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横移動も可能なエレベーターが2016年登場

 エレベーター製造などを手がける独ThyssenKruppは11月27日(現地時間)、縦方向だけでなく横方向にも移動可能な新機軸のエレベーター「MULTI」を2016年までに開発、テストを行なうと発表した。

 現在のエレベーターは、その誕生から約160年間、基本的な仕組みは変わっておらず、エレベーター昇降路の中にカゴをロープで吊るして、上下に昇降させる。それに対し、MULTIはロープが不要で、カゴの駆動にリニアモーターカーと同じ技術を用い、磁力で移動させる。

 これにより、1つのモーターでカゴを上下だけでなく左右にも移動させられるようになり、1つの昇降路の多数のカゴを導入できるようになる。エレベーターの経路を四角いループ状にすると、環状線を巡る電車に乗降するような感覚でエレベータに乗れるようになる。MULTIの目標移動速度は秒速5mで、昇降路は約50mごとのドア間を15〜30秒間隔で発着する。

 同社によると、ニューヨークのオフィスで働く全ての人が1年間にエレベーターを待つのに費やす累計時間は16.6年になり、5.9年間分乗る計算になるが、MULTIを用いることで、これを劇的に減らせるとしている。

【お詫びと訂正】初出時にエレベーターの待ち時間、乗る時間の表現が誤っておりました。お詫びして訂正させていただきます。

 改善されるのは輸送効率だけではなく、昇降路やカゴをコンパクトにできるため、高層ビルで最大4割の床面積を占めるというエレベーター・エスカレーターをMULTIに集約することで、ビルの利用可能な床面積を最大25%向上させ、将来の都市の人口増にも対応できるとしている。また、現行のエレベーターより電力の最大負荷を抑えられる効果もあるという。

 同社は2016年末までにドイツ・ロットヴァイルに検証塔を建設し、MULTIの実証実験を行なう。

(若杉 紀彦)