山田祥平のRe:config.sys

7notes miniならできる立ったまま手書きメモ




 MetaMojiの躍進が止まらない。手書きで優れた日本語入力環境を提供するmazecエンジンを核に、7notes関連プロダクツが進化を続けている。つい先日には、iPhoneで使える「7notes mini for iPhone」の提供を開始、それを受けて、来週には機能を強化した「7notes for iPad」のアップデート版も公開されるという。

●手のひらサイズのメモ帳に手書きでメモする感覚

 7notes miniは、iPadの7notesの機能から、日本語入力環境であるmazecを切り出し、最低限のノート機能と外部連携機能を実装し、4型前後のスクリーンで使いやすいように最適化されたアプリだ。

 新規のノート作成画面は、上部にノート本文、下部に手書き入力領域を持つ。この手書き入力領域に手書きで文字を入れていき、逐次変換しながらノートを書くというシンプルな構成になっている。

 入力は、変換を伴う手書きの他に、手書きイメージのままのストローク、そして、ソフトキーボードからの入力を選択できる。キーボードの場合は、iOS標準のIMEを使うことになる。

 個人的には、最強の日本語入力アプリだと納得できる仕上がりだ。現時点では、もっと緻密なiOSとの連携が期待できない以上、ここをスタートにできるということを高く評価したいと思う。

 手書き入力エリアに、手書きで文字を入れていくとき、ストローク入力の場合は、自動的に確定されて本文に入力されていく。変換しながらの入力では、確定の操作が必要になるが、ストロークではその必要がない。だから、まさにスラスラと手書きしていくと、それがそのままメモになって入力されていく。

 こうして入力された文字データ、および、ストロークデータは、画像や文字などのほか、7notesドキュメントとして他のアプリに渡すことができる。例えば、ストロークデータを7notesドキュメントとしてメールに添付して自分宛に送信すれば、それをiPadで受け取り7notes for iPadで受け取った上で、後から変換機能を使って漢字かな交じりのテキストデータに編集することができる。

【お詫びと訂正】 初出時に「7notes miniでは後から変換ができない」としておりましたが、実際には可能です。ご教示頂いた読者の方に感謝いたしますとともに、お詫びして訂正させて頂きます。

 7notesに限った話ではないが、iPhoneのようなデバイスで手書き入力をする際に困るのは、指先の動きを支える支点が確保できないということだ。例えば、紙にペンでメモを書く場合、手首を紙の表面に押し当てることで支点を確保、ペンの動きを一定に保つことができる。でも、iPhoneのようなスクリーンでは、これがなかなか難しい。大きなiPadでは、多少ましともいえるが大同小異だ。

 ただ、小さなメモ帳に、立ったままペンでメモをとるという場合を考えると、あまり違いがないともいえる。必然的に手書き文字は、下手なものになるが、それをきちんと変換が追随していくのには、ちょっとした感動を覚える。

 今後は、手書き入力領域と、ノート本文領域との位置関係や、手書き時の支点確保をするためには、どうすればいいかを模索していってほしいと思う。単純に手書き入力エリアを上部に持っていくだけでは、手のひら部分がスクリーン上の他のオブジェクトにふれてしまい、誤動作の可能性が出てくるからだ。

●立ったままメモを後で完成

 過去においては、多くの場面でPCを使って文字を入力してきた。机の上はもちろん、膝の上などを含め、座って両手を使うことができ、PC本体をのせる場所を確保できるのであれば、PCを使ってのキーボード入力がもっとも効率がいい。

 これが、立ったままとなるととたんに効率は落ちる。片手でPCを支え、もう片方の手で雨だれ入力をしていくのでは、スラスラと入力するというわけにはいかない。

 携帯電話のテンキーや、スマートフォンのフリック入力、仮想キーボードを使っての入力は、片手での入力環境を多少改善した。メールの本文を入力する程度なら、これがベストだと考えるユーザーも少なくないだろう。

 だが、記者会見などで発表内容をメモしていくには、ちょっと大変だ。記者会見の多くは、例え机がなかったとしても、ほとんどの場合は着席なので、ノートPCが使えるが、施設の視察などで、立ったままあちこちを巡回しながら説明のメモをとるといった用途にはノートPCは無理だ。でも、7notes miniなら、それができるんじゃないかと感じた。つまり、あとで、漢字かな交じりに変換できることが保証されるデータを手書きで残せるユーティリティとして、新たなフィールドを開拓できるんじゃないかという期待ができるのだ。

●使う人が作れば使いやすいソフトができ、新たなニーズに対応できる

 来週にも公開が予定されている7notes for iPadのアップデートでは、 そのバージョンがver.2.0.1からver.2.5となり、起動時間が劇的に短縮されるとともに、7notes miniでのmazec機能実装、デジタルキャビネットUIの大幅な改善と、Twitter、Facebookへのポスト機能の搭載などが含まれているそうだ。まだ、実際の製品を見ていないので、なんともいえないが、iPadで動く7notes mini的なGUIが用意されるようであればうれしいと思っている。

 また、7notes miniは、基本的に作成済みメモは、ローカル依存だ。これがiPad版のように、クラウドに自動保存されるようになっていればもっと便利なんじゃないか。iPhoneでメモを書き込み、落ち着いたところでiPadを開けば、すぐに編集を加えることができるというのが理想だ。

 もっと欲を言えば、というか、あって当たり前の機能なのに、まだ7noteが持たない機能にPCとの連携がある。今のところPCで、mazecのストロークデータを扱う方法が提供されていないのは残念だ。

 iPhoneやiPadで作ったメモを、クラウドを介して、いつでもPCで参照でき、必要に応じてテキストデータ化、加筆修正などができ、その結果が常にクラウド側のデータに反映され、再び、iPhoneやiPadで開いたときには、編集後のデータが見えるというのが理想だし、当然、metamojiでは、こうした展開を考えているはずなので、より早期の実現を期待したい。

 かつて、浮川氏らがATOKの開発に関わっていた時代は、その優れた日本語入力環境が、技術者の努力によって実現されていたように思う。つまり、開発する側は、日本語を入力することを日々の営みにしていなかった。

 でも、今は違うんじゃないか。技術者であっても、日常的に、誰かとメールやSNSでコミュニケーションしているし、会議に出ればメモもとる。デバイスを使っての文字入力は、一般人にとっても、そして、技術者にとっても日常になっている。技術者にとっても新しいデバイスでの日本語入力は切実なニーズなのだ。

 そうした環境から生まれてくるアイディアや技術の実装は、四半世紀前のそれとは、まったくアプローチが異なっているようにも思う。7notesの進化にかゆいところに手が届く的な面があるとすれば、そのあたりに理由があるんじゃないだろうか。