レビュー

GeChic、PCやスマホで使えるモバイルディスプレイ「On-Lap 1101H」

~11型フルHD対応で480gの超軽量モデル

GeChic「On-Lap 1101H」と付属品

 GeChicから、USB給電で駆動するモバイルディスプレイの新モデル「On-Lap 1101H」が登場した。11型のコンパクトなサイズと480gの軽さを活かした携帯性が特徴で、出張先でのセカンドディスプレイとしてはもちろんのこと、スマホなどに接続して簡易プレゼン用としても活用できる製品だ。

「数」こそ力

 自宅では24型を上下左右に複数台、職場ではノートPC+27型、などといったように最近では複数台のディスプレイを使うことも、もはや珍しいことではなくなってきた。

 中心となるディスプレイはメインの作業領域として確保したまま、別のディスプレイにブラウザやSNSなどのコミュニケーションツールを常に表示したり、WordやExcel、PDFなどいくつもの資料を各ディスプレイに配置しつつ作業をこなしたりと、そのスタイルはさまざまだが、表示領域の広さはそのまま作業効率に繋がるようになってきた。

 もちろん、4Kのようにディスプレイの高解像度化も進んではいるものの、実質的には文字やアイコンを拡大して利用することが多く、PCでの作業スペースの広さは、もっぱら「数」が物を言う時代と言える。

 そんな、数による作業効率の向上という発想をモバイルの世界に持ち込んだのが、台湾のGeChicだ。2011年に発売されたOn-Lapシリーズは、USB給電で動作する持ち運び可能なディスプレイとして登場したが、物珍しさによる一時的な注目に終わることなく、出張や外出に多くの時間を割くユーザー層から高い支持を受け、今や定番と言われるアイテムにまでに成長した。

 自宅や職場で、一旦、複数ディスプレイによる効率的な作業環境に慣れてしまうと、1画面しかない環境では、いつもの感覚で作業ができなくなる。今までガマンが強いられてきた出張先や外出先での作業環境が、On-Lapシリーズによって劇的に変化したわけだ。

 そんなOn-Lapシリーズに新たに追加されたのが、今回登場した「On-Lap 1101H」だ。同シリーズは、これまでにもタッチ対応や大画面化、接続インターフェイスの改善など、年々進化を遂げてきたが、今回のOn-Lap 1101Hは、さらなる携帯性が追求されたシリーズ随一の軽量モデルとなっている。

500mlペットボトルより軽量

 それでは、製品を見ていこう。手にとって最初に驚かされるのは、やはりその軽さだ。

 これまでのOn-Lapシリーズも13型の1303Hで599gと、ディスプレイとは思えない軽さを実現していたが、今回のOn-Lap 1101Hはシリーズ初の500g切りとなる480gを実現している。

On-Lap 1101HOn-Lap 1002On-Lap 1303H
パネル11.6型TFT IPS10.1型TFT IPS13.3型TFT IPS
表面処理ノングレアグレアノングレア
解像度/色数1,920×1,080/1,677万色1,280×800/26.2万色1,920×1,080/1,677万色
視野角(水平/垂直)178度/178度170度/170度178度/178度
輝度300cd/平方cm250cd/平方cm300cd/平方cm
コントラスト800:1800:1800:1
応答速度14ms25ms14ms
タッチ対応××
スピーカー0.75W×21.0W×11.0W×2
消費電力2.0A(5V)1.2A(5V)2.0A(5V)
サイズ(幅×奥行き×高さ)289×183×11mm277×195×10.2mm345×266×10.5mm
重量480g505g599g
映像入力Micro HDMI/ミニD-Sub15ピン/Mini DPMicro HDMI/ミニD-Sub15ピンMicro HDMI/ミニD-Sub15ピン/Mini DP
音声出力ヘッドフォン端子ヘッドフォン端子ヘッドフォン端子
同梱品HDMI/USB/電源ケーブル、カバースタンドHDMI/VGA/USB/電源ケーブル、スタンドHDMI/USB/電源ケーブル、カバースタンド
オプションTripodマウント、Mini HDMI/VGA/Mini DPケーブルStand4VESAマウント、Mini DP/VGAケーブル

