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美しすぎるハーフ顔の自律対話型アンドロイド「エリカ」

~振る舞いも含めた自然な対話を可能に

開発中の自律対話型アンドロイド「ERICA」

 JST戦略的創造研究推進事業の一環で、ERATO石黒共生ヒューマンロボットインタラクションプロジェクト 研究総括の石黒浩氏と、京都大学 大学院情報学研究科の河原達也氏らは3日、人間との自然な対話を実現する女性型アンドロイド「ERICA」(エリカ)の開発を発表した。

 研究の目的は、主に自律対話型アンドロイドの実現に向けた技術開発のための研究プラットフォーム(研究基盤)の確立で、発声だけでなく動作を含めた人間的な振る舞いを行なえるアンドロイドの開発を目指している。

 今回開発したERICAの姿形はCGを駆使して作られており、実際の人間をモデルとして作られがちなアンドロイドにおいて、鼻と口とあごが一直線上に並ぶ“ビーナスラインの法則”などを導入、日本人とヨーロッパ人のハーフ顔に近付けるなど、美しくより親しみを持てるような工夫が取り入れられている。

 機能面としてさまざまな技術が組み込まれており、大阪大学とATRで開発したアンドロイド制御システム、音声に基づく動作生成システム、音声分離や雑音除去を行なうマイクロフォンアレイ技術、ディープラーニングを用いた京都大学の音声認識システム、対話生成システムなどを備える。

 特にアンドロイド制御システムは、発声から唇の動きや頭部の動きを自動的に再現するとし、発話と一致した自然な仕草を生み出すと言う。また、音声には合成音声が用いられているが、人間の肉声とほぼ区別が付かないレベルに達する。

 身体の動作には空気圧アクチュエータが使われており、頭部を中心に19本埋め込まれ、頭部の滑らかな動きを実現。2年後には30本に増量させ、腕も含めた上半身の動作を改良していく予定。

 なお、研究室の来客と対話し、自己紹介を行なうというシチュエーションでは、相手の動作や音声を認識して、人間らしい振る舞いを伴った対話ができたと言う。

 今後はアンドロイドが視線や仕草で対話の意図を示せるような、音声認識による言語コミュニケーション技術と振る舞いによる非言語コミュニケーション技術を同時に進化させることで、より自然な対話ができる自律的対話能力を備えたアンドロイドの実現を目指すとしている。

 ERICAの仕様は、身長が立位時166cmで、能動関節19カ所、受動関節30カ所。左右の眼球にCMOSカメラがそれぞれ搭載されており、左右の耳にもマイクをそれぞれ備える。皮膚素材はシリコン樹脂。制御は外部のWindows/Linux搭載PCなどから行なわれる。

(中村 真司)