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東大、無線で電力とデータを伝送できる世界初の有機センサーシステム

〜電池要らずで水分を検出できる紙おむつの製品化に弾み

フレキシブル水分検出センサーシー
2月10日 発表

 東京大学の桜井貴康教授、染谷隆夫教授らは10日、JST(科学技術振興機構)課題達成型基礎研究の一環として、世界で初めて有機デバイスだけで構成されるワイヤレスセンサーシステムの開発に成功し、その有用性をやわらかい水分検出センサーシートで実証したと発表した。

 無線センサーの発展により、最近は計測対象がものから人へと急速に拡大しているが、人体に接触しながら生体に関する情報を計測するには、装着感のない柔らかさや、衛生面から使い捨てにできることなどの課題がある。

 今回、研究グループは、厚さ12.5μmの高分子フィルム上に有機集積回路を形成。回路は、ぐにゃぐにゃと曲げることが可能。大まかな構造としては、有機ダイオードによる整流回路と静電気保護回路、抵抗変化で発振周波数が変化する有機リング発振回路の3つのブロックで形成。世界で初めて、有機集積回路の駆動に、電磁界共鳴法を採用し、無線タグで広く使われる13.56MHz帯で、10V以下の低駆動電圧で、20mAの大電流を流せるほか、水分による抵抗の変化を無線で転送でき、生体との接触による静電気からの耐性を備えた。

 この技術により、電池を必要とせず、濡れたことを検知するとともに、無線で通知でき、装着感の少ないおむつが実用化できる。周波数3Hzの時、センサーの消費電力は1.4μW。有機回路は高速処理で環境負荷の少ないインクジェット印刷などのプロセスで製造できるため、低コスト化でき、使い捨てが可能となる。

 この原理は、水分以外にも温度や圧力などさまざまなセンサーに応用可能という。

おむつに実装した例

(若杉 紀彦)