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「Officejet Pro Xは日本HP初のビジネスプリンタ市場への挑戦」

~日本HP、製品発表会を開催

ギネスブックの認定証を手にする岡隆史副社長と、開発責任者のブラッド・フリーマン氏
11月19日 開催

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は19日、70ppmを実現したビジネス向けインクジェットプリンタ「Officejet Pro X」シリーズの製品発表会を都内で開催した。

 本記事では発表会の模様をお伝えし、製品のスペックなどの詳細については関連記事を参照していただきたい。

Officejet Pro Xは日本HP初のビジネス向けの本格的な製品

岡隆史氏

 発表会の冒頭では、同社 取締役 副社長執行役員 プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史氏が挨拶。「プリンタは、HP全体のビジネスの中で2兆円規模を持つ重要な市場である。これまでHPは世界初のインクジェットプリンタ、カラーインクジェットプリンタ、無線LAN搭載プリンタ、Web経由での印刷機能などを展開し、世界のプリンタ市場をリードしてきた。また個人的な写真の印刷からバスのラッピングなど大規模な印刷なども手がけており、生活の中のあらゆる印刷物をカバーしている」とアピールした。

 また、「今、ビジネス向けプリンタの市場はレーザーが当たり前だと思われてきたが、それを我々がインクジェットで塗り替える時が来た。今回の新製品は速度を追求し、ギネスブックにも認定された世界最速の70ppmを実現した。これによってビジネスユーザーのインクジェットに対する“遅い”、“家庭向け”というイメージを払拭できる」とした。

 具体的には、4,000社を超えるPCを取り扱っているパートナーと協力し、これまで以上にビジネス向けプリンタの販路を拡大。現在日本において約15%あるPCのシェアと同じ程度にまでプリンタのシェアを拡大するという。「本日このプリンタのために新製品発表会をやったが、これは企業向けのプリンタビジネスを本格的にやっていくというメッセージを明確にするためである。ここでビジネス向けプリンタへの本格参入を宣言する」と語った。

HPのプリンタの歴史
個人向けから業務向けまでをカバー
新製品の発表を持って企業向けプリンタ事業を本格展開

ビジネスインクジェットの普及には「レーザーの壁」を打破する必要がある

石田英次氏

 ゲストスピーカーとして招かれたIDC Japan株式会社 イメージング、プリンティング&ドキュメントソリューショングループ マネージャーの石田英次氏は、プリンタ市場の展望について説明。「国内のビジネス向けプリンタは出荷金額にして7,600億円の市場であり、出荷台数的にはフラットである。一方ビジネス向けインクジェットに絞ってみると、近年エプソンなどの参入もあり伸びてはいるものの、全体としては大きな動きではない」と指摘した。

 その理由として実際にユーザーの声を調査してみると、インクジェットの印字品質などには満足しているものの、ほとんどが新規購入で、レーザーからインクジェットへの乗り換えは15%程度に留まる。速度や普通紙対応、印刷品質に対するイメージに加えて、「レーザーは普通紙が使える、一方インクジェットは使えない」という概念が一定の割合で存在するとし、これが大きな障壁になっているとした。

 加えて、インクカートリッジのコストや品質/速度への不安、さらには“ビジネス向けインクジェット”自体の認知度が低いなどの問題があるという。ここを新製品でこれらの概念を払拭した上で、インクジェットが活きるシーンやワークスタイルの提案、具体的なコスト比較などができれば大きなチャンスが生まれるのではないかとした。

国内のビジネス向けプリンタの市場と、そのうちのインクジェットの市場
ビジネスインクジェットの出荷は増えているものの、存在感はそれほど高くない
ビジネス向けプリンタユーザーの声
レーザープリンタの“壁”
ビジネス向けインクジェットはユーザーのさまざまな不利のイメージを払拭する必要がある
IDCとしての提言

レーザープリンタ市場への挑戦

松本達彦氏

 最後に日本HP プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 プリンティングシステムズ事業本部 事業本部長の松本達彦氏が、新製品の戦略や価格について説明。

 同氏は、「HP Officejet Pro Xの戦略はずばり“レーザープリンタ市場への挑戦”である。印刷スピードが遅いというイメージを払拭する最速70ppmの速度、ランニングコストが高いというイメージを払拭する消費電力/印刷コストのレーザープリンタ比からの半減、そして家庭向けというイメージを払拭する耐水性インク/大容量インクカートリッジ/オンサイト交換サービスで、さらにレーザープリンタから最大63%印刷コストを削減できるインク定額パックサービスを提供することで、ビジネス向けインクジェットプリンタの常識を変える」と説明した。

 販売のターゲットは、小~中堅企業や主に3人~15人で構成されるSOHO/SMBなどの小規模ワークグループ。ビジネス分野としては学校や官公庁に加え、個人の医療施設やホテルなどの旅行施設向けとした。

 インクカートリッジは、ブラックは9,200枚印刷可能で価格は14,070円、コストにすると1枚あたり1.5円。シアン/マゼンダ/イエローは6,600枚印刷可能で価格は13,965円、コストにすると1枚あたり7.5円。いずれもカラーレーザープリンタの約半分のコストに相当するという。

 また、インクと保証をパックにした「インク定額パックサービス」も提供し。1カ月あたり想定4,200枚の出力の3年定額パックは、オンサイト交換保証付きで585,900円と、印刷コストは1枚あたり3.7円となり、インクとオンサイト交換保証を別々に購入するより約30%コストを削減できるとした。

Officejet Pro Xの戦略
Officejet Pro Xの想定ターゲット
Officejet Pro Xのラインナップ
インクやオプショントレイの価格
インク定額パックサービス
定額パックサービスのラインナップ

(劉 尭)