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エプソン、インクジェット複合機貸与サービスに5,000円プランを追加
~A4複合機とA3/A4プリンタも利用可能に
(2015/5/13 19:14)
セイコーエプソンおよびエプソン販売株式会社は、「エプソンのスマートチャージ」のラインナップを拡充し、A4プリンタなど、3モデルを追加。新たに月々5,000円から利用できるプランを用意した。
エプソンのスマートチャージは、導入コストゼロで、本体、インク、保守サービスを定額従量料金で利用できる複合機貸与サービスで、レーザーの複合機を用いるよりもオフィスのプリントコストを削減できるのが特徴。2014年8月から提供を開始しており、75,000枚までの大量印刷が可能な大容量インクパックを活用し、月額1万円でモノクロ2,000枚、カラー600枚まで印刷できる課金型サービスとして、4種類の料金プランを用意していた。
エプソン販売 取締役 販売推進本部長の鈴村文徳氏は、「2014年8月のサービス提供以降、まずまず順調な動きを見せている。スマートチャージを展開して気が付いたのは、プリントすることにストレスを感じている企業が多いということ。スマートチャージを導入した企業からは、年間36万円もの使用料およびリース料のコスト削減ができたといった声のほか、レーザープリンタと比べて、カラー印刷コストが4分の1になった、最大40%のコストダウンが図れたという声が出ていた。また、インク購入や交換が不要であり、消耗品管理が必要ないことにも高い評価が集まっている。インクジェットプリンタならではの特徴を活かしたサービスとして、企業から高い評価を得ている」という。
さらに、「スマートチャージの場合は、1回あるいは2回の商談で導入が決定しているケースが多い。これは、導入コストがゼロで、月額1万円という明確な料金プランであること、全ての顧客に対して、公平に安い料金で導入できるという点が価値として認められている。コピー機のように、顧客によって料金が異なるということがない」などと説明した。
これまでのスマートチャージは、A3複合機のみの展開であったが、新たにA4複合機、A3プリンタ、A4プリンタを追加。必要サイズや用途に合わせて、最適な機種を選べるようにした。いずれの製品も、既にインクカートリッジを搭載した製品として提供しているもので、大容量インクタンクを搭載することで、スマートチャージ向けの製品として扱われることになる。
ベースとなるのは、A4複合機が「PX-M840F」で、7月から出荷の予定。A4プリンタが「PX-S840」で、6月中旬に出荷する予定。A3プリンタが「PX-S7050」で、7月から出荷する。
また、利用するプリントサイズや、カラー/モノクロの印刷比率、給紙容量などの機器構成により、従来の4種類の料金プランに加えて、8種類のプランを追加して、合計12種類の料金プランを用意。A4プリンタのスタンダードプランBでは、月額基本使用料は5,000円で、カラー400枚、モノクロ1,000枚まで印刷できる。
さらに、同一法人内で複数台を契約し、同じプランを適用している場合には、機種が異なっていても基本印刷枚数を複数台で分け合ってシェアするグループ割引も用意している。
エプソン販売 販売推進本部 BP MD部長の北村光一氏は、「カラー印刷400枚、モノクロ印刷1,000枚の場合、スマートチャージでは月額5,000円で済み、カラーレーザープリンタに比べて、約37%のコストダウンが可能。しかも、初期費用、保守費用も不要である。さらに、カラーレーザー複合機が導入されている場合でも、スマートチャージを追加で分散配置すれば、カラー出力コストを削減でき、さらに効率を上げることもできる」という。
セイコーエプソン プリンター事業部プリンター事業戦略推進部長の吉田潤吉氏は、本サービスについてについて「消耗品の管理を軽減できること、環境負荷を低減できること、低コストでカラー出力ができることが、インクジェットプリンタの強みになる」とした。
消耗品の管理軽減では、スマートチャージではインク4本分で75,000枚分を印刷できるが、これだけの枚数をレーザープリンタで行なうには、58本のトナー/感光体が必要になり、その分の消耗品も管理しなくてはならないという課題が発生する。「スマートチャージでは、毎月2,000枚を印刷しても、3年間インクを1回も交換せずに使える」と、吉田氏は胸を張る。
環境負荷の低減では、インクタンクをほとんど交換することなく印刷できることから、輸送コストや梱包材、カートリッジの廃材などが減少。これをCO2で換算すると、レーザープリンタに比べて95%も削減できるという。
「技術革新によって、利便性を損なわずに、エコロジーに貢献できるのがスマートチャージの特徴。レーザープリンタでは最大電力は1,100Wほどかかるが、インクジェットプリンタでは、最大でも100W以下という電球1つほどの電力で動作する。施設の電力事情に関わらず、プリンタを導入できる点もメリットだと言え、マンションをオフィスにしているSOHOやスタートアップ企業などでも安心して導入することができる」と語る。
さらに、カラー出力に関しては、基本料金枚数であれば追加の月額料金がかからないほか、超過従量料金でもカラー印刷で1枚5円と低コストであることを強調。吉田氏は「カラー印刷を安心して使ってもらえる。モノクロが主流なのはオフィス内の印刷だけだろう。コストを気にせず、鮮やかな表現を利用した印刷が可能であり、さらに、レーザープリンタのように、熱源を利用するプリンタでは不可能な媒体にまで印刷できる。インクジェットの強みを活かして、名刺用紙やラベル紙、厚紙や和紙、窓付き封筒などにも印刷ができる」と述べた。
また、吉田氏は「これまでは、コピー機を使っていたユーザーがターゲットであったが、今後はプリンタを利用しているユーザーにもターゲットを広げていく」としており、「低コストでのカラー印刷が可能であること、インク交換頻度が減少したり、消耗品管理工数を低減したり、1枚目の印刷から速い印刷スピードの実現や、水ににじまない高画質印刷、耐久性などのメリットを訴求しながら、レーザープリンタの置き換え、既存インクジェット機の置き換え、複合機への追加導入などを訴求していく」とした。
鈴村氏は「今までコピーだけでなく、プリンタのコストに困っている顧客に対しても、魅力のある価格によって、スマートチャージを提供していきたい。さらにラインナップを拡充して、スマートチャージの魅力を伝え、今年度は、さらに事業を加速させたい」という。
現在、全国250社の販売代理店を擁しており、「今年度は、1販売店あたりの販売数量を増やしていくことに力を注ぎたい」としたほか、北村氏は「2014年度には2万台の目標を立てていたが、この中には今回発表したA4製品などの投入を含めていたこともあり、その点では下回った。だが、A3複合機という意味では順調」とコメント。「プリンタを利用している顧客に対しても、スマートチャージのメリットを伝えるためにマスプロモーションを展開する。また、本当に安くなるのかといったことが分かりにくいという声もあったことから、当社ホームページを通じて、スマートチャージに置き換えたときのコスト削減効果が分かりやすく確認できるコストシミュレーションツールを用意。導入を促進することで、オフィスのカラー出力の拡大にも繋げたい。2015年度には、スマートチャージだけで、3万2,000台の販売を目指す。これにより、4万台強の累計出荷を目指すことになる」と語った。
一方で、スマートチャージは、これまで日本市場を対象に展開してきたが、「今年度中には、欧米などの先進国、アジア、南米といった新興国などを含めて、世界50カ国以上に展開していきたい」と、事業拡大にも意欲を見せた。