イベントレポート
Intel、深度センサーによるサイズ測定デモなど「RealSense」技術を紹介
(2014/9/6 00:30)
米Intelは、IFAの期間中にベルリン市内のホテルで記者説明会を開催し、知覚やジェスチャーなどを利用したユーザーインターフェイス(UI)技術の具体的な製品に関する説明を行なった。これは、Perceptual Computing(パーセプチャル・コンピューティング)として開発を進め、そのブランド名を「RealSense Technology」(リアルセンステクノロジー)とすることを1月のCESで発表したものだ。
その中で同社パーセプチャルコンピューティング事業部 マーケティング製品担当課長 アニル・ナンドゥリ氏は、これまで名前だけが明らかになっていた製品の具体的な概要に関しても説明した。
RealSense向けのカメラモジュールは「RealSense Front 3D Camera F200」(F200)、「RealSense Rear 3D Camera R200」(R200)、「RealSense Snapshot R100」(R100)という3つが用意され、それぞれ異なる製品向けとして提供される。
Intelによれば、F200とR200は2014年末からPCやタブレット、スマートフォンに搭載が始まり、多くは2015年の春頃に搭載製品が登場することになる。
Perceptual Computingを具現化したRealSenseブランドのカメラ
IntelのPerceptual Computingは、タッチの次に来るより自然なUIの実現を目指し、数年前からIntelがOEMメーカーと協力しながら多大なコストをかけて研究開発を続けてきた技術だ。このPerceptual Computingは、1月に行なわれたInternational CESにおいてIntel RealSense Technologyというブランド名であることが明らかにされた。
ナンドゥリ氏は「タッチが登場したことで従来のマウスやキーボードに比べてより直感的で自然な操作ができるようになっている。しかし、それでも十分ではない。なぜかと言えば、人間同士のコミュニケーションも常に触れ合っているわけではないからだ」と述べ、コンピュータと人間のコミュニケーションは、さらに自然になるように進化する必要があるとした。
その上で実際にRealSenseを利用したデモをいくつか紹介した。例えば、現在PCでカメラを利用したアプリケーションとして最も利用されているビデオ会議で、背景をほかの写真に切り替えて送信するデモ、深度センサーを利用してユーザーの顔を3Dモデリングデータにして、それを3Dプリンタで3D印刷する3Dカメラを利用したデモ、そして、ジェスチャーを利用したゲームの操作、3Dアバターと自分の顔の動きを同期させるデモなどが紹介された。
デモには、Lenovoや富士通が試作したRealSense 3Dカメラを搭載する液晶一体型PCのほか、IntelとDellが共同開発中とされる3Dカメラ搭載のWindowsタブレットなどが利用された。特に3Dカメラ搭載Windowsタブレットでは深度センサーを利用して物体の縦横サイズなどを計測するソフトウェアが紹介され、今後ソフトウェア次第でさまざまな使い方が出てきそうだ。
F200、R200を先行出荷。タブレット、スマートフォン向けのF100は来年に
Intelのナンドゥリ氏は、COMPUTEXの期間中に発表されたRealSense用カメラの3つのSKUについても説明を行なった。
先述の通り、F200、R200、R100の3製品があり、F200が液晶一体型やクラムシェル型などPCの前面カメラ用。R200が2-in-1デバイスを含むタブレット、ファブレットなどの背面カメラ用。R100がタブレットやスマートフォン用のカメラになる。
いずれの製品も、CMOSセンサーは他社から購入し、Intel製のコントローラICと組み合わせて利用している。モジュール上にはコントローラのほか、RGBのCMOSセンサーと深度センサーが搭載されており、深度センサーを利用してジェスチャー操作、撮影後のピントの変更などさまざまな用途に利用できる。なお、RGBのCMOSセンサーの画素数などは未公表で、ナンドゥリ氏はF200のCMOSセンサーは1080pに対応であることのみ明らかにした。
ナンドゥリ氏によれば「F200またはR200を搭載したシステムが今年の末までに市場に登場する見通しだ。そしてより多くの製品は2015年の春頃に登場するだろう。R100に関しても2015年になる」と、具体的な製品のスケジュールにも言及。すでに、ASUS、Acer、NEC、Dell、HP、富士通、Lenovo、東芝が対応を明らかにしている。