 480gという重量は、数値的に言えば、ペットボトルのドリンクより軽いことになる。外出先で購入した500mlのペットボトルのドリンクを少し口に含んで、残りをカバンに入れて持ち運ぶなどということがよくあるが、480gという重量はまさにそんなところだ。

 ただ、カタマリ感があるペットボトルと違って、手に取ってみるとイメージより軽く、ひらひらとした感覚がある。

 筆者は、普段、10型のiPadを手にすることが多いが、iPadの重量は652gなので、それよりも一回りサイズは大きいのに、200g近くも軽いことになる。実際に持ち比べてみると、その軽さがより強調される感覚で、思わず、タブレットもこれくらい軽くなればいいのにと思ってしまった。

iPadより一回りサイズは大きいが、重量は200g近くも軽いため、想像以上に軽く感じられる

 デザインは、従来の1303Hに近いが、本体カラーはマットなブラックになっており、より落ち着いた印象になった。

 ボタンやコネクタ類の配置も変更されており、従来モデルは左側面にあったケーブ類のコネクタが右側面に移動。電源や明るさなどを調整するボタンが反対の左側面に移動した。

正面
背面
右側面
左側面
付属のカバースタンド。持ち運び時はカバーとして液晶面に被せ、使うときは背面に被せてスタンドとして活用できる

 ディスプレイを配置する場所は、好みや利用スタイルによって異なるが、個人的にはメインディスプレイの左側に配置した方がしっくりくる。そう考えると、右側面にコネクタ類が移動したことで、自然な位置に配置しながら、無理なく配線できるようになった印象だ。

 側面のコネクタは、上からVGA、Mini DisplayPort(Mini DP)、Micro HDMI、USB(給電)となっており、標準では同梱されるMicro-HDMI to HDMIのケーブルによってPCと接続する(VGAはオプションケーブル必須)。

 コネクタの位置も従来モデルに比べて、若干、下方に移動した。接続するケーブルは給電用のUSBと映像伝送用のHDMIの2本のみで、ケーブルそのものも軽量だが、接続位置が下方に移動したことで、本体の安定感が良くなった。地味だが、こういった改善は高く評価したいポイントだ。

ケーブルの接続位置が右側面の下方に移動。ディスプレイを左側に配置しやすく、本体を設置したときの安定感も良くなった

 パネルは、11.6型のIPSで、解像度は1,920×1,080のフルHD、表示色は1,677万色に対応。視野角も水平、垂直方向ともに178度と、十分な性能を誇っている。

 モバイルディスプレイというと、解像度や品質にある程度のガマンが必要になるのではないかというイメージを持っている人もいるかもしれないが、今やそんな心配をする必要はない。

 実際に使ってみても、バックライトにムラを感じるようなこともなく、PC用のディスプレイとして不満に感じるようなこともない。若干、暗めの印象はあるが、USB給電で動作させるために標準の輝度が30に設定されているためとなる。消費電力は増加するが、輝度を上げれば、より見やすくすることも可能だ。

 なお、同社では、オプションのTripodマウントキットを利用するほか、カメラ向けの24Hz/25Hz/30HzをサポートするOnLap-1101P(店頭想定価格39,800円)もラインナップすることで、一眼レフカメラやビデオカメラに直接繋いで利用する確認用ディスプレイとして使うことも想定している。色温度やカラーモードなども用途に併せて変更できるので、カメラ用という使い方も有効だ。

輝度は標準で30。消費電力が増えても構わなければ、より明るくできる
カラーモードなども好みや用途に併せて変更できる

ながら作業が快適に

 実際に使ってみると、やはりサブディスプレイのありがたさを実感する。試しに、オプションのDisplayPortケーブルを利用してMicrosoftのSurface 3に接続してみたが、Surface 3本体の液晶解像度(1,920×1,280)に近いこともあり、セカンドディスプレイとして違和感なく利用できた。

