笠原一輝のユビキタス情報局

タスクバーはほぼWindows、Googlebookの実機を使ってみた

Snapdragon X Eliteを搭載した「XPS Googlebook」のパームレストに刻印されているGooglebookのロゴと「G Key」

 Androidスマホとファイルや通知を共有できるノートPCが、10月4日から米国で販売される。Googleは9月21日に「Googlebook」を正式に発表した。Googlebookは、従来Chromebook用のOSとして展開してきたChromeOSと、スマホ/タブレット向けのOSとして展開してきたAndroidを1つにまとめた「Googlebook OS」を搭載するノートPCだ。

 ChromeOSでサポートされてきたフル機能のChromeブラウザと、Android向けのアプリが1つのデスクトップ上で動作するのが最大の特徴となる。搭載ノートPCは899ドルから提供される。

 Googleは9月22日から9月24日(現地時間)に開催されたSnapdragon Summitの展示会場で、Googlebookの実機を公開した。実機を確認してのファーストインプレッションをお届けしていきたい。

Windows/macOSの代替となりうるGooglebook OS

GooglebookでChromeブラウザをウィンドウ表示にしたり、全画面にしたりしているところ。どちらでも利用できる

 Googlebookは、Googleの新しいプレミアム向けノートPCのプラットフォームになる。Googlebookの「Googlebook OS」は、ChromeOSがAndroidにマージされる形で成立したものといえる。

 このためか、Googlebook OSの設定で確認すると、OSのバージョンとして、Googlebook OSとAndroid OSの2つが書かれている(どちらもバージョン17)。もともと、ChromeOSもAndroidもLinuxをベースにしており、オープンなLinuxを閉じた形の配布形態として提供されているので、こうした統合が可能なのだろう。

設定アプリで確認するとGooglebook OSもAndroidもバージョンは17だった

 デスクトップの操作感は、WindowsやmacOSに似ており、WindowsやmacOSを普段使っているユーザーであればあっという間に使いこなせるはずだ。

 特にタスクバーの配置はWindowsにかなり似ており、Googleのロゴを押すとアプリのリストが表示されるあたりはWindows 11ユーザーとしてはまったく違和感なく操作できた。ただ、前出の設定アプリなどは、左側にメニューが表示され、右側にその詳細が出るというAndroidではおなじみのレイアウトも使われている。

 Androidとの大きな違いは、ウィンドウ表示に標準対応していることだ。Android OSでも、ウィンドウ表示ができないわけではないが、メーカーによって実装方法が異なるなど、統一した操作性を提供できていなかった。

 それに対して、Googlebook OSでは、デスクトップの操作性が統一されており(OEMによるカスタマイズは許されていないようだった)、どのメーカーのGooglebookでも同じ操作ができることは歓迎していいだろう。

 また、Googlebookでは、画面のタッチ操作は必須の機能ではなく、オプションとなっている。このため、タッチパッドやマウスといったポインティングデバイスと、キーボードで操作することを前提としたUIになっており、その点でもかなりWindowsやmacOSに近づいたOSという印象を持った。

 なお、最大10年間はアップデートが提供される予定であることが明らかにされている。Windows OSも、基本的にメジャーバージョンアップからEoS(サポート終了)まで10年と説明されており、その点でも同じようなライフサイクルで利用できることになる。

アプリによってはデスクトップ向けに最適化が必要

Androidアプリのゲームを実行しているところ、全画面でなくウィンドウ表示のAndroidゲームはちょっと新鮮
Android版のNetflixアプリ

 前述の通り、GooglebookではAndroid向けのアプリが動作する。では何でも動くのかといえば、基本的にはその通りなのだが、実際の利用シーンではアプリ側に依存する場合がある。というのも、Androidアプリは基本的にタッチ操作を前提として作られている。そのため、Googlebookでは動くけど、操作しにくいといったアプリが出てくるだろう。

Play Storeの表示、Googlebookのデスクトップ表示に最適化されているアプリには「Optimized for desktop」と表示される
MicrosoftのUSBゲームパッドを接続して使っているところ

 たとえばゲームはその端的な例だろう。Androidのゲームの多くはスマホやタブレットでの操作を前提にしており、キーボードやマウスなどで操作することを意識しているタイトルはあまり多くない。

 そこで、ゲームタイトル側でキーボードやマウス、ゲームパッドなどを利用する機能を追加する必要がある(ゲームパッドをUSBで接続する場合にはOS標準のドライバが入るため追加のドライバは基本的に必要ない。このあたりはWindowsやmacOSと何も変わらない)。

