イベントレポート
Sonyブースに展示されたXperia関連製品を紹介
~レンズ交換可能なレンズスタイルカメラ、ライフログデバイスのコンセプト展示
(2014/9/10 01:00)
IFAレポートの冒頭でも紹介した通り、Sonyは世界最薄/最軽量の8型タブレット「Xperia Z3 Tablet Compact」や、次期フラッグシップスマートフォン「Xperia Z3」、「Xperia Z3 Compact」などを発表した。同時にXperiaシリーズと連携する各種アクセサリや、レンズスタイルカメラ「QX」シリーズの新モデル2機種、PlayStation 4のリモートプレイ用アタッチメントなどを発表、展示している。
Xperiaシリーズの詳細なスペック等は上記の記事を参照していただき、本稿ではSonyブースの様子と関連アクセサリを中心に紹介する。
2013年のIFAでデビューを飾ったのが、プレビューパネル部分を持たない「レンズスタイルカメラ」のQXシリーズだ。1年を経て、新モデル2機種がIFAに合わせて発表されている。1つは「DSC-QX30」で光学30倍ズームを搭載する。有効画素数は、2,040万画素、撮像素子は1/2.3型Exmor R CMOSセンサー。DSC-QX10の光学10倍ズームに対し、光学ズームを30倍まで伸ばした。超解像ズームと呼ぶデジタルズームを併用すれば60倍まで利用できる。
既存のレンズスタイルカメラには、10倍ズームのスタンダードモデルに当たる「DSC-QX10」と、28~100mm相当の光学3.6倍ズームながらF1.8からの明るいレンズを搭載し、1型の大型センサーを搭載した「DCS-QX100」があるが、「DSC-QX30」は、その中間に位置するモデルとなる。価格や発売日は現時点では未定。なおブースには、DSC-QX10のカラーバリエーション2モデルも併せて展示された。
もう1つのレンズスタイルカメラは、レンズ交換式を採用した「ILCE-QX1」だ。こちらは型番の先頭にILCEが付いていることから、DSCのCybershotではなく、αシリーズのQXと位置付けられていることが分かる。マウント方式はEマウント。Eマウント-Aマウントのコンバータを利用することでαシリーズに対応する多くのレンズを利用することができる。
撮像素子にはAPS-Cサイズ(23.2×15.4mm)のExmor R COMSセンサーを採用。有効画素数は2,010万画素、画像エンジンはBIONZ Xを搭載する。QX100の中身がざっとRX100相当であったのに対し、ILCE-QX1の中身はざっとミラーレス一眼の「α5000」であると考えるとわかりやすい。こちらも価格、発表日は未定としている。ILCE-QX1は、いわゆるボディだけのモデルなので、発売時には本体のみのほか、キットレンズが付属したラインナップも用意されることが推測される。
いずれのモデルも共通点はXperiaをはじめとするスマートフォンと接続して利用することだ。撮影時のプレビューのほか、撮影した画像をカメラ側メモリに記録するほか、スマートフォンに転送して、SNSなどのシェアを容易に行なえる。アプリケーションは「PlayMemories Mobile」を利用。Xperia以外のスマートフォンやiPhoneなどのiOSデバイスでも利用可能だ。
NFC対応端末であれば、NFC部分に端末をタッチすることで、容易にペアリングが行なえる。Xperia向けには、カメラ対応アプリケーション「+アプリ」がいくつか紹介されており、これらのアプリを入手することで、Xperiaの本体カメラだけでなく、QXシリーズでも一部機能が利用できるようになるという。
また、アクセサリとして「Free Angle Shooting Kit ADP-FSK1」も展示された。従来は本体付属品としてXperiaをはじめとするスマートフォンのリア側に固定するアタッチメントのみが用意されていたが、Free Angle Shooting Kitは、180度展開して、セルフィー(自撮り)などを容易にするもの。マウント部分は共通のため、従来のQXでも発表された新モデルと同様に利用できるようだ。
PS4のリモートプレイで、外出先からのPS4ゲームプレイやTV録画視聴
Sonyブースでは、PlayStation 4(PS4)を中心としたPlayStationシリーズも広いスペースを使って体験型の展示を行なっている。特にPS4をコアにしたリモートプレイに注力している。リモートプレイはPS4のゲームをストリーミングを使って「PS Vita」や「PlayStation TV」(※国内のPS Vita TVの欧米向け仕様)でプレイできる仕組み。このリモートプレイ機能が、Xperia Z3の全モデルでサポートされる。PS4とリモートプレイの連携設定を行なえば、家庭内LANの中はもちろんのこと、ある程度の低レイテンシと広帯域さえ確保できれば、外出先でも自宅のPS4を使ってゲームなどをプレイすることが可能だ。PS4をスタンバイ状態で待機させておけば、リモートでの起動も行なえる。
