レビュー

「ALIENWARE Alpha」長期レビュー【2回目】

〜ゲーム機としてUIの使い勝手はどうなのか?

本機に独自搭載されているAlpha UI

 前回にお伝えした通り、現在「ALIENWARE Alpha」を長期お借りしている。

 ALIENWARE AlphaはWindows 8.1をベースとしたPCながら、デルが“家庭用ゲーム機”として位置付けている製品だ。もちろん、Windows 8.1を搭載しているだけならばゲーミングPCとなんら変わりがないのだが、家庭用ゲーム機として位置付けるには、れっきとした根拠がある。

 それは、独自の10フィートUI「Alpha UI」を搭載し、初回から電源を投入してからキーボードやマウスを一切利用せずに、付属のXbox 360コントローラだけで操作できるようになっている点だ。その使い勝手はどうなのか、実際に詳しく見ていこう。

Windows 8.1のUIを乗っ取るAlpha UI

 本機を最初に起動すると、まず利用する言語を聞いてくる。もちろん、この段階からコントローラで操作できる。その後エンドユーザー向け使用許諾が表示され、これも読んだ上で同意すると、ネットワークを有線にするか無線にするか、設定できる。これだけで設定が終わり、Alpha UIのロードされ起動する。

 一般的なWindows 8.1のPCでは、Microsoftアカウントの作成または紐付けや、テーマの選択などが事前にあるのだが、これらが一切なく起動する。つまり、本来の必要なWindows 8.1のセットアップは済んでおり、ユーザーはキーボードやマウスを一切使わずに設定できるわけだ。

初回起動時はまず言語を聞いてくる
エンドユーザー向け使用許諾
無線の場合、ネットワークを選択
セットアップが終了する
Alpha UIがロードする
Alpha UIが起動した

 Alpha UIと言うとたいそうに聞こえるのだが、その実態はWindowsのログオンとともに自動的に起動するプログラムだ(netplwizによって自動的にAlpha UIアカウントに移行し、そのプログラムがスタートアップに登録されている)。Alpha UIが起動すると、例えキーボードやマウスが接続されていても、単純なAlt+Tab動作でデスクトップを表示するといったことはできないので、そもそもexplorer.exeが起動しておらず、シェルとして動作している可能性はある。

 Alpha UIでは4つのアイコンが用意され、Steamの起動、各種設定、コントローラ操作のガイド、電源に関する操作がコントローラで行なえるようになっている。いずれも大きなボタンと大きな文字であり、40型を超えるTVの視聴距離でも容易に文字を認識できる。この辺りは一般的なPCとは根本的に異なるところだ。

 Steamの起動は言うまでもないので説明を省く。設定ではディスプレイ解像度やリフレッシュレート、画面の拡大縮小、オーディオ出力の選択(HDMIか光デジタルか)と音量、AlienFX(イルミネーション)の設定、ネットワークの設定、およびHDMI入力の有効/無効が行なえる。

 ヘルプは簡単なコントローラ操作のガイドが表示されるだけだ。ここで覚えるべきなのは「LT+LB+RT+RB+ガイドボタン」の同時押し。これはCtrl+Alt+Deleteに相当する重要なホットキーで、いかなる場合でもシステムメニューを表示できる。

 Windowsはゲーム専用機とは異なり、バックグラウンドでさまざまなサービスやプログラムが同時に動作しているため、予期しないウィンドウのポップアップだったり、システムが不安定になったり、またSteam対応プログラムであってもコントローラに非対応で、それを誤って起動してしまったりと、何かとコントローラ“だけ”では躓く場面が出てくるのだが、その場合LT+LB+RT+RB+ガイドボタンでシステムメニューを出して、Alpha UIやSteamを再起動すれば解決できるわけだ。

 なお、Alpha UIとWindows Updateについては随時最新版をチェックしているようで、これらはシャットダウン時に自動的にインストールされる仕組み。一方でSteamはAlpha UIから起動するタイミングで更新をチェックしており、こちらも最新版があれば自動的に適用され、更新するようになっている。

 製品到着時のAlpha UIのバージョンは3.0.5.8であったが、試用中に3.0.5.9にアップデートされた。アップデートは5分程度の終了する。また、標準ではWindows Updateは41個が自動的に適用される状態であった。

 コントローラしか使わない限り、Alpha UIしかアクセスできないのだが、本製品にキーボードとマウス(正確にはマウスのみでOK)を接続すると、Alpha UIの終了オプションの「デスクトップにアクセス」という項目が有効となり、Windows 8.1のデスクトップが起動できる。「Alienware1」というアカウントが予め用意されており、これを選択すると見慣れた画面で起動する。

 デスクトップ上にはAlpha UIに戻るためのアイコンと、Steamの起動アイコンが用意されているのみで、非常にシンプル。入っているソフトウェアもALIENWARE関連のみで、ウイルス対策ソフトすら入っていない状態だ。この辺りは玄人好みと言え、ユーザーが自ら好きなようにカスタマイズすれば良い。

 ちなみに起動時間だが、Alpha UIまで辿り着くのに1分、Steamが起動するまで30秒程度かかる。ゲーム機としては起動時間が長い方だが、これは自動サスペンド機能の運用でカバーしたいところだ。ちなみにサスペンド状態であれば、コントローラのボタンを押したりするだけですぐに起動可能だ。ただし、この設定ではアナログスティックの繊細な動き(例えば床の振動など)にも反応する時があり、「確実に勝手に起動しないようにしたい」場合は、電源を切るほかなさそうだ。

