山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ

Amazon「Kindle Paperwhite 2」

〜反応速度が従来モデルから大幅に向上、メモリも4GBに増量

「Kindle Paperwhite 2」。Amazonのサイト上では「ニューモデル」と表記されているが、Amazon.comに「Kindle Paperwhite 2nd Generation」という表記があることから、海外では「Kindle Paperwhite 2」と呼ばれるのが一般的となりつつあるようだ
10月21日 発売

直販価格:9,980円

 Amazon「Kindle Paperwhite 2」は、6型のE Ink電子ペーパーを搭載した読書端末だ。従来モデルに比べて高速化などの性能向上が見られるほか、日本向けモデルは内蔵メモリを2GBから4GBに増量するなど、スペックの向上が図られているのが特徴だ。

 日本上陸から1年、新たに登場した第2世代のKindle Paperwhiteは、外見は従来とほぼ同じで、スペックの向上を中心とした、いわばマイナーチェンジに相当するモデルだ。もっとも、CPUやE Inkパネル、メモリ容量などハードウェアの改善による進化だけに留まらず、プレビューつきの早送り機能やしおり、さらに単語帳といった新たな機能が搭載され、機能面でも大きく進化している。

 今回は、一足先に購入した海外版を用い、従来モデルとの違いを中心に見ていこう。なお、日本向けにリリースされるモデルは内蔵メモリが4GBに増量されているが、今回試用している海外版は2GBなので、適宜読み替えていただきたい。

見た目は従来の「Kindle Paperwhite」と同一。特に前面はまったく従来モデルと区別がつかない
今回は国内発売に先駆けてリリースされた海外モデルを購入。技適マークはシルク印刷されている

仕様の比較だけでは分かりにくい変更点。メモリは4GBに増量

 まずは従来モデルとの比較から。参考までに、先日リリースされたソニーの新型Reader「PRS-T3S」も比較対象として並べている。

【表】仕様比較
Kindle Paperwhite 2 Kindle Paperwhite PRS-T3S
Amazon Amazon ソニー
サイズ(最厚部) 117×169×9.1mm 117×169×9.1mm 107×160.5×9.5mm
重量 約206g(3Gモデルは約215g) 約213g(3Gモデルは約222g) 約160g
解像度/画面サイズ 758×1,024ドット/6型 758×1,024ドット/6型 758×1,024ドット/6型
ディスプレイ モノクロ16階調 E Ink電子ペーパー モノクロ16階調 E Ink電子ペーパー モノクロ16階調 E Ink電子ペーパー
通信方式 IEEE 802.11b/g/n、3G(3Gモデルのみ) IEEE 802.11b/g/n、3G(3Gモデルのみ) IEEE 802.11b/g/n
内蔵ストレージ 約4GB(ユーザー使用可能領域:約3.1GB) 約2GB(ユーザー使用可能領域:約1.25GB) 約2GB(ユーザー使用可能領域:約1.2GB)
メモリカードスロット - - microSD
ライト 内蔵 内蔵 外付(別売)
バッテリ持続時間(メーカー公称値) 8週間(ワイヤレス接続オフ、1日30分使用時) 8週間(ワイヤレス接続オフ、1日30分使用時) 約30,000ページ、最長2カ月(Wi-Fiオフ、1日30分読書時)、最長1.5カ月(Wi-Fiオン)
電子書籍ストア Kindleストア Kindleストア Reader Store、紀伊國屋書店BookWeb
価格
(2013年10月2日現在)
9,980円、14,980円(3Gモデル) 7,980円、12,980円(3Gモデル) 9,980円

 こうして仕様を並べると、従来モデル「Kindle Paperwhite」との違いが非常に分かりにくい。そもそも初代のKindle Paperwhiteはフロントライト搭載、高解像度E Inkディスプレイ搭載ということで、端末としては一通り完成されていた。それゆえ、インターフェイスまで含めたフルモデルチェンジが行なわれないのは理解できるが、ソニーReaderやkobo gloと比較した場合のウィークポイントとされる重量までほとんど変化がないのは、個人的には予想外だった。

 予想外といえば、冒頭でも述べたように日本向けモデルのみ内蔵メモリが2GBから倍増となる4GBに増量されるなど、ハードウェアの仕様を日本向けにわざわざ変えてきたことにも驚かされた。ユーザー使用可能領域で言うと、1.25GBが3.1GBに増えているので、およそ2.5倍だ。コミックなど大容量データを読む人にとってはありがたい配慮である。

