)との比較。画面比率が異なるので同じ8.9型とは言え筐体サイズはかなり異なるはずだが、ベゼル幅の関係でよく似たサイズに収まっている
厚みの比較。左が本製品、右は上から順にiPad Air、iPad Air 2、Fire HDX 8.9。iPad Air 2に比べるとさすがに分が悪いが、iPad AirおよびFire HDX 8.9との比較であれば遜色ない

動作のサクサク感はプラス、バッテリの消費速度はマイナス

 本製品はAndroid 5.0搭載ということで、従来のAndroid 4.4に比べて画面のデザインが異なるほか、設定画面で従来とは階層が異なっているメニューなどもあるが、セットアップの手順や使い方そのものは大きく変わらない。

 従来のNexusシリーズと同様、プリインストールアプリは少なく、一覧表示にするとほぼ1ページに収まってしまうほどの量だ。利用目的が不明なアプリが初期状態で多数存在しているのが苦手なユーザにとってはむしろ好印象だろう。ちなみに電子書籍ストアアプリとしては、Google純正の「Google Playブックス」がプリインストールされており、Googleアカウントを登録すればすぐに利用できる。

スッキリとしたホーム画面。下段のホームボタンなどのアイコンは、Android 5.0で採用された新しいデザインが用いられている
上から下にスワイプすると通知領域が表示される。Android 4.xまでと項目はほぼ同じだがデザインは大きく変更されている
プリインストールアプリの一覧。ほぼGoogle製アプリのみ
設定画面。さきほどの通知領域と同じく、内容はほぼ従来と同じながらデザインや階層が変更されている。ちなみに画面を縦向きにしても2列表示のままだ
ロック画面。右上をタップするとユーザアカウントを切り替えることができる
iOSと同様、アプリの通知はロック画面にも表示できるようになった。これはGmailの新着が表示されたところ

 使ってみて気になるのは、バッテリ消費が思いのほか早いこと。ほぼ購入直後のデフォルト設定のままフル充電で放置しておいて2日目の晩には10%以下まで低下していたことがあったほどで、技術仕様に書かれた「インターネット使用時最長9.5時間、動画再生最長9.5時間、待機時最長30日間」という公称値は、測定環境が異なることを差し引いてもやや疑問符がつく。本稿の主旨とは異なるので正確な測定は行なっていないが、6,700mAhものバッテリを搭載する割には、かなり消費が早い印象だ。必要に応じ、Android 5.0の新機能であるバッテリセーバー機能を活用すると良いだろう。

 また、動画再生などCPUパワーを必要とする処理を行なっていると、背面が熱を持つのも気になる。具体的には本体上部、カメラ付近の温度上昇が著しい。電子書籍を読むなどCPUパワーをあまり消費しない用途では気にならないが、使い道によっては注意した方がよさそうだ。もっとも動作自体はサクサクで、フルHDの動画を再生しても、コマ落ちなどの症状は見られなかった。俗に言う「もっさり感」とは全くの無縁だ。

バッテリセーバー機能をオンにすることでバッテリを長持ちさせることができる。オンの状態のまま動画再生なども可能だ
Androidバージョンは5.0。ちなみにこのカーネルバージョンは購入後一度バージョンアップした状態のもので、購入直後の状態とは異なる

 一方、使ってみてメリットと感じられるのは、画面を横向きにした際に、スピーカーが画面の左右にきちんとレイアウトされ、かつ正面を向いて音が出ることだ。スピーカーが底面にあるiPad AirやAir 2の場合、画面を横向きにして両手で本体を持つと、右手でスピーカーを塞いでしまう場合があった。本製品ではそのような問題は起こらない上、Fire HDX 8.9のように、スピーカーからの音が背面に抜けてしまうこともない。音楽や動画の鑑賞には、極めて向いた製品と言っていいだろう。

 ベンチマークソフト「Quadrant Professional Ver.2.1.1」による他製品との比較は以下の通り。2013年モデルのNexus 7に比べると、CPUおよびI/Oを中心に大幅な改善が見られる。Android 4をベースとするFire OSを採用したFire HDX(旧Kindle Fire HDX)シリーズがAndroidタブレットに比べて相対的に高い値を示すのは、従来と同じ傾向なので、こちらはあまり気にしなくてよいだろう。

製品名OSTotalCPUMemI/O2D3D
Nexus 9Android 5.013529410418903148443912465
Nexus 7Android 4.4514113908743520382472078
Fire HDX 8.9Fire OS 423850914091785271674982326
Kindle Fire HDX 8.9Fire OS 420933783661698967193332259
Kindle Fire HDX 7Fire OS 421032795291658964773242242

 もう1つ、今度はベンチマークソフト「3DMark Ice Strom Unlimited」を用いてiOSデバイスおよびFireシリーズと比較してみた。OS間で正しい比較ができているとは必ずしも言い難いが(詳細はこちらの記事を参照されたい)、性能を見るに当ってのおおよその目安にはなるだろう。使用環境の都合上、OSのバージョンにばらつきがあるのはご容赦いただきたい。

