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エプソン、サイズと重量に“徹底的にこだわった”同社初のA4モバイルプリンタ
(2014/6/26 18:12)
エプソンは、無線LANやバッテリを内蔵するA4対応のモバイルカラーインクジェットプリンタ「PX-S05」シリーズを9月下旬に発売する。価格はオープンプライスで、直販価格は27,980円(税別)。本体色はホワイト(PX-S05W)とブラック(PX-S05B)の2色展開。
本体サイズ309×154×61mm(幅×奥行き×高さ、収納時)、重量約1.6kgのモバイルプリンタ。ACアダプタ込みでも2kgを切る約1.9kg。同社では国内のA4プリンタとして最小サイズであることを謳う。
同社既存ビジネスインクジェットで最もコンパクトな「PX-105」との比較で、体積を約81%、設置面積を約54%小型化。給紙ローラー径は約33%、搬送ローラー径は約67%細くしたほか、新開発の小型インクカートリッジと、それを収納するキャリッジの体積も小型化。内部は制御基板を2分割するなどの工夫を加えて高密度化している。一方で、外装のプラスチックは断面をリブ形状とし、フレームにはアルミを採用することで、軽量/小型化と強度を両立させた。
このサイズにより、タブレットなどと一緒にビジネスバッグに入れて持ち運べ、さらに傷が付きにくい表面処理やシボ加工を施すことで、持ちやすさも考慮した。
また、オフィスのデスクに収納して、使いたい時だけ取り出して使う用途にも向くことをアピール。一般的な事務用デスクの引き出しの内寸幅が318mmであることから、それを切るサイズにこだわったと言う。加えて、本体の背面側にもゴム足を装着することで、デスクサイドや本棚に立てて収納しておくこともできるようにした。
このほか、傾きセンサーを内蔵し、45度以上の傾きを検知した場合には印刷動作を止めてインク漏れなどを防ぐ仕組みが搭載されている。
電源は付属のACアダプタまたはUSB経由で供給。内蔵バッテリはA4カラー約50枚、A4モノクロ約100枚の印刷が可能。バッテリ切れからACアダプタで5分充電して、A4カラー約2枚、A4モノクロ約4枚を印刷することもできる。
接続はUSB 2.0またはIEEE 802.11b/g/n無線LAN。本体側のUSB端子はMicro USBを採用。複数のプリンタを部署内で共有する場合などにプリンタポートが複数作られないようにする「USBポート固定」機能を搭載。さらに、Windows XP以降については、本体内に簡易ドライバを収録することで、容易に使い始められるようにした。通常のプリンタドライバは、Windows XP以降およびWindows Server 2003 R2以降、Mac OS X 10.6.8以降に対応する。
無線LANは、Wi-Fi Directや、クラウド連携の「Epson Connect」にも対応。メールを送ることで遠隔で印刷を行なう「メールプリンタ」が利用できる。また、9月にはiOS向けの印刷アプリ「Epson iPrint」にも対応予定。無線LAN接続は最大4台の同時接続に対応する。
本体の特徴としてはこのほか、本体上部には1.44型の液晶ディスプレイと操作ボタンを装備。インクの残量確認や、テキスト印刷の濃度調整、ネットワーク設定などをPCレスで行なえる。また、ダウンタイムを最小化するため、インクの廃液ボックスを容易取り替えられるメンテナンスボックスを備えるといったビジネスユースを想定した仕組みを盛り込んでいる。
プリンタの仕様は、解像度が最大5,760×1,440dpi、インクが4色独立、A4印字速度がACアダプタ使用時カラー約4ipm、モノクロ約7ipm、バッテリ駆動時がカラー約2ipm、モノクロ約3.5ipm。対応用紙はA6~A4、リーガル/レター、六切/ハイビジョン/KG/2L判/L判、名刺、はがき、封筒など。給紙枚数は普通紙で最大20枚。L判、KG、はがき、ハイビジョン、名刺は四辺フチなし印刷に対応する。
モバイルプリンタは「大きさ」、「重量」で選ばれる
26日に行なわれた製品発表会では、セイコーエプソン株式会社 業務執行役員 プリンター事業部 副事業部長 髙畑俊哉氏が、本製品の製品戦略や投入の背景を説明。
背景として、同社が製品展開するビジネス市場を「複写機」、「オフィス/SOHO業種」、「モバイル業種」の3つに大別。これまでオフィス/SOHO市場へ低コスト運用が可能な製品、複写機市場では5月に発表した定額従量料金制プリントサービス「エプソンのスマートチャージ」などを提供してきたが、「モバイル業種」へはこれまで製品を提供できておらず、今回のPX-S05シリーズで参入することになる。
製品開発にあたっては、モバイルプリンタ購入前に重視する点と利用ユーザーの不満点を調査。結果、A4が印刷できることを前提に、サイズと重量を重視して製品が選ばれている一方で、購入後には「意外に重い、大きい」という声が少なくないことに着目。
髙畑氏は「これを改善しなければならないと考え、サイズと重量というモバイル性に徹底的にこだわった。ほかの2つの分野ではコストを重視し、複写機では“圧倒的な低コスト”をアピールしているが、モバイル業種では“圧倒的なサイズ”で参入したいと考えている」と、本製品の訴求ポイントを説明した。
本製品の主なターゲットは、ノマドワーカーやライフハッカーといったビジネス・パーソナルユーザーのほか、金融/保険、製薬/MR、外勤営業、警察/捜査機関といったモバイル利用が多い業務や業種を想定。ビジネス利用においては、外に持ち運んで利用する以外に、バックヤードが狭いためにプリンタを置くスペースを節約したい狭小店舗などへも売り込んでいく。
現在、このモバイルプリンタは年間約10万台規模の市場であると言い、エプソンでは50%のシェア獲得を目指すとしている。