 なお価格は、Wi-Fiモデル、3Gモデルともに従来から2,000円増しとなっているが、Wi-Fiモデルについては11月30日までに購入すると1,980円分のKindle本用クーポンが付属するので、差し引きで言うとほぼゼロだ。内蔵メモリが増えていることを考慮すると、むしろリーズナブルとも言える。

【お詫びと訂正】初出時にWi-Fiモデル、3Gモデルともクーポン付属としておりましたが、10月21日時点でクーポンが付属するのはWi-Fiモデルのみとなります。お詫びして訂正させて頂きます。

パッケージは従来同様、一辺が斜めにカットされた形状
破線部分を切り取って開封。本体は透明な袋に封入されている
同梱品一覧。従来と同様だが、USBケーブルはこれまでの白から本体色と同じ黒に改められている
電源投入前に表示されている画面。ちなみに製品ページによると、国内向けモデルは中国語のメニューに非対応とのことなので、このあたりの表記は若干異なる可能性がある
恒例のオープニング画面。以降は後述のセットアップ画面へと続く。ちなみにスクリーンショットは従来と同様、画面の対角線の隅をタップすることでPNG形式で本体内に保存される

外観はほぼ同一も明るさの向上、にじみの解消など画面周りは変更点多数

 従来モデルと比べて外観はまったく変化がなく、本稿執筆中もうっかり従来モデルを手に取ってしまうことも何度かあったほどだが、そんな中で唯一従来モデルと判別の手がかりになるのが、背面のロゴだ。従来は「kindle」というロゴだったのが、本モデルでは「Amazon」に変更されている。これは印刷ではなく、モールドごと変更されているので、金型が差し替えられていることになる。ちなみに新しいKindle FireシリーズもKindleからAmazonに変更されており、興味深い。

 画面については、従来モデルよりもやや明るい。比較対象の従来モデルは丸10カ月使っているので、条件を揃えた状態での比較というわけではないが、若干青みがかっていた従来モデルの色味についても改善されており、部材そのものが異なる印象だ。E Ink電子ペーパーが従来の「Pearl」から、1つ世代の新しい「Carta」に変更になっていることが影響しているのかもしれない。目盛りは24段階で従来のままだ。

 また、従来モデルで多く指摘されていた、画面下の影のようなにじみはほぼ完全になくなった。これにより画面全体の濃淡が均一になっている。特に黒がきちんと黒く発色されるのは、光源まわりとそれ以外で明るさにムラが見られるkobo gloと比べた場合にもメリットとなりうる。

従来モデル(右)との比較。見た目はまったく違いがない。いずれもフロントライトの輝度を最大にしているが、本製品の方が明るい。同等の輝度にセットして使うにせよ、調節できるレンジが広がるのは悪いことではない
背面ロゴは、従来モデル(右)では「kindle」で下段にAmazonのシルク印刷だったのが、本製品では「Amazon」に改められた。ちなみに前面の画面下部ロゴは「kindle」のまま
本製品の直後にリリースされたKindle Fire HDの2013年モデル(右)も、KindleのロゴがAmazonに差し替わっている。何らかの意図があるのだろうか
フロントライトの明るさの比較。従来モデル(右)に比べて本製品(左)の方が明るく、また若干青みがかっていた従来モデルの色味が改善されていることが分かる。下部の影のようなにじみもなくなっている
同じくライトの比較。左から本製品、kobo glo、kobo aura HD(いずれも輝度は最大)。もっとも明るいのはkobo gloだが、本来は黒であるべき箇所までグレーがかっており、コントラストまで加味すると本製品の方が見やすく感じられる。国内未発表モデルのkobo aura HDもクオリティは高い
こちらは先日レビューしたソニーの新Reader、PRS-T3S(右)との比較。ライト内蔵の有無といった違いはあるが、本体サイズや重量ではPRS-T3Sに分がある

 セットアップの手順については、少し枚数が多くなるが、スクリーンショットでご覧いただこう。比較対象として、従来モデル(の3G版)をいったん初期化し、同じプロセスでセットアップした画面を、向かって右側に並べている。原則として流れは同じだが、細かい文言の修正がおこなわれていることが分かる。