 USBからの給電も特に問題なく、Surface 3のUSBポートのみからの給電で動作させることができた。ただし、SurfaceシリーズのDisplayPortで接続するには、オプションのケーブルが必要になるので、あらかじめ用意しておこう。

Surface 3と接続。サブディスプレイとして活用できる
オプションのDPケーブル

 実用性も十分だ。確かに、13.3型のOn-Lap 1303Hなどと比べると、11.6型というサイズは、やはり少し物足りない印象があり、PDFの文書などを広げると、文字サイズなどによってはちょっと見にくいケースもある。

 しかしながら、効率の悪さからは完全に解放される。Surface 3ようなモバイル向けPCの場合、標準の小さく狭いディスプレイ1画面のみでは、同じPDF文書を拡大表示しながら、必要に応じて、別のアプリに何度も切り替えて文書を作るといった作業にストレスを感じるが、On-Lap 1101Hがあれば必要な資料を広げっぱなしで、別のアプリで作業ができる。

 TwitterやFacebookなどの更新情報を常に表示しておいたり、動画などを再生したりしながら、メインディスプレイで作業をする「ながら」にも最適で、自宅や会社と完全に同じとは言えないまでも、いつもと同じアプリ、同じスタイルで作業ができる。

 ちょっとした環境の変化で、やる気が削がれるような気がする筆者のような人間にとって、同じ感覚が維持できるのはとてもありがたい。

スマートフォンの簡易プレゼン用にも最適

 さて、超軽量でコンパクトなOn-Lap 1101Hの特徴を活かすのであれば、PCだけでなく、スマートフォンで活用するのも1つの選択肢だ。

 スマートフォンでも、最近はクラウド上のプレゼン用資料や計算資料を簡単に表示できるようになったが、自分で見る分には問題なくても、それを顧客や打ち合わせの相手に見せて話をするのは、まだ難しい。

 しかし、MHL変換アダプタなどを利用して、スマートフォンとOn-Lap 1101Hを接続すれば、スマートフォンの画面をHDMIなどで大きくOn-Lap 1101Hに表示することが可能だ。

 試しに、Galaxy S5にELECOMのMHL変換アダプタ(MPA-MHLAD04BK)を接続してみたところ、正常にスマートフォンの画面を表示することができた。スマートフォンが縦方向だと中央部にしか画面が表示されないため、横方向にするのがオススメだ。

MHL変換アダプタでスマートフォンの画面を表示

 モバイルバッテリなどで電源を確保すれば、外出先でのプレゼンも可能だ。On Lap 1101Hの画面を相手に見せながら、自分は手元のスマートフォンで操作をすることができるので、顧客先の打ち合わせスペースや喫茶店などでも、簡易的なプレゼンや資料説明が可能になる。

 仕事のスタイルによっては、極端な話、PCレスで、スマートフォンとOn-Lap 1101Hのみを持ち歩くというのも十分にアリだろう。携帯中は画面を保護しながら、使う時にスタンドとして活用できる専用カバーも標準で同梱されている。活用次第では、営業業務の強い味方になりそうだ。

 なお、今回はテストできなかったが、メーカーによると純正のApple Lightning - Digital AVアダプタ(MD826AM/A)を利用してiPhoneを接続することも可能となっているので、iPhone用のディスプレイとしても購入を検討するといいだろう。

外出のお伴に

 以上、GeChicから新たに登場したOn-Lap 1101Hを実際に使ってみたが、携帯性は文句ナシだ。長期の出張ともなれば、もう少しサイズの大きなモデルを狙いたいところだが、毎週、毎日、持ち運ぶような用途では、このサイズと軽さは大きな武器となる。

 フルHDの解像度、フルカラーの表現力をこのサイズで実現している点も大きな魅力で、PC用のサブディスプレイとしてはもちろんのこと、前述した通り、スマートフォンのプレゼン用、カメラの確認用など、さらに用途の幅が広がる製品となっている。

 実売価格も29,800円と、持ち運べるサブディスプレイとしてリーズナブルな設定になっている。外出先で作業をすることが多い場合は、購入を検討して損はないだろう。

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製作協力: GeChic

(清水 理史)