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鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第106回:1月24日~1月28日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


1月25日

■■アライドテレシス、9,800円からのスイッチングHUB5機種
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000125/allied.htm

スイッチングHUB(switching hub)
スイッチングハブ

 スイッチング機能を持ったHUB。
 複数のデバイスを1カ所に集中的に接続する集線装置をHUBという。10Base-TなどのEthernetで使われているオーソドックスなHUBは、あるポートから受信した信号をそのまま全てのポートに出力する、リピータHUBと呼ばれるタイプである。このため、同時には1組のデバイス間でしか通信することができない。つまりHUBとデバイスは1対1で接続しているが、10Base-2などと同じように1本のケーブルに全てのデバイスを接続し、交代で使うバス型のネットワークなのである。

 スイッチングHUBは、各ポートにつながれた接続先のMAC(Media Access Control)アドレス(※1)を記憶しており、特定の宛先に向けたパケットを、そのデバイスが接続されている特定のポートにだけ出力する(※2)。その都度配線を切り替え、1対1で直結しているのと同じなので、通信相手さえ競合しなければ、同時に複数のノード間で、全体帯域をフルに使った通信が行なえる。また、Ethernet特有の信号の衝突(コリジョン)やロスが生じないので、リピータHUBの様なHUBの多段接続の制限(※3)も受けない。

(※1)物理アドレスとも呼ばれる、ネットワークカードなどが持つ6バイト(48bit)のアドレスで、Ethernetは最終的にこの物理アドレスを使って通信を行なっ ている。6バイトのアドレスは、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)が管理する3バイトのベンダーコードと、各ベンダが管理する3バイトのコードで構成されており、正しく運用されていれば、全てのデバイスに一意のアドレスが割り当てられることになる(一部には勝手に付けられているものや変更可能な製品もある)。

(※2)ブロードキャストと呼ばれる、全てのノードに向けたパケットは、全ポートに出力される。

(※3)Ethernetは、バスのアクセス制御にCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access/Collision Detection)という方式を用いている。これは、バスが空いていたら勝手に使って、送信が衝突したら少し待って仕切り直す──という仕様である。このため、しばしばコリジョンが発生しロスが生ずる。「バスが空いていたら」という様なタイミングに依存する判定を行なっている関係から、信号の遅延は重要な問題であり、経由するHUBの台数にも制限を課している。ちなみにリピータHUBを使った場合には、10Base-Tは最大100m間隔で4台まで、100Base-TXの場合には、5mのケーブルで2台のHUBを接続するだけとなっている。

【参考】
□100Base-TX
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980421/key27.htm#100base
□コリジョン
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980909/key45.htm#collision


Half Duplex/Full Duplex(半二重/全二重)
ハーフデュプレックス/フルデュプレックス

 データを伝送する際の通信方式。双方から同時に送信できる双方向タイプを全二重、同時には一方向しか送信できず、送受を切り替えて双方向化するタイプを半二重という。

 最もオーソドックスな全二重は、2対のケーブルを使い、一方の送信がもう一方の受信になるように接続する。例えばEthernetでは、10Base-Tや100Base-TXのUTP(Unshielded Twisted-Pair)ケーブル、10Base-5のAUI(Attachment Unit Interface[※1])ケーブルはこのように作られている。ほかにも、デバイス間を1対1で接続するインターフェイスの多くは、このスタイルを採っている。

 一方、10Base-2や10Base-5の同軸ケーブルのような物理的にケーブルが1対しかないインターフェイスも多い(※2)。この場合、帯域を分割して送受個別のチャンネルを確保する方法がある。送受を異なる搬送波で変調し、干渉しないようにすれば、ケーブルは1対でも全二重化できるわけだ。例えば、電話回線に接続するモデムなどがこのタイプである。が、Ethernetの場合には、この様な多重化は行なっておらず(※3)、同時には、1つのデバイスしか送信することができない半二重仕様となっている。

(※1)10Base-5は、直径1cmほどの太い同軸ケーブルを使って配線。同軸ケーブルにトランシーバー(MAU[Media Attachment Unit]とも)と呼ばれるアタッチメントを取り付けて、ネットワークカードを接続する。AUIは、このトランシーバとネットワークカード間のインターフェイス。