 なお、これはあくまで本稿執筆時点での比較であり、従来モデルについても、今後新ファームがリリースされて手順が統一される可能性があるので、予めご了承いただきたい(以降の操作手順も同様である)。ちなみに本製品のソフトウェアのバージョンは「5.4.0」、従来モデルは「5.3.8」である。

冒頭のオープニング画面の続き。言語を選択する画面。対応する言語の数が2つ増えている
ここでもういちどオープニング画面が表示される
「はじめましょう」の画面。特に違いは見られない
Wi-Fi設定のための画面。従来モデル(右)は3GモデルなのでWi-Fi設定をスキップする選択肢があるが、それ以外は同一
Wi-Fiを検索。特に違いはない
パスワード入力。ここも違いはない
既存のAmazonアカウントを利用するか、新規に作成するかの選択画面。細かい文言を除き違いはない
アカウント情報の入力。ここも細かい文言を除き違いはない
登録を完了した直後の画面。ややニュアンスの異なる内容が表示される
SNSのアカウントの登録画面。従来モデルでは表示されなかったが、これは3Gモデルであるためと思われる
ここまでで設定は完了。ここからはチュートリアルが表示される。日本語表現が細かく変更されているのが面白い
本の開き方の説明。背景に表示されている本の種類は従来と同じだが、画像は多少違っている場合もある
タップエリアに関する説明。EasyReachという言葉が使われなくなり、より簡素な表現に改められている。初めてのユーザーへの配慮だろうか。なお説明書ではEasyReachという表現は変わらず記載されている
前のページヘの戻り方の説明。見た目は若干異なるが内容は同一
ツールバーの開き方の説明。ここも見た目は異なるが内容は同一
フォントオプションの開き方の説明。ツールバーの内容が変更になっていることが分かる
フォントは、新しく「筑紫明朝」が追加になっていることが分かる
辞書機能の説明。新機能である単語帳についての言及はなく、内容は基本的に同じ
辞書ポップアップについての説明。従来は辞書(デフォルトではデジタル大辞泉)だけだったのが、今回からはWikipediaとタブで切り替えられるようになっている
ハイライト機能の説明。よく見るとメニューの配置がシャッフルされているのが面白い
ハイライト機能の説明の続き。ここは特に違いはない
ライトに関する説明。やや説明が大雑把になったと感じるのは筆者だけだろうか
ストアへの移動方法の説明が今回は省かれている。見落としかと思い二度セットアップしたがやはりないようだ。理由は不明
ここでチュートリアル完了。ホームアイコンをタップして移動する
ホーム画面が表示された。新機能である「単語帳」が表示されている点が異なる。筆者が作成したコレクションが読み込まれて表示されている

ページめくりのほか、あらゆる操作で反応速度が圧倒的に向上

ホーム画面における検索は、新たにインクリメンタルサーチが導入されており、単語の入力中に候補が表示される。反応速度向上のなせる技といったところか。候補タイトルの後ろ半分が「…」となり判別できないのはご愛嬌

 操作性については従来と変わらず、メニュー類の配置もほとんど同一だが、タップに対するレスポンスは使ってすぐに分かるほど速くなっている。CPUが25%高速化されていることに加え、E Ink電子ペーパーが1つ新しい世代に変化したことの合わせ技だろう。静電容量式タッチパネルが従来より軽いタッチで反応することも、体感的な速度の向上に影響していそうだ。使い始めてすぐはやや敏感すぎるように感じるが、使っているとすぐ慣れる。

 特筆すべきは、タップから反応するまでのワンテンポの間が軽減されたことにより、文字入力が実用的なスピードで行なえるようになったことだ。それゆえ設定画面やメモ、検索といった文字入力が必要な操作が、ずいぶんとストレスなく行なえるようになった。さらに検索にはインクリメンタルサーチが導入されていたりと、速度向上を踏まえて新しい機能も追加されるなど、ハードとソフトがきちんと噛み合って進化している印象だ。

【動画】テキストコンテンツにおける、ページめくりの反応および挙動の比較。左が本製品、右が従来モデル。吉田修一氏「悪人」での比較になるが、あきらかにレスポンスが向上しているのが分かる。ちなみに白黒反転はどちらもデフォルト設定のまま
【動画】こちらはコミックにおける、ページめくりの反応および挙動の比較。うめ氏「大東京トイボックス 1巻」での比較。レスポンスの差がテキストコンテンツよりも露骨に出る。白黒反転はデフォルト設定だが、従来モデルがページごとに反転するのに対し、本製品は6ページに1回の反転となる

