レビュー

「ALIENWARE Alpha」長期レビュー【3回目】

〜Core i3にGeForce GTX 860Mカスタム……そんな装備で大丈夫か?

 前回予告した通り、「ALIENWARE Alpha」長期レビューの第3回目は、ゲーム機としての要となる性能について見ていくことにしよう。

 本機はWindows PCがベースとなっているわけだが、既にこれまでお伝えしてきた通り、直接のライバルは「PlayStation 4」や「Xbox One」などの家庭用ゲーム機となる。そこで気になるのはやはりその性能だ。

 今回お借りした構成は最廉価の“スタンダード”であり、CPUはCore i3-4130T(2.9GHz)、メモリ4GB、500GB HDDという構成。GPUはどのグレードでもGeForce GTX 860Mをベースとしたカスタム品となっているため、最大の違いはCPU、メモリ、HDD容量ということになる。この内もっともゲーム性能に影響するのはCPUだと言えるだろう。

 発売当初、スタンダードの価格は64,584円とされていたが、1月27日より価格改定され、10,800円値上げされ75,384円となった。コンパクトなゲーミングPCとしてのお手頃感が薄れてしまったとは言え、そもそもPlayStation 4などと比較しても高い価格であり(PCとゲーム機では量産の数が違うので仕方ないのだが)、機能面はともかく、スタンダードモデルを持ってしても性能面のアドバンテージが欲しいところではある。

CPUもGPUもミドル以下。そんな装備で大丈夫か?

 まずはCPUである。スタンダードに搭載されるCore i3-4130Tは、最大2.9GHzで動作し、2コア/4スレッドとなっている。型番に「T」という文字が入っていることから分かる通り、TDPが35Wの低消費電力版となる。

 ちなみにプレミアムもCore i5-4590T(2GHz〜3GHz/4コア/4スレッド)、最上位のプラチナでもCore i7-4765T(2GHz〜3GHz/4コア/8スレッド)と、いずれもTDP 35W以下となっており、この小さな筐体に無理なく組み入れられ、130WのACアダプタが対応できる限界のTDPであると思われる。

 改めてCore i3-4130Tに話を戻すと、コア数こそ少ないが4スレッドを同時実行でき、なおかつCore i5-4590T/Core i7-4765Tに迫る2.9GHzという比較的高いクロックで動作することを考えれば、近年のゲームは概ね問題なくプレイできる。と言うのも近年のゲームはCPUよりもGPU性能重視になってきており、特にカジュアルな3Dゲームであればほぼ問題ないからだ。

Core i3-4130T
CPU-Zの実行結果

 と言うわけで、やはり注目したいのはGeForce GTX 860MをベースにカスタムしたGPUである。GPU-Zで確認してみると、コードネームはGM107となっており、コアクロックは最大1,020MHz(リファレンスのGTX 860Mは1,029MHz以上)となっていた。性能的にはデスクトップ向けのGeForce GTX 750 Tiに近い(Boostがなく、メモリクロックが低い分、やや性能は低いと思われる)。

GeForce GTX 860MをベースとしたカスタムGPU
GPU-Zの実行結果
EVGAのPrecision Xを実行したところ。Power Targetなどは設定できないが、クロックは変更できる

 そんなわけで、GeForce GTX 750 Tiをベースに、このGPUの位置付けについて考えていこう。まず、これまでNVIDIAがリリースしてきたユニファイドシェーダー採用のGPUの型番とコードネームの関係を図にまとめてみた。一部派生モデルは除いているが、主要モデルはほぼ掲載されているはずだ。

【図1】GeForceのコードネームと位置付けの遷移

 図を見て分かる通り、これまでG8x/G9x/GT2xx世代ではフルスペックをベースとした0系がハイエンドで、2系がスイートスポット、4系がミドルレンジ、6系がローエンドという位置付けだった。しかしDirectX 11のFermiアーキテクチャのGF世代より、スイートスポットは4系に置かれ、ミドルレンジは6系という従来のローエンドに相当する位置に格下げ、ローエンドは新たに8系/9系が担うこととなった。

 ところが、これがKeplerアーキテクチャのGK世代になると、ついにハイエンドは4系に置かれ、スイートスポットは6系にシフト。そしてミドルレンジとして新たに7系を用意したのである。さすがにこれ以上数字を増やせないので、最新MaxwellアーキテクチャのGM世代でも引き継がれている。つまりGeForce GTX 750 Tiはコードネームから見ると、Kepler世代で言う「中より下」、Fermi世代で言えば「限りなく下に近い中」、それ以前の世代で言えば「下の下」というわけである。