 このため、GooglebookのAndroidアプリストアとなる「Play Store」では、デスクトップでの活用に最適化されたアプリに「Optimized for desktop」と表示され、GooglebookのデスクトップUIで活用できることが分かるようになっているという。

 なお、Googlebookを利用するには、Googleアカウントが必要で、同じアカウントでログインしているAndroidスマホやタブレットなどと、データや通知を共有できる。

Gemini IntelligenceのローカルAI機能を利用してGmailに音声で入力
Androidスマホのファイルにアクセスしたり、通知をGooglebook側で受けたり、その逆にGooglebookの通知をAndroidで受けたりできる。

 また、ローカル動作するAI「Gemini Intelligence」が初期導入されており、音声による文字起こしなど、軽めのAI処理であればNPUで難なくこなしていく様子がデモされていた。

現状のGooglebookは5社横並びのスペック

左がHP Googlebook 14、右がXPS Googlebook

 今回Googleが明らかにしたGooglebookには、5メーカー(Acer、ASUS、Dell、HP、Lenovo)の製品が用意されており、それぞれ以下のようなスペックおよび価格になっている。

【表】Googlebookのスペックと価格
メーカーAcerASUSDell(XPS)HPLenovo
製品名Googlebook 14GooglebookGooglebook 14Googlebook 15
SoCCore Ultra 5(シリーズ3)Snapdragon X EliteCore Ultra 5(シリーズ3)
メモリ16GB
ストレージ512GB
ディスプレイ14型2.8K OLED(タッチ)13.4型2.5K LCD(タッチ)14型2.8K OLED(タッチ)15.3型2.8k OLED(タッチ)
重量1.139 kg0.998 kg0.998 kg1.243 kg1.288 kg
価格(税別)899ドル1,299ドル999ドル1,299ドル1,099ドル

 SoCはAcer、ASUS、LenovoがIntel Core Ultraシリーズ3を採用しており、DellとHPがSnapdragon X Eliteを採用している形になる。今回はSnapdragon Summitでの製品展示となったため、展示されていたのは当然DellとHPのGooglebookだった。

XPS Googlebookは、DellのWindows PCになる「XPS」と共通の意匠。ただし、GlowbarはXPS Googlebookにしかないので、それで違いが分かる
HP Googlebook 14は14型のディスプレイを採用している

 DellのGooglebookは製品名がユニークで、メーカー名がXPS、ブランドがGooglebookで「XPS Googlebook」という製品名になっている。これは、GoogleがOEMのブランド名を製品名に入れることを許容していないためにこうなっているのだろう。

 それを回避する苦肉の策としてXPSをメーカー名に、ブランド名をGooglebookとしたのだと考えられる。なお、HPの方は「HP Googlebook 14」になっている。

 いずれの製品も、背面にGoogleが「Glowbar」と呼んでいるライトバーが用意されており、Googleのアプリから光らせたり、バッテリ残量や充電状態に応じて光り方が変わったりする。これは、XPS GooglebookにもHP Googlebook 14にも入っており、Googlebookのデザイン上の要求ということだろう。

 キーボードも同様で、WindowsでいうところのWindowsキーに相当する「G Key」が用意されており、それを押すことで、スタートメニュー的なものが表示される。指紋センサーないしは顔認証の仕組みも用意され、安全にGooglebookにログインできるようになっている。

 このように、Googlebookは良い意味でも悪い意味でもGoogleのデザインの要求が徹底しているなというのが筆者の第一印象だ。SoCは、IntelがCore Ultraシリーズ3、QualcommがSnapdragon X Eliteと、SoCベンダーごとに同じものが採用されており、いずれもメモリは16GB、ストレージは512GBになっていることからも、ユーザー体験が損なわれないようにミニマムの仕様をGoogle側で規定していることが透けて見える。

Snapdragon X Eliteのロゴシールも貼られており、Googlebookと書かれていないとGooglebookとは気がつかないぐらいだ

 その意味では、現状はOEM独自の特色というのはあまり出せそうにないものの、その代わりにどのメーカーの製品を買っても同じように使える点は安心材料といえる。すでに述べた通り、WindowsやmacOSを使っているユーザーにとっては、違和感なく乗り換えられることは大きなメリットの1つだし、何よりもAndroidプラットフォームとの親和性は文句なく高いし、Gemini Intelligenceをローカルで実行できることも有益だ。

 そのため、AndroidスマホとGeminiの組み合わせを多用しているようなユーザーであれば、Googlebookは新しいノートPCの選択肢になり得ると思う。Googlebookは米国で10月4日から販売開始予定だ。

 Google日本法人によれば、日本での販売時期は「未定」とのことだが、これまでの通例を考えればさほど遠くない時期に発売される可能性は高いだろう。日本での早期の登場に期待したいところだ。