 ネックとなるのは、E Ink電子ペーパーにつきものの白黒反転だ。本製品の競合となるソニーの新型Reader「PRS-T3S」は、ページめくり時の白黒反転をほぼ完全になくすことに成功している。これと比較した場合、従来モデルと同じく6ページに1回白黒反転する本製品は、明らかに分が悪い。端末でストアを選ぶわけではないにせよ、他社ですでに実現できているテクノロジが搭載されていないのは、やはり印象としてはよろしくない。次期モデルでの進化を期待したい。

【動画】ソニーPRS-T3S(右)と、ページめくりの反応および挙動を比較したもの。挙動はあきらかに本製品の方が速いが、ソニーPRS-T3Sは白黒反転がないという強みがある。また、ソニーPRS-T3Sは反応は遅いもののタップの取りこぼしはなく、連続タップしても最終的にはきちんと目的のページに到達する

 また、いくつかのコンテンツを試した限りでは、従来モデルに比べてややグラデーションにざらつきがあるように感じられた。実は「ページの更新(ページリフレッシュ)」が、従来モデルではデフォルトオンだったのが本製品はオフになっているという違いがあり、それが影響しているのかと思ったのだが、実際にはそれを差し引いても、粒状感があるようだ。新しいE Ink電子ペーパーの特性によるものか、設定の問題か、詳細は現時点で不明だが、気になるところではある。

左が本製品、右が従来モデルだが、左上の背景、および右下の衣服の部分のグラデーションが明らかに違っており、本製品の方がザラザラだ。ちなみにこれは画面を直接撮影したものだが、スクリーンショットを撮るとなめらかなグラデーションなので、E Inkの特性である可能性が濃厚だ
テキスト本のオプションメニューの比較。後述する新機能「単語帳」が追加されているほか、画面上から直接呼び出すようになったブックマーク関連のメニューがなくなっている
コミックのオプションメニューの比較。「ページの更新(ページリフレッシュ)」が、デフォルトでオンだったのがオフになっている。なお分かりにくいが、メニューで「オン」と書かれているのはここをタップすればオンになりますよという意味で、オン=現在はオフという解釈になる
PDFのオプションメニューの比較。ほかにはないコントラスト調整メニューがある
PDFのコントラスト調整オプション。パーソナルドキュメントなどを経由して取り込んだPDFが薄くて見にくい時に便利
本稿執筆時点のソフトウェアのバージョンは「5.4.0」

機能改善や新機能が多数。ページをぱらぱらめくれるPage Flip機能に注目

 続いて、従来モデルと比べた場合の改善点や新機能を、順不同で見ていこう。

 まずはフォントの追加。新たに「筑紫明朝」が追加され、テキスト書籍の表現力が向上している。従来の明朝体との違いが一目瞭然というほどではないが、選択肢が増えるのは喜ばしい。なおこのフォントはKindle Fire HDの新モデルでも追加されている。

フォントの設定画面。新たに「筑紫明朝」が追加されている。ちなみに文字サイズは8段階で従来と同じ
左が従来の「明朝」、右が「筑紫明朝」。文字サイズを最小にした場合の見やすさは「明朝」の方がやや上に感じられる。見やすさよりも好みの問題と言えそうだ

 読書関連の新機能としては、Page Flip機能が面白い。これは、ページを開いたままページをパラパラめくる感覚でプレビューできる機能で、ページ番号やロケーションを指定して移動するよりも、紙の本に近い直感的な操作が行なえる。呼び出し方はiOS 7のコントロールセンターと同じで、画面の下から上にスワイプすればポップアップ表示される。

 ちなみにソニーのReaderにも、同様のコンセプトを持つプレビュー付の早送り機能が搭載されているが、こちらは一定の速度でしかページがめくれず(しかもお世辞にも高速とは言えない)、また指を離すと移動が完了してしまうので、狙ったところで止めるのが難しい。

 本製品のPage Flip機能であれば指を離しても表示されたままで、画面の左右をタップして1ページずつ前後に移動することもできるので、行ったり来たりして目的のページを探すのに都合がよい。しばらく使い続けていると、目次経由で移動するよりも、こちらの方がはるかに便利であることに気づく。目玉機能の1つと言っていいだろう。