 これを、フルスペックと比較したシェーダー数の比で見ると、さらに顕著だ。Maxwellアーキテクチャはまだフルスペック(0系)のダイが登場していないので、正確な比較はできない。しかし、Kepler世代のGK104はGK110の約53%であったので、MaxwellのGM204ではキリがいい50%だと推測すると、スイートスポットのGM206(GeForce GTX 960)は25%の規模、そしてGeForce GTX 750 Tiは実に約15%にも満たない。つまり7年前で考えると、GeForce 8800 GTXとGeForce 8500 GTぐらいの関係なのである。

【図2】フルスペックモデルのシェーダー数を100%とした時の各モデルのシェーダー数の割合

しかし性能的に見ると……

 GeForce 8500 GT相当の位置付けと言われると「本当にそれでゲームができるのか?」と心配になるGPUの性能だが、逆に図にまとめてみるとそうでもない。下の図は、3DMark/3DMark 11のスコア関係をGPUごとに分け、大まかに表したものた。表はあくまでもGPU性能同士で比較した模式図であり、上下の位置がスコアの絶対値を表すものではない。

【図3】製品のおおよその性能比較

 製品ラインナップには世代ごとに数のバラつきがあるのだが、見て分かる通り、ウルトラハイエンドの性能は次の世代でハイエンドに食われ、それを次はスイートスポットが食い、さらにその次はミドルレンジが食っている。これがNVIDIA GPUの“世代交代”だ。

 こうしてみると、GeForce GTX 750 Tiは概ねGeForce GTX 480相当の性能を持っていることが分かる。もちろん実際はメモリのバンド幅がかなり異なるので解像度によっては異なる結果になるだろうし、アプリケーションによっても得意不得意があるのも事実だが、4年前のハイエンドGPUに近い性能を実現できているのは間違いない。

 以上を踏まえた上で、3DMark Professional Editionで性能を計測してみたが、ほぼGeForce GTX 750 Tiのスコアに準じる結果となった。一部のスコアはGeForce GTX 750 Tiテスト時より低いのだが、これはCPUの性能差だろう。

Ice Stormのテスト結果
Cloud Gateのテスト結果
Sky Diverのテスト結果
Fire Strikeのテスト結果
Fire Strike Extremeのテスト結果
Final Fantasy XIV新生エルオゼアベンチマーク キャラクター編のフルHD/最高品質
ノートPCの高品質プリセットでは非常に快適と出た

 これをライバルのAMDのビデオカードの性能に置き換えると、おおよそRadeon R7 265に相当する。R7という名前が付くことから分かる通り、今となってはミドルレンジ以下という位置付けなのだが、元はと言えばRadeon HD 7850のクロック強化版である。PlayStation 4に搭載されているGPUの性能は、Radeon HD 7870とRadeon HD 7850の間であるとされているので、概ね「ALIENWARE AlphaのGPU性能はPlayStation 4とほぼ同等」だと言える。

大丈夫だ、問題ない

 もちろんゲームタイトルによっては、PlayStation 4に最適化されていて、そちらの方が性能が出る可能性はあるのだが、最適化が進んでいればほぼ同等の性能が出せると言え、“ALIENWARE Alphaに搭載されるGPUがミドルレンジ以下のGPU”だからと言って性能は決して侮れないことがお分かりいただけるだろう。

 ゲーム開発者にとって、今のGPUの性能は十分である。というか、そもそもそのゲームタイトルをより多くの人に遊んでもらいたいのであれば、当然より多くのハードウェアで動作させるように設計/開発しなければならない。10万円のCPUやGPUがポンポン売れるような世の中であれば、CPUやGPU要求がやたらと高いゲームタイトルを開発しても問題ないと思うのだが、さすがにテクノロジーリーダーのデモを目指すようなゲーム(3DMarkのExtremeやUltraプリセットに相当する)でもなければ、ゲームビジネスとして現実的ではない。そういう意味でも、ALIENWARE Alphaは世の中にある大半のゲームをプレイするのに十分な性能を備えていると言えよう。

 もっとも、ベンチマークはあくまでも指標であり、ゲームの開発者のスキルやプラットフォームによっても、実際の性能は異なる。というわけで次回は、実際にゲームタイトルをいくつかプレイして、本当にゲームをプレイできるだけの性能を備えているのか、検証してみたい。

(劉 尭)