Alpha UIでは大きなボタンが4つ用意されている
ガイドではコントローラの基本操作の説明が表示される。LT+LB+RT+RB+ガイドボタンは必ず覚えておきたい
ディスプレイ解像度の設定もできる
画面サイズの調整も可能
音声の出力先もHDMIか光出力かで選択可能だ。なお、アナログ出力はないため、ヘッドフォンを付ける場合はTVなどから引く必要がある
AlienFXでは、電源ボタン周囲と、角のイルミネーションを設定できる
HDMI入力の有効化設定。この項目については後日レポートしたい
マウスを接続しないと、デスクトップにアクセスできない
マウスを接続するとすぐさまデスクトップへのアクセスが有効になる
デスクトップはシンプルだ
プリインストールのソフトも少ない
最新版を自動的に検出し、シャットダウン時に更新を行なう
更新はシャットダウン時にダウンロードする
更新のインストール中

SteamのBig Pictureモードも快適に操作

 Alpha UI上からSteamを起動すると、自動的にTVの視聴距離に最適化した「Big Picture」モードで起動する。Big Pictureモード自体は2012年12月から対応しているので、使い方の詳細は省くが、このモードはコントローラの操作に最適化されており、コントローラの左右でフリップボードをめくるようにアプリケーションの起動や購入が行なえるのが特徴だ。

 また、ゲームアプリケーション起動中でも、Xbox 360コントローラのガイドボタンを押せば、実績やフレンドプレイ状況確認、ゲームの終了などが行なえるメニューがオーバーレイ表示され、あたかもゲーム機のように扱える点もユニークだと言えるだろう。

 ただ、ゲームによってはキーボードが必要になるものがあり、その場合は「キーボードが必要」などと警告メッセージが出る。ただ初回が必要でも、2回目以降は不要となる場合も多い(アサシン クリード 3などではUbisoftのソフトランチャーが起動し、初回起動時のみアカウント情報の入力が必要)。Windowsのゲームタイトルをプレイしていることを念頭に置いて、キーボードは接続しておいた方が、何かと無難だろう。

 SteamのBig Pictureで面白いのは内蔵Webブラウザ。コントローラに最適化されており、画面の中心にポインタを据え置いたままのUIで、スティックを倒すとページ全体がスクロールする仕組みだ。テキストボックスへの入力も、この画面中央のポインタにテキストボックスを持ってくるようなイメージで操作する。まるでFPSゲームをプレイしているかのような、ゲーム機ならではのUIだ。

 ただしSteam内蔵Webブラウザでは、各種プラグインが動作しないため、残念ながらFlashのコンテンツなどを楽しむことはできない。「Windowsベースのゲーム機だから、艦これぐらいは動作するだろう」と期待していると裏切られることになる。ただし当然のことながら、Windows 8のデスクトップに降りて、普通にInternet ExplorerやFirefoxを使用すればFlashが利用できる。

 ところでこのBig Pictureでユニークなのは文字の入力だろう。左のスティックで倒して4文字を選びながら、右のA/B/X/Yボタンで4文字のうちのどれかを選ぶ方式で、「Daisywheel」と呼ばれている。スマートフォンのフリック入力を置き換えたものだと考えれば取っ付きやすいかもしれない。ただ残念ながら、今のところ日本語入力ができないのがネックだ。よって現時点での使い道はURLの入力や、英文の短文入力に限られる。この辺りはアップデートに期待したいところだ。

Big Pictureモードで起動する
フリップでペラペラめくるUIとなっている
GRID 2など、Alphaを購入すると5つのゲームがプレゼントされる
すべてのゲームを並べたところ
当然、ストアからゲームを購入することも可能
ゲームの項目並べ替えもフリップだ
Steamの設定画面
ゲーム中にホームボタン(ガイドボタン)を押すとSteamがオーバーレイ表示する
Steam上でもディスプレイ解像度を選択できる
Steamのオーディオ設定
ボイス設定もあるのだが、一般的なTVにはマイクがないため利用できないだろう
ミュージックの設定
ホームストリーミングの設定。これも後日詳しく紹介したい
一通りシステムの情報が見られる
スクリーンショットの管理
内蔵のWebブラウザ
Daisywheelによる文字入力
左アナログスティックで文字組を選択し、ボタンで文字を選ぶ
当然、デスクトップでは普通のSteamを利用可能

Xbox 360コントローラの使用が前提の洗練されたUI

次回はゲーム機としての性能を評価する

 以上、UI周りについて見てきたが、よく使うSteamに関しては、コントローラでの操作に適し、洗練されたBig Picutreモードが利用できるため、全く問題ないものだと言える。一方Alpha UIはそれを補佐する形で、Windowsマシンとして利用する上で欠かせない最低限の機能を備わっている。約1週間の試用中、レビューのために何回かデスクトップモードを利用したが、それ以外の場面でデスクトップにお世話になることは全くなかった。

 また、掲載するスクリーンショットから分かるの通り、搭載するソフトウェアは全てXbox 360のコントローラそのものに特化/最適化しており、基本的にそのほかのゲームコントローラの利用は考慮されていない。つまり、デルとしては開発当初からXbox 360のコントローラの付属を予定していたわけだ。

 デルによると、コントローラの開発には想像以上に多くの時間とコストを要し、Alphaの投入にあたって、独自開発やOEMは得策ではないという判断だった。独自開発するよりも、既に多くのユーザーから高い評価を得ているXbox 360コントローラの採用が妥当だったという。

 そんなわけで、ハードウェアの見た目としては「えっ?」という印象を持たれる採用だが、その経緯や実際の使い勝手、そしてソフトウェアまでを含めて判断すると、Xbox 360コントローラは理に適っていると言えるだろう。そしてそのコントローラを起点とするUIの完成度は高く、OSは純粋なWindowsだと言えども、ゲーム専用機として位置付けるに相応しい使い勝手を実現していると評価したい。

 さて次回は、気になる性能について見ていくことにしよう。

(劉 尭)