Page Flip機能。画面を下から上にスワイプすることにより、元の画面の上にポップアップする形で表示される。ちなみに下段は「読書ナビゲーションツールバー」と呼ばれ、章タイトルなども表示される
下部のスライダーを移動させるとプレビューしつつ画面が遷移する。目的のページに来たところで画面をタップすればそのページに移動する
【動画】Page Flip機能。画面下から上にスワイプして表示させ、スライダーで前後に移動している様子。プレビュー画像は低解像度だが十分視認できる。なお、1ページ単位で移動したければ画面左右の三角マークをタップすればよい
画面右上からしおりを呼び出している様子。しおりのついたページの内容がプレビュー表示されるようになった。コミックだけでなく、テキスト本でもプレビューが表示されるのが面白い

 呼び出し方法そのものが変更されたのが「しおり」だ。これまでは画面右上をタップすることですぐに新規しおりが付与されていたのが、今回はまずしおりの一覧が表示され、新規にしおりを付与するには「+」マークをタップ、ほかのページに移動したければしおりをタップする、という2段構えになっている。この際、しおりをタップすると画面のプレビューが表示され、直感的に移動先を把握できるよう改善されている。

 また、しおりのデザインも、ページ右上が折り返されたデザインではなく、オリジナルの形状へと変更されている。ソニーなど他社にもみられるデザインだったので、パテントか何かの絡みかもしれない。

【動画】しおりを表示し、プレビューを見ながら移動先を決めている様子。しおりは画面右上をタップして表示できるほか、この動画のようにメニュー右端のしおりマークをタップして表示することもできる

 新たに「単語帳」機能も追加されている。これは検索のために長押しした本文の単語を自動的に登録し、暗記用の単語帳のように扱える機能だ。「フラッシュカード」と称する小テストに近い機能も用意されているので、英語の電子書籍を読みながら分からない単語をタップしつつ自動登録していき、あとで暗記学習をする用途に使えそうだ。

 ただ、試した限りでは単語帳に登録されるのはKindle本で辞書検索した場合だけのようで、パーソナルドキュメントを用いて転送したPDFで辞書検索した場合は単語帳には登録されなかった。たまたま筆者が試した範囲だけという可能性もあるが、これができれば手持ちのさまざまなPDFを転送して単語学習に役立てられるはずで、対応の拡大を望みたいところだ。

「単語帳」機能。これまで検索した単語が自動的に登録される。英単語のほか日本語の単語も登録可能
単語をタップすると辞書および用例が表示される。辞書は内蔵の連携辞書からの引用、用例は検索元の本文の一部がコピーされるようだ。すでに意味を覚えていれば下段の「習得済み」をタップして非表示にする
「フラッシュカード」と称する、小テストに近い機能も用意されており、めくりながら単語学習ができる
ユーザーを選ぶ機能ということで、まったく必要ないという人も多いはず。不要な場合は読書オプションからオフにしておくとよいだろう

 このほか細かいところでは、単語検索では内蔵辞書だけでなくWikipediaもタブ切り替えで呼び出せるようになっていたり(従来は内蔵辞書だけでWikipediaは別画面)、移動メニューからほかのユーザーがメモを付けた位置に直接ジャンプできるようになっている(従来は目次だけ)、といった違いが見られる。全体的に、使い勝手や利用頻度などを見つつ、階層構造を細かく調整してきた印象だ。文言の変更もあちこちにみられ、全体的にブラッシュアップされていることが見て取れる。

単語検索では内蔵辞書(左)とWikipedia(右)が統合され、タブ切り替えで表示できるようになった。内蔵辞書にない単語の意味をすばやく検索したい場合に便利だ
移動メニューは、目次にしか移動できなかった従来モデル(右)と異なり、本製品(左)ではタブ切り替えで自分もしくはほかのユーザーがメモを付けた位置に直接ジャンプできるようになった
ほかのユーザーがつけたメモを表示したところ。これまでもほかのユーザーの感想を表示することはできたが、目次と並列関係にあたる場所に配置されたことで格段にアクセスしやすくなった
その他文言は細部にわたって見直されている。これはコレクションのオプションメニューだが、メニューの内容は同一ながら、文言が細かく修正されていることが分かる