Nexus 9Nexus 7Fire HDX 8.9iPad Air 2iPad Air
Ice Storm score2564210545179282176615048
Graphics score3854010347196703163819042
Physics score118091130013686104048677
Graphics test 1217.1 FPS52.8 FPS100.4 FPS148.1 FPS103.2 FPS
Graphics test 2136.5 FPS39.2 FPS74.5 FPS128.4 FPS69.1 FPS
Physics test37.5 FPS35.9 FPS43.4 FPS33.0 FPS27.5 FPS
OSAndroid 5.0Android 4.4.4Fire OS 4.4.3iOS 8.1.1iOS 7.0.4

4:3の画面は電子書籍の表示に向く。自炊データの閲覧にも最適

 続いて、電子書籍端末としての使い勝手に絞って本製品をチェックしていこう。

 本製品はAndroid 5.0がプリインストールされているが、特にAndroid 5.0だから新たにこんなことができる、という違いがあるわけではない。むしろ発売直後の段階ではAndroid 5.0への対応の遅れが目立ち、たびたび強制終了したり、ハングアップしたり、また特定のフォーマットにのみ対応できないアプリがいくつもあった(現時点では一部を除きほぼ解消)。メジャーバージョンアップということもあり、Android 4.x系列のマイナーアップデートに比べると、こうした不具合はかなり多かったと言える。

BookLiveはNexus 9発売直後はXMDF/EPUBコンテンツとPDFの表示に対応しなかった。前者はその後対応を果たしたものの、後者の問題点はいまだ残っている。ちなみにKindleやKoboについても当初はハングアップするなどの不具合があった
ソニーのReaderアプリはAndroid 5.0への対応を果たしたあとも、Nexus 9だけはうまく動作せず対応待ちとなっている。無理にインストールするとこのようなアラートが表示される
電子書籍ストアアプリとして唯一プリインストールされる「Google Playブックス」。Google Play経由でコンテンツを購入できる

 もっとも、現時点ではその多くは問題にならないレベルに改善されているほか、まだ対応が果たせていないアプリについても、ここで突然Androidそのものをサポートしなくなることは、少し考えにくい。対応までにかかる時間の差こそあれ、これからどの電子書籍ストアを利用するか考える段階で、とくに制約となることはないだろう。

 むしろ画面の比率が実際の本に近い4:3の本製品は、多くのAndroid端末のように、見開き表示にした際には左右に、単ページ表示にした場合には上下に無駄な余白ができることがないので、電子書籍の閲覧に極めて向いた製品だ。サイズが8.9型で、解像度も俗に言うRetinaクラスなので、雑誌なども(やや小さめではあるが)十分に閲覧に使える。またiOS版の電子書籍アプリと比べた場合、ブラウザでストアを開き直さなくともアプリ内で電子書籍が買えるなど、購入と閲覧がシームレスに行なえるのはメリットの1つだ。

Kindleでコミック(うめ著「大東京トイボックス 1巻」)を表示したところ。わずかに上下に余白ができるが、ほぼ画面の領域を有効に活用できている
こちらはNexus 7で同じページを表示したところ。左右に大きな余白ができてしまっている
Kindleで最終ページまで読み終えると関連作品が表示され、表紙をタップすることで製品ページにジャンプしてそのまま購入できる。Fireシリーズもこれとほぼ同じ挙動
これがiPadの場合、表紙をタップしても「ほしい物リストへの追加」か「サンプルのダウンロード」しか行なえず、購入するにはブラウザであらためてページを開き直す手間がかかる。他のストアも概ね同じか、あるいは単に本を閉じるだけで、閲覧と購入がシームレスに行なわれているとは言い難い

 では、本製品で電子書籍を読むにあたってどのストアを利用すれば良いかだが、これはアプリが対応さえしていれば、特に大きな向き不向きはない。ただ、4:3という画面比率を活かすのであれば「ナビゲーションバーを非表示にできるか」はチェックしておいた方がよいというのが、個人的な意見だ。

 というのも、各社のビューワの中には、読書時もページが全画面表示にならず、下部にAndroidのナビゲーションバーが表示されたままになるビューワがあり、その場合は必然的に天地サイズが縮小されてしまうからだ。またホームボタンなどは非表示になるものの、ナビゲーションバーの領域は黒く塗りつぶされたままというビューワもある。せっかくの4:3という画面比率を生かせないのは、少々もったいない。

 もちろんこれだけのために利用中のストアを乗り替えるのはナンセンスだが、Nexus 9に適した電子書籍ストアをこれから探す段階であれば、チェックしておきたいポイントではある。以下、本稿執筆時点における電子書籍ストア4社の最新ビューワによるスクリーンショットを掲載しておくので、参考にしてほしい。

