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東芝、カメラ1台で人や車の数を高精度計測する技術を開発

~ベクトルで人と物の位置を推定する新方式

現画像からの人数の推定

 株式会社東芝は、カメラ1台による広範囲撮影において、画像に写っている人や車の数を従来方式よりも高い精度で計測可能な技術を開発したと発表した。

 従来、画像に写っている集団を計測するには、人や物の存在確率を輝度値に対応させた「密度マップ」を元に数を推定していた。しかし、この方式は画像の全画素の輝度値を元に数を推定するため、膨大な計算が必要になり、大量のメモリを用意しなければならないという問題を抱えている。

 東芝はこれとは異なる「COUNT(CO-voting Uncertain Number of Targets)フォレスト方式」を独自に開発。この方式では各画素の分解が不要になり、画像における人数と位置のみを統計学習し、ベクトルで人や物の位置を推定できる。推定後はその位置を中心に正規分布で作成した1人の密度マップを重ね合わせて集団の密度マップを算出し、人数を計測する。従来方式よりも人数と位置に特化した学習を行なうことから、小容量のメモリで高精度に人や物の数を推定できるとしている。

従来方式とCOUNTフォレスト方式の比較

 実際に、計測のサンプルとなる合計2,000フレームの動画像(1フレームあたり平均31人)が記録された公開データを用いて従来方式と比較したところ、従来方式の平均絶対誤差が3.43人だったのに対し、東芝の新方式では2.5人の世界最高値を記録したという。さらに、平均絶対誤差が2.1人だった別の公開データについても、東芝の方式では平均絶対誤差が1.59人になり、なおかつ約30分の1のメモリ使用量で計測できたとする。

 東芝はこの技術について、世界で約2,800万台設置されているという防犯カメラによる分析や、人の密集地帯や車の交通渋滞など、混雑状況の高精度計測による混雑緩和対策に有用と述べている。近々では同社が今年(2015年)の7月に発表した音声と映像を利用したコミュニケーション系クラウドサービス「RECAIUS」への導入を進めていく。

(中村 真司)