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エプソン、月額1万円からのインクジェット複合機貸与サービス
~モノクロ2,000枚/カラー600枚込み。超過分もモノクロ1.5円/カラー5円
(2014/5/13 15:08)
エプソンは、機器の貸与からインク代、保守サービスが月々10,000円(税別)から利用できる定額従量料金制プリントサービス「エプソンのスマートチャージ」を2014年8月より提供する。
機器本体の購入が不要なため導入コストは0円で、資産管理などをせずに運用可能。月額の基本使用料金には機器の利用のほかに、インクなどの消耗品やオンサイト保守サービスも含まれるオールインワンプランとなる。
プランは4種類。ハードウェアはカセット2段の「ベーシック」とカセット4段の「フルセット」の2種類で、月額基本使用料金は前者が10,000円(税別)、後者が12,000円(同)。ベーシックはモノクロ2,000枚+カラー600枚の「スタンダードB」コースと、モノクロ/カラー問わず1,000枚の「フルカラーB」コースが、フルセットはモノクロ2,400枚+カラー720枚の「スタンダードF」コースと、モノクロ/カラー問わず1,200枚の「フルカラーF」コースが提供される。
超過した場合、スタンダードコースはモノクロ1枚あたり1.5円、カラー1枚あたり5円、フルカラーコースはモノクロ/カラー問わず1枚あたり5円の従量料金となる。契約期間は5年で、中途解約した場合は違約金(残月数×プラン料金×0.9)が発生する。
エプソンのスマートチャージでは、高速印刷ヘッド「PrecisionCore」を備えた専用の複合機が貸与される。カラー/モノクロともに24ipmの高速印刷と、標準600dpiの印刷解像度を実現。また、新開発の75,000枚印刷が可能なインクパックを搭載し、仮に1カ月あたり2,000枚の出力をした場合、約3年インクを交換せずに利用できる。
「ベーシック」プランで使われるカセット2段のモデルは最大831枚(250枚カセット+500枚カセット+背面MPトレイ80枚+手差し1枚)、「フルセット」プランで使われるカセット4段モデルは最大1,831枚(ベーシック+500枚カセット×2)の給紙が可能。
機能面では、有線/無線LANからの印刷に加え、Wi-Fi Direct機能により、無線LAN環境がないオフィスでもスマートフォンやタブレットから「Epson iPrint」アプリを用いて印刷できる。タッチ対応の5型液晶ディスプレイを搭載し、直感的な操作が可能。
また、FAX機能を充実させ、受信したFAXを画面で確認してから印刷できる「見てからファックス印刷」、設定したメールアドレスやフォルダへ転送できる「ファックス転送」などを搭載し、無駄な印刷を防げるとしている。
プリンタ部の主な仕様は、最高解像度が4,800×1,200dpi、カラーがC/Y/M/Kの4色、対応用紙がA3~A6、レター、リーガル、はがき、六切、四切、L判、2L判、KG、封筒など。自動両面印刷機能を備える。スキャナ部の主な仕様は、解像度が最大9,600dpi、最大原稿サイズが297×432mm(幅×奥行き)。両面同時スキャン機能を搭載する。
本体サイズおよび重量は、ベーシックが767×902×689mm(幅×奥行き×高さ)/約58.8kg、フルセットが767×907×1,230mm(同)/約100.4kg。
「コピー新時代」を実現するソリューション
5月13日に都内で開かれた記者会見では、エプソン販売株式会社 代表取締役社長の平野精一氏が挨拶。リーマンショックにより落ち込んだ2009年以降、印刷/コピー用紙の流通量が順調に回復してきており、プリントボリュームは堅調に成長しているとした。
その中で、特に近年プリンタに対してコピー機能を中心とした複合機市場が活発であるという。その要因として挙げられるのは、1枚あたりの出力コストの低下と、保守と消耗品セットを含めたサービスの提供による管理の容易さなどがあるとし、エプソンとしては今後この分野に参入することでビジネスを拡大していく考えだとした。
この複合機市場において、今回提供する「エプソンのスマートチャージ」の強みは、管理部門にとって運用しやすい本体、保守、消耗品込みの月額制となっているだけでなく、インクジェット方式を採用することで、一般的なレーザー方式に対してカラーでもモノクロでもコストが2分の1以下になるとしており、これを武器に市場への訴求していく考えだとした。
続いて、セイコーエプソン株式会社 取締役 プリンター事業部長の久保田孝一氏が、エプソンのスマートチャージで採用されている複合機の特徴について解説。各色800ノズルという新設計の「PrecisionCore」ヘッドの採用により、コピーの20枚機クラス同等の24ipmを実現し、また、ウォームアップが不要なため、レーザーに対してファーストプリントが高速であることをアピールした。
耐久性の面では、30万枚という寿命を実現し、月間5,000枚の出力で5年間の利用が可能。また、交換式の廃インクボックスを備えた。さらに、フルセットモデルで合計1,831枚の給紙が可能な点や、約75,000枚も印刷できる特殊な大容量顔料インクの採用により、インク交換回数を減らし、顧客のダウンタイムを削減できるとした。
この75,000枚も印刷できるインクにより、インクの輸送コスト、梱包材、カートリッジなどの廃材の運送/破棄に要するCO2を削減でき、75,000枚印刷した場合、レーザータイプの「LP-M5300FZ」(トナー52本+感光体6本分)と比較するとCO2排出量を約95%削減できるとした。
このほか、低消費電力や定期交換部品の少なさ、PrecisionCoreヘッドによる小さい文字の再現性の向上、顧客のニーズに応えたというFAX機能の増強、スキャン機能の強化、管理者によるユーザー別の利用機能の制限、暗証番号を利用したプリント出力によるセキュリティ性の向上、カラーユニバーサルデザインとカラーユニバーサルプリントへの対応などを紹介した。
販売戦略について、エプソン販売株式会社 取締役 販売推進本部長の中野修義氏は、「印刷速度が30ppm以下のコピー機市場の年間出荷台数は約30万台ほどあるが、月間1,000枚以上、5,000枚未満の顧客に向けて、エプソンのスマートチャージのメリットを訴求していく」とする。
特に、コストダウンやメンテナンス工数を減らしたい管理者の要望と、カラーを印刷したい、コピー機の待ち時間を減らしたい、スマートデバイスからの印刷を行ないたいといった利用者の要望が対立する企業において、エプソンのスマートチャージが最も有効なソリューションであるとした。
一般的なコピー複合機の場合、リース料金が月額1万円、モノクロは1枚あたり2円、カラーが15円程度なので、エプソンのスマートチャージのスタンダードと同様、モノクロ2,000枚、カラー600枚を出力した場合、1カ月あたり13,000円程度となり、つまり1カ月あたり23,000円程度になる。それに対しエプソンのスマートチャージでは1万円と、約2分の1以下に抑えられる。
このコスト面のメリットを強く訴求し、「いよいよ、コピー新時代」というキャッチフレーズのもと、プロモーションを展開していくとした。
販売については、現在約120社と販売店契約を結び、全国すべての都道府県で展開していき、初年度は約2万件の契約を目指す。将来的には250社程度まで増強し、年間3万件程度の契約を目指すとした。