ソニー・コンピュータエンタテインメントは、9月1日に開催したカンファレンスで、PS4本体のシステムアップデートと、メディアサーバーのnasne、管理・視聴ソフトのtorneのアップデートを発表した。9月25日に実施が予定されているこのアップデートにより、外出先からnasneに録画されたTV番組の視聴が可能になる。そのクライアントとして、Xperia Z3、Z3 Compact、Z3 Tablet Compactが利用できる。
ゲームプレイやPS4の操作にはPS4向けのコントローラ「DualShock 4」を利用する。Xperia向けのアクセサリとして専用のアタッチメントが用意された。Xperiaを吸盤で吸着し、コントローラでグリップする。さすがにZ3 Tablet Compactでは重く感じるものの、Z3ならばさほど違和感なく利用できる。PS Vitaのリモートプレイよりも優れているところは、何よりDualshockのグリップ感とすべてのボタンが物理的に揃っている点だ。
家庭内LANでの利用はともかく、外出先でのゲームプレイはレイテンシと通信速度の課題があるので必ずしも快適とは限らない。十分に状態が良ければ4フレーム程度の遅れに留まると言われているが、格闘ゲームなどでは致命的だ(笑)。リモートプレイで遊ぶゲームは、ジャンルやゲームの性質を良く考えてということになる。
そして、IFA取材に来ている一連の取材陣を歓喜させたたのが、前述のnasne対応である。海外出張中でもインターネットを使って日本のニュースなどには接することができるが、TVという放送波をそのままというのはなかなか難しい。古くはソニーの「ロケーションフリー」、最近では「Slingbox」などを使って試聴環境を維持しようと試みが続いていた。そこにXperia Z3シリーズとnasneの組み合わせが登場したことで「これが鉄板ではないか?」という声が多く挙がっている。中には、もう1カ月早ければ「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q TV版」の視聴に間に合った、という嘆き節も出るほどだ。
nasneのアップデートによる外出先のリモート視聴はPS Vitaでも利用ができるようになる。しかしXperia Z3+Dualshock4の組み合わせに期待ができるのは、(ゲーム端末の)PS Vitaではなく、(仕事の道具としての)Xperia Z3が流用できる点と、Dualshock4によるnasneの操作性の良さが評価されての見方となる。筆者を含む何人かは「出張用カバンにはDualshock4を常備だ」などとすでに次の出張に向けていろいろと高まっている状態だ。
Sony Mobileによれば、発表時点でPS4のリモートプレイに対応するXperiaは、Z3シリーズの3製品のみ。ソフトウェアのアップデートなどで従来のZ2、Z1などで利用できるようになるかどうかは現時点で未定としている。
Xperia Z3からは、ハイレゾ音源の音楽再生にも対応したことで、オーディオコーナーの一部でも、ハイレゾ対応のWalkmanではなく、Xperia Z3を使った試聴コーナーが設けられている。
Lifelogデバイスは、Smartband TalkとSmartWatch3がそれぞれ発表された。こちらも製品の詳細は既報のレポートを参照して欲しい。ブースでの展示は、ディスプレイ用途を除いて、Xperiaシリーズとセットで行なわれている。製品のグレードとも一致させているようで、Xperia Z3とペアになっているのがSmartWatch3、Xpera Z3 CompactとペアになっているのがSmartband Talk、そして廉価モデルのXperia E3と既存のSmartband10がペアになってそれぞれデモンストレーションが行なわれている。
Smartband10のアクセサリとしては、既存のシリコンバンドに加えて、ホールド部分にメタル、ベルト部分にレザーを使用したバンドも紹介されていた。
そのほかLifelogデバイスでは、いくつかのコンセプト展示も行なわれている。Xperia Bikeは、Xperiaの機能を自転車に組み込んだというコンセプト。コアとなるXperia本体はハンドル部分にマウントされるが、加えてハンドルにはスピーカーユニットを内蔵。正面とサドル下にはそれぞれ前面、後面をカバーする広角のアクションカムを搭載して、360度の撮影が可能としている。
実際に体験できるものとしては、SmartEyeGlassがある。かけてみると、視覚的には数メートル先にグリーンディスプレイで様々な通知が浮かぶ特定のハッシュタグの付いたツイートや、顔認識機能で説明員の顔をみつめると、該当するFacebookページのプロフィールを表示するなどのデモンストレーションが行なわれた。