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京を使い2週間前に台風発生を予測。東大などが世界に先駆けて実証
(2015/1/21 16:23)
独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)と東京大学大気海洋研究所の共同研究チームは20日、地球全体の雲の生成・消滅を詳細に計算できる全球雲システム解像モデル「NICAM」をスーパーコンピュータ「京」で実行、シミュレーションし、約2週間先の台風発生予測が可能であることを実証したと発表した。
台風の発生は、熱帯域で北半球冬季(12月~4月)に起こるマッデン・ジュリアン振動(MJO)や、北半球夏季(5月~11月)に起こる北半球夏季季節内振動(BSISO)といった積乱雲群の活動と関連があることが指摘されている。
しかし、日本の気象庁を始め、現行の台風予報センターで利用している気象シミュレーションプログラムでは、雲の効果はある仮定の下経験的に取り入れられているだけで、物理法則に従った厳密なものではない。結果として、現在は1~5日後の台風発生を予測しているが、この予測期間は短いもので、精度も不十分である。
研究チームはこれまで、雲の生成・消滅や、雲の中での雨や雪の生成・落下を物理法則に従って直接計算できる気象シミュレーションプログラムNICAMを開発。それをスーパーコンピュータ「京」で動かすことで、MJOをきわめて高い精度で予測できることを示していた。
今回同チームは、京を使って2004年8月1日から31日までシミュレーション開始日を1日ずつずらしながら、31本の30日予測を行い、BSISOと台風発生がどの程度精度よく予測できるのかを検証。これによって、雲の効果を直接計算するNICAMを用いてBSISOを精度よく再現することで、台風発生を2週間前から予測できることを世界に先駆けて実証できた。
今回の研究成果は、2004年というBSISOが顕著に見られた年について、台風発生予測が2週間前から可能であることを示したもので、BSISOが顕著ではない年でも同様に2週間前から予測が可能であるのなどについて、また、発生後の進路や強度の予測も今後検証していく。