使い勝手を向上させた正常進化モデル。読書管理機能の強化に期待

 以上のように、外観はほぼ同じながら、中身はありとあらゆるところで進化していることが分かる。冒頭で「外観は見分けがつかない」と書いたが、実際に触ってみるとその違いは明らかで、同じ筐体でよくここまで作りこんだものだと驚かされる。従来モデルを毎日使っていて手放せないヘビーユーザーなら、迷いなく買い替えるべきだろう。それ以外にも、従来のもっさりした動作のせいでいまいち利用頻度が上がらなかったユーザーも、あらためて評価してみる価値はありそうだ。

また、ユーザー使用領域が2.5倍になった内蔵メモリも魅力的だ。2GBではすぐにいっぱいになって困るというコミック中心のユーザーは、買い替えることでストレスが軽減されるはずだ。筆者の場合、コミックは読み終えたらすぐ端末から削除するのではなく、最終巻だけはコレクション機能を使って残しておき、続巻が出たら差し替えるという運用をしているので、2GBでは足りなくなることが多く、そうした意味でも4GBに増えるのはありがたい。

 敢えてマイナスポイントを挙げるならば、前述した(ソニーReaderと比べた場合の)白黒反転の挙動と、あとは端末そのものの重量だろう。2012年の初代モデルのレビューで「次期モデルに望むことがあるとすれば、他社に50g近く差を付けられている端末の軽量化くらい」と書いたのだが、これがわずか7gの微減に留まるとは、個人的には予想外だった。同じKindleでもKindle Fireシリーズが劇的に軽量化を成し遂げているのとは好対照で、さすがに次期モデルは何らかの改善を期待したいところではある。

 ともあれ、すでにある程度完成されている外観を敢えてガラリと変えて“新製品らしさ”を過剰にアピールされるよりも、高速化や使い勝手の改善に注力してもらった方が、ユーザーとしてはメリットは大きく、個人的には今回のようなモデルチェンジの方向性は悪くないと思っている。日本市場向けにわざわざ内蔵メモリを増やすなど、市場の特性を考えてハードウェアの仕様を変えてくるというのも、本気である証であり、評価したいところだ。

 個人的な要望としては、Kindleストアのオープンからまもなく1年ということで、大量の本を所有していることを前提にした、管理機能の強化を希望したい。筆者は現時点でKindleストアで購入した本を500冊ほど所有しているが、これがクラウド上で分類もされずにズラリと並んでいると、いくらインクリメンタルサーチが実装されて検索性が上がろうが、目的の本を探すのに一苦労である。なにせリスト表示にしても1ページに8冊しか表示されないので、約60ページものリストをめくりつつ探さなくてはいけないからだ。

 また、端末からクラウドに戻してしまうと、進捗はおろか未読/既読の区別まで一切つかなくなってしまうのも、使い勝手を悪くしている。セールで衝動買いして“積ん読”状態になりがちな筆者としては、未読本だけを表示してくれる絞り込み設定があれば、どれだけ良いかと思う。あるいは、リストの並び順を逆にするオプションがあるだけで、めくらなくてはならないページ数は半分になるわけで、こうした並べ替えやステータスによる絞り込みといった機能の改善が、今回のモデルであまり見られなかったのは気がかりだ。

 筆者の500冊という所持数はやや極端であるにしても(2日に3冊買っている計算だ)、これから先、購入済みの本がどんどん増えるのは、全ての利用者に言える話だ。今回の製品から、クラウド上の本を表示した際に端末上にダウンロード済みの本はアイコンがついて判別できるようになったり、コレクションのインポート機能が実装されるなど、これまで求められていた機能の改善がみられたのはよい兆候だが、大量の本の中から目的の本をすばやく見つけるための機能の強化も、切に願いたいところだ。

クラウドを表示した際、端末上にダウンロード済みのコンテンツにはサムネイルの右上にチェックマークが入るようになった。地味ながら非常にありがたい機能だ
コレクションのインポート機能も実装された。ただしクラウド上のコンテンツに適用されるわけではないので、機能としてはまだまだの感がある
日本でも発売が告知された新しいKindle Fireシリーズ(写真右、Kindle Fire HD)では、ほかのKindle端末やアプリと同期するクラウド・コレクションなる機能のほか、しばらく使っていないコンテンツを1タップでクラウドに退避させるインスタントクラウドなる機能の追加が予告されている

(山口 真弘)