Kindleの例。左が読書時、右がメニュー表示時(以下同じ)。読書時はナビゲーションバーが完全に非表示となり、メニュー表示にのみ現れるスタイル。画面領域を最大限に活用できる、もっとも望ましい形と言える
Koboの例。こちらは読書時も、ナビゲーションバーの領域が残ったままになる。ホームボタンなどは消えるものの、下の空間はあきらかに無駄だ。天地もかなり窮屈で、コミックでは全体のサイズが一回り縮小されてしまう
紀伊國屋書店Kinoppyの例。こちらもKoboと同様、読書時もナビゲーションバーの領域が残ったままになるスタイル。上下の余白をかなり詰められるためKoboよりは画面領域を有効活用できるが、ナビゲーションバーの領域が無駄なことに変わりはない
BookLive!の例。こちらは読書時でもメニュー表示時でも、ナビゲーションバーが表示されたままになる。領域が有効活用できず、実質的に天地が狭いワイド比率の画面で表示しているのと変わらず、せっかくの本製品のメリットを生かせない。読書に没頭する阻害要因になることを考えると、ホームボタン類を表示したままというのも疑問だ

 ちなみに電子書籍関連でもう1つ、本製品の強みを活かせるのが、いわゆる「自炊」用途だ。iOSでも自炊データの閲覧に使えるビューワは存在するが、Androidであれば、「ComittoN」や「Perfect Viewer」のようにNASなどのネットワークフォルダに自炊データを置いたまま閲覧可能なアプリが利用できる。大量の自炊データをその都度呼び出して楽しむという使い方をするならば、柔軟な運用ができる組み合わせとしておすすめしたい。

「ComittoN」。表示する画像のサイズは天地揃え/幅揃えなど詳細な設定が可能。前述のナビゲーションバーも読書時には非表示となるので、画面領域を有効に活用できる
サムネイルを表示して前後ページヘのジャンプが可能。この画像のように左右のページそれぞれについて周囲の余白を削除し、最大表示となるよう調整することもできる
NASなどのネットワークフォルダから自炊データ(ZIP圧縮JPG)を直接読み込んで表示できるので、わざわざ端末側に自炊データをコピーする必要がない
「Perfect Viewer」。こちらもネットワークフォルダから自炊データの直接読み込みが可能。この画面のように、輝度やコントラストを調整し、スキャン時の裏写りなどを飛ばして表示することも可能
ページのレイアウトや、画像の平滑化方式などは細かく指定可能
寄付バージョンを導入すれば、モノクロの漫画原稿を自動着色するというユニークな機能も利用できる

タブレットとしての「総合力」でおすすめできる製品

 Nexus 9という製品自体、あまり際立った特徴のある製品ではない。厚みにせよ重さにせよ、1つ1つの特徴を取り上げれば同等以上の製品は存在するし、IEEE 802.11ac対応も、iPad Air 2が対応した今となってはそれほどエッジが効いた機能ではない。Android 5.0も、既存製品へのバージョンアップ提供が始まった今となっては、そのためだけに本製品を買う必要は、特段なくなったといっていい。

 その点で本製品の強みとなるのは、ずばり「総合力」だろう。飛び抜けた何かがあるわけではないが、それぞれが平均点を上回っており、欠点らしい欠点がない。さまざまなタブレットが購入の候補に上がりつつも、絞り込んでいった結果最終的にこれが残った、そうした経緯で選ばれやすい製品だと言える。ほぼ同じタイミングでiPad Air 2が登場したことでインパクトが薄れたが、それがなければもっと注目されていただろう。

 電子書籍については、やはり画面比率が4:3であることで、ほかのAndroidタブレットと比べて電子書籍の表示に向いていることは明らかだ。同じ4:3比率のiPadと比べた場合も、iOSと違ってビューワ機能とストア機能がシームレスに連携できること、またネットワーク経由での読み出しに対応した自炊ビューワが利用できるなど、利点は多い。動画再生などでは背面の発熱がやや気になるが、電子書籍用途であれば問題にならないのも、ある意味では電子書籍ビューワ向きの製品と言える。

 唯一、電子書籍ストアはほぼKindleストアしか利用せず、またタブレットの汎用的な使い方にあまり興味が無いユーザには、先日リニューアルしたAmazonのタブレット「Fire HDX 8.9」の方がおすすめできる。画面がワイド比率で余白ができやすいことを差し引いても、端末重量が本製品より50gも軽量なほか、バッテリも長寿命、またビューワとストアの親和性も本製品に比べてはるかに上だからだ。

 ただし価格は同容量帯でおよそ2,000円差とほんのわずかなので、これらの条件に当てはまらないのであれば、汎用性の高い本製品の方が、差額なりのメリットはあるはずだ。ともあれ、買って損はしない製品というのが、3週間ほど使用した筆者の評価である。電子書籍を含め、プライベートからビジネスまで幅広く、かつ長期にわたって使えるタブレットを探しているユーザーにおすすめしたい。

(山口 真弘)