iZONEで公開されたMac向け、iPhone向け機器の数々
2011年に続いて、今年もMesse Berlinの一角には「iZONE」と名付けられたMacやiOSデバイスのApple向け周辺機器を中心に展示するエリアが設けられた。Apple自体は出展を行なっていないものの、周辺機器・アクセサリを扱うメーカーが企画展示を行なう仕組みはInternational CESのiLoungeと同じ構図である。大手メーカーは独自に大型のブースを構えるので、必ずしもiZONEだけがMacやiOS関連の展示を行なっているというわけではない。例えばLogitech(日本市場ではロジクール)などは別ホールにブースをもっていて、そこでiPad向けのBluetoothキーボードやスピーカーなどを展示している。
展示されるスマートフォンケースのトレンド。圧倒的な端末出荷数を背景にしてiPhone 4/4S向け(左)は継続して新しいケースが続々と発表されている。またSamsungのGalaxy S III対応ケース(右)もAndroid端末では突出して出展企業とバリエーションが多い。そして中央にある「iPhone 5」対応とされる縦長のものが目立ちはじめた。 |
iZONEの展示傾向は2011年と大きく変わることはなかった。iPhone/iPad向けのアクセサリはケース、ポータブルバッテリを中心にしてヘッドフォンやスピーカーなどの音響機器が加わる。昨年(2011年)もIFAを訪れていることと、年初にラスベガスで開催されたInternational CESでの展示を見ているだけに、個人的には展示内容の差分が小さくなっており、残念ながら目を見張るような製品は相対的に少なくなった。おそらく9月中旬から10月にかけて、Appleによる大きな製品発表が予測されていることから、関連の展示自体はおとなしめにならざるを得ないという背景事情もあるだろう。
実際、このiZONEでの出展を含めてAppleの次期iPhoneを示すのであろう「iPhone 5」対応を称するケースやアクセサリはIFA会場内でも散見された。インターネット上には真贋がつかない情報も溢れているだけに、読者の方々も何度か目にしたことがあるだろう。よく「信頼できる情報筋から」、「事情を知る関係者から」という前置きが使われてもっともらしく紹介されていたりするが、筆者が考えるところの信頼できる情報というものは、Appleの広報部門から発せられるアナウンスだけであり、それ以外はいかなるメディアが発しようとも、眉に唾をつけてから見聞きするべきものだ。よって以下に掲載する写真もあくまで出展者がそのように呼称して展示しているだけで、製品の真贋は問わずに掲載しているので、そのつもりで読んでいただきたい。
これらの展示を見て、あくまで個人的な勘で言わせてもらえば「何か違う」という雰囲気を感じる。個々に詳しく言及はしないが、これらの形状にはいくつかの合理性が欠けている。2011年もこの時期にiPhone 5なる噂がかけめぐったが、結果として登場したのはiPhone 4Sで、本体形状は前モデルにあたるiPhone 4を踏襲したスタイルだった。背面がカーブしている予測デザインに覚えがある人もいるかも知れないが、昨年その形状を「iPhone 5」と称して展示していた同じ企業がMacworld|iWorld ASIAやIFAの展示エリアで再び自称「iPhone 5」の縦長ケースを展示している。昨年フェイクに踊らされた企業や人々が、今年は踊らされていないとは断言できない。むしろ実績からみれば再びフェイクに騙される可能性のほうが高いくらいである。昨年はそうして先走って製造された偽ケースのほとんどが廃棄へ至ったと聞く。決して地球に優しいとは言えないこうした行為はそろそろ辞めにすべきだろう。
iOS対応周辺機器のトレンドは、Bluetooth対応のポータブルスピーカーと、ヘルスケア製品。前者はJawboneの「JAMBOX」が大ヒットしたことを背景に、Logitech(日本ではロジクール)傘下のUltimate Ears、あるいはJabraなどから相次いで新製品が発表された。いずれもJAMBOXと同様にBluetoothによるワイヤレススピーカーであるとともに、スマートフォン利用時にはスピーカーフォンとして機能することがセールスポイントだ。同種の製品は、SCOSCHEなどからも発売されており、このジャンルはちょっとしたブームになっている。
昨年、ドラえもんのポケットのようなタブレット入れ付きガウンを展示していたLavatelliは、新たにスピーカー内蔵の枕とスマートフォン入れのついた「Smartowel」を発売。前者は枕の中にスピーカーを入れて、音量・音質を調整することで快眠が得られるとのこと。睡眠時の音楽は効果的だがヘッドフォンを使ったり周囲のスピーカを利用するよりも、枕に大音量にならないフラットスピーカーをいれるほうがいいと薦めている。一方のタオルだが、これはポケットがついたファブリック製品。首繰りなどに工夫があり、男性はトーガ風、女性はワンピース風の着こなしをすると胸の内側にスマートフォンを入れるポケットが来る仕組みだ。
安眠枕の「KANGURU GOODNIGHT」。中身となるフラットスピーカーの入った部分は洗濯できない。カバー部分は洗濯が可能 | バスローブ代わりのタオルもスマート化。その名も「Smartowel」。女性の首にあたる部分は輪になっており、そこをとおすことでワンピース風に着こなせる |
またヘルスケアでは、筆者の知る限り3番目となる家庭用の血圧測定Dockが登場している。MEDISANAの「CardioDock」は上腕部で測るタイプで、Dockに接続したiOSデバイスに専用のAppを入れて計測そして記録する。ヨーロッパでは129ユーロで販売中。30ピンコネクタに接続する赤外線計測による体温計と、血糖値を測るユニットもあわせて販売されている。前者は79ユーロ、後者は99ユーロ(消耗品は除く)。
ほか、Withingsはワイヤレス体重計の新製品として「Wireless Scale WS-30」を発表。従来モデルではWi-Fiのみに対応していたが、新製品ではあわせてBluetooth接続にも対応した。家族で使う場合も1台の体重計を共有でき、利用者の自動認識が行なえるとしている。あわせて専用AppをiOS向け、Android向けともに更新する。60社を超えるパートナー企業と契約して、今後も対応Appの制作を行なうという。WS-30の市場価格は119.95ユーロの見込み。
MEDISANAの血圧計「CardioDock」。すでにドイツ家電大手のSaturnなどで販売されている | Withingsの体重計の新モデルはBluetoothと家族間の共用に対応した「WS-30」 |
International CESで発表されたZENSORIUMの「tinke」もあらためて製品展示を行なった。iOSデバイスの30ピンコネクタに取り付けるセンサーで、親指でセンサー部分をおさえると計測を開始。心拍数、呼吸数、血中の酸素濃度などを測定して体調を診断する。専用Appによって記録を行なって心身の健康維持を目指す。北米では99ドルで継続してプリオーダーを受け付けているが、発売時期は未定。
tinkeを使った筆者の測定結果。まる1日展示ホール巡りをした後なので、最高値である100の半分程度にあたる58 |
そのほかiZoneを中心にIFA会場内で見つけたMac向け、iOS機器向け製品を写真で紹介する。
(2012年 9月 5日)
[Reported by 矢作 晃]