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理研、分子動力学シミュレーションソフト「GENESIS」を無償公開

~分子集団系の高速計算が可能に

「京」を用いたGENESISのベンチマーク

 理化学研究所(理研)は8日、生体分子の運動を1分子レベルから細胞レベルまでの幅広い空間スケールで解析するシミュレーションソフト「GENESIS」を開発するとともに、オープンソースでの無償配布を開始した。

 従来の分子動力学シミュレーションソフトでは、多数のCPUを用いてタンパク質1分子の計算を行なうことは可能だったものの、多数のタンパク質や核酸などが混在する系において溶媒も含めて計算した場合、CPU間の通信時間が増大してしまうため限界があった。

 なお、分子動力学法は、分子集団系のピコ秒~マイクロ秒の時間変化を、原子レベルの解像度で観察できるというコンピュータによる解析手法。

 今回、CPU数の多いスーパーコンピュータ「京」のアーキテクチャを考慮し開発したGENESISを用いることで、細胞環境を想定した1億個の原子で構成される系に対し、高速な分子動力学シミュレーションを実現できたと言う。今後は、創薬研究などでの活用が期待される。

 GENESISの開発は、理研計算科学研究機構粒子系生物物理研究チームの杉田有治チームリーダー、ジェウン・ジョン研究員、杉田理論分子科学研究室の森貴治研究員らの共同研究チームによって行なわれた。

 同ソフトは、粒子系生物物理研究チームのホームページから無償でダウンロードできる。

(中村 真司)