(※2)複数のデバイスを直接バスに接続するインターフェイスでは、2対×デバイス分の相互接続などほとんど不可能であるため、みなこのスタイルを採っており、特に多重化も行なっていない。

(※3)10Baseの「Base」は、信号をそのまま送るベースバンド方式から来ている。


1月26日

■■NEC、11月発売のVALUESTARの一部機種に不具合発生
  対象8万6千台。異臭および発煙のおそれも
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000126/nec.htm

バリスタ(varistor~variable resistor)(varistor~variable resistor)

 加える電圧によって、抵抗値(resistor)が変化(variable)する半導体(電圧─電流特性が直線的でない半導体)。

 通常は数MΩという大きな抵抗を持つが、両端に加える電圧が高くなると、急激に抵抗値が減少する性質を持っている。この性質を利用して、過電圧保護回路や接点保護回路などに用いられている。


1月27日

■■ジャストシステム、MP3を直接編集できるマルチトラックサウンド編集ソフト
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000127/just.htm

AU(AUdio)

 UNIX系のOSで標準的に用いられている、オーディオデータを記録するためのファイルフォーマット。

 サンプルデータの先頭に、標本化周波数や量子化ビット数などのパラメータが記録されたヘッダを付けただけの単純な構造で、8bitや16bitのリニアPCMとμ-Law(1)が用いられることが多い。ちなみにNeXT系では、同ファイルはSND(SouND)と呼ばれていた。

(※1)μ-Law(ミューロウ[ミュー法則])は、信号レベルに対して対数的に大きなステップサイズを割り当てていく非直線量子化で、国内の電話回線などでも用いられている。ノイズが耳に付きやすい小さな音は高い解像度で、耳に付きにくい大きな音は低い解像度で量子化することにより、直線量子化のリニアPCMよりも大きなダイナミックレンジを稼いでいる。

【参考】
□AIFF
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990318/key69.htm#AIFF
□WAVE
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990304/key67.htm#WAVE


ノイズリダクション(noise reduction [NR])

 ノイズを低減させるための装置や機構、ソフトウェア。
 アナログ信号を扱う場面では、例えば“サー”というテープのヒスノイズのように、メディア特有の潜在的なノイズが混入する(映像の場合も同様、テープやレコードだけでなく放送などの伝送系でも同じことがいえる)。そこで、S/N比が悪くなる部分(高域)のレベルを上げて記録あるいは送信し(プリエンファシス)、再生あるいは受信時に元に戻す(ディエンファシス)ことによって、潜在的なノイズを低減する手法がとられる。レコード(※1)や放送などは、規格そのものに含まれているため、特に意識することはないが、ON/OFFできるカセットテープ(※2)の場合には、間違った設定にすると高域特性が変ってしまうので、この様子が良くわかるだろう。

 オーディオファイルを扱うソフトウェアがサポートするノイズリダクション機能は、AV機器のそれとは異なり、記録された音に対し、できるだけ音質を損なわない範囲で、耳に付くノイズ成分を除去する機能を提供する。いわゆるノイズキャンセラーとか、ノイズリムーバと呼ばれるタイプである。

(※1)レコードには、RIAAが規定する録音再生特性が使われているが、このレコード時代の音源を使ったCDには、プリエンファシスのかかったものがある。プレーヤーで再生する限りは問題ないが、CDの音声トラックをそのままファイル化するリッパーソフトなどを使う場合は、たいていディエンファシスをかけないので、再生ソフト側にその機能がないと(ないことが多いのだが)、高域が強調されたままの音になってしまう。

(※2)カセットテープには、Dolby Digital(AC-3)でもお馴染みの、ドルビー社のノイズリダクションシステムが広く用いられており、やはり同様の高域を上げて記録する手法が用いられている(Typeによって処理は若干異なるが)。これに対し、dbxのノイズリダクションシステムでは、帯域全体のレベルを圧縮─伸長する手法が採られていた。

【参考】
□Dolby Digital
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980303/key20.htm#AC-3

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp