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Google、「AIを活用できない企業に未来はない」
~企業向けGoogle Appsに機械学習を利用した新サービスを提供
2016年6月14日 16:17
Googleは東京都港区にある六本木ヒルズにて、本日から明日にかけて(14日~15日)、同社のグループウェアであるGoogle Apps for WorkといったGoogle製品やその活用方法を紹介する企業向けのイベント「Atmosphere Tokyo 2016」を開催している。
同イベントは8時30分より開場し、下記のようなスケジュールで進行する。
- 基調講演 : 9時30分~11時30分
- 展示・体験 : 11時30分~17時30分
- Atmosphere Tokyo NIGHT 2016(パーティー ) : 17時30分~19時00分(17時15分会場)
Atmosphere Tokyo 2016は日本では2012年より開催されており、今回で5回目の開催となる。今年(2016年)は「“働く”に無限の可能性を。Smart. Modern. Secure.」をテーマとし、基調講演のほか、55の個別のセッションを開き、企業向けのGoogleサービスを活用することで、どのような効果が得られるかなどを学べる。
Google for Work
Atmosphere Tokyo 2016では、記者向けの発表会も行なわれ、Google for Work エンジニアリング担当 バイスプレジデントを務めるプラバッカー・ラガバン氏と、GoogleでGoogle for Work シニア・バイス・プレジデントを務めるダイアン・グリーン氏らが登壇。企業向けソリューションの「Google for Work」と、グループウェア「Google for Apps Work」について説明を行なった。
ラガバン氏はGoogleのCEOであるスンダー・ピチャイが述べた「モバイルファーストからAIファーストへ」という言葉を引用し、Googleが既にモバイルを最優先課題と見なしていないことを明言。また、ある媒体が発したという「AIは新しいUIだ」という言葉も引用し、AI(人工知能)という変革に気付いた企業こそが今後のビジネスで生き残っていくのだという見解を示した。
ご存知の通り、Googleは検索エンジンの投入初期よりAIを活用しており、機械学習によって精度を高めてきた。GoogleはこうしたAIの活用幅を業務ソリューションに組み込むことで、仕事の効率を一層高められると考えているわけだ。
ラガバン氏は過去から現在に至るまで、マネージャー職の人間が抱えているイベント(電話応対など日常発生する業務)の数がどのように伸びてきたかを引き合いに出し、1970年代は5,000件程度だったものが、1990年代には1万件に、そして2010年代には5万件にまで激増している述べた。ラガバン氏は処理する仕事が増えているにもかかわらず、人間自体の能力は過去から大きく変わったわけではないとし、今後爆発的に情報が増えていく中で、AIの活用が必須になるとした。
GoogleはこれまでGoogle for Apps Workで、Gmail、カレンダー、ハングアウト、Googleドライブ、ドキュメント、スプレッドシートなどを提供してきたが、今回新たにWebサイト構築ツールの「サイト」と、クラウドベースの検索エンジン「Springboard」の2つを発表。
「サイト」は2006年から提供されていたアプリだが、企業向けに大きくリニューアルし、情報を集約・配布するために直感的にドラッグ&ドロップできるデザインを採用。複数のユーザーの共同作業で生産物を構築できるようになった。これに加え、Googleドキュメントやカレンダー、マップなどとも簡単に連携できるようになり、異なるチームであり、異なる拠点にいたとしても利便性を損なうことなく利用できるようになっているという。また、ユーザーが使用するデバイス(PCやス マートフォン)に応じてUI自動的に最適なデザインに変わるように設計されており、デバイスに合わせたの違いを構築する必要がない。
一方の「Springboard」は、Google検索と機械学習の技術をユーザーが持っている情報と結び付け、情報活用の生産性を高めるというもの。ローカルコンテンツの全検索はもちろん、世界で初めてクラウドの全検索を可能にしたとのことで、ユーザーがSpringboardに投げかけた質問や現在作業中の内容に必要なことをジャストインタイムで通知。例えば、提案書を書いている最中などに、現在どのようなものがトレンドであるかを教えてくれるといった具合だ。次の会議に何が必要になるかなど、人間ではなくAIが判断して提案してくれるようになる。
ダイアン・グリーン氏は、情報を得ることがもはや特定の人間の特権でなくなった今、少数の人間であっても新しいアイデアが生まれれば瞬時に導入・共有できる状況になったとし、技術が目まぐるしく変化していくこの時代に、企業として何もしないことはリスクであると述べ、ワークスタイルの改善が機械学習によって成されるGoogle for Workの優位点を説いた。