イベントレポート

iZoneにMac、iPhone向けの新アクセサリーが続々登場

~iOS 8のHomeKit対応製品や、まだ見ぬ次期iPhone向けケースも

まだ世界には存在しない製品「iPhone 6」とされるモックアップ。とあるブースに画面サイズ4.7型と5.5型のものが置かれていた。このメーカーが展示するケースと大きさが一致する。画面は印字品質も低く、搭載が確実視されるiOS 8ではなく、iOS 7のものが貼り付けてある。ロゴなどのシルクスクリーン印刷も雑だ。本来は樹脂製と思われる部分も、塗装でごまかしている。同等のモックアップを持っている出展者はほかにもいくつか存在する

 IFA恒例の「iZone」が2014年も展開されている。主にiOSデバイスやMac向け周辺機器、さらにスマートフォンなどのアクセサリーを展示するエリアだ。2013年に比べると電子書籍のエリアを吸収するなどして、使用するホール数が拡張されている。

 さて、例年この時期の話題と言えば、Appleが発表を予定している次期iPhoneに関するものだ。2014年は9月9日午前10時(太平洋標準時)から同社の製品発表会が行なわれることが明らかになっており、Appleの公式サイトではストリーミング中継に向けたカウントダウンも始まっている。発表される製品が何であれ、本格化する年末商戦に向けた大型商品であることは間違いない。各種アクセサリーを販売する企業にとっても、まさに商機である。

 現在、iPhoneは年に1度の製品リニューアルを行なっているが、次期製品に関する情報は、虚々実々に新製品発表直後から1年に渡って散乱する。ピンぼけ写真をネットから拾ってきて、「次期iPhone!」として掲載するブログメディアやリークサイトが後を絶たない。もちろん、iPhoneなどのIT機器に限らず、自動車などほかの製品ジャンルでもこうした未知の製品に関するリークや噂話などは存在するが、ことiPhoneを含むApple製品に関しては、すでに食傷を通り越したレベルにまで肥大している。もちろん、こうした未知の製品に対する情報や期待の一切を否定するほどに野暮ではないが、少なくとも現状は、ほほえましく見ていられるという状況を大きく逸脱していると筆者は考えている。

 踊らされるのは消費者だけでなく、アクセサリーメーカーも同様だ。商機に合わせていち早く製品を展開しなければいけないが、iPhoneの情報は厳しく管理されている。結果として、製造工場の工員に謝礼を渡してパーツを横流しさせたり、CADデータなどを入手したりする。渡す側もそれが売れることが分かっているので、本物と称する偽のパーツやCADデータが跋扈するわけだ。そうした偽データをつかまされたメーカーが生産していた「どのスマートフォンの形とも一致しないケース」をかつて大量廃棄したという話も、1件2件の話ではない。

 IFAには一般来場者や我々メディア以上に、世界中からバイヤーやリセラーが訪れる。商談の場に次期iPhone向けの商材は絶対に必要だが、現時点で「iPhone 6(仮)」と呼ばれているものは、それが真実かどうかは9月9日になってみないと分からない。米国での発表会開始は、ここドイツ時間では9月9日19時からに当たるため、晴れて「公開」となった公正な次期iPhoneアクセサリーをIFA会場に展示できるのは、会期最終日の10日のみということになる。偽物は撤収され、本物が残るか、新たに展示を開始するだろう。

 上記のような状態なので、どの出展者も周囲の状況を見ながらという形だが2014年は例年よりも大胆と言うか、それなりの規模のメーカーでも露出が多い。発表前のiPhoneアクセサリーと言えば、昨年(2013年)まではInternationalホールにある中国系企業ブースが主戦場だったが、今年はiZoneでも例年以上の数を見かける。規準は大きく3つあって、1つは、大胆にパッケージを含めて展示しているもの。続いてカタログには載せたり、話をすると見せてくれるが、写真撮影は10日以降と言われるもの。そして10日までは、見せざる言わざるを貫くものだ。

手帳型のフリップカバーケース。既存の製品の中に、iPhone 6(4.7)、(5.5)というパッケージが展示されている
樹脂製のケース。こちらにも4.7型とされるモックアップが用意されている
カタログ、ポップに製品を掲載している。このブースにおけるケースの特徴は、短尺のLightningケーブルを一体化している点。既存モデル向けは発売されている
スワロフスキーエレメンツを用いたポリカーボネート製ケース
サンプルパッケージの型番にも、iPhone 6(4.7)の文字が入っている
こちらは壁一面がiPhone 6対応とされるケース。既存製品のパッケージは左下方に展示されている

 これらのケースが、果たしてAppleが9月9日に発表するとされる次期iPhoneに一致するかどうか真贋は不明だ。答え合わせを兼ねたレポートは10日から展示を開始すると言っているメーカーも含め、追って紹介する。

iZoneに出展されているiOS、Mac向けの周辺機器

 ElgatoはiOSデバイス、Mac/PCで利用できる環境センサー「eve」シリーズを出展した。センサー内蔵のユニットで気温や湿度、二酸化炭素濃度などを測定する。以前の海外イベントレポートなどで紹介し、筆者も設置・運用している仏Netatmoの「Personal Weather Station」とよく似たコンセプトの製品だ。

Elgatoの「eve」シリーズ。当初は、屋外設置の「eve weater」、屋内向けの「eve room」、そして電力使用量を計測する「eve energy」から展開する予定

 基本のユニットは屋内用と屋外用。それぞれ気温、湿度、気圧、そして屋内用ユニットは二酸化炭素濃度などの空気の品質(Air Quality)を測定する。Netatmoは、メインとなる室内ユニットをWi-Fiで接続して、屋外ユニットや追加オプションはRFによりメインユニットを接続を行なうが、ElgatoのeveシリーズはBliutooth 4.0 LEでの接続になる模様。それぞれのユニットは単3形電池3本で動作する。

 最初は、これらの屋内外ユニットに加えて、コンセントに差し込んで電力消費量を計測する「eve energy」を販売する予定。その後、シャワー水栓に取り付ける水量計測器や、煙、火災センサー、窓開閉などのホームセキュリティなどを、同一プラットホームで商品展開していくとしている。発売時期や、個々の価格などは未定。

 なお、同社の展示には意図的と思われる一部隠された部分がある。説明によると一部機能はiOS 8へのアップデートでHomeKitに対応するとされているので、現時点で隠されている部分は、9月9日のAppleの製品発表後に、HomeKit関連のなんらかのロゴや記述が明らかになるのではないかと推定される。

iOSデバイスを用いた使用イメージ。室温や二酸化炭素濃度の測定をはじめ、ドアの開閉や、特定コンセントにおける電力消費などを表示する
アプリケーションはiPad向けのインターフェイスも用意。将来的にはAndroidデバイスにも対応するとしている
室内ユニットの「eve room」。いずれも、シンプルなデザインになっている
eveシリーズ「eve weather」「eve energy」「eve room」の展示。背景のメッセージには一部策された場所がある
こちらの展開予定製品のメッセージにも現時点では隠されている部分がある
使用水量の検出や、煙感知、ドアの開閉センサーなどを順次開発予定

 ケースメーカーのINCIPIOは、iPhone 5/5s向けのカメラ機能に特化したケースを展示。グリップ部分のほか、専用アプリケーションから各種設定を任意に設定可能な、シャッター機能を含むボタン類を備える。

INCIPIOの「INCIPIO FACAL」。シャッター機能を始め、プログラマブルなボタンを備える
手元にiPhone 5/5sがあればレンズとボタンの位置関係を確認して欲しいが、この位置は、iPhone自体のボリュームボタンやミュートスイッチ等とはまったく別の位置に配置されている
ケースにはストラップも付いている
CasePowerのポータブルバッテリ。容量は2,000mAhで、LEDライトも付いている。付属するケーブルはマグネットによるケーブルマネジメントに対応
BLUE LOUNGEの「Soba」。Mac miniなどで利用できるチューブ式のケーブルマネジメントツール。配線のスパゲッティ化を防ぐ製品名が「Soba」なのは面白い。日本ではトリニティが販売代理店として取り扱う

 APTEKのiPhone 5/5s対応のDLPプロジェクターケース。明るさは50lm。アタッチメントの切り替えで、iPhoneからの出力のほか、外部のHDMI出力を投影することもできる。ケースにはバッテリも内蔵している。

DLP Picoプロジェクター。iPhone 5/5s対応のケースと一体化。iPhoneのビデオ再生などを最大60型サイズで投影できる。
TYLTのQiに対応する無接点充電台。カーマウントキットも開発中。Galaxy S5対応の後付けキットとしての充電コイルも用意されている

 独自の無接点充電規格で、MacおよびiPhone向けの製品を展開するMobee Technology。新作はiMacに取り付けるパワードのUSB 3.0 Hub。iMacの電源ケーブルとの間に挟み込む構造によって、iMacの電源がオフの状態でも、接続された機器に給電が可能でポータブルデバイスなどの充電が可能だとしている。充電機能としては4基、USB 3.0 Hubとしては最大3基を増設する。

Mobee Technologyの「Magic Hub」。iMac専用アクセサリーで、iMacの電源オフの状態でもモバイルデバイスの充電を可能とする周辺機器。独自の無接点充電規格によって製品化しているが、デスクトップ周りを同社製品が固めるのであれば、なかなか使えるソリューション。日本市場ではプレアデスシステムデザインが代理店となっている